太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/

太田述正コラム#3957(2010.4.19)
<皆さんとディスカッション(続x808)>

<ΒΒΤΤ>(「たった一人の反乱」より)

 米政府、「普天間継続使用」を日本に伝達へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100418-00000504-san-pol

 鳩山政権の腹案はともかく、アメリカの腹案は方針決定されたようです。

<太田>

 大体からして、在沖海兵隊の司令部等のグアム移転経費も含め、航空部隊を「暫定的に」徳之島とキャンプシュワブに移転させた上で「最終的に」ホワイトビーチへ持って行く経費という天文学的な経費を負担する用意があるのなら、司令部等をグアムに持ってかなくていいから、普天間周辺の民家にカネ積んで危険のない地域に引っ越ししてもらえば、そっちの方がずっと安上がりじゃないのかなあ。
 とにかく、日本の皆さん、沖縄の皆さん、日本政府が持ってるカネ無尽蔵じゃないのよ。
 一体皆さん、何考えてるの? 何がしたいの?

 なお、徳之島の話、つぶれたかのようにマスコミは書いてる↓

 「沖縄の米軍普天間飛行場の移設受け入れをめぐり、鹿児島県・徳之島で18日に開かれた・・・徳之島、伊仙、天城の3町長ら<を>主催者<とする>・・・反対集会<の>・・・参加者は最終的に、島の人口の6割近い1万5000人(主催者発表)に達した。・・・」

けれど、この中には、政府から流れるであろうカネ・・結局施設ができなくたって、説得するプロセスだけでもカネがかかる・・をつり上げるのが目的の人間も相当数含まれていると見なければならず、この種報道を鵜呑みにしない方がよろしいよ。

<唯我独尊>

 コラム#3955<で>・・・現在の鳩山首相はボロクソ?に叩かれていますが、2050年には日本の歴史上最も偉大な人物として評価されているとは考えられませんか?
 それには次のような展開があってからのことです。
 まず日米同盟は弱体化するが、経済的なダメージは想定内におさまる。
 アメリカの嫌がらせに敢然と立ち向かうことができるようになる。
 日本とアジア諸国との関係は不安定になるが一時的に過ぎず、強い関係が築かれる。
 イスラム圏諸国と親密になり交易が円滑化される。
 自衛隊は防衛軍になるが、アジア諸国は騒ぎながらも落ち着いていく。
 食料価格が高止まりながら、日本の農業が拡充され、食糧事情が大きく改善される。
 日本の軍事技術が高く評価されて関連技術の製品も併せて輸出が急伸する。
 ・・・というようなストーリーですけど、これは認知症患者の誇大妄想で、夢のまた夢ですか?

<太田>

 私は、もともと、鳩山首相が日米関係、就中日米安全保障関係に波風を立ててくれることを期待していたわけですから、彼が恐るべきダメ人間であったことは、むしろ望むところです。
 そういう意味で、彼を「人柱」と形容した次第です。

 ところで、今でもまだホントの人柱が行われてる世界があるんですね。↓

 ・・・Though human sacrifice has long been banned in India, some people, mostly the poor and illiterate, fall under the influence of "witch doctors" in the hope of reversing their fortunes.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/8624269.stm

 そうそう、鳩山首相、更に追い詰められてきてますねえ。↓

 「・・・鳩山内閣を「支持する」と答えたのは28.6%(前週比1.8ポイント減)となり、政権発足後初めて3割台を割り込んだ。昨年9月の発足当初は7割を超えた内閣支持率は急速に落下した。
 「支持しない」も62.4%(同0.2ポイント増)と高い水準が続いている。
 鳩山内閣の支持率は、今月に入り時事通信の調査で23.7%(前月比7.2%ポイント減)、日本テレビが28.6%(同7.6減)など、軒並み20%台に低迷している。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100419/plc1004190119006-n1.htm
 「・・・鳩山内閣の支持率は33%で、3月の前回調査から10ポイントの急落。不支持率は52%と初めて半数を超えた。鳩山由紀夫首相が明言している米軍普天間飛行場移設問題の「5月末決着」ができなかった場合は「退陣すべきだ」との回答も過半数の53%に達した。・・・
 ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を2000万円に引き上げる郵政改革案への反対が64%に上った。・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20100419k0000m010063000c.html

