太田述正コラム#3981(2010.5.1)
<皆さんとディスカッション(続x820)>

<植田信>http://8706.teacup.com/uedam/bbs

 --太田述正氏のサイトで集中豪雨のコメントがあった --

 ・・・太田述正氏のディスカス819に以下の話題がありました。・・・
 
≫太田コラムが始まった頃から、その読者でらした植田さんに、私の中心的なテーマでまだ必ずしも十分ご理解いただけていない部分があるわけですから、これはやはり、太田コラムを本にして改めて読者や潜在的読者に読んでいただく必要性がある、と思いました。≪(コラム#3979。太田)

 いや、その通りです。
 私は太田氏のサイトで論じられている問題を二つに分類しています。
 1 防衛論・日本属国論。
 2 文明論。これはイギリス文明論、日本文明論も含めて、文明論一般です。
 で、私の関心は、1の防衛論のほうにあるので、2のほうは、ほとんど目を通してありません。

 したがって、太田氏がずっと展開している文明論についての私の理解は、まったく、ない、といった状況です。お粗末なもの、ともいえない状況です。
 今現在も、文明論のほうを理解する必要があるのかどうか、判断しかねているところです。

 たとえばこれを「日本文明・縄文ルーツ論」の問題として特定してみると、これを理解するとなると、すぐに中西輝政氏の『国民の文明史』や西尾幹二氏の『国民の歴史』と対比することになってしまいます。両人とも、縄文時代に日本人の文明にとって特権的地位を与えています。
 太田氏の縄文論に限らず、縄文論がそんなに重要なのか、ここが私にはわかりかねています。誰か強く私を説得してくれる人がいればいいのだが、と思っているところです。
 その場合は、ヘーゲルの歴史哲学の歴史観に対立し、さらにそれを超える歴史観の提示が必要になるでしょう。

<太田>

 私は、マックス・ヴェーバーに触れた私の2001年12月3日付のコラムについて、レオ・シュトラウスに言及しつつ投稿してこられた読者が植田さんだとずっと思い込んでいたのですが、そうでないとすると、植田さんの太田コラム歴、それほど長くはないのかもしれませんね。

 さて、植田さんのおっしゃる「防衛論(日本属国論)」と「文明論」とですが、私にとっては、両者は密接不可分な関係にあります。
 ですから、後者に対する関心と理解なくして前者に関して私が言っていることを十分理解することはできません。
 (それがどういうことかは、下掲↓をお読みいただければ、感覚的にお分かりいただけるのではないでしょうか。
http://www.ohtan.net/opinion/opinion4_text.html

 私が防衛庁勤めを始めて間もなく経って抱いた問題意識は、

一、「どうして日本は、経済は素晴らしいのに防衛はムチャクチャなのか」、
二、「どうして日本とアングロサクソンは同盟関係にあり、どうしてそれが一時中断したのか」、
三、「どうして終戦以降、日本人の防衛に対する姿勢が180度変わってしまったように見えるのか」

等なのですが、一から日本型経済体制論、二からアングロサクソン・欧州せめぎあい論や米国論、そして、三(と一)から縄文モード・弥生モード論を必要に迫られてひねり出した、といったところです。
 このうち、縄文モード・弥生モード論こそ、いまだ、仮説の域にとどまっていますが、その他については、かなり検証が進んだと自負している、と申し上げておきましょう。

<植田信>(同上)

 それ(文明論)に<関>して、最近、私の関心が太田氏の話題とシンクロしてきたのが、明治以後の日本のデモクラシー問題です。
 ここは実に面白くなってきました。
 太田氏の説からいろいろと刺激を受けています。
 今は、直近の太田氏のプログに出ていた話題をこちらに転載させてもらっておきます。
 ディスカス818です。・・・

≫・・・私がこの10年来主張しているのは、戦前の日本にも民主主義があったなどという当たり前の話ではなく、戦時中の日本も民主主義であったという点であることをご理解ください。
 ・・・<中略>・・・
 私は、先入観を捨て去る努力をしながら自分自身が納得できる仮説を立て、その仮説を国際比較を含め、事実を踏まえて検証することを心がけています。
 得られた結論は、ごく常識的なものばかりだと思っているのですが・・。≪(コラム#3977。太田)

