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太田述正コラム#3500(2009.9.3)
<皆さんとディスカッション(続x587)>

<アカ>

 --権力はすごい--

 連立協議、今夕から インド洋即時撤退、社民党首こだわらず
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090902AT3S0200L02092009.html

 権力の持つ接着剤の効果がすさまじい勢いで発揮されつつあるな。
 どんどん理念を捨てて現実的になっていっている。

<太田>

 本件についてというより、一般論だけど、自民党が一貫して吉田ドクトリン「右」派勢力であったように、昔の社会党も現在の社民党も、吉田ドクトリン「左」派勢力であることに変わりはない。
 自衛隊にできるだけカネをかけずかつ、本来の仕事をさせない形で、宗主国米国に安全保障・外交の基本をぶん投げ続ける、というのが吉田ドクトリンだけど、その「理念」面・・気持ちイイ・・を強調するのが「左」で、その「現実」面・・おトク・・を強調するのが「右」で、「左」と「右」はテーブルの下で手を握りあってきた、ということさ。
 こういう意味において、政権に入れば、かつての社会党同様、社民党が「左」から「右」に「転向」することは必至でしょうね。

<ΑΟΟΑ>(「たった一人の反乱」より)

 太田さんもよくわかんねえよなあ。
 「日本国民にとって憲法は不磨の大典、ゆえに規範性はない」って言ってるけど、現実には、9条の解釈(とその背後にある国民の属国精神)が日本を独立から妨げてる。
 きっと「解釈で9条は無きものにできるよ!!」って言うんだろうけど、日本の独立と9条とは正反対。
 解釈での実質的9条改正は無理だと思う。
 きちんと改正すべきだと思うんだよね〜。

<οοΑΑ>(同上)

 解釈改憲で集団的自衛権をさっとと認めちまえ、ってのがおーたんの立場なんだろうよ。
 憲法改正は衆参2/3と国民投票1/2だから、憲法改正に拘ると、いつになったら集団的自衛権がOKになるか分からんし。
 解釈改憲で集団的自衛権OKが憲法違反になるかどうか、最高裁がどう判断するかは分からんけど。

<太田>

 長くなるので、一点だけにとどめるけれど、なまじ憲法改正が現実化して、おかしな制限付きの自衛権が条文に明記されるようなことがあれば、それこそ、後世に禍根を残すと思わないかい。
 なお、第9条に係る政府解釈、とりわけその集団的自衛権行使の禁止なる解釈がいかにナンセンスであるかは、拙著『防衛庁再生宣言』70〜77頁で、また、日本における憲法には規範性がないということについては、主なものだけでも、コラム#2526、2922、3079、3207、3221、3223、3241、3255、3384で触れているので、関心ある方はご参照ください。

<οΑοΑ>(同上)

 太田さんの意見ではこのまま属国でいるのが最悪の選択肢と言ってるけど、もっと最悪の選択肢はいくらでもあるでしょう。

 たとえばサヨクが政権を取ったらアメリカから独立した上で、自衛隊も撤廃して危険過ぎる無防備状態されちゃうのだろうし、ウヨクが政権を取ったらアメリカから独立して軍備を増強した上で鎖国を強行し、国力が低下してジリ貧になるんだろうし。

<οΑΑο>(同上)

 一般の国民はもっと冷静だと思うけど。
 自衛隊が必要ないと考える人はそうはいないだろう。
 米から独立というのは、日米安保を双務的にすればいいんじゃないの。
 米が攻撃されれば、日本も直ちに反撃すると。

<ΑοΑο>(同上)

 <οΑοΑさんは、>サヨクとくくってるけど、どの政治団体を想定しているの?
 サヨクは一枚岩じゃないから大丈夫だって。
 共産と社民が合体するなんてありえないし。
 中核と革マルは、風前の灯火だし。

 平和原理主義者が竹内バッテン運動ってのやってたけど、
 http://liveinpeace.jp/kokuminshinsa.html
組織力ねえんだなあwwwって感じの結果。

