太田述正コラム#4063(2010.6.11)
<皆さんとディスカッション(続x860)>

<文十郎>

 早速のお答えありがとうございます。
 私から少し言い訳を。
 日米安保条約は、日本語も正文なので離島に侵略がある場合米軍が出動するように読めると思いました。

≫何度も申し上げているように、日本の領域における武力攻撃があった場合、安保条約上、米国が自動的に参戦する義務があるわけではありません。≪(コラム#4061。太田)

 これは、「共通の危険に対処するように行動する」<(日米安保条約・第五条)>事は、必ずしも参戦を意味しない、と言うことでよろしいでしょうか?

 日米同盟は、日本語が仮訳で正文が英語なので正直よく分からないのですが、私の英語力では、米軍の仕事は「support」であり、「defense」ではないと思いました。
 日本の「defense」を米軍は「support」するだけであり、「support」の中に「戦闘」が含まれるか情報や物資の支援だけなのか、は米軍が決める、と言う理解でよろしいでしょうか?

 日米安保と日米同盟が矛盾しているのではなく、日米同盟が日米安保で曖昧だった箇所を明確にした、という理解でよろしいでしょうか?

 過去の太田コラムを流し読みしている事がバレバレで、すみません。

<太田>

 第一のご質問についてですが、引用された日米安保条約の条文で、あなたが言及したくだりの直前、私が≪≫を付した箇所が根拠です。

 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、≪自国の憲法上の規定及び手続に従つて≫共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/nichibei_anpo1960.html

 これは、日米安保条約上の規定よりも、米国の憲法上の規定及び手続きが優先することに日本が合意した条項だからです。

 次に第二のご質問についてですが、このような軍事同盟に係る文書の中で用いられる'support'という言葉は、軍事用語として理解されなければなりません。
 supportの意味にについては、以下の解説をご覧下さい。疑問が氷解しますよ。
http://homepage3.nifty.com/hiway/sss/r95-2ch2.htm

<ψψΒΒ>(「たった一人の反乱」より)

≫太田さんが経済人・経済アナリストと組むと面白いかな。 ≪(コラム#4061。βΨβΨ)

 俺がネットで知ってる若手経済学者は、
安田洋祐さん
http://blog.livedoor.jp/yagena/
と、
飯田泰之さん
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/

 本は売れなきゃいけないとは言え、共著者がねえ。飯田さん、自分を安売りしちゃいかんと思うよ。
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%BE%A9%E6%B4%BB-%E4%B8%80%E7%95%AA%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%AA%E6%96%B9%E6%B3%95-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-443-%E5%8B%9D%E9%96%93/dp/4334035477

 安田さんは、東大卒、Ph.D. in Economics(プリンストン大学)だから、太田さん的には真剣に議論できる相手だろうな。
http://www.grips.ac.jp/profiles/yasuda,yosuke/yasuda,yosuke.htm

<太田>

 勝手に色々気を遣ってもらっとるが、一応appreciateしとこうか。

<Fat Tail>

 --太田述正観察日記II:編集後記--

 今回、編集の都合上、「太田(中将)はこんなに可愛い!」本論で納め切れなかった諸点を、以下に列挙した。

一、オフサイド疑惑について
 第一回で、太田少年のオフサイド疑惑に触れた。「太田述正コラム#4055(2010.6.7)」において、太田(中将)から「オフサイドにならないケースいくらでもあるだろが・・。」という、興味深い指摘があった<(コラム#4055)>ので、以下、手短に検証したい。
 「敵のゴールの横に手持ちぶさたに立っていた」のに見事得点できたということは、以下のケースの何れかであろう(ゴールの前ではなく、横というところがこれまたオフサイド疑惑を深める)。

(i)コーナー・キックやフリー・キック等によりゴール前で混戦状態になり、相手ディフェンダーの一人以上が、たまたまゴールの横にいる太田少年と同位置に下がった瞬間があり、その隙を突いて「偶然ボールが自分の所にころがってきた」チャンスを逃さず、得点した。

