太田述正コラム#3066(2009.1.30)
<米帝国主義について(その1)>(2009.7.25公開)

1 始めに

 コラム#2937でご紹介した、ジョージ・ヘリング(George C. Herring)の『植民地から超大国へ--1776年以降の米国の外交関係(FROM COLONY TO SUPERPOWER--U.S. Foreign Relations Since 1776)』をぱらぱらと順不同で読み始めています。
 この本は、「オックスフォード版米国史(The Oxford History of the United States)」シリーズの中の1冊です。
 著者のヘリングは、米ケンタッキー大学の歴史学の名誉教授です。
 毎度のことながら、英米の学術的一般書の分量(1035頁!)、索引の充実(38頁)に感心するとともに、この本の場合は文献解題の充実ぶり(30頁)にも目を丸くしました。そのほか、写真ないし絵・イラストが51葉、地図もふんだんに(30枚)使用されています。
 それでは、米西戦争の頃からの記述中の引用等をいくつかをご紹介しましょう。

2 引用等

 「神は「我々の文明の中に、それでもって諸民族に判子を押すための印肉を準備され」るとともに、「人類が我々の判子を押される準備をされたのだ」と牧師のジョシア・ストロング(Josiah Strong)は宣言した。」(PP304〜305)

 「米国は、「英帝国より高貴な使命(destiny)を担ったところの、より偉大な英帝国」になるべく運命づけられている、とインディアナ州選出上院議員で筋金入りの拡張主義者であるアルバート・ジェレミア・ビヴァリッジ(Albert Jeremiah Beveridge)は宣言した。」(PP305)

 「キューバの米国化と究極的には併合について、拡張主義者のジェームス・ハリソン・ウィルソン(James Harrison Wilson)は、こう総括した。「我々がそうするのは、それが高貴で正義で正しい上に、収支相償うからだ」と。」(PP305)

 「ジェームス・ブラウント(James Blount)・・・は、海外への拡張に原理的に、かつ人種的理由から反対した。「我々はこれらの人々と共通な点を全く持っていない」と。」(PP306)

 「マッキンレー(McKinley)<大統領>は、「我々は、かつて我々がカリフォルニアを必要としたように、ハワイを必要としている。それは明白な使命(Manifest Destiny)なのだ」と語った。」(PP317)

 「ならず者(ragtag)のキューバ人達は、「火薬が地獄に向いていないのと同じくらい」自治には向いていない」とシャフター(Shafter)将軍は喚いた。」(PP321)

 「マッキンレーは、・・・<フィリピンについて、>「フィリピン人を教育しろ、そして連中を向上させてやって、文明化させてやって、そして連中をキリスト教徒にしてやれ。そして神のご加護により連中を使って我々ができる最も良いことをやれ」と語ったと伝えられる。」(PP322)

 「<フィリピンの植民地化について、>「・・・「ピッチフォーク・ベン」ティルマン("Pitchfork Ben" Tilman)は、「米国社会(body politic)に、---劣った無知な人々の悪しき血を注入してはならない」と激しく反対した。」(PP323)

 「<米国のフィリピンにおける>勝利は、米国の関わったすべての戦争中の最も高い死傷率5.5%・・死者4,000人、負傷者2,800人・・でもって購われた。・・・推定でフィリピン人20,000人が戦闘で死に、約200,000人の一般住民が戦争に関連した死をとげた。」(PP329)

 「<支那に関する門戸開放宣言を打ち出した>マッキンレーと<国務長官の>ヘイ(Hay)は、支那のことなどほとんど関心はなかった。ヘイは、米国と友人になりたいと思う支那人すら侮蔑していた。だから彼らのために行動する時でも、事前に彼らと相談することはなかった。」(PP334)

→米国の海外進出・・帝国主義・・は、人種差別的に正当化されたということです。
 また、これに反対する人々だって、一皮むけば、差別対象たる人種と混淆することをおぞましく思ったからに過ぎなかったということです。
 改めてオバマが大統領になったこと、なれたことの画期的な意義に思いを致さざるをえません。(太田)

(続く)