太田述正コラム#3761(2010.1.11)
<皆さんとディスカッション(続x710)>

<サヨク>

 近藤隆雄さん! <コラム#3759での>コメント、ありがとうございます。現時点のぼくは、おおよそ次のように考えてます。「意味の核心」を掴もうとする志向に対して、「意味の核心からの解放(意味の核心などありはしない)」をこそを志向しているのではないのか? 
 ぼくは、と。
 「理解するとは、一挙にそして全体を」ということが「腑に落ちる」の、ぼくなりの定義です。
 そう言えば、スピノザの「エチカ」に「神は無限をも含む」との記述がありましたネ!
 彼もユダヤ系のようですが・・・。
 コメントありがとうございました。・・・とりあえず・・・。

<AT>

≫この話、何かおかしいと思うな。 金属加工業界に詳しい読者のコメントを求む。≪(コラム#3759。太田)

 太田さんが、この記事のどの部分が「おかしい」とお考えかはよく分かりませんが、一工場労働者としての私の考えを述べたいと思います(金属加工業界ではありません。というか読者の中に、そんなに都合よく業界人はいないでしょう)。

 この記事に対して疑問を持つべき点として、「穴を5つ開ける行為は、“あらゆる面から”考えた場合、合理的か否か」という点が挙げられると思います。具体的には、

一、時間当たりの作業効率
二、品質への影響
三、作業安全性
四、その他(残ったアルミ板の処理に関わること、など)

以上の4点が(すぐに思いつくだけで)考えられます。

一に関して。
 記事を読む限り、この作業は自動でアルミ板を供給、カットするという類のものではなく、手作業で材料をセット、機械を手動で操作して行うものと推測します。
 であれば当然、5つ穴を開ける為に新たに、「材料を斜めにずらす」という作業が必要になります。
 新たにこれにかかる時間が、材料費の節約よりも高くつくのならば、当然、5つ穴を開ける作業は合理性を欠くことになります。

二に関して。
 これは完全に技術的な話で、専門家でも業界人でもない私には、なんとも言えません。
 ただ、穴を斜めにずらすということは、カット時に材料にかかる力が変わるということで、製品に「バリ」や「変形」が出る可能性が想像されます。
 材料の厚みや大きさ、形状、そして材料にもとから付いている「クセ」(変形)などの如何によれば、そういう可能性も十分にあり得ると、素人ながら想像します。

三に関して。
 この作業に従事する者が、どの程度の人材かは記事からは分かりません(正社員などの熟練工か、アルバイトの単純作業従事者か)。
 仮にアルバイトなどの人材の場合、「材料を斜めにずらす」という行為が加わるため、その分作業が複雑になります。
 当然、安全性に問題が出てきます。仮に、材料を手で動かしつつ手動でカット操作をやるという場合、手が機械に巻き込まれるという危険が想像できます。
 熟練工ならともかく、アルバイトにそんな作業をやらせることが、合理的と言えるでしょうか。

四に関して。
 あらゆることが考えられますが、完全に「ファンタジーの世界」になりますので、述べる意味はないでしょう。

 そのほかにも、「作業改善を行うプロセスに問題があった」という可能性も考えられます。
 国家に「法」があるように、現場にも「ルール」があります。
 仮に穴を5つ開ける作業が完全に合理的であったとして、林さんが法の改正前に法を違反したというのなら、それはその行為の合理性とは別に、非難されるべきでしょう。
 「法の意味・効果」など、一見しては分からないものです。
 この現場のルールにも、何か意味がある可能性が十分に考えられます。
 そういう意味で、林さんが現場のルールを破り、かつその「ルールを守る」ことの重要性を理解しなかったのならば、解雇という経営者判断は、妥当でないとは必ずしも言えないと考えます。

 以上、私の考えを述べました。
 太田さんが「おかしい」とお考えなのが、記事後半の記者の分析に関することであれば、たいへん失礼しました。
 この分析に関しては、一つの(上記のような大いに疑問のある)例だけを持ち出して全体を結論付けていることから、特に云々すべき価値・意味はないと私は思います。
 ・・・

<太田>

 私がこのコラムを読んだ時のうさんくさ感を裏付けていただき、感謝申し上げます。

<ΙΒΒΙ>(「たった一人の反乱」より)

