太田述正コラム#3879(2010.3.11)
<皆さんとディスカッション(続x769)>

<TT>

≫これについては、オフ会(講演会)幹事団のBERNIEさんやTTさんらの「反論」
を聞きたいものですね。≪(コラム#3877。太田)

 12月のオフ会で、太田コラムがらみで読者の投稿を活性化するために、その結果少しでも読者数を増やすためにはどうすれば良いか、すぐにできそうな事で考えたのが「リクエスト映画評論」です。
 ueyamaさんの 、

≫映画は(太田コラム読者、あるいは太田さん自身が納得できるような)ストーリー評論に値するのか≪(コラム#3877。Ueyama)

との疑問について。
 太田さんの評論はいわゆる映画評論家的な評論とは趣きが異なります。
 というのは、やや理屈っぽくなりますが、コラムにはアラブ世界の話や中世のキリスト教の話等、主に時事問題に関心のある読者にとっては重いといいますか直接的に興味を抱きにくいものも含まれているであろうことから、時事問題並みに取っつき易い切り口の「太田コラム」の割合を増やそうとしたわけです。
 ですから、「ストーリーを重視する傾向がある」映画であれ「映像美」的な映画であれ、映画そのものは太田コラムの契機として役割を担わせていると言えるでしょう。
 いくら映画評論的な体裁でも、やはり太田テーゼの主張の一環だということです。
 映画評論的「太田コラム」に「映画評論」と銘打ったとすればまぎらわしいかもしれません。
 さらに、その映画に興味がない読者にとっては「コンテンツとしては弱い」のは仕方ないとして、もともと取っつき易かった読者にとってはわかりません。
 が、例えば寺山修司を知るのに小説家・写真家・俳人・俳優・作詞家・映画監督・ギャンブラー・・・としてのいろんな出逢い方があるように、間口が広いことは良いことです。
 過去のディスカッションにも、表芸裏芸以外の話題で太田コラムに出逢った人もいるはずです。
 映画鑑賞のように息抜きとしての意味も含めながら、太田さんの志向を軸に他にももっとやってはどうかと思っています。

<BERNIE>

 TTさんが、これ以上無いほど企画については説明して下さったので、私から付け加えることは何もありませんが、皆さんにお願いしたいのは、「一人題名のない音楽会」でお気に入りの一曲を太田さんに紹介するような感じで、もっと気楽にオススメの映画を投稿して頂きたいということです。
 『ナイトミュージアム2』(コラム#3473、3475)や『2012』(コラム#3740、3742、3744、3746)など、一見評論の対象としてなじまないと思われる作品でも、実は評論すべき要素を含んでいたりするからです。
 仮に評論すべき点があまり無かったとしても、作品として楽しめたなら、太田さんも時間を無駄にしたとは感じないのではないでしょうか。
 それで2、3本観たうちの1本コラムになればそれで良いと思います。

 そんなわけで、まだまだ作品募集中なので、ご応募お待ちしています。
http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=24405

 オフ会(講演会)幹事グループとIT支援グループの連携、いいと思います。
 ホームページも近々改装されるとのことで、楽しみです。

<Ueyama>

≫うーん。Ueyamaさんは、反人間主義に立っておられるわけですか。 そうだとすると、それは、最新の科学の動向に逆らってるってことですがねえ。≪(コラム#3877。太田)

 うーん、これは全く本意ではないです。どの部分からこう読み取ったのかすら理解できません。
 市場原理主義を肯定しているからかな? 
 ueyamaはむしろ人間主義であるからこそ市場原理主義・市場万能主義が機能しうるだろうと考えています。
 市場原理主義で問題になっているのは富の再配分問題だと思うんですけど、それを体制側じゃなく個人が内発的に行えばいいと思うのです(もちろん一対一の個人間である必要はありません)。
 といっても、(これを(太田さんが市場原理主義を個人主義が先鋭化したもの(個人主義的市場原理主義)だ、と定義づけるのであれば)人間主義的市場原理主義と呼ぶとして)たぶん、体制側が多少なりともそれ(富の再配分)にたいする対応を行っている限り、昔「クレクレタコラ」って怪獣がいましたけど、そんな連中が増えるばっかりで個人的な富の再配分はうまく機能しないだろうとも思います。
 個人的に再配分をしても、さらに体制によって「再配分用」の金が徴収されてしまうわけで、ほとんどの人は個人的に再配分を行おうなんて考えないでしょうから。これは体制が徴収する金額の多寡の問題ではないように思います。
 
