太田述正コラム#3807(2010.2.3)
<皆さんとディスカッション(続x733)>

<μμΒΒ>(「たった一人の反乱」より)

≫日本の民間企業のノーズロぶりはホントに心配だ。 何せ、智慧付けてくれる諜報機関が存在しない上に、いざとなったら守ってくれる外交・防衛機関も日本はなきに等しいんだからね。≪(コラム#3875。太田)

 まったく同感。
 つまりこれって日本国内においても日本人は、宣伝戦とか間接侵略で外国にいいようにやられちゃう心配をしなきゃいけないって事にもつながりませんか?

<太田>

 今んところは、米国の属国だから、心配ないけどね。

<μΒμΒ>(同上)

 面白い記事を見つけた。
http://newsweekjapan.jp/stories/world/2010/02/post-967.php?page=1

 アメリカ人が既に自国の軍事力に限界を感じてる。他国を死守する余裕がないとまで言ってる。
 世界の警察を自負していたアメリカが、だ。
 これは台湾だけではない。日本にも言える。日本は速やかに9条を改正し、自国で自国を守る軍事力と法律を整える必要がある。

<太田>

 確かに面白いコラムではある。
 「私たちは「アメリカにも限界がある」時代に足を踏み入れている。」、「アメリカはもはや、かつてのような国ではいられない。あちこちの紛争に首を突っ込みすぎると、最終的にはアメリカの安全保障が脅かされることになる。アメリカ国民はそのことを受け入れるべきだ。」はその通りだ。
 もっとも、そんなこと一貫してそうだっただけどな。

 それはともかく、「アメリカは世界中の民主国家をサポートすべきか。イエス。では、アメリカは民主国家を守るために戦争に乗り出すべきか。答えはノーだ。」は雑駁過ぎであり、「防衛する条約上の義務を負っていない場合は」といった限定をつけるべきだろう。
 その上で、台湾に対して、米国はそんな義務を負っていないことは確かだが、台湾問題を起こしたのは、日本帝国を叩きつぶし、しかも、中国国民党軍に日本敗戦後の台湾占領を行わせた米国であるという経緯に鑑み、米国は台湾に責任がある。
 だから、「中台問題は、中国と台湾の間で解決されるべき地域問題の一つ。地域内のトラブル以上の意味をもたない数々の国境紛争と同じだ。」、「<台湾は、>対中戦争を始めるには値しない」などと突き放すわけにはいかないな。
 また、「中国が本気で併合しようとすれば<米国は>阻止できない」なんてことは、通常兵器だけ使うとしても、当分の間、考えられないし、「中国がアメリカ沖に戦略的拠点を確保する狙いで、キューバに64億ドルの武器を輸出する事態を想像してみよう。アメリカはキューバ危機でまさにそうした事態を経験しており、猛烈に反発するのは目に見えている。」は、ムチャクチャな論理だ。
 キューバに設置されたのは対米向け核弾道弾だったのに対し、米国が今回台湾に売ることにした兵器はパトリオット等であり、(米軍と一体にならない限り、)守りの兵器、しかも通常兵器だからだ。

 よくまあこんな質の低いコラムをニューズウィークが載せたもんだな、ってのが率直な感想だね。

 ところで、

>日本は速やかに9条を改正し、自国で自国を守る軍事力と法律を整える必要がある。

についてだけど、日本は憲法に規範性がないんだから、基本的には集団的自衛権を行使できるように9条の政府解釈を変更すれば足りるし、この解釈変更さえ行えば、当分の間、軍事力は現行の規模のものをそれほどでかくする必要はないと思うよ。
 また、いわゆる有事法制だって、ネガ規制の考え方に立てば、さほど整備する必要もない。
 もちろん、ジュネーブ条約の実施や軍法会議/軍律法廷設置のための法整備は必要だけどね。
 しかし、そんなことよりも、大事なのは、日本が「独立」して日本が自らの安全保障・・それには韓国の安全保障も台湾の安全保障も含まれる・・に自分自身の頭で取り組むようになることだ。