 日本が世界の危機になれたようです。
http://www.asahi.com/politics/update/0110/TKY201001100168.html

 国民の支持率は以前、高いままです。
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/index.html

 世界の評価が正しいのか、国民の直感が正しいのか。
 鳩山はチャレンジ25とか言って苦しい産業界に更なる負担をかけ、不況を加速させるつもりです。
 エコ買いなんて世界のどこもしてなくて、安い新興国が勢いを増してるってのに、なんで民主党は25%削減で景気がよくなるって言うのか理解できない。
 それでも自民よりはまし、ってことなんですかね。

<太田>

 朝日の記事、私がコラム#3751で紹介した読売の記事
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100105-OYT1T01155.htm
の時期遅れの後追い記事じゃん。
 なお、50%台前半じゃ、支持率高いとは言えないな。

<タテジマ>

何を言いたいのかよく分からないアメコミ映画。
ウォッチメン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A1%E3%83%B3

冒頭でパットブキャナンでてくるし、ニクソンを始め政治家が実名で顔もそっくり。
 広告やニュース番組は当時のだと思うけど私には分からない。
この映画の監督は原作の内容を変更しないという条件で受けたので原作と99%同じだそうです。
 最後は賢人政治を否定しているようだけどどうなんだろ。
 原作者はイギリス人でVフォー・ヴェンデッタ<(コラム#1267、1268)>も書いてる。

<太田>

 映画評の候補に入れときます。

 それでは、記事の紹介です。

 「専門職をきちんと処遇」することはもちろん必要だけど、キャリア制度を維持するにせよ廃止するにせよ、キャリアパスの途中から、一定の人々をジェネラリストとして育てるため、ローテーションを行うことは必要。
 それより、防衛省を中心とする、典型的天下りの規制、民主党政権、まだ着手してないんじゃないか。↓

 「・・・天下りをなくすためには、単純にそれを規制するよりも、年功序列を廃止して能力主義を徹底し、いろいろな部署を回るローテーションをやめて専門職をきちんと処遇するなど、公務員制度の抜本改革が必要である。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/4541492/

 ウソこけ。
 何で讀賣はかくも退嬰的なのかね。↓

 「・・・「思いやり」は、・・・日本の安全保障にとって必要不可欠な負担であることを改めて確認したい。」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100111-OYT1T00024.htm

 前段はともあれ、後段のようなことを鉄面皮にも書いてるようじゃ、中共のエリート記者余りにもだらしないな。
 上出のオカシなコラムの掲載といい、ひどいもんだ。↓

 「・・・<日本からの>相次ぐ米メディア撤退・・・<その>一方で現在、中国に相次いで支局を開設している。これは欧米メディアにとって、中国の影響力が既に日本を超え、報道の重点がより中国へ傾きつつある証明と言える。・・・
 その理由には・・・、「記者クラブ」制度が中国にはなく、より簡易に取材できることも、同時に認められるべきだろう。」
http://j.peopledaily.com.cn/94475/6863671.html

 体制存立の危機に直面してるってことなんだろうな。↓

 「・・・金正日(キム・ジョンイル)総書記が、「(人民に)白い米飯と肉のスープを食べさせなければならない、という首領様(故・金日成〈キム・イルソン〉主席)の遺訓を貫徹できずにいる」と語ったという。北朝鮮経済の失敗を事実上認めたものだと解釈されている。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20100111000021

 マーラーの音楽を紹介した時(コラム#3715)には、あえて取り上げなかった不倫話がその生誕150周年記念ガーディアン・コラムの中に出てました。↓

 ・・・<Mahler'>s discovery in the summer of 1910 of Alma's affair with the young architect Walter Gropius. Whether by accident or design, Gropius addressed the envelope of one of his Alma-obsessed love letters to Gustav, who opened it at his summer composing retreat in Toblach in the Tyrol. The effect was shattering, and Mahler poured out his insecurities and grief in the new symphony, veering from almost suicidal depression, writhing on the floor of his composition hut, to heights of ecstasy in the fleeting moments when he imagined he had won Alma back. ・・・
http://www.guardian.co.uk/music/2010/jan/10/gustav-mahler-150th-birth-anniversary