 そういう前提を考えると、幾分夢想的だなぁという感を持ちますけれど、反人間主義といわれると違和感を覚えます。

<太田>

 トヨタの社内における、及び取引相手との関係における、中間組織(柔らかい組織)原理そのものが、人間主義に立脚しているというのが私の指摘だけど、あなたのような市場原理主義(=固い組織原理主義)の考えをつきつめると、トヨタ的なものを一切日本から一掃すべきだ、ということになりかねませんよ。
 いや、まさにそうすべきだ、と思っているのかもしらんけどね。
 なお、富の再配分を個人に内発的にやってもらう、という「幾分夢想的」な考え、恐らく何らかの典拠があるんだろうと思うけど、典拠明らかにしなくっちゃ。

<Ueyama >

 そうそう、富の再配分、どうせならベーシックインカムにしようよってんならあまり文句はないですし、それをするには体制が徴収する以外に道はないだろうな、とも思います。現在の制度や負の所得税じゃなくベーシックインカムなら計算も楽だし無駄なコストも劇的に少なくなるでしょうから。

<太田>

 ベーシックインカムなるものと生活保護とどこが違うんですかね。
 行政コストの低減やただ乗り/モラルハザード回避等の理由から、私が負の所得税一本化論者であることはご存じだと思います。
 いずれにせよ、ベーシックインカムなる考え方についても典拠を明らかにして欲しかったな。

<Ueyama>

 「正義について」への反論があるって部分であれば、上述と似たようなことも感じましたけど、いろいろあるのでまた今度。

<太田>

 典拠付でよろしく。

<ΟΟββ>(「たった一人の反乱」より)

 ・・・ジブリで一番のお勧めって何?

<ΒΟΟΒ>(同上)

 ジブリは子供向け作品が多いからなあ。太田氏に一番お勧めのディズニー作品はどれ?っていうようなものだよ。
 やっぱ風の谷のナウシカのマンガ版かな。庵野監督も「パンツを脱いだ宮崎駿」と絶賛してたし。

<ΟβΟβ>(同上)

 ジブリで一番のお勧めは太田氏へのお勧めという意味も含めて「火垂るの墓」だよ。
 精神破壊力抜群の作品だから是非、太田氏も一度、見ることをお勧めする。

<ΟββΟ>(同上)

 ううーむ。
 映画で取り上げてる時代背景とかの設定は確かに太田さん向きかもしれんけど、主人公の清太の行動がもどかし過ぎるというか甘ったれというか…。 

<βΟβΟ>(同上)

 それをいったらエヴァンゲリオンだってそうじゃん。

<ββΟΟ>(同上)

 <ΟβΟβサン、>ジブリのお勧めありがとう。
 ジブリは子供が大好きなので、(一緒に)最近になって 風の谷のナウシカとか他の作品を観るようになったけど、みんな素晴らしいよね〜 日本人の原風景と琴線にふれるというか、納豆飯食って日本人に生まれて善かった〜?とつくづく感謝するような、まあ あれだ、つまり それなんだよな。
 「火垂るの墓」もジブリ作品だったんだ・・・とても辛い作品だよね。 
 アニメ版も実写版も、何度観ても感動する大好きな作品だよ。
 これ、酔っ払いラガーマン・野坂昭如が原作だよな・・・マリリンモンローノーリターンと唄っていたころから好きなおっさんだったが、たしか脳梗塞で倒れて・・どうなったのかな? 
 で、火垂るの墓 といえばだ、死んでいる幼子を背負った少年の写真、
http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/00/Sengo.sugu.html
これも辛いよな・・・。

<太田>

 『火垂るの墓』くらい見とるぞ。(TVでだけど。)