<AT>

 毎日素晴らしいコラムを配信していただき、ありがとうございます。
 さて今日は、太田さんにちょっと質問などをさせていただきたいと思います。

太田さんが唱える「二段階革命論」に、地方分権の推進があると理解しています。大阪府の橋下知事が同じく、地方分権の推進を積極的に主張していますが、これに対してはいかがお考えでしょうか?
 太田さんが地方分権を訴える理由は、安全保障に絡めてのものと理解しています。
 これに対して橋下知事は、あくまで(少なくとも表向きは)地方行政運営上の観点からこれを訴えていることから、同列に論ずることはできないと思いますが、結果的には目指す方向は同じなのではないでしょうか。
 にもかかわらず太田さんは、橋下知事にはあまり良い評価をしていないようです。
 過去コラムを見ても、何というか、評価しない決定的な理由を理解することが困難なのです。
 最近の小沢幹事長と検察に関する太田さんの論法、「木を見て森を見ず」的な考えをすれば、橋下知事を応援するのが自然だと思うのですが・・・。
 橋下知事の主張する、大阪府と大阪市の統合、大阪府庁をWTCへ移転、伊丹空港を廃止し関空をハブ化などなど、少なくとも地方分権・道州制に関しては、橋下知事は「マジ」だと思うのですが・・・。
 2010/1/24に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」はご覧になったでしょうか?
 まあ、まず間違いなく観ていない(観られない)と思いますので、観ていないという前提で書きます。
 この日の放送は、橋下知事と原口総務大臣をゲストに招いての、「地方分権・道州制」をテーマにしたものでした。
 現職の大阪府知事と総務大臣、そして両名とも、この番組とは浅からぬ関係ですので、なかなかに見応えがありました。
 内容は置くとして、重要なのは、このテーマが現職知事・大臣を交えて、日曜の昼下がりに一時間半放送され、全国民(関東除く)の14.6%が観たということです。
 偶然か必然かは私にはわかりませんが、太田さんの唱える「二段階革命論」の通りに世の中が動いているようで、喜ばしいと同時に、太田さんの主張の重要性を改めて感じました。

 ところで、次著の内容に「二段階革命論」の絡みで、橋下府政に触れてみてはいかが
でしょうか。
 リアルタイムの身近な話題、著名人に関する話題という点で、マイナスにはならないと愚考します。あと、「たかじんのそこまで言って委員会」に三度目の出演を果たすための、布石にもなると考えます(下衆な考えでしょうか)。

<太田さんの考えに関する典拠>
・「橋下知事」、「地方分権」でそれぞれブログ内検索(膨大・複雑・難解なため、これで勘弁してください)

<橋下知事の考えに関する典拠>
・2010/1/24 放送の、「たかじんのそこまで言って委員会」
http://www.ytv.co.jp/takajin/study/index.html
・橋下徹 オフィシャルウェブサイト 「橋下徹後援会・新年懇親パーティー」の様子(http://www.hashimoto-toru.com/

PS もしよろしければ、「たかじんのそこまで言って委員会」を録画したDVDをお送りしますよ。↓でも観られなくもなさそうですが・・・。
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=makoaya&prgid=35235987&categid=32257651

<太田>

 私は、中央に広義の安全保障・・外交・(狭義の)安全保障・広域警察/防災・通貨・司法等・・だけを担わせ、地方にそれ以外の権限をすべて移譲する、ことが望ましいと考えています。
 その狙いは二つあり、中央の政治家や官僚を覚醒させて「独立」への機運を醸成するとともに、地方を相互に競わせ、かつ日本内で多様性を確保し、もって日本全体の活性化を図る、というものです。

 そのような観点からは、私は、昨年の総選挙前の、
「・・・「道州制」・・・の自民党 vs 国の出先機関を廃止し、都道府県は当面、「情報・補完性」のために残しながらも、国−基礎自治体のスッキリ体制で、しがらみのない地方一括交付金に基づき基礎自治体の財源をしっかり確保した上で、力の弱い基礎自治体は補完性の原理で助ける「真の地方分権(地方主権、自治体主権)」の民主党・・・」
http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/70e5910154117e02382824d6efa539f4
といった受け皿論議に余り興味はありません。

 また、大阪府の橋下知事が主張している「地方に課税自主権を与える」、「大阪の府市統合」
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news007453.html
については、前者は地方分権を主張する以上は当たり前ですが、後者を併せ考えると、要は、大阪府、つまり自分の権限強化を意図しただけではないか、と揶揄したくもなります。

 私が橋下府知事選立候補を批判したのは、彼が事実上の自民党候補だったからです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%8B%E4%B8%8B%E5%BE%B9
 翌年に総選挙を控えた2008年の瀬戸際の時点で、自民党の延命に彼が力を貸したことを大阪府民は咎めなかったわけですが、オールジャパン的観点からは、厳しく咎められるべきでしょう。

 さすがに彼、その後は自民離れを図って現在に至っているわけですが、それにしても、何でこんなに府民の支持率高いんかね。
http://www.asahi.com/politics/update/0203/OSK201002020156.html
 誰か説明してくれない?