(ii)常時オフサイドポジションにあるような、「敵のゴールの横」にいる太田少年に只ならぬ危険を感じ、相手ディフェンダーがマー・ツー・マンでマークしていたのだが、そんなマークをものともせず、相手ディフェンダーを振り切って転がってきたワンチャンスを生かし、得点した。

 仮に(ii)のケースだった場合、是非今のサッカー日本代表に欲しい決定力を持った逸材である。いずれにせよ、オフサイドにならないケースは、そう多くはなさそうだ。
 この件で改めて思ったことは、人間にとって、特に幼少期の「旧き良き」思い出は、多くの場合「聖域」であり、他人に侵されたくない、ということだ。なので、これ以上太田少年の聖域には深入りしない。

→モチ(i)が正解。なお、私の「「旧き良き」思い出」などどうでもよいが、体育の授業として行われたサッカーでオフサイドに目をつぶったとの疑惑を投げかけられた私の小学校(Gezira Preparatory School)の体育教師の名誉にかかわると判断した。
 ちなみに、Geziraとはアラビア語で「島」のことであり、ナイルに浮かぶ島。
 私が住んでいたのは、同島北部のZamalek地区の高級住宅街。同島中/南部のGezira地区には、この小学校(当時)のほか、このコラムでも登場したGezira Sporting ClubやCairo Opera Houseがある。
http://wikitravel.org/en/Cairo/Gezira
http://en.wikipedia.org/wiki/Gezira_Island (太田)

二、「バグってハニー」氏の純朴さ
 氏の文章を改めて読んでみると、良い意味で「幼さ」を感じる。博士号を持ち、かつ子供もいることに鑑みれば(「太田述正コラム#2797(2008.9.18)」参照)、それが一層際立つ。
 このことも手伝い、「ろくでなし」氏は「太田述正コラム#2845(2008.10.12)」において、氏に「「軽い」という印象」を持ったと述べているのだろうが、これはやや氏に酷であろう。
 理系出身で研究員になるような人には、子供の頃の幼さを内包したまま大人になるケースもあるのか、と考えてしまう。数多くいる個性的なコラム読者の中、興味の尽きない人である。
 また、「親米・ネオコン」という政治信条を持っている氏(「太田述正コラム#1573(2006.12.17)」参照)が、2008年のアメリカ大統領選挙で、バラク・オバマ現大統領を応援していたのかも、気になるところだ。

→コラムにも書いたと思うが、彼は、もちろん、共和党のマケイン候補を支持していた。(太田)

三、「michisuzu」氏の功績
 第五回で、氏を出汁に使って「Nelson」氏を持ち上げたが、太田(中将)も指摘しているように、「michisuzu」氏が起爆剤となって議論が深まったケースが多々あり、氏の「皆さんとディスカッション」シリーズでの功績は大きい。
 過去の太田コラムにおいて、経歴等のバックグランドを異にするような「異分子」をチームに入れた場合、当該チームのパフォーマンスが向上する趣旨の記事を紹介していたように記憶しているが(該当コラム不明)、まさに氏の功績の源泉は、この「異分子」効果だったのかもしれない。太田コラムの読者の全てが、日本の近現代史から縄文・弥生仮説まで、「太田緒論」に何の異議もなく賛成というのであれば、議論は深まらず、よって新たな発見もない。
 「太田述正コラム#3594(2009.10.20)」でも紹介された、映画「マトリックス」誕生の背景に強い関わりのある、押井守監督の「攻殻機動隊」シリーズ(原作は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』)においても、同様のことを主人公である草薙素子とその部下であるトグサとのやり取りで扱われている。
(*草薙素子(通称、少佐)率いる「公安9課」は、超一流の人材で構成されており、その中で一見トグサは、安定したパフォーマンスは出すものの特に突出して秀でたものがないように描かれている点に留意。なお、テレビシリーズ等においてはその限りではない。)

(トグサ)
「・・・・・・少佐
前から聞いてみたかったんだけど
なんで俺みたいな男を、本庁から引き抜いたんですか? 」

(草薙素子)
「おまえがそういう男だからさ
不正規活動の経験のない刑事あがりで
おまけに所帯持ち
電脳化はしていても脳ミソはたっぷり残ってるし
ほとんど生身・・・・・・