 「氏名(出身)     罷免要求票数(率%)
 桜井龍子(行政官)  4656462(6.96)
 竹内行夫(行政官)  4495571(6.72)
 涌井紀夫(裁判官)  5176090(7.73)
 田原睦夫(弁護士)  4364116(6.52)
 金築誠志(裁判官)  4311693(6.44)
 那須弘平(弁護士)  4988562(7.45)
 竹崎博允◎(裁判官) 4184902(6.25)
 近藤崇晴(裁判官)  4103537(6.13)
 宮川光治(弁護士)  4014158(6.00)」
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090831dde007010028000c.html

 参考までに。

「最後に、全都道府県について比例選挙の結果を合計すると以下のようになります。
幸福実現党:45万9387
公明党:805万4007(公明党のサイトによると党員数は40万人)
日本共産党:494万3886」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090831_senkyo2009/

<太田>

 では、記事の紹介です。

 前者は論外であり、後者は、官民人材交流センターが何の目的で設置されたかを如実に示してます。↓

 「「官僚の天下りのあっせんの全面禁止」を掲げる民主党政権の発足を前に「駆け込み」とみられる2件の天下りが1日、明らかになった。
 事故米の不正転売事件をめぐって昨年9月に引責辞任した農林水産省の白須敏朗・前事務次官(58)は、同省が所管する社団法人・大日本水産会(東京)の会長に就任する。水産会が1日に開いた臨時総会と理事会で決まった。任期は2年で報酬は年1860万円。 ・・・
 もう1人は、旧厚生省出身で前内閣府審議官の柴田雅人氏。・・・
  柴田氏は旧厚生省の保険局企画課長などを経て、7月に内閣府審議官を退職。その後、同府経済社会総合研究所顧問を8月に辞め、同29日に国保中央会の理事長に就任・・・
 今回の就任について同中央会は「天下りの定義にもよるが、今回は官民人材交流センターを通している」と説明。河村官房長官も1日の記者会見で「天下りの考え方が民主党と私どもで基本的に違う」と語った。
http://www2.asahi.com/senkyo2009/news/TKY200909010332.html

 まだ、「渡り」の際の退職金支払いが行われている方がオドロキ。↓

 「天下り先の日本学生支援機構の理事から8月、文部科学省発令の「渡り人事」で公立学校共済組合の理事長に就任した元文部科学審議官の矢野重典氏(62)が、日本学生支援機構の退職金の受け取りを辞退していたことが朝日新聞の取材でわかった。・・・
 矢野氏の理事長就任については「総選挙前の駆け込み人事」という批判が出ていた。」http://www.asahi.com/national/update/0903/TKY200909020387.html

 ニューヨークタイムスは、民主党の官僚機構との戦いの前途に疑問符を投げかけています。↓

 ・・・Of the 308 Democrats elected on Sunday, 143 are first-time lawmakers; of the rest, only a handful have ever held a cabinet post. What is more, they have few outside sources of help. Japan does not have the United States’ vast number of research groups with their legions of policy experts. And unlike on Capitol Hill, Japanese lawmakers also lack the large staff of aides knowledgeable on policy issues.
 This makes it hard for lawmakers to shake their dependence on bureaucrats, who are often the only people who know where in the stacks of paperwork to find important information, and how to navigate laws and regulations to get things done.・・・
http://www.nytimes.com/2009/09/03/world/asia/03japan.html?ref=world&pagewanted=print

 本来、きちんと典拠に基づく議論をしなきゃダメだけど、官僚機構に政策企画識見を持った人材が集中しているのは、英仏等も同様。米国が特殊なんです。
 日本でも、政権政党が、与えられた権限を行使すれば、英仏等同様、官僚を使いこなすことは可能です。

 舛添要一つぶしの背景を抉ったタイムリーな記事↓。これを読んで、自民党壊滅を改めて確信しました。
http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/seiji/seiji/sei090903.html
 (なお、私が、舛添もまた、到底総理の器ではないと考えていることはご承知の通り。)

 民主党の政権移行チームが発足できなかった裏話を「朝鮮日報」が書いています。↓
 やっぱ、小沢がガンだった。
http://www.chosunonline.com/news/20090902000029