 それでは、記事の紹介です。

 まあそんなところなんだろうが、後は世論と民主党内の動向が焦点だね。↓

 「小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、検察当局は、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で刑事告発された小沢氏については不起訴処分(嫌疑不十分)とする方向で検討している・・・」
http://www.asahi.com/national/update/0203/TKY201002020494.html

 こんだけ疑わしきも・・。↓

 「・・・石川知裕容疑者(36)が東京地検特捜部の調べに対し、土地代金の原資4億円を政治資金収支報告書に記載しないことを小沢氏に相談し、了承を得ていたと供述している・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100203/crm1002030149007-n1.htm
 「・・・民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、陸山会が不動産を購入する際、預金を担保に銀行融資を受ける手法は、平成6年に小沢氏の強い意向で始まった・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100203/crm1002030147006-n1.htm

 それにしても、郷原ヤメ件検はひどいもんだ。
 昨日の続篇を読んだら、
 「・・・昭和初期に、帝人事件をはじめとする検察の疑獄摘発と軍部の台頭によって民主主義が崩壊した・・・
 事件を起こした青年将校たちは≪自分たちの政府要人たちの殺害は、昭和維新を実行する【正義の鉄槌】と信じ込み≫新聞・世論も、それを安易に容認していたのです。
 その結果、あの悲惨な太平洋戦争へ傾斜していったのです。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100201/212508/?bvr
だとさ。
 民主主義は崩壊などしなかったし、太平洋戦争へと傾斜して行ったのは米国や支那の動向に対する世論の正当な怒りのせいだし、青年将校たちの決起と違って、当時も今も検察の疑獄摘発は違法行為じゃなかっただろが。
 郷原は「法と証拠に基づいて」歴史を論じて欲しいもんだね。

 そうなんだよな。
 客観的に見れば、沖縄の人々は、筋ワルの辺野古「内」ならぬ「沖」オプションを提示することで、莫大なカネを日本の中央政府からむしり取り、カネだけもらってドロンを決め込もうとしてるわけだ。↓

 「・・・<もともとは、>米国は・・・沖縄の人々の負担を軽減することを考え、さらに自然環境<にも配慮して>・・・普天間の代替地としては、名護市辺野古にあるキャンプ・シュワブ区域内の場所を選んだ。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100203/plc1002030311000-n1.htm

 日光にあたるとリビドーが高まるらしいよ、男性諸君。↓

 ・・・testosterone and vitamin D levels appeared to peak in the month of August, and drop off in the winter, hitting their lowest levels in March.・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8493042.stm

 近代科学も、その規律も、すべてはイギリスで始まったのです。↓

 ・・・Royal Society, the UK’s national academy of science, which this year celebrates its 350th anniversary.・・・
  The Society was established to pursue an ideal ? that the best way to seek knowledge about the world was through observation and experiment. ・・・
 The Royal Society invented scientific publishing and peer review. It made English the primary language of scientific discourse, in place of Latin. It systematised experimentation ... it created modern science.’・・・
http://www.ft.com/cms/s/2/716dc376-0c63-11df-a941-00144feabdc0.html
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<globalyst:翻訳>

コラム#3773より
 ヤフーは、中共から既に事実上撤退しちゃってたんだね。↓

 ・・・ヤフーの中共におけるパートナーは、サイバー攻撃の疑惑に関連した北京との膠着状態についてグーグルへの支援を求めて、米国のインターネットの巨人「レックレス」に電話した。
 ヤフーは、インターネットプライバシーの侵害は実に気掛かりなことで、また反対すべき事柄であるとのグーグルの立場に「同調」すると言った。・・・
 ヤフーは、数年前、中共での事業の大部分をアリババグループに売却したときに中共における事務所を閉め、そして今では39%の株式を有している。・・・


 外国系のインターネット関連会社が中共市場に食い込めない理由が説明されている。
 また、インターネット規制について、中共以外の発展途上国の場合はさして問題にされていないこと、かつまた、米国こそ最大の国営ハッカー集団を抱える 国・・安全保障目的以外には使っていないと信じたいところだが信じるだけヤボか(太田)・・であることが指摘されている。↓

