太田述正コラム#3747(2010.1.4)
<皆さんとディスカッション(続x703)>

<サヨク>

 近藤隆雄さん!ご丁寧なる早速のコメント<(コラム#3745)>、ありがとうございます。
 凡庸なるぼくの「ふに落ちる」(有り得るとして)には、かなりの時間が必要です。
 失礼ながら先ずは心よりお礼申し上げます。

<θΒθΒ>(「たった一人の反乱」より)

 太田さんという人が分からない。

 ブログの超高度な内容と、この2ちゃんを介したディスカッションを、どういう感覚で並行して一緒にやっているのかが分からない。
 前者は学者的で後者は世俗的(私の主観)。
 世間というやつを小馬鹿にしているようでありながら(テレビ出演を観た私の主観)、その世間(例えばこの2ちゃん、オフ会)と関わる労を惜しまない。
 単に優越感を求めてのものとも思えない(ブログを半年以上ROMっているが、太田さんがその程度の自己分析ができないとは思えないし、その優越感による「恥」に耐えられるほど、しょぼい経歴でも自尊心でもない・・・私の主観)。
 世間を啓蒙したいとの意図かもしれないが、そう考えると、あのブログの高度さが説明できない(あれをまともに読みこなせるのは、百人に一人もいないと思う。私の主観)。

 個人的には、太田さんはまず、学問の世界で(あるいは「から」)自説を問うべきだと思う。
 日本の学会とやらに不満なら、海外で自説を問うという方法もあると想像する。
 自称「キチガイ」とのことですので、太田さんを理解しようとする行為そのものが、無駄なことなのでしょうかね・・・。

<太田>

>あれをまともに読みこなせるのは、百人に一人もいないと思う。

 分からなかったら質問しようね。
 もっとも、私の方でも答えられない場合もあるだろうけど。

<θΒΒθ>(同上)

>ブログの超高度な内容と、この2ちゃんを介したディスカッションを、どういう感覚で並行して一緒にやっているのかが分からない。 前者は学者的で後者は世俗的(私の主観)。

 太田氏も言ってるでしょう。人間というものを理解したいのですよ。
 だから低俗な話やセックス関係の話にも首を突っ込むのですよ。
 好奇心のなせる業です。
 あと、本人も言ってるように子供っぽいところがあるんでしょうね。

<ΒθΒθ>(同上)

 (自分は)前者は一から十まで論理的に叙述されたコラム、後者はソクラテス的な対話を重視したコラム、と認識している。
【ソクラテスの問答法】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9%E5%BC%8F%E5%95%8F%E7%AD%94%E6%B3%95

 そのディスカッションの投稿にも連歌的なものと論理的に叙述されたものという違いはあるけど、(例外はあるにせよ)基本的には読者からの問いに対して、太田さんが答えるという形で成り立っている気がするし、読者からの問いにどのように太田さんが応じるのかが(個人的に)このコラムの見所だと思っている。
 むしろ、毎日配信されるコラムが難解だからこそ、ディスカッションが必要だと思うけどなぁ。
 こういう事を言うと、低質な問いが多いと、突っ込まれそうだけど、ディスカッションは一から十まで論理的に叙述しないで良いので太田さんの考えが簡潔でわかりやすいと思う、自分としては秀逸だと思う。
 ただ、問い掛ける人が居なければ成立しないんだろう、投稿が多ければさすがの太田さんでも「精髄」するでしょう。
 つまり、質に文句があるなら投稿するしかないんだぜ
 さすがに2chの過去ログをあさり出した時は、どうしたんだ!?と驚きましたけどね。

<ΒΒθθ>(同上)

>太田氏も言ってるでしょう。人間というものを理解したいのですよ。<(θΒΒθ)

 太田さんの根本の行動原理は、「好奇心」なんですかね。
 それはあるでしょうが、私が良く分からないのは、一、日本の現状に対する危機意識と、二、天下りを良しとしない行動と、三、選挙に立候補するという行動と、四、テレビ出演時でのシニカルな態度、これらを説明できる性格類型が、私の語彙に無いからなのです。