 なんか集中豪雨のようなコメントの数々で、これからぼちぼち考えましょう。

<太田>

 太田FAQ等を手がかりに、おいおい私のアングロサクソン論、欧州論、米国論を目を通していただければ、私の日本の民主主義論について、一層ご理解いただけると思いますよ。

<モッキー>

 コラムを読ませていだだくようになったのは、最近のことですし、仕事や日々の雑務に追われて、精読しているわけでもないので、太田さんの考えや主張に対して、生半可な理解でゴメンナサイ、なのですが。太田さんは政権交代が起きたこと自体に対しては肯定的に捉えていること、憲法(9条)を改定して真に独立した日本にすることを願っている、この二点は間違いないですよね?
 わたしは決して自民党を擁護する気は無いのですが、自主憲法制定・改憲論者なら、まだ自民党の中には何人かいるのに対して、朝日、岩波的な価値観の社会党の流れを汲んだ議員さんが多い民主党が政権を握っていたら、未来永劫に憲法9条を捨てることなど出来ないのではないでしょうか。
 ゾンビ政党の自民党に戻って欲しいとは思いませんが、政権交代と自主独立の願いが矛盾してるように思えます。概出の意見でしたらすみません。
 よくも悪くも日本ではメディアがリベラル色が強いので、政治家が暴走することは無いものの、改憲論を口に出したとたん、コメンテーターや新聞の社説で叩かれ、政治家生命が危うくなるのは目に見えています。山師だろうが何だろうが、かつての小泉さんみたいな、老若男女に人気のあるタレントまがいの総理が出現しない限り、絶対に改憲なんで出来ないように思います。

<太田>

 私は、改憲論者ではありません。
 ただし、ずっと以前から、集団的自衛権行使を禁ずる政府憲法解釈を改めるべきだと主張してきたところです。
 それは、憲法改正が極めて困難であること、第9条の政府解釈は変遷を重ねてきていること、集団的自衛権を行使できるようになればそれでほぼ十分であること、からです。
 私が、これに加えてしばらく前から、帝国憲法も現行憲法もそもそも規範性がない、だから、憲法を改正する必要性がそもそもない、と主張するに至っていることもご承知おきください。

 なお、自衛隊が米国向けの見せ金軍隊だとすれば、憲法改正は自民党のタカ派国民向け見せ金党是であり、だまされては、というか、だまされたフリをしてはなりません。

<ΒΒΥΥ>(「たった一人の反乱」より)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100430-OYT1T00174.htm
↑↑
 民主党って馬鹿な集団だなw。
 検察審査会の権限強化に賛成しておいて、自分たちに都合のわるい結果がでると、手のひら返して批判する。
 腐ってるなww。

<唯我独尊>

≫紹介すべきその他の記事はありませんでした。世界中が、日本の連休につきあっているみたいな感じですねえ。≪(コラム#3979。太田)

 沖縄のリゾート・ホテルから投稿しています。
 というようになってみたいのですけど、連休中は渋滞と人出を避けて自宅でのんびりしています(やせ我慢)。
 ところで、沖縄県平和祈念資料館
http://www.peace-museum.pref.okinawa.jp/index.html
を訪れたとき、その規模には驚きました。
 しかしながら展示内容については、沖縄の悲惨さに対する思いを強くすることができませんでした。なぜだったのか、今でも反芻しています。
 ひめゆりの塔の前では、恥ずかしながら涙が止まらなかったのですが。

<太田>

 宮里さんのコメントをいただきたいところです。

<私有自楽>

 K.626 のレクイエム<(コラム#3977)>素晴らしいですね。

 お薦めの71年12月録音のカール・ベーム指揮、ウィーン交響楽団版(ウィーン・フィルではありません)は、同年4月録音のウィーン・フィル盤と共に無条件に史上最高の演奏だと思います。

 しかし、もう一つだけ、絶対に忘れて欲しくない最高の演奏だと僕が信じている盤がある。

 1963年11月の国葬を終えた後、翌年 1月にケネディ家の私的葬儀のために故郷ボストンの聖十字架大聖堂で執り行われた追悼ミサの実況録音盤だ。
http://www.shop.kotenha.com/ec-classic/pc/package_details/index.php?package_id=4106092271
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1226424(さわり付き)