・・・メディア、情報産業におけるニューエコノミーの西側企業は、全て中共での態勢作りに失敗した。
 グーグル以前に、イーベイおよびヤフーの両者は、急成長の中共におけるインターネット世代を開発するために、何年にも亘って何百万ドルもの投資をしてきた。
 そして、グーグルと同様、うまくいかなかった。イーベイは、中共国内におけるオークション会社であるTaobaoを失い、ヤフーはAlibaba.com(Alibaba.comは、またTaobaoを管理している)の持合株式と引き換えに、その事業を譲渡し、この2つの会社は、結局、中共における冒険的事業から撤退した。・・・
 これら中共におけるニューエコノミー企業は、<インターネット取引をしない=現実の店舗を有する>伝統的な企業の成功とは全く対照的となっている。
 ナイキのような消費者のあこがれ、ケンタッキーフライドチキンのような食品フランチャイズ、GEやユナイテッド・テクノロジーズのような大企業、マイクロソフトからインテル、IBMのようなテクノロジー大企業は中共で繁盛している。
 実際上、中共本土は、過去10年、何百ものグローバル企業にとって最も目覚しい成長市場であった。・・・
 これらの企業<大手ポータルサイトのNetEaseやSina、オンラインゲームのShanda、インターネットおよモバイルアプリケーションのTencent>は、外国のライバル会社に対して明らかに有利である。
 と言うのは、こうした企業の創始者や上級管理者は、種々のそして往々にして暗黙の了解である検閲を実施する当局者と同じエリートクラスであるからである。
 彼等は北京に事務所を有し、知られていない裏口から中共政府にロビー活動し、そして何が許され、何が許されないかについて常に話し合っている。
 この話し合いには政治的検閲のみならず、ポルノやセックスといたモラルが含まれる。・・・
 グーグルおよび西側メディアは、効果的にこの局面をモラルの衝突に変えてきた。たぶん。・・・
 ペルシャ湾や北アフリカでは、いかがわしいコンテンツとの理由でウェブサイトが遮断されているが、大きな騒ぎにはなっていない。
 他の国、特にイスラエルおよび米国安全保障庁が雇っている世界最大のハッカーグループを有する米国それ自体が、サイバー諜報活動に従事していることは言うまでもない。
 しかし、中共によるウェブの検閲、監視は、西側ビジネスの絶対的な覇権および新技術の世界でのシリコンバレーの支配に対する挑戦となっている。
 グーグルの問題およびこれから話題の中心となろうとする問題の背景には、中共の急成長と、アメリカに脇役を演じることを望んでいない飢えた企業家たちの急成長する世界の話がある。

 後段についてはすべて↑、その通りだが、中共が非自由民主主義国である限りは、自らこういった反論をするわけにはいかないところが自業自得ってところだ。
 また、属国日本にも発言する権利はない。

 中共当局は、どうすべきか、思案投げ首ってところだろうねえ。↓

・・・グーグルは、百度検索エンジンにかなり差をつけられて2位となっているだろうが、8千万人と見積もられるそのユーザーは比較的高い教育を受け裕福である。調査によれば、概ね2/3が大卒である。北京の技術コンサルタントである郭怡廣(KAISER KUO)は、彼等をして「潜在的に非常に煩い支持者」としている。
 政府からの仕返しを恐れ匿名で主張するインターネット専門家は、「更に彼等は、金持ちになったり、いい仕事を持っていたり、生活が良くなったりしたが、共産党には干渉しない。」と言っている。
 彼は、グーグルが撤退すると「私にこれをやらせない我国の何が悪いのだろうか?」と言い始めるであろう」としている。
 「それは、街頭で抗議するようなものではない」と彼は付け加えた。「しかし、それは共産党がすることの合法性を更に侵食してしまう。これは、既に失ったもの以上に共産党が失いたくない集団である。」・・・


コラム#3777より
 Gメールのハッキングにグーグル支那の社員が関わってた可能性があるんだとさ。↓

 ・・・報告によれば、グーグルは、中共における1または複数人の従業員が、先月、グーグルになされたサイバー攻撃を補助したのかどうか調査しているとのことである。
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太田述正コラム#3808(2010.2.3)
<北朝鮮論をめぐって(その2)>

→非公開