 一から、国士気取りで愛国心を叫ぶ類の輩とすれば、あのブログの内容は説明できないし、三があるから、単なる冷笑家とは出来ないし、二は多分、正義を愛するから〜的な動機よりも世俗的欲(金銭)への関心が薄いせいだと思うが・・・。
 四は、日本の現状からすればああいった冷笑的な態度にならざるを得ないせいなのか、それとも普段からああなのか。ブログのディスカッションでは、人を食ったような発言が多いが・・・。

>あと、本人も言ってるように子供っぽいところがあるんでしょうね。<(θΒΒθ)

 分かったような分からないような・・・。ソクラテスであれば、「子供っぽい」の定義を聞くのでしょうね。
 太田さん、自身の性格分析を(ガチで)やってくれないかな〜。

<太田>

 太田の性格分析なんて、日本が「独立」してからでもゆっくりやってね。

 仏教じゃないけど、私のこれまでの歩みを方便的に説明しておこう。
 私は、日本にやってきた社会人類学者たるイギリス人であり、日本人を解明するためのフィールドワークに、ウン十年にわたって従事しているわけだな。
 その社会人類学者が、見るに見かねて、(本来社会人類学者がやっちゃいけないんだけど、)フィールドワークの対象たる日本人達に時々ちょっかいを出している、と思ってくれたまえ。
 ウソだろって?
 だから、方便だって言ってるだろ。

<θΒΒθ>(同上)

≫特にサブカル系のジャンルのファンはしたり顔してサブカルを語る「部外者」には辟易してるんだ≪(コラム#3745。ΗββΗ)

 自分が紹介してるのは本当に”おたく向け”でなくて一般人にも対象範囲が広げられる作品だと思ってるんですけどね。
 太田氏に「そらのおとしもの」とか見せて、どうする(笑
 多分、3分で「つまらん」と言って見るのをやめるでしょう。

≫映画監督というのはたいてい作家ではなくアレンジャーだよ≪(コラム#3745。ββΗΗ)

 そうですね。
 だから海外では映画の評価は映像の表現手段が斬新で新規なものが高い評価を受けるようです。
 例えば北野誠監督の「その男 凶暴につき」、内容はなんてことないんですが、映像としての表現手段が派手ではないのに非常に印象に残ることが欧米で高い評価を得ることができました。
 それに対して伊丹十三監督の評価は非常に低い。これは映像での表現手段より、言葉による表現に偏ったせいではないかとも思われます。
 そこらへん太田氏の映画評はストーリーなどの内容を評価しているわけですが、これは一般の日本人も、そうなのではないかと思います。ライムスター宇多丸による「アバター」感想も同じですね。
 だから日本では伊丹映画の方が北野映画より興行収入が高い。
 まあ難しいところですけどね。

 ところで、昨年の日本のアニメで一番の注目作は「化物語」でしょう。
 表現手段として”絵”だけでなく”文字”を使ったところが斬新だと思われます。
 まあ、その前にエヴァンゲリオンでもやっていますが。
 最新作がネット配信されていますので、よければみてください。
http://www.bakemonogatari.com/strm/

<太田>

 見たよー。
 オモロかった。

 それでは、記事の紹介です。

 朝日は、武者小路が「本音を漏らしている」と言うのなら、日本文学報国会について、武者小路が、この会が「皆が同じ意見を持たなければならない」会ではない、と記していることの方に注目すべきでしょう。
 戦前の日本の主要文学者達は、自由意思でもって日本の戦争遂行に協力した、ということです。↓