戦闘単位として、どんなに優秀でも
同じ規格品で構成されたシステムは、どこかに致命的な欠陥を持つことになるわ
組織も人間も同じ
特殊化の果てにあるのは、ゆるやかな死・・・・・・
それだけよ」

「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」
http://anime.geocities.jp/koukaku2029/meigen/index.html

 また、これも過去のコラムで取り上げられていた話題だが(「太田述正コラム#3181(2009.3.29)」で紹介された、アイスランドの某銀行女性頭取の発言参照)、最近の金融危機でも、殆どが男性で構成されている金融機関の取締役会等のexecutive decisionsが、危機を深刻化させたという指摘もなされ、女性比率を増加させる必要性が説かれているところだ。
“UK's financial firms 'need more female directors'”
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8599851.stm

 (但し、記事の最後に出ているボーナス額の差異は、非収益部門でありcompensationも相対的にかなり低いバックオフィスに女性が多く勤務していることを考慮しておらず、注意が必要。典拠の省略はお許しいただきたいが、これは収益部門と非収益部門に勤務する従業員が受け取るボーナスの差の凄まじさを物語っていると解すべき。同じ部門で男女間のcompensationに顕著な差が出るという話は聞いた事が無い。
“Last September, the Equality and Human Rights Commission (EHRC) found that men working in the UK's financial sector receive five times more in bonus payments than women.

It found that on average, women got annual bonuses of £2,875 compared with £14,554 for men.”)

 肌の色が違う稀なケースも見受けられるが、殆どがIvy LeagueかOxbridge卒でMBA 保有者の男性によって率いられているWall Streetの金融機関が、マッチョ的行動に陥りやすいことは容易に想像出来ることだろう。

 と、ここで稿を終える予定だったのだが、”The Economist”に"Tesco and the case against diversity”と題した記事を発見。
http://www.economist.com/blogs/schumpeter/2010/06/against_diversity
イギリスのテスコを引き合いに出し、機械的な「多様性」政策実施に疑義を呈するようなことを述べ、” Diversity is a technique, not an end in itself.”と賢しげに論じ、” We need much more diversity of thought on the subject of "diversity".”という、愚にも似つかない文で締めくくっている。すかさず噛み付く読者が現れているが、これはピンボケを装いつつ、高みに立ってこうした反響を見越した、確信犯的な「ずるい」記事だと考えるべきではないだろうか。日本のアングロサクソン研究の大家とその弟子たる読者の皆さんは、どうこの記事を読まれるのだろう。

(続く、かもしれない)

→Fat Tailサンの文章にしては最後の方がチト冗長だったが、言ってることには同意。
 michisuzuちゃんの「活躍」は、単に議論を活発化させただけではなく、太田コラム上での女性の大活躍をもたらした可能性が高いんだな。
 2例だけあげれば、Nelson、深雪ご両名の参入・活躍の時期を思いだして欲しい。
 他方、michisuzuちゃんの退出と、上記ご両名の退出とは直接の関係はないけれど、最近、女性の姿が見られないのは、michisuzuちゃん的女性がその後現れないことと無関係ではない、とボクは考えている。
 michisuzuちゃんには偉大な功績があった、と改めて強調しておきたい。(太田)

<太田>

 それでは、記事の紹介です。

 こんな上品とは言い難い冗談話が表に出るようでは、もはや小沢の復権などありえない、と考えるべきだろな。↓

 「・・・「小沢一郎さんが一番嫌っているのは枝野さんじゃない?」と尋ねたところ、「いや違います。私は2番目です」と答えた。なぜなら、「小沢さんは慶応大学出身で司法試験に挑戦したが合格しなかった。仙谷さんは東大にストレートで合格、しかも在学中に司法試験に受かっているから、小沢さんにとっては面白くない。私の場合は、東大に余計な一文字が入った東北大だし、司法試験に一度落ちているから、まだましなんです」。そんな内容だった。・・・」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100610/230854/?ml

 こんな日本文化論ムチャクチャやんけ。
 「大陸文化」のドイツ人がルール守らないかどうか、胸に手を当てて考えてみな。↓
http://j.peopledaily.com.cn/94473/7019627.html