 ラインスドルフ (ERICH LEINSDORF)指揮のボストン交響楽団演奏で、グンドゥーラ・ヤノビッツやペーター・シュライヤーの様なスターこそ居ませんが、ニュー・イングランド音楽院合唱団とハーバードとラドクリフ女子大合唱団の混声での仲間の追悼という実体のある悲しみが生む真迫の演奏の迫力には凄まじいものがあります。

 聖堂への参列者の雑踏と聖職者達の足音、F.クープランのオルガンのための荘厳ミサ曲〜マエストーゾによりざわめきが納まり、そしてケネディー自身の幼児洗礼をした(未確認)カッシング枢機卿によるラテン語のお経、そしてあの入祭唱レクイエムがおもむろに響きはじめキリエ辺りまで鳥肌の立つような経過です。

 レコードを2枚づつ買う余裕のなかった学生時代、盆と正月だけ針圧を上げて聴く様な、身を削る様な思いで聞いていた盤にも45年ぶりに昨年やっとCD版が発売され寝転んで聴けるようになりました。

 不純な話しを少々、演奏が終わった直後にジャクリーヌがラインスドルフにその場で礼を述べたと言い伝えられている。
 ジャクリーヌの声が聞けぬものかと演奏が終わった直後の部分から音が無くなるまでの部分に何度もそっと針を置いて彼女の声を拾おうとしたが聴きとれなかった。 
 CD盤を入手してからもCDならもしかしたら音を拾っているかもしれないと耳を済ましてみたがやはりダメだった。
 不便なのはCDだと1セクター刻みでしか聞き直しが効かないので針のように簡単には何度も聞き直すことが出来ないことである。
 いや、何よりその熱意が減退したのであろう。

 少々余計なことを語ったが、ともかくこれはピアノ曲以外では君が最も好きなクラシック曲だそうだね。
BVCC-38391(SME) / JAN 4988017644812; レーベル: RCA
 これは是非買って置かれ、聴く時は教会の中でのように少々音量を上げて聴かれることをお薦めする。

<太田>

 おおミステイク!↓

 「オーストリアで世界的に有名なオーケストラはウィーンフィルとウィーン交響楽団である。ところがこの2つは世界だけでなくウィーンの中でもよく混同される。」
http://language.tiu.ac.jp/wien/5/index.html

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker:
 「ウィーン国立歌劇場のオーケストラであるウィーン国立歌劇場管弦楽団<(Wiener Staatsoper Orchester)>・・・の団員のうち、入団を認められた者が自主運営団体たるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団・・・を構成する。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3
 ウィーン交響楽団(Wiener Symphoniker):
 「一般にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に次ぐ存在と見られがちであるが、ウィーン・フィルはウィーン国立歌劇場の管弦楽団でもあるため、コンサート専門のオーケストラとしてはウィーン交響楽団がオーストリア第一の存在ということになる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%A5%BD%E5%9B%A3

 それでは、記事の紹介です。

 「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、鳩山政権が鹿児島県・徳之島に新型ヘリコプターの垂直離着陸輸送機MV22オスプレーの部隊を配備する構想を検討していることが分かった。・・・米側は2012年にも普天間飛行場にオスプレーの配備を始める予定だが、徳之島への配備については沖縄の地上部隊との一体的な運用ができないとして拒否する姿勢を崩していない。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010043001001106.html

 このオスプレーの来歴が出てたよ。↓

 ・・・ the Osprey has cost taxpayers $54 billion, killed 30 people, been grounded several times, endured horrible publicity and survived the wrath of Dick Cheney. Yet it's still around. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/04/23/AR2010042302258_pf.html

 メモとってないのかなあ。
 ぜひ、もらってた連中の実名明らかにして欲しいもんだ。↓

 「小渕内閣で官房長官を務めた自民党の野中広務元幹事長(84)は・・・、長官在任中に内閣官房機密費を「1カ月当たり、多い時で7千万円、少なくとも5千万円くらい使っていた」と明らかにした。共同通信の取材に答えた。
 内訳については、首相に1千万円、国会で野党工作などに当たる自民党国対委員長や参院幹事長に各500万円程度のほか、政治評論家や野党議員らにも配っていたと説明した。・・・
 持っていって返してきたのはジャーナリストの田原総一朗氏だけだった・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010050190000328.html

