太田述正コラム#3885(2010.3.14)
<皆さんとディスカッション(続x772)>

<Chase>

≫Chaseさんの手で、戦前の日本の自由民主主義関連の私のあちこちでの記述を一纏めにしていただけるでしょうから、それを次著の一つの章へと作り上げる過程で、記述を見直したいと思います。Chaseさんからもご意見をお聞きしたいですねえ。≪(コラム#3883。太田)

 作業が遅れており、毎度ながら恐縮しております。
 それで、次著のどこに、戦前・戦中日本民主主義論を入れ込むかについては、先般からの課題の一つでありますが、悩むところですが、6.日本の緊急避難的対応の始めのあたりの項かなと思います。

 記述の見直しの件ですが、それとは別に、「防衛庁再生宣言」146-147頁転載における脚注の強化もあると思います。(「防衛庁再生宣言」140-149頁は、今、てくてく打ち込みしています)

 ポイントとして、民主主義の要諦は議会における自由討議ということであるなら、軍部の圧力の最中の、斎藤隆夫、尾崎行雄、浜田国松の三氏の演説は、特筆すべき民主主義の証拠として挙げられると思います。
 「防衛庁再生宣言」146-147頁に斎藤隆夫の聖戦批判と顛末の記述がありますので、脚注として、尾崎行雄、浜田国松の演説も列挙できると思います。(演説テキストも確認しなければなりませんが)

<データ>
・斎藤隆夫 1936年5月7日の粛軍演説
  1940年2月2日第75議会再開2日目の民政党の代表質問【反軍演説】
・尾崎行雄 1937(昭和12)年の第70帝国議会 軍部批判演説
・浜田国松 1937(昭和12)年1月の帝国議会衆議院本会議「腹切問答」

(参考URL)
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/hamada.htm
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/ozakiyukio.htm
 ・・・

<太田>

 そうなると、戦時中の議事録なども収録したくなってきます。
 なお、既に入っていたかもしれませんが、昭和天皇や今上天皇の歴史観も次著に盛り込みたいところです。

 ところで、吉田ドクトリンの話、『防衛庁再生宣言』でも『属国の防衛革命』でも相当書いているので、次著でどれくらいどんなことを書くのか、悩ましいところですが、これ↓なんか使えそうですね。
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100314/acd1003140745003-n1.htm

 お願いばかりでスミマセン。

<Chase>

 余談ですが、植田信氏も、最近、本件への言及をなさっておられました。

<植田信>(2010.3.11)http://8706.teacup.com/uedam/bbs/8139

 ・・・福岡国際問題研究所さんの最新の話題が面白いです。
 太田述正氏の「戦前の日本は民主主義国家だった」という説を紹介しています。

 http://blog.zaq.ne.jp/fifa/1

 「「戦前の日本は、民主主義国家であった」(太田テーゼ#7?)という理解は、いわゆる太田ドクトリン「日本独立論」の骨格をなすテーゼであるため、極めて重要なポイントである。」


 私も太田氏の『防衛庁再生宣言』や、太田氏のサイトでその説を以前から拝見しています。
 私の意見としては、特に反対論はありません。
 むしろ、戦前の日本を指して「軍国主義だった」という論調がほとんどの中で、太田氏の主張は新鮮です。

 確かに、形を見れば、デモクラシーが機能していました。
 戦前の国会論戦は戦後よりも活発だった、と小室直樹氏も述べています。 その実例が、福岡サイト氏の写真に掲載されています。斎藤隆夫の戦争批判演説です。
 そもそも明治政府が1890年に帝国議会の開設をしたのですから、日本は議院内閣制の政体を取っていたことは疑いありません。

 ただ私の疑問点は、その時代の有権者は臣民だった、ということです。天皇の臣民です。
 主権者は天皇です。明治憲法には「天皇は主権者である」と明記されていませんが、伊藤博文が解説した「憲法解説義」にはしっかりと主権者と説明されています。
 そうすると、主権者ではない臣民たちが構成するデモクラシーとは何か、という疑問が生じます。
 私はこのことが、結果として軍国主義を招来したのだと思います。

 戦前の日本の民主主義を正確に言うならば、「臣民・民主主義」と言いましょうか。
 それに対して戦後は、「主権者・民主主義」です。
 ここは、近代と、それとは別の性質を分ける決定的なポイントです。・・・