 韓国の宇宙ロケット2度目の発射も失敗。
 冗談だけど、日本にとって、北朝鮮の弾道弾より、韓国の宇宙ロケット(墜落)の危険の方が大きいんじゃないかい。↓

 ・・・had caused no damage to Japanese territory or people.
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2010/06/11/2010061100346.html

 BPの油漏れ事件の関係で、米英関係がギクシャクしている。
 イギリス人の米国蔑視感情が垣間見えて面白い。↓

 ・・・Some Britons are irked at President Obama’s seeming determination to refer to the company as “British Petroleum” ? even though it jettisoned that name in favor of initials years ago. In any case, they point out, it is truly a multinational company, traded on both the New York and London stock exchanges, with British and American nationals on its board of directors.
 BP also has extensive holdings in the United States. It merged with Amoco, the former Standard Oil of Indiana, in 1998, and about 40 percent of its shares are held by American investors. It owns a refinery in Texas City, Tex., that is one of the world’s largest, and a 50 percent interest in the Trans Alaska Pipeline, in addition to a huge gasoline marketing operation.
 But alarms went off in Britain when President Obama said earlier this week that he would have fired Mr. Hayward if Mr. Hayward worked for him and that he was looking for “whose ass to kick” in connection with the disaster. The Justice Department did not help matters when it said Wednesday that it was planning to take action to force BP to withhold its next dividend payment. ・・・
 Writing on his Web site, a Conservative peer, Lord Tebbit, called the American response “a crude, bigoted, xenophobic display of partisan, political, presidential petulance against a multinational company.”
 Comments on British message boards this week have been full of anger at the United States and disillusionment at Mr. Obama, a wildly popular president here until now. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/06/11/business/11bp.html?hp=&pagewanted=print

 国連安保理がイラン制裁強化を決めたが、オバマ政権は、米議会が張り切りすぎるのを抑えるのに四苦八苦してるみたいね。↓

 The Obama administration, which labored for months to impose tough new United Nations sanctions against Iran, now is pushing in the opposite direction against Congress as it crafts U.S. sanctions that the White House fears may go too far.・・・
 ・・・the administration fears that the legislation also could damage relations with Europe, Russia and China, all of whom cooperated with U.S. efforts on the U.N. sanctions.

 To avoid that possibility, the administration wants authority to waive U.S. punishment against companies from countries that have cooperated on Iran.・・・
http://www.latimes.com/news/politics/la-fg-iran-sanctions-20100611,0,4517498.story

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<Fuku:翻訳>

コラム#4059より。
 げにイスラムの腐食能力は恐ろしい。
 イスラム圏のキリスト教圏との接点たるトルコに続いて仏教圏との接点たるマレーシアまで腐食されちゃったよ。
 インドネシアまで腐食されたら?
 イスラム教徒のマインドコントロールを解く方法を非イスラム自由民主主義圏の総力をあげて見つけなくっちゃ。↓

 ・・・マレーシアの政治階級には熱狂的な反ユダヤ主義の長い歴史がある。その点から見ればナジブ氏の発言は驚くことではない。彼の政治的指導教師たるマハティール・モハメッドはユダヤ人陰謀説を好み、イスラエルに「テロリスト国家」というレッテルを貼った。与党の統一マレー国民組織の若いメンバーたちはこの伝統を受け継いでおり、その総裁<(ナジブ首相)>は先週抗議者たちに、イスラエル当局がまた別の「支援船」を止めたら、「イスラエルを打ち破るために」ガザへ向かうことを求めた。
 より理解しにくいのはアンワル氏が主導する野党連合の活動である。それは自分たちを民族的、宗教的差異の間の架け橋となる新種の世俗的政治運動であると喧伝する。アンワル氏は以前、ユダヤ人と友好関係にあったことを攻撃されたが、彼はこの繋がりを守ってきた。だから彼が今や反イスラエルの大衆主義者の肩を持つのを見るのはがっかりだ。・・・

<太田>

 おおむね結構ですね。12ポイント追加です。
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太田述正コラム#4064(2010.6.11)
<ジェームス・ワットをめぐって(その2)>

→非公開