 こう言っちゃ悪いが、バッカじゃないの。2ちゃんの諸君↑も戦災被害者の皆さん↓も。みんなみんなマゾか?
 センチメンタリズムに耽ってるヒマあったら、紛れもなく国際法違反の都市戦略爆撃を執拗に繰り返して日本の一般市民を何十万人も虐殺した米国に対して抗議の声をあげろっての。↓

 「いま日本では、空襲被災者が日本の国家に戦後補償を求める三つの裁判が進行している。東京大空襲訴訟と大阪空襲訴訟、そして重慶大爆撃訴訟である。・・・
 東京大空襲訴訟と重慶大爆撃訴訟の原告同士の交流も生まれている・・・」
http://book.asahi.com/review/TKY200903240122.html

<ヒロシ>

 <コラム#2053>「反米に転じた台湾」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/51026400.html#comments

 ここは良く分かりませんねえ。
 軍事専門家のあなたの発言にしては首をかしげます。
 簡単な話ですよ。
 パワーゲームというか、国際社会の力関係に置いてアメリカは中国の力を無視できなくなっただけの話です。
 つまり理念よりも現実優先ってことでしょうね。

<太田>

 今度は粗忽者の良い例として、もう一度キミに登場してもらったぜ。

 東京地裁は行きすぎ(コラム#3877)だけど、太田コラム全体の文脈の中で個々のコラムをとらえなきゃダメさ。
 ブッシュ米政権の対中軟化・台湾「切り捨て」は対テロ戦争遂行や対北朝鮮等で中共の協力を得たいがためだった。
 また、戦前の米国の中国国民党支援・日本敵視は、キリスト教原理主義的えこ贔屓と人種主義的帝国主義的日本蔑視によるものだった。
 共通して二の次にされているのが、米日、あるいは米台の共通利益・・専制的勢力の抑止と自由民主主義の擁護・・だってのが私がコラム#2053の結論部分で言いたかったことだ。
 金融危機を契機に、中共の経済的存在感が一層増大している・・軍事的存在感じゃないぞ・・が、それにもかかわらず、オバマ米政権は、正しくも、中共と「対決」する政策へと舵を切った。
 この点でも私はオバマを評価したいね。

 記事の紹介です。

 開港したばかりの茨城空港についての日本の主要メディアの報道ぶりがいかにゆがんでいるか、思い知らされる記事だね。↓

 ・・・Budget carriers have sprung up across the region, but Japan’s airline industry, dominated by giants Japan Airlines and All Nippon Airlines ? and plagued by expensive and inefficient airports ? has been largely left behind.
 Experts say the greater Tokyo area, especially, could use another airport to handle flights by low-cost carriers, much like the Stansted or Luton airports outside London. The capital and its environs, the largest metropolitan sprawl in the world with a population of 40 million, are served by two airports, Narita ? which handles most of the international traffic ? and Haneda.
 But capacity is notoriously tight, and that is expected to continue even after expansions at both airports in the next year. Strict regulations have stifled the flexible allocation of flights. Moreover, high landing and other costs put Narita and Haneda beyond the reach of low-cost carriers. ・・・
 ・・・<茨城空港は>got rid of boarding bridges・・・
  <また、同空港では、>Passengers instead will board from the tarmac. ・・・
 ・・・<更に、同空港では、>passengers・・・carry their own check-in luggage to the plane<まで計画中である。>・・・
 Planes landing at Ibaraki will taxi and park in a way that does not require the help of a tractor to push them back onto the runway before taking off・・・
 Its finances are not as dire as many of Japan’s other airports, in part because it was built as an extension of a military air base. ・・・
 Ibaraki offers unlimited free parking,・・・
 Accounting for the time it takes for the plane to taxi on Narita’s runway and the passenger to make his way through that sprawling airport, the total journey to central Tokyo from Ibaraki is about the same ? less than 90 minutes・・・
http://www.nytimes.com/2010/03/11/business/global/11airport.html?ref=world&pagewanted=print