<KT>

≫・・・受動攻撃性<について>・・・心の中に攻撃性が潜んでいる。しかし、その攻撃性が暴力や罵声とならずに、非暴力的行動で表されることを受動攻撃性と呼ぶ。≪(コラム#3955。太田)

 こういうこと書きたくないですが・・・。
 「心の中の攻撃性」なんて人間として当たり前にもってるものなのではないでしょうか?
 トマス・ホッブスが人間の自然状態を闘争状態であると規定してます。自分はこれに納得してます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%96%E3%82%BA

 他人の「攻撃性」に何かを書くなら、太田さんの世代は「攻撃性」が一番表現されてたのではないでしょうか。(攻撃性にも肯定的・否定的な価値があるのではないでしょうか)

 全学共闘会議
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%AD%A6%E5%85%B1%E9%97%98%E4%BC%9A%E8%AD%B0
 東アジア反日武装戦線
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%8F%8D%E6%97%A5%E6%AD%A6%E8%A3%85%E6%88%A6%E7%B7%9A
 日本赤軍
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%B5%A4%E8%BB%8D
 日本赤軍って解散してたんですね。

<太田>

 あなたが「受動攻撃性人格障害」なるものは精神障害ではないと主張しているのだとすると、その理由を典拠をあげて説明する必要があります。
 また、「「攻撃性」が一番表現されてた」というのは、もう少し書いてくれないと、意味が必ずしもよく分かりません。
 「攻撃性にも肯定的・否定的な価値がある」についても同様です。

<KT>

>「受動攻撃性人格障害」なるものは精神障害ではないと主張しているのだとすると、その理由を典拠をあげて説明する必要があります

 「受動攻撃性人格障害」を精神障害ではないと主張してはいないです。
 ただ、「攻撃性」そのものは生まれた時から自然にもってるものがあり、それによって何を基準に精神障害か否かを判断するのは難しいのではないのか、と思いました。

>また、「「攻撃性」が一番表現されてた」というのは、もう少し書いてくれないと、意味が必ずしもよく分かりません。

 現在の日本で、一致団結して攻撃的な行動を行った全共闘世代が「攻撃性」がある世代といえるのではないでしょうか。(もっと上の方は戦争に参加された世代もいますが・・)

 その「攻撃性」を抑える社会の「反動」が全共闘世代以降に浸透し(全共闘世代も抑える側にまわり)、行き場の無いもって生まれた「攻撃性」はどうなるのか。それは全て精神障害なのだろうか。
 では、なぜ若者が中性化しているのか。

>「攻撃性にも肯定的・否定的な価値がある」についても同様です。

 これは典拠にせずとも日本だけの一般常識、戦争の放棄です。
 肯定側はトマス・ホッブズのwikiが典拠になります。

<太田>

 ホッブスは、そう仮定して(それを公理として)議論を始めたというだけであり、実証によって裏付けているわけではないので、典拠にはなりませんよ。
 なお、戦後日本人の対宗主国との関係で見られる受動攻撃性人格障害(Passive-Aggressive personality disorder)性と、その全般的な中性化ないし縄文モード化との関係については、今後考えてみたいと思います。

<KY>

≫さて、肝腎のポーランド機の事故についてですが、以下↓から判断すると、人的要因については、むしろ亡くなった大統領が最も怪しい、という感じになってきました。≪(コラム#3947。太田)