 新しい視点を導入すると、見慣れたことが、何か、新鮮に見えてくるではありませんか。

<太田>

 いつも、私の見解にご理解を示していただき、恐縮です。

 一点。
 帝国憲法にも日本国憲法にも規範性がないという私の主張はとりあえず横に置いておきますが、臣民だから(=君主制だから)民主主義たりえないなどということは絶対にありません。
 このことだけは、ご理解いただきたいと思います。
 私は、英国の主要紙を毎日読んでいますが、(英国にはそもそも憲法がありませんが、)British subjects(英国臣民)という言葉が記事の中にしばしば出てきます。
 彼等は、自分達を女王(国王)陛下の臣民であると認識しているわけです。
 いちいちあたっていませんが、このことは、エリザベス女王を元首としていただくカナダ、オーストラリア、ニュージーランド等においても同じはずです。
 よもや、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等が民主主義ではない、と思ってはおられないでしょ。
 
<植田信>(2010.3.13)http://8706.teacup.com/uedam/bbs/8147

 戦後の日本がアメリカに従属する形になっていることは、今では日本語言論のなかでしばしば指摘されるようになりました。たとえば、太田述正、副島隆彦、酒井直樹、等々。・・・
 で、・・・どうすれば、私たちは対米従属から脱したと見なせるか?

 この疑問の答えとしては、たとえば、
 <一> 米軍基地が日本から撤退すること。
 <二> 日米安保を双務契約にすること。つまり、アメリカが日本を守るだけではなく、日本にもアメリカの防衛を義務づけること。
 <三> 日本の自衛隊に集団安全保障での活動の合法性を法制化すること。

 以上のような具合に、まずもって軍事上の日米安保体制の見直しがあります。・・・

 鳩山首相は、昨年の政権発足の際に〈日米対等〉を口にしました。・・・
 さて、そうすると、いかにして実行するか。
 あ、いや、その前に、以上の〈脱・対米依存〉は、戦後の日本はアメリカに従属している、という時代状況にあるということは広く周知されていることを前提にしてのことですが、これは前提にしてもいいですね?
 それとも、まだ太田氏や副島氏などの言論が充分普及していないでしょうか?

 いや、鳩山首相が率先して「日米対等」と口にしたわけですから、ここは問題ないでしょう。・・・

<太田>

 <一>〜<三>という番号を便宜上私がつけさせていただきました。
 まず、<一>は、あえて言えば、些末なことです。
 英国を始めとして、米軍基地のホスト国は世界中に無数にありますが、これらの国がことごとく米国に従属している、などとは到底言えないからです。
 <二>については、そういう主張を私がしている場合もありますが、要は、集団的自衛権を日本も行使できるようにするということであり、そうすれば、<三>は自動的に解消しますし、<二>は、論理必然的に次のステップとして出てくる、ということでしょうね。

 いずれにせよ、遺憾ながら、日本が米国の属国であるという認識はまだ一般的なものにはなっていないと思います。

<植田信>(2010.3.13)http://8706.teacup.com/uedam/bbs/8153

 ・・・<民主党の>藤末議員。通産省官僚出身。マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学で修士号。元東大教授。
 尾立議員。慶大卒。公認会計士。アーサー・アンダーセン勤務(アメリカ大手の会計会社で、アメリカ・エネルギー大企業のエンロンの粉飾決算で倒産しました)。
 大久保議員。京大卒。東京銀行、モルガン・スタンレー。
 円より子議員。津田塾大卒。ジャパン・タイムズ勤務。・・・
 これらを見れば、国内の学歴は別として、皆さん、それぞれアメリカを体験しています。・・・
 <また、>現代の日本社会は、企業が輸出志向であり、海外市場なしには成り立たなくなっています。海外市場と言えば、現代世界を支配しているのはアングロ・アメリカンです。特に戦後の日本人にとっては、世界とはアメリカのことです。
 アメリカなくして、戦後の日本は成り立たず、というのは、何も日米安保だけのことではなく、それ以上に、毎日の経済生活がそうなっています。
 アメリカは国会議員になるための標準装備にすらなっている、とも言えます。

 ・・・アメリカ化もよいではないか・・・<という>ふうにもなりそうです。
 しかしそうすると、ここに立ちはだかるのが、太田述正氏の存在です。
 この人のキャリアをもってすれば、大学教授にも、国会議員にもなれるのに、なぜインターネットで「日本よ、アメリカから自立せよ」とがんばっているのか。
 アメリカ化して幸せいっぱいの気分の人は、どこかで勘違いしているのか。
 勘違いしたままでも、幸せならいいではないのか・・・
 とにかく、以上、まとまりがつきませんが、国会議員のキャリアがいかにアメリカ化しているか、という話題でした。・・・

<太田>

 日本にガバナンスがない、それをつきつめて言えば、日本人は米国の奴隷である、という状況をよしとするかどうかです。
 よしとしている限り、米国との合邦など、そんな気味が悪い集団と一緒になんてなりたくないと先方からお断りを食うでしょうし、「独立」などという発想が出てくるはずもまたありますまい。