 何だかんだ言っても、日本の司法と中共の司法じゃ、比べようもないほど、後者が遅れとるわな。↓

 ・・・Article 306 of the P.R.C. criminal code, which makes it an offense for a person to assist or encourage another to give false testimony, goes beyond standard perjury laws and has been used to hobble defense lawyers. If, as in the vast majority of criminal trials in China, the accused is found guilty, then the defense lawyer could be liable for evidence submitted on the client's behalf. ・・・
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1969642,00.html

 高齢者の性についての新研究結果は超大ニュースであり、以下のタイム誌もURLだけ載っけておいたワシントンポストもBBCもでかでかととりあげているのに、日本の主要メディア(電子版)が無視してるのは、偽善か怠慢か。↓

 ・・・67% of men ages 65 to 74 said they had been sexually active in the past year, compared with just 40% of women in that age group. ・・・
 ・・・more than one-third of men ages 75 to 85 said they had sex in the past 12 months, compared with just 17% of women in that age group.・・・
 Sexually active people tend to be healthier, and healthier people tend to be sexually active. ・・・
 ・・・women live about five years longer than men, so when you do the math, all this means that women go approximately twice as long without sex as men before they die.・・・
 Married women ages 57 to 64 who haven't been divorced or widowed report having about as much sex as married men in the same age group. But while 77% of partnered men in that age group say they are interested in sex, only 36% of partnered women report the same interest. These figures suggest that a lot of older women may be having sex when they don't really want to. ・・・
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,1970975,00.html  

http://voices.washingtonpost.com/checkup/2010/03/maintaining_a_sex_life_embargo.html?hpid=topnews
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8558053.stm
 
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<FUKO>

 ご無沙汰してすみません。
 実は私は受験生で、思った以上に受験勉強にリソースを割く羽目になり、コラム翻訳の時間が取れませんでした。
 私事で恐縮ですが、晴れて合格(<某国立>大学文学部)できました。
 が、入学のための準備でこれからも忙しい日々が続きそうです。
 翻訳のペースがまた遅れることをお許し下さい。

<太田>

 おめでとうございます。
 あなたがまだ高一の時(?)、2007.12.16に「ディスカッション」で登場されてからのおつきあいですが、大学受験の真っ最中に私のコラムに貢献されていたとはすごいや。
 引き続き、無理のない範囲でよろしく。

<FUKO:翻訳(太田補訳)>

 では翻訳です。

♯3857より
 トヨタ車を引き合いに出して、高度な製品は、リスクを内包している、と指摘した上で、下掲の統計を持ち出す。
 これは出来の良い論説です。↓

・・・我々人間が人間の命の値段を冷たく計算しないなどと考えてはいけない。
 1974年には、石油を保護するため、速度制限は時速55マイル〈およそ時速88km〉に下げられた。これは交通事故に劇的な影響をもたらした。毎年およそ3000人の命<が救われることになった。>
 石油危機のあと、このことは速度制限を再び時速65マイル以上に引き上げることを止めなかった。
 結果として数千ものの米国人が死ぬことを分かっていながら、である。・・・

♯3869より
 古典ギリシャ人のなれの果てのこの恥知らずども。
 いくらなんでも、イギリス人のなれの果ては、こうはならないだろうて。↓

・・・そのシステムは「fakelaki」として知られている。
 この言葉は「小さな封筒」を意味し、官公庁業務を「はかどらせる」ためにギリシャの市民に決まって必要とされるワイロをほのめかしている。
 もちろん実際に、「fakelaki」がないということはしばしば公的業務を受けられないということを意味する。
 封筒に詰められたカネが、役職や証書や認可を確実なものとするために机におかれる。
 これは、ギリシャ人の毎日の生活に堅く定着した、ふざけた崩壊の形態なのである・・・
 最近の調査で、回答者のギリシャ人の13.5%が「fakelaki」を払ったことを認めた。
 平均で、1年間に彼らは1970ドルを払ったと述べた。
 しかしながら実際には、人数と金額はもっともっと多いだろう。・・・
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太田述正コラム#3880(2010.3.11)
<中共の今>

→非公開