 最近までポーランドに住んでいた人間として感じる事です。

 ロシア語の数字が理解出来なかった云々という話ですが、先ず第一に、ポーランド語とロシア語の数詞は、それこそ馬鹿らしい程に似ている事は確かです。
 例外は「40」ですが、それにしたって東欧で生まれ育った人間ならば、ロシア語の「40(ソーラク)」が他のスラブ語のそれに比べて奇妙だという事は常識でしょうし、それを知らない程に一般教養が無い人間が政府専用機の操縦士になれるとしたら、それこそ大問題かと思います。
 私は某工大の学部生だった時にロシア語会話の授業を二年ほど履修しまして、それがポーランド生活で非常に役に立った実感がありますので、仮にもスラブ語を母国語とする人間がロシア語の数詞が理解できずに斯様な惨事を招くという事態が、いかにも最近のポーランド政府らしいというか、とにかくロシアは悪だから全部排除で、自国語とそっくりのロシア語が理解できないという知的好奇心の欠如を以って気持ち良く威張っていられるという状況を反映しています。

 さらにもう一点。
 今回の着陸場所であるスモレンスクの飛行場は軍用ですから、民間航空に関する諸条約は適用されませんので、管制官がロシア語しか解さなかったとしても不思議は無いかと思います。
 その場合、では事前の計画はどうだったのか?
 相手の航空基地の管制官がロシア語しか解らないのに、ロシア語が理解出来ない操縦士を乗せて出発するというのでは、やはり事前の飛行計画に遺漏があったと言われても仕方が無いでしょうし、だったら最初からミンスクか、同じスモレンスクの民間空港に降りれば良い話です。

 そういえば、似た様な事例でこんなものがありましたが:
http://aviation-safety.net/database/record.php?id=20080123-0
経験不足の搭乗員が悪天候で着陸を強行して自爆するという状況は今回と酷似しています。

 私が入り浸っていたカフェの警備員に、共産主義時代のポーランド陸軍でヘリコプターの操縦士をしていた人がいましたが、なにしろ英語は全く通じないので、酔っ払った時の世間話はロシア語でした。私の下手糞なロシア語に比べたら、彼のロシア語は大層立派なものでした。
 ロシア語が得意な世代の操縦士は既に国内外の民間航空に引き抜かれていて、共産政権崩壊以降に訓練された新米の搭乗員しか居なかったのでしょうか?。

 私の10年ほど前からの飲み仲間兼学友にポーランド人の女性生物学者がいますが、30ちょいと過ぎでもロシア語は得意です。
 ただし、ある世代以降は全くロシア語を解さないと言うのも事実です。
 なにしろ共産政権崩壊以来、ロシアという国は罵詈雑言の対象でしか無いようです。
 件の生物学者にしても、学校である日突然ロシア語の授業が無くなったとか。

 それから最後に、死んだ大統領夫妻をクラクフの城(Wawel)に埋葬するらしいですが、現地の私の友人連中は全員怒り狂っています。<(コラム#3951参照)>
 といっても、彼らも遠からず英仏独あたりに移住というか逃亡予定らしいんで、旧弊なカトリックの宗教右翼に辟易としている開明的な連中から順番に遁走するという、なんとも救い難い現実は相変わらず続いている様です。

 今回の事故について思う事は、如何にもポーランドの政治らしいというか、肝心
な所で必ず失敗するという、情け無さの具象化に見えます。

<太田>

 ご経験に基づくご投稿、ありがとうございました。
 なお、軍用飛行場ではあっても、カチンの森虐殺事件の慰霊のために臨時にオープンさせた以上は、非軍用機の使用も見込まれるわけであり、ロシア側として、英語を使った管制業務もできる管制官を配置すべきだったと思います。

<ファデラ・アマラ>

 <コラム#2681>「フランスとイスラム教徒移民」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/51256928.html#comments

 ファデラ・アマラのように全く、原理主義的でないイスラム教徒もたくさんいるんですよ。
 そして、ファイザ・M.とその夫は、特異なイスラム教徒です。彼女が信奉するサラフィズムは原理主義だと考えられています。・・・