 「・・・手紙は、魯迅の弟で文学者の周作人(1885〜1967)にあてたもの。周と、戦争支持派の作家片岡鉄兵との論争を仲裁する目的で書かれた。論争のきっかけは、43年8月に開かれた国策に協力する文学者の会議。知日派とされる周は参加せず、そんな周を片岡は国策に非協力的だと非難していた。・・・
 武者小路実篤・・は開戦時、戦争を賛美する文章を発表するなど、戦争に協力する姿勢を示していた。だが「皆も今更に君の存在の大きさを知った」と周に敬意を払い、国策協力一辺倒の片岡の発言には、「根拠のない発言」「場あたり的なものだ」と否定的。会議を開いた日本文学報国会についても「皆が同じ意見を持たなければならないのでしたら、僕はとっくに退会しています」と書き、戦争協力を強いられた時代に、周に共感して本音を漏らしている。・・・」
http://www.asahi.com/culture/update/0104/TKY201001030235.html

 一匹狼的アルカーイダ系テロリストが暗躍するようになったという指摘がなされています。↓

 ・・・the core organization of Osama bin Laden and Ayman al-Zawahiri that carried out the 9/11 attacks; the affiliates in Iraq, North Africa, Yemen, and elsewhere that want the prestige of the Qaeda connection but have less sophisticated capabilities; and "homegrown" terrorists who are inspired by Al Qaeda's ideology but don't have much access to training or support networks. The United States has made great progress in disrupting the first group: U.S. officials claim that Predator strikes along the Afghan-Pakistani border have killed roughly a dozen out of the top 20 Qaeda leaders in the past two years. But that's driving bad guys in the other two groups?who are more likely to pursue small-scale attacks?to assume a higher profile.
 The Qaeda affiliates used to focus entirely on local agendas. But as those in Somalia and Yemen have become the target of mounting attacks by America's regional allies and sometimes directly by U.S. weapons and forces, they've started attracting and cultivating would-be jihadis from the United States itself.・・・
http://www.newsweek.com/id/229078

 諜報論なんだけど、以下↓の前段は、コラム#3664で紹介した「欧米人達は、諸対象(object)と論理(logic)でもって考えるのに対し、アジア人達は諸実体(substance)と諸関係(relationship)によって考える」を思い起こさせますね。
 後段は、国内と国外とが截然と分けられなくなった時代を我々は生きているってことです。

 ・・・approach, influenced by the Pearl Harbor attack, betrayed “a compulsive preoccupation with prediction, with the elimination of ‘surprise’ from foreign affairs.”
 This was a worthy goal in wartime, Mr. Kendall said, but in peacetime the most useful intelligence provided the big “pictures” of the world that decision makers needed for formulating broad policy. Intelligence experts therefore should not just acquire and analyze information; they should interpret it as well. ・・・
 ・・・in the cold war it made sense to enforce strict lines dividing foreign from domestic surveillance ? that is, between intelligence collected overseas (by the C.I.A.) to prevent attacks, and information acquired (by the F.B.I.) for use as evidence in court.
 But this formula is not easily applied in a case like the Fort Hood killings, in which a radical American Muslim is accused of a terrorist act associated with a foreign cause. Neither is it easily applied to the detainees at Guantanamo Bay, one reason President Obama will now find it much harder to keep his promise to shut the detention center on Jan. 22. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/01/03/weekinreview/03tanenhaus.html?ref=world&pagewanted=print

 テロ防止の観点から、空港の免税店での香水、アルコール飲料の販売を止めるべきだという議論がドイツで出ています。↓

 ・・・Rainer Wendt -- head of the German Police Union (DPolG), which represents around 80,000 workers -- has suggested is a ban on the sale of what he describes as "potentially dangerous" goods like perfume and alcohol in duty free shops at European airports. ・・・
 The head of Cockpit, a German pilots' association, also drew attention to duty free dangers on Thursday. ・・・
 duty free items could be ordered before the flight or on board the plane and then delivered to passengers as they disembarked the aircraft at their destination.
http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,669674,00.html

 昨日の『2012』の映画評コラム(未公開)で、「米国のキリスト教原理主義者が広汎に抱いている人種主義的帝国主義・・黒人差別は止めたかもしれないが、ユダヤ人の逆差別やキリスト教原理主義者の逆差別という人種主義の変形が維持されている」と記した中の、「黒人差別は止めた」を裏付ける記事です。↓