<植田信>(2010.3.13)http://8706.teacup.com/uedam/bbs/8154

 ・・・何が日本をして対米従属の道を選び続けさせているのか。
 といえば、ここも、要は日本人自身である、ということになります。
 この点で、太田述正氏の主張と私は同じになります。
 アメリカではなく、日本人自身がそうしているのだ、と。吉田ドクトリンであり、吉田茂体制です。安全保障はアメリカに丸投げして、日本は経済に専念せよ、と。
 だとしたら、対米従属問題とは、本当は、日本問題です。特に冷戦後は。・・・

<太田>

 ここは、おっしゃるとおりです。

<コバ>

 ・・・太田さんはネットの追っかけなど以外に何かの監視下にある、と感じた(ている)ことはありますか? 
 防衛省からなどは…全く何もなかったんでしたっけ。
 愚者の楽園ニッポンorz

<太田>

 落選から一ヶ月弱経った頃、天下りをさせていただけるというありがたーいお申し出が防衛庁からありました。
 それはもう丁重にお断りしましたがね。
 それ以来、現在まで、ホント見事に「全く何もなかった」ですねえ。

<βΟΟβ>(「たった一人の反乱」より)

 太田さんが「物欲・金銭欲が欠如している人物」なんてこと、周知の事実だと思っていたが。
 (典拠:一文の得にもならないコラムやディスカッションを、毎日やっている)

 「革命」がマジだってことも、これまた周知の事実だと思っていたが。
 (典拠:一文の得にもならないコラムやディスカッションを、大真面目に毎日やっている)

<οοΒΒ>(同上)

 決意はマジかもしれんけど、平均的な日本人は英文の記事なんてちゃんとは読めないしコラムの内容も難しすぎることが多い。
 自分に近いレベルの理解力を持つ人間しか初めから相手にしてないって感じ。
 少なくとも平均的日本人に向けて文章を書いてるとは思えない。

<太田>

 私は、平均的日本人を「念頭に置いて」コラムを書いてるんであって、「対象に」書いてるわけじゃないよ。
 コラムの内容がむつかしいったって、典拠にしてるものが、学術論文でも何でもない、せいぜいのところ、英米のクォリティー紙程度なんだから、これらの新聞を読んでる英米人程度の日本人を「対象に」書いてるってことになるな。
 たかが知れてるぜ。
 私のコラムのこれに相当する程度の読者が、意識的・無意識的に私の言ってることを平均的日本人に広めてくれることを期待してんのさ。
 英文の記事の抜粋については、私が読んで面白いと思いつつも、コラムには使わないことにした材料をただ捨てちゃうの「もったいない」と思う、貧しい時代の日本の記憶が片隅にある世代に私が属してるもんだから「ディスカッション」にのっけてるの。
 目障りなら、無視するか、日本語の紹介文だけ読むかしてね。

<οΒοΒ>(同上)

 「革命」という言葉は、団塊の世代にはいい響きなんだろうがその下の世代だと大してカッコいい言葉じゃないだろう。

 明治維新は日本人自身による革命なんだが、それを率いた薩長土肥は「勝ち組」となった。
 何らかの「利益」がないと「ロマン」だけじゃ人はついて来ないよな。

<太田>

 と、奴隷制の廃絶を夢見る先覚的な奴隷の同僚に対し、白人のご主人サマに無意識的にゴマ擦る、キミのような買弁的奴隷が訳知り顔でささやくわけだ。

<οΒΒο>(同上)

 「利益」には、頭の良い専門家の「わかりやすい解説」による政治・経済等の理解も含まれる。
http://www.youtube.com/watch?v=d3VY3zDD7Us&feature=related

<太田>

 ボク、キミ達が奴隷であることを淡々と繰り返し説明してきてるつもりだけど、「わかりにくい」とか何とか言っちゃってさ。
 聞こえないふりしてるだけだって白状しなよ。
 そうすりゃラクになれるぜ。

<Ueyama>

≫<私が>物欲・金銭欲が欠如している人物であることも、分かってくれる人がほとんどいないんだな。 ホント困ったモンです。≪(コラム#3883。太田)

 そうかなぁ、ほんとにそうだったら、餓死せず、インターネットにアクセスできる、なんて環境は月に10万もあればつくれるでしょう。その程度の金、集まりませんか?
 そのくらいだったらueyamaひとりでも出せなくはないんですけどね(出さないけど)。
 だいたい、太田さんのような人間は太田さんが思ってるよりたくさんいますよ。太田さんが一人で(周りが違いすぎて)理解されない、と思っているだけです。