 オキストチン(コラム#3035、3056、3246、3667)の実用化が目前か。↓

 ・・・inhaling the "cuddle hormone" oxytocin made men just as empathetic as women. ・・・
 ・・・the spray boosted the ability to learn from positive feedback. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8653500.stm

 沢尻エリカの日替わり、生足、谷間ルックスが話題になってるけど、これ↓読むと、ガンジーにもスタイリストいたのかいって言いたくなるね。
 なお、ガンジーが黒人差別主義者だったって話は以前にも書いたけど、カースト制擁護者でもあったんだねえ。↓

 ・・・Gandhi’s metamorphosis from his birth in 1869 to his assassination in 1948 is reflected in the way he used dress ? both to get on good terms with British rule and to gain popular appeal with the Indian masses. At one stage, he favoured the status of Parsi dress; he later elected to wear European clothes during his years in the UK and South Africa, only to adopt khadi, or homespun wraps, in his campaign to wean India off foreign textile imports. The loincloth, or dhoti, was to become his abiding image. Clearly, these eccentricities also helped build his image among his followers.・・・
 When in South Africa in the first decade of the 20th century, Gandhi campaigned narrowly for the rights of its Indian community. He later became an inspiration for Nelson Mandela, but Gandhi had never sought the freedom of the black population at large. On his return to India, he campaigned for better treatment of the “untouchables”. Yet he appears to have been rigidly opposed to some marriages in his family outside its caste or religion.・・・
http://www.ft.com/cms/s/2/57166bf6-532e-11df-813e-00144feab49a.html

 ピルグリム・ファーザーズ、ひいては米国の化けの皮を徹底的に剥がした本が出たみたいね。↓

 ・・・the Pilgrims are・・・the nouveaux riches of rural England, with supporters in positions of power. Similarly, while their brand of strict Calvinism led them to be labelled Separatists, this was as much a political stance as a religious one, “seasoned with Greek and Roman ideals of republican virtue”. The religious zeal of the Separatists, which has long been seen as the driving force behind the foundation of New England, is・・・to be as much a tool for gaining financial backing as the following of a call from a higher being. Indeed the Pilgrims often appear to have been guided as much by the Invisible Hand of the market as by that of Jehovah.・・・
http://www.ft.com/cms/s/2/6826244a-532e-11df-813e-00144feab49a.html

 エストニアの高官でNATOの機密情報をロシアに流していた男の物語。↓
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,691817,00.html

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 一人題名のない音楽会(連休版)です。

 本日は、「ロシアとウクライナ」シリーズ(コラム#3827〜)の「ロシア篇」の追補です。

[I MET YOU]
バイオリン演奏 
http://www.youtube.com/watch?v=_EG-KThS76A&feature=related
男性歌唱 Boris Shtokolov 
http://www.youtube.com/watch?v=HV5do6qmQL4&feature=related
同上(若かりし時のもの)
http://www.youtube.com/watch?v=kQlMooX-MsU&feature=related
バラライカ演奏 同上
http://www.youtube.com/watch?v=twV7RzEUtso&feature=related

[Only Once(P. Gherman作曲)]
男性歌唱 Boris Shtokolov
http://www.youtube.com/watch?v=dV_ihMddwIQ&feature=related
男+女歌唱 同上 
http://www.youtube.com/watch?v=JNAsFqnSn1c&feature=related

[Shine, Shine, My Star]
女性歌唱 Ekaterina Yurovskaya
http://www.youtube.com/watch?v=I2yu7bMi-ik&feature=related
男性歌唱 Dmitri Hvorostovsky(注) 同上
http://www.youtube.com/watch?v=Tcto9lMKmAk&feature=fvw

 (注)コラム#3827でOn the Manchurian Hillsを歌っていた歌手
http://www.youtube.com/watch?v=L67oxXOyABA&feature=related

[Russian Romance(Alex Chudnovsky作曲)]
ギター演奏
http://www.youtube.com/watch?v=YZuMaVTTCns&feature=fvw

 ロシアの音楽、とりわけ準クラシックの分野での豊かさには脱帽です。
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太田述正コラム#3982(2010.5.1)
<選択の自由という重荷(その1)>

→非公開