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太田述正コラム#3346(2009.6.20)
<小沢的なものとの決別を>

1 西松建設前社長らの公判

 西松建設前社長らの公判について、昨夜の時点で、産経新聞の電子版は、西松建設前社長らの公判について速やかにおびただしい報道を行いました。
 文字通り、他紙の電子版を量的に圧倒していました。
 産経は自民党「タカ」派のご用新聞のようなものであり、自民党危急存亡の総選挙近しということで、かねてよりの民主党攻撃にますます力が入っている、と皮肉の一つも言いたくなりますが、ここはぐっとこらえて、同紙を褒めておきましょう。

 関心のある方は、下掲の記事を、一番下の
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090619/trl0906191114004-n1.htm
(6月19日アクセス)
から始めて、次々に上へと読んで行ってごらんなさい。

【西松前社長 最終弁論(下)】多額の献金をするのは「嫌われたくないから」
【西松前社長 最終弁論(上)】「軽微な形式犯、罪刑越える非難許されぬ」 
【西松事件公判 論告(下)】「小沢事務所側も工作に協力」
【西松事件公判 論告(上)】外為法違反「まさに2人が首謀者」
【西松事件公判(10)完】「競争に勝つため献金は不可欠 西松だけしないのは不可能」(14:35〜14:45)
【西松事件公判(9)】「トンネルの神様」の話で政治団体誕生(14:15〜14:35)
【西松事件公判(8)】「規正法を踏みにじる犯行」「周到かつ巧妙な偽装工作」(13:55〜14:15)
【西松事件公判(7)】談合「あったほうが楽? なかったほうが楽?」裁判長の問いに国沢被告は…(13:35〜13:55)
【西松事件公判(6)】「会社のためとはいえ…悔悟の念で一杯」藤巻被告が吐露(13:15〜13:35)
【西松事件公判(5)】“力添え”を頼まれた大久保被告「よし、わかった。西松にしてやる」(11:05〜11:15)
【西松事件公判(4)】西松の献金「ゼロ回答」に「そういう訳にはいきません」(10:45〜11:05) 
【西松事件公判(3)】西松経営難で蜜月崩壊…「献金減額」に渋い顔の大久保被告(10:30〜10:45)
【西松事件公判(2)】「ゼネコン、小沢事務所の『天の声』で談合取りまとめ」と検察側(10:15〜10:30)
【西松事件公判(1)】「間違いありません」…検察側、裏金捻出の実態指摘(9:59〜10:15)

 そんな時間あるわきゃないだろって?
 大丈夫。
 このコラム読むだけで、大体のところは分かりますよ。

 即日結審した背景は、次のようなことであったようです。

 「・・・組織改革を進めている同社側が、6月26日の株主総会前に事件を総括するため、早期の結審を望んだ結果だったという。今月上旬から検察側に即日結審を打診し、検察側も論告求刑の準備まで急ピッチで進めた。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/0620/TKY200906190474.html
(6月20日アクセス)

2 最大のポイント

 この公判の最大のポイントは、

 「・・・西松建設の違法献金事件初公判で検察側は19日午前、冒頭陳述で、西松が小沢一郎民主党代表代行の事務所から岩手県と秋田県の公共工事5件について「天の声」を得て、うち4件の工事は談合が成立して受注したと指摘した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090619/trl0906191116005-n1.htm
(6月19日アクセス)
 「・・・小沢事務所の「天の声」で同社の共同企業体(JV)が受注した両県の公共工事は122億円に上ると指摘した。・・・
 ・・・小沢事務所との関係が良くなかった西松建設は両県での公共工事を思うように受注できなかったため、95年ごろ年間300万円程度だった献金を1000万円以上に増額した。95年に政治資金規正法が強化され、同社は社名を出さずに献金するためダミー団体を作り、97年以降は小沢事務所の示唆で献金額を2500万円に増額。どこにいくら振り込むかは小沢氏側から請求書が送られ、また、「多額の献金が社会の耳目を引かないよう、名義をできるだけ分散してほしい」と求められたという。小沢前代表の公設第1秘書の大久保隆規被告(48)は、00年ごろから献金を巡る交渉や「天の声」を出す役割を担い、献金名義や額の割り振り案を記した一覧表を西松側に提示したという。・・・」
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090620k0000m070156000c.html
(6月20日アクセス)

というくだりです。

3 各方面のコメント

 (1)与党

 与党の自民党及び公明党の幹部は一斉に小沢氏と民主党を批判、説明責任を果たすよう要求しました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090619/stt0906192034025-n1.htm
(6月19日アクセス。以下同じ)

 その限りにおいては、当然のことでしょう。

 (2)民主党

 鳩山:「・・・「裁判の話だから、われわれがコメントする立場にはない。検察側の言いたいことが出ただけで、真実はこれから出てくる」・・・」
 小沢:「・・・この日、衆院本会議を途中退席し、「『天の声』について反論はないか」との記者団からの質問にも終始無言で、足早に国会を後にした。 その後は、取材要請にも応じず、いつものように雲隠れした。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090619/stt0906192224027-n1.htm

 何度も言います。
 小沢は政治家失格であることはもちろんですが、人間失格です。

 (3)小沢の大久保秘書の弁護士

 「・・・<小沢関連の>陸山会と民主党岩手県第4区総支部・・・<の>ほか自民党関係の団体が西松関係の政治団体から献金を受けた事実については、検察官は、証拠が十分にあるにもかかわらず、その実態を明らかにしておりません。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090619/trl0906191613021-n