<太田>

 「イスラム教は、本来的に原理主義的<だ>」とは言ったけど、「イスラム教徒はすべて原理主義的だ」なんて言ってないよ。
 そもそも、ファデラ・アマラ云々等の指摘に典拠つけなくっちゃ。

<Chase>

≫これ、次著に使わせてもらうよ。(Chaseさん、読んでます?)≪(コラム#3957。太田)

 いつもお呼びかけいただきありがとうございます。
 取り急ぎ<私の>ブログにメモしました。
http://blog.zaq.ne.jp/fifa/

<太田>

 どうもどうも。

 さて、宮里立士さんから、ご自分の論考「なぜ沖縄の「米軍基地」は無くならないのか?」が載った隔月刊雑誌の『表現者』(1May.2010)を送っていただいたので、私に言及されている箇所をご披露させていただきます。

<宮里>

 「・・・守屋武昌は、政府は自衛隊を実際に動かすことをまるで考えてこなかった、防衛庁内局幹部にも「有事法制など必要でない」という者がいたと語っています。・・・
 かれと同期の元防衛庁キャリアの太田述正氏もまた、かつて同庁キャリアの多数派は、日米安保体制下、自衛隊に実際任務を持たせないよう、自衛隊をただアメリカに対する言い訳、「見せ金」として置き、その「牙を抜く」ことを、もっぱら心がけていたと述べています(『防衛庁再生宣言』)。つまり、戦後(敗戦後)の日本では、政府や防衛の主任官庁ですら、「国防」を真面目に考えない、自国の防衛をアメリカの「保護下」でやり過ごそうという「魂胆」だったらしいのです。
 アメリカが敗戦のドサクサにつくった軍事基地の返還もそうそう言い出せないのもむべなるかなです。・・・」

<太田>

 守屋が言う、防衛庁内局幹部とは故西廣整輝(最後は事務次官)さんのことですが、それは、自衛隊の規制はネガリストで行うべきであり、有事法制が現状のままではポジリスト的につくられるであろうことから、そんな有事に自衛隊の手足を縛るようなもの、つくらない方が良いという主張です。
 ちなみに、私自身も有事法制の整備には消極的です。
 ただし、それは、上記主張に同感する部分があることもさることながら、ここで言う「有事」は日本有事・・ほとんどありえない・・であり、有事法制にかかずりあうことは、より重要な、それ以外の有事から国民の眼を逸らせることになりかねないからです。

 それでは、その他の記事の紹介です。

 韓国の自殺率の急上昇は、過剰日本化のあらわれ?↓

 ・・・The suicide rate in this prosperous nation<=South Korea> of about 50 million people has doubled in the past decade and is now the highest in the industrialized world. ・・・
 Twenty-six people per 100,000 committed suicide in 2008 (the most recent year for which data are available). That's 2 1/2 times the rate in the United States and significantly higher than in nearby Japan, where suicide is deeply embedded in the culture.
 Before South Korea got rich, wired and worried, its suicide rate was among the lowest in the industrialized world.・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/04/17/AR2010041702781_pf.html

 米国人の政府不信は今に始まったことじゃないけど、現在、これまでにないほど高まっている。↓

 Only 22% of all Americans surveyed say they trust the government in Washington almost always or most of the time ? among the lowest measures in half a century ・・・
http://latimesblogs.latimes.com/dcnow/2010/04/most-americans-distrust-government-poll-says.html
 ・・・Just 25% have a favorable opinion of Congress while 65% have an unfavorable view?the lowest favorable ratings for Congress in more than two decades ・・・
  Favorable ratings for the Democratic Party have fallen by 21 points?to 38% from 59%?over the past year・・・
 The Republican Party's ratings, which increased to 46% in February from 40% last August, have fallen back to 37%. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303491304575187941408991442.html 
--------------------------------------------------------------

太田述正コラム#3958(2010.4.19)
<ロバート・クレイギーとその戦い(続)(その2)>

→非公開

太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/