 言いたいのは、このマーラー(ユダヤ系)の奥さんアルマ(Alma Maria Mahler-Werfel (旧姓Schindler) 。1879〜1964年。ユダヤ系) の男性遍歴の華麗さです。
 マーラーと結婚する前にも画家のクリムト(Gustav Klimt)(コラム#3318)と浮き名を流し、マーラーと結婚してからは、上記不倫関係を建築家のグロピウス(Gropius。バウハウス運動の主唱者)と取り結び、マーラー死後このグロピウスと結婚し、その前には画家のココシュカ(Oskar Kokoschka)と同棲し、グロピウスと離婚後、作家で詩人のヴェルフェル(Franz Werfel。ユダヤ系)と結婚した、と代表的な相手だけでもこんな感じなんですからね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Alma_Mahler-Werfel
 「遍歴」された男性達にとって彼女は「あげまん」であったと言えそうですが・・。

 先の大戦中に太平洋で病院船を撃沈されたのは日本側だけじゃなかったんだね。↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E6%B3%A2%E4%B8%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 An Australian World War II hospital ship, the Centaur, has been seen for the first time since it sank more than 60 years ago with a loss of 268 lives. ・・・
 Australia says the ship, which went down in May 1943, was torpedoed by the Japanese. Japan says the circumstances surrounding its sinking are unclear. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8450511.stm

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<globalyst:翻訳>

コラム#3755より
 中共からの頭脳流出を食い止められるか、当局の死闘は続く。↓

 ・・・中共の研究開発費は10年間に着実に増加し、今ではGDPの1.5%に達している。米国は、そのGDPの2.7%を研究開発に費やしているが、中共の割合は他の殆どの開発途上国よりも遥かに高くなっている。 
 中共の科学者達は、また、海外の科学者と競争するよう一層プレッシャーを掛けられており、この十年で彼等が発表した年間の科学論文数は4倍になった。2007年の論文数は米国の論文数に次いで第2位となっている。・・・
 中共生まれの科学者は、西側諸国で行われた研究についてはノーベル賞を受賞した者は幾人かいるが、中共本土でなされた研究については、これまでノーベル賞を受賞したことがない。中共は、2008年に発行された米国特許数で第10位でしかない。
中共の学生は大挙をなして流出し続けている。留学費を支払うことのできる家庭が増えるにつれ、2008年には、2007年よりも約25%多い概ね180,000人が中共を後にした。
 中共の政府統計によれば、過去10年で中共を後にした学生の4人にたった1人しか帰国しなかった。中でも、米国大学で科学博士号や工学博士号を得た者が最も帰国しそうにない者たちだった。

<参考>
   年間研究開発費 対GDP比
日本 18.9兆円 3.67% 2007年
米国 42.8兆円 2.62% 2006年
英国 4.4兆円 1.78% 2006年
ドイツ 8.3兆円 2.53% 2006年
フランス 5.2兆円 2.11% 2006年
http://www.stat.go.jp/data/kagaku/pamphlet/s-01.htm (globalyst)
イスラエル 4.57%
スウェーデン 3.89%%
フィンランド 3.42%
韓国 3.23%
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2007/10/11/0200000000AJP20071011001800882.HTML (globalyst)

<太田>

 上掲のニューヨークタイムスの記事、
http://www.nytimes.com/2010/01/07/world/asia/07scholar.html?ref=world&pagewanted=print
肝腎の点で誤りがあったことをご指摘いただきありがとうございました。
 いささか興ざめするような話ではありますね。

<globalyst:翻訳>

コラム#3757より
 シーシェパードの高速艇と捕鯨船との衝突事件、遅きに失したきらいがあるけど、前者に明確に非があるという記事が米国で出ました。↓

 ・・・私にEメールしてくれた経験豊かな船員および船長らの一致した意見によれば、海では、衝突を回避するためにあらゆる予防措置をとることは全ての船舶に課せられた義務であり、従って、距離をとる義務が一定程度あり、また、Gilのような、より小型で機動性のあるボートは、急旋回できるので、一般的に衝突を回避すべきより大きな責任を負っているとのことである。・・・