 スタンフォード時代の鳩山の学友達、鳩山を語る。↓

 「・・・小沢(一郎)のようにらつ腕でもなく、小泉(純一郎)のように一徹でもない。強烈な政治信念はなく、政治的リーダーシップはあるとは思えない。でも役割が政治家を作る。幸運ならいい働きをすると思う・・・
 「僕、小沢さん嫌いなんだよね」。同窓生の一人によると、鳩山氏はぼそっとつぶやいたことがある。政治家になる前のことだ。・・・」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090902dde012040015000c.html

 鳩山、小沢が嫌いだったのね。↑

 「・・・ かつて政界の寝業師とよばれ、福田赳夫(康夫の父)率いる福田派(清和会)の大幹部だった松野頼三。元首相、小泉純一郎の最大の相談相手でのあった松野は、鳩山由紀夫が旧民主党の代表を務めていた1999(平成11)年当時、再三にわたってある進言をしていた。
 「小沢を使え。小沢と一緒になれれば、お前さんは必ず総理になれる。小沢と一緒になれ」
 つまり、小沢率いる自由党との合併を盛んに持ちかけていたのである。松野の真意は「寄せ集めの民主党は、このままでは先細りするばかりだ。壊し屋とも異名を取る小沢の破壊する力こそ民主党に必要だ」というものであった。
民主党圧勝、でも、表情が冴えない
 この時、松野のメッセンジャーとなり民主党、自由党双方の根回しに動いたのが藤井だった。しかし、この時は鳩山の反対、というよりも鳩山の妻、幸子の猛反対に遭い、合併は流れる。
 幸子は強硬だった。小沢と一緒になるなら離婚するとまで口走った、と鳩山側近が証言するほどだ。
 鳩山の妻の反対によって頓挫した民主・自由の合併劇が現実のものになったのは民主党代表が菅直人に代わった2003(平成15)年。・・・
 ・・・藤井の表情が冴えない。民主党圧勝だというのに冴えない。
 藤井は漏らす。
 「私はね…、嫌われちゃったからね、小沢さんに」
 藤井によれば、小沢の西松建設不正献金事件が明るみに出た時、藤井は若手の意見を糾合し、やはり小沢側近であった元参議院議員、平野貞夫を通じて数回にわたり代表辞任を要求した。その際、藤井の進言に、
 「誰のおかげでここまで来られたのか」
 と小沢は怒りをあらわにしたという。 ・・・
  小沢側近と呼ばれながら何人もの政治家が小沢の下を去った。それだけではない。去った後、彼らは一様に激烈な小沢批判を繰り返した。
 船田元、二階俊博、そして今も共に民主党代表代行を務める岡田克也…。もしかするとその1人の藤井の名前が加わるかもしれないような状況になっている。
 小沢の言う通りに動いているうちは関係は良好。それが、一度、進言までいかぬとも意見を言うようになった途端、小沢はその人物を意識的に遠ざけ始める。疎まれた方は何が何だか分からぬうちに小沢から冷遇されている自分に気づく。
 今まで何度となく繰り返されてきた構図だ。・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090902/203922/?top

 鳩山の奥サンも小沢が大嫌いだったのね。↑
 大変結構。
 鳩山新首相、小沢を副総理に奉り挙げて、一番いいのは無任所相にすることだけど、しょうがないから総務大臣あたりにして、民主党内での活動を封じ込めることができるかってところだね。
 それと平行して、自らの選挙資金疑惑について、きちんと申し開きをすることです。
 そうすりゃ、小沢の大久保被告の公判や、国会での自民や公明での鳩山、小沢の疑惑追及で、小沢がより傷つき、小沢の政治力を一層減殺することができる。

 少なくとも、4千年近く前から、アイデンティティーを保ち続けて来た民族がいる、というのは驚異としか言いようがないね。↓

 A 3,700-year-old wall has been discovered in east Jerusalem・・・
 The 26-ft (8-m) high wall showed the Canaanite<(注)> people who built it were a sophisticated civilisation, he said.
 Critics say Israel uses such projects as a political tool to bolster Jewish claims to occupied Palestinian land. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8235041.stm

 (注)・・・Israelite culture was largely Canaanite in nature. Given the information available, one cannot maintain a radical cultural separation between Canaanites and Israelites for the Iron I period・・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Canaan
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太田述正コラム#3501(2009.9.3)
<イギリス大衆の先の大戦観(その5)>

→非公開

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