 ・・・Despite the growing desegregation of most key American institutions, churches are still a glaring exception. Surveys from 2007 show that fewer than 8% of American congregations have a significant racial mix.・・・
 But in some churches, the racial divide is beginning to erode, and it is fading fastest in one of American religion's most conservative precincts: Evangelical Christianity. According to Michael Emerson, a specialist on race and faith at Rice University, the proportion of American churches with 20% or more minority participation has languished at about 7.5% for the past nine years. But among Evangelical churches with attendance of 1,000 people or more, the slice has more than quadrupled, from 6% in 1998 to 25% in 2007.・・・
 Megachurches serve only 7% of American churchgoers, but they are extraordinarily influential・・・
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1950943,00.html

 『アバター』のバカうけが続いています。
 本日から、コラムでこの映画評を書くつもり(非公開)なんだけど・・。↓

 Avatar has become the fastest movie ever to achieve $1bn (£625.6m) in ticket sales around the world. ・・・
 It was reportedly the most expensive film ever made, with a budget of at least $300m (£186m). ・・・
 The huge box office takings are partly down to the higher cost of tickets for 3D performances・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8438824.stm 
 ・・・"Avatar" was Cameron's first film since 1997's "Titanic," the biggest modern blockbuster with $1.8 billion worldwide.
 Cameron now is the only filmmaker to direct two movies that have topped $1 billion. Along with "Titanic," the others are "The Lord of the Rings: The Return of the King" at $1.13 billion, "Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest" at $1.06 billion and "The Dark Knight" at a fraction over $1 billion, according to box-office tracker Hollywood.com.
 With "Avatar" closing in on No. 2 film "The Return of the King," Cameron is in striking distance of having the two top-grossing movies globally. ・・・
http://www.hollywood.com/boxoffice

 今年は、米中関係に不安材料が増えるってこと。↓

 The United States and China are headed for a rough patch in the early months of the new year as the White House appears set to sell a package of weapons to Taiwan and as President Obama plans to meet the Dalai Lama,・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/02/AR2010010201751_pf.html

 以下の匿名コラム、英国と支那を比較し、公の分野における自由度と私の分野における自由度が、両国で真逆であることを指摘したものですが、これは、おおむね、英国を日本に置き換えてもあてはまります。
 (本日公開したコラム#3666中で私が記した「支那では共同態の中に個人が埋没しており、かつ公の観念が希薄であるのに対し、日本では個人と共同態が良い意味での緊張関係にあり、かつ公の観念が確立している」を思い出して下さい。)
 なお、キリスト教に言及した最後の箇所は、私がよく言うイギリス流韜晦ってやつです。↓

 For centuries Great Britain has served as a safe haven for refugees from political persecution. The reason Britain has been so attractive is its long tradition of political tolerance. ・・・
 What made Britain unique was that the British public was tolerant of larger issues such as politics and religion while remaining decidedly intolerant of petty issues. ・・・
 China shows what a socially tolerant society looks like. While China is not tolerant of political differences, the people are generally tolerant of behaviours that would not be acceptable in Britain. In China, smoking, talking loudly, using mobile phones in theatres or restaurants is perfectly normal behaviour. This is extended to a nearly complete indifference to public spaces and to other people that comes as a surprise to any newly arrived visitor to the People's Republic. Driving in China is usually a shock even to those used to third world traffic as other drivers simply ignore anything not a direct danger to themselves.・・・
 This tolerant attitude may well have played a part in China's lack of an industrial revolution. For while British tolerance has not allowed the persecution of heretics in recent times, that has not been extended to their ideas. British scientists have inherited the Christian tradition of intolerance and that has driven technological progress.・・・
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/jan/01/intolerance-virtue 
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太田述正コラム#3748(2009.1.4)
<映画評論0(その5)>

→非公開