<太田>

 あなたなんかの若い世代が相対的に無欲だってのは承知してるが、問題は、彼等が、大欲があるから無欲に見えるんじゃなくて、大欲抜きの単なる無欲であることだ。

 さて、あなたの抱えている本当の問題がはっきりしてきたな。
 それは、言葉が軽いってことだ。
 自分がそうだから私の言葉だって軽いはずだ、と私の言葉を聞き流してきた結果、私を誤解してしまっていたってわけさ。

<Ueyama>

≫「負の所得税にせよ、ベーシックインカムにせよ、その財源は(自発的再配分だけじゃ全然足らないので)基本的に税収に求めざるをえないことから、租税論を展開しなければならないというのに、(自発的再配分を主張しているためか、)あなたがそれを行わないばかりか・・・≪(同上)

 誤読もここに極まれりといった感じがしますが、ベーシックインカムにはじめに言及した際に、「体制が徴収する以外にない」といっていると思うんですがね。ベーシックインカムと自発的再配分は別物です。誰が読んでもそうだと思うんですが、日本語力が弱いのかなあ、ueyamaは。
 それに、消費税一本化って「ようやく後出しで消費税への一本化論・・またまた特異な主張」というほど得意な主張ですかね。ミルトン・フリードマンあたりも主張していると思うんですけど。・・・

<太田>

 あなたの国語力の問題ではなく、先ほど触れた、あなたの言葉の軽さの問題。
 これをより重たーく言うと、あなたが多重人格的にふるまってることが問題なのよ。
 つまり、これまでの「ディスカッション」で登場したあなたの発言を振り返れば分かるけど、あなたはアナキストで投票にだって一度も行ったことないって言ってたよね。
 「自発的配分」だってその流れの中で出てきたハナシだろ。
 そんな人間が、そのちょっと前に、日本の裁判の問題点を指摘し、改善すべき方向を口にしていたから怪訝な思いでいたら、今度は、国家による所得配分や課税のあるべき姿について自分は論じてるつもりです、と言い出したんだから、アゴはずれちゃった。
 これじゃ言葉が軽すぎる、多重人格的です、ということになるワケ。
 (こういった話も前にあなたに「ディスカッション」でしたような気がしてきたけど・・。)
つまり、私は、いや、少なくとも私の世代の人間は、(別のコラムでも書いたように、人間は本質的に多重人格的ではあるんだけど、)自分達同様、他人も一貫性ある人格保有者としてふるまう努力をするものという先入観があるから、あなたの多重人格的な脈絡のないハナシを、一貫性のあるハナシらしくつなぎ合わせて「理解」しようとする。
 そこにあなたとの間の意思疎通に齟齬が生じるってこと。

<やたら注文の多い読者(他称)>

 <映画評論の対象として、>『The Shawshank Redemption』(ショーシャンクの空に)
という映画<を>・・・お薦めする。
 この映画、アメリカの監獄の映画なのに<モーツアルトの>フィガロ<結婚>の「手紙のアリア」が出てくる・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=GAJ2skOJvdY&feature=related
 歌っているあの声↑はグンドゥーラ・ヤノヴィツだと思うのだがスザンナを歌っているのが誰だか判らない、…でもとても良い。

<太田>

 残念ながら、この映画、TVで2回も見てる。(1回目は部分的にしかみてないけど。)
 勧善懲悪物語としては出色の出来じゃないかな。
 このくだりも鮮明に覚えている。
 ただ、米国論には必ずしもつながらない内容だったと思う。
 評論の対象として、改めて鑑賞するとまた違った感想が生まれるかもしれないが、今回はパスさせてもらいます。
 
 それでは、他の記事の紹介です。

 ブンガワン・ソロ
http://www.youtube.com/watch?v=csZW5RdoGV4
の知られざる作者の話が出てる。↓
http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY201003110269.html

 史上最低の親の七光り外相が同じく史上最低の親の七光り首相をこきおろす、悲しからずや属国の民。↓
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100313/plc1003131705004-n1.htm

 だから、恩給復活しかないのよ。↓
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100314ATFS1301413032010.html

 よー分かってんじゃん。タイム誌よ。↓

 ・・・there is more than just fish politics and food culture at stake for Japan when it comes to whaling. Even though few Japanese ever sit down to a plate of whale sashimi, they still resist viscerally the idea that the international community could force Japan to stop whaling. A country that arguably never returned to full sovereignty after World War II ? its constitution greatly limits its military, and U.S. armed forces are still based throughout Japan ? can get tired of the world telling it what to do. ・・・
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,1971807,00.html
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太田述正コラム#3886(2010.3.14)
<現在進行中のドローン軍事革命(その2)>

→非公開