太田述正コラム#3633(2009.11.8)
<皆さんとディスカッション(続x651)>

<αΩΩα>(「たった一人の反乱」より)

 一昨日太田総理で中山泰秀が
「沖縄サミットに首脳夫人が軒並み不参加だったのは沖縄に戦場としてのリスクがあることの証明だ」
という主旨の発言をしていたけど、そう考えたことはなかったなー。
 単に森さんが舐められてるだけかと思ってました。

<太田>

 一般的に言って、戦場からの帰還兵が集う基地においては、暴力事犯が増えると言ってよさそうです。↓

 ・・・major crimes have been in on the rise across all bases since 2003, according to a report (PDF) released in July. Rates of arrests for murder, rape, assault, and arson saw an especially large bump between 2007 and 2008. ・・・
 ・・・soldiers with more combat experience?and whose units had suffered more casualties?were at greater risk than other soldiers of developing mental illness, conduct problems, and criminal behavior. ・・・
http://www.slate.com/id/2234814/

 しかし、韓国同様、沖縄にもイラクやアフガニスタン帰還兵は余りいないのでしょうか、以下のように、暴力事犯が少ない状況が続いているようです。↓

 ・・・In Okinawa, Japan, for example, American soldiers have been involved in several high-profile rapes and have been accused of more widespread violence. While it's reasonable to expect that a population of young men trained in warfare would commit crimes at higher rates, a recent study found that the troops in Okinawa were less than half as likely to break the law as those in the general population. In Korea, too, U.S. servicemen seem to be arrested for serious crimes far less often than the locals.・・・(スレート誌上掲)

 沖縄県民の方が在沖米軍よりもアブナイ人が多いってわけです。

 いずれにせよ、何度も申し上げているように、北朝鮮はもちろんのこと、中共だって、まだ米国にとって・・ということは台湾にとってはもちろん日本にとっても・・軍事的脅威ではない以上、「沖縄に戦場としてのリスクがある」わきゃないがね。


 それでは、記事の紹介です。

 守屋元防衛次官についての記事が載った「社会新報」(2009年9月30日号)が送られてきたので、この記事(15面)を読んだところ、
 「・・・彼の弁護人弘中一郎氏の「あなたは(商社に対する)便宜供与について一審の第2回公判と第3回公判で逆の供述をした。趣旨を変えたのか」との問いに、守屋被告はこんな内情を暴露した。「私は第2回で便宜供与はしていないと(正直に)話した。だが、直後に検事から(当時の)主任弁護人へ『もし被告が争うなら第3回で徹底的に追及するぞ』とい電話があった。すると主任弁護士が私に『執行猶予をとるため(便宜供与を認める)反省の情を示せ』と言う」(法廷メモの主旨)。 だから供述を変えた、しかし便宜供与はしていない。ゴルフも接待とは思っていなかったと守屋被告。・・・」
というくだりがありました。
 守屋は、「私は、主観的には便宜供与をしていないが、部下が私の意向を忖度して仕事をする以上、客観的には便宜供与をしたと言われても仕方がない」と一貫して主張すべきでした。
 供述をコロコロ変える、その過程で弁護人を解任し差し替える、なんてことをしてるようでは、裁判官の心証は悪くなるばかりでしょう。
 彼には親身になってアドバイスをしてくれる人がいないんだろうな。
 哀れとしか言いようがありません。

 「・・・現在、日米両政府間では、岡田克也外相が普天間飛行場を米軍嘉手納基地に統合するという案について、米政府と交渉しています。この姿勢自体は新政権としてこれまでの政府合意を検証する必要があるでしょうから、構わないと思います。
 ただ、嘉手納は空軍の基地であり、普天間は海兵隊の飛行場です。私が軍事専門家らに取材したところでは、「空軍と海兵隊という装備も機能も違う軍隊をひとつの基地に統合するのは難しく、とくに有事を想定すると危険を伴うなど問題が極めて大きい」とのことなので、米側としては受け入れられないでしょう。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091108/plc0911080703002-n1.htm

 ウソこけ。↑
 飛行場管制をどう、適切に行うかだけの問題だろが。
 普天間基地に配備されているのは、ヘリコプターのCH-53E、CH-46、AH1W、とプロペラ機のKC-130ですが、
http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Units/1maw.html
例えば、横須賀を事実上の母港とする米原子力空母ジョージ・ワシントンは、ジェット機のF-18各種、プロペラ機のE-2C、ヘリコプターのHH-60Hを搭載しています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)
 「有事を想定すると危険を伴うなど問題が極めて大きい」ワケないでしょ。

 なお、岡田外相を評価するのもどうかと思います。(コラム#3619参照)

 ドイツ・・特に旧東独地域・・もポーランド(コラム#3564、3574)並の人種差別社会みたいね。↓

 ・・・there have been 138 racially-motivated murders in Germany since 1990. And last year police registered 140 race attacks in Berlin.
"Those are only the most extreme cases the police know about,"・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8347040.stm

 「トルコのイスラム世界への回帰」はもはや不可避と(コラム#3610で)申し上げたところですが、そのもう一つの裏付けです。↓

 ・・・While creationism and intelligent design appear to be in some retreat in the United States, they have blossomed within Muslim Turkey.・・・
 A recent survey, quoted in a 2008 article in the American journal Science, found that fewer than 25 percent of Turks accepted evolution as an explanation of how modern life came to be -- by far the lowest percentage of any developed nation.・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/07/AR2009110702233_pf.html
 
 「ナポレオンは、フランスが自らつくりだしたナショナリズムによって、最終的に敗北した」という説を少し前、(コラム#3550で)ご紹介したところですが、トルストイの『戦争と平和』に代表されるところの、ロシア人の自己卑下的な見方は誤っており、実は、ロシア側の方が、ナポレオンより戦略的、戦術的に優れていたのでナポレオンのロシア遠征は失敗した、という説が提起されました。↓

 ・・・“one key reason why Russia defeated Napoleon was that her key leaders out-thought him”.
 In reality,・・・the Russian army was one of Europe’s best, its tactics carefully planned to counter those of the Grande Armée(ナポレオン軍). ・・・Russia’s leadership, from Tsar Alexander down, simply understood Napoleon better than Napoleon understood Russia. From the very beginning the Russians expected an attack, thanks to their first-rate intelligence operation in Paris. They also planned for a drawn-out defensive war to wear down Napoleon. ・・・
http://www.ft.com/cms/s/2/8ca4114c-ca62-11de-a3a3-00144feabdc0.html

 当時のロシア皇帝のアレキサンドル1世(1777〜1825年)・・祖母たる皇帝エカテリーナ2世・・実は祖父たる皇帝ピョートル3世!まで・・も母親も皇后もドイツ系であり、事実上ドイツ人と言っても良い・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Alexander_I_of_Russia
は、少なくとも軍事面では、(ヒットラーに危うく敗北しかけた)グルジア人・スターリンよりはるかに秀でていた、という可能性がありますね。

 次回12月5日のオフ会に出席される方は、
http://www.ohtan.net/meeting/
でご連絡下さい。
--------------------------------------------------------------

太田述正コラム#3634(2009.11.8)
<アイン・ランドの人と思想(その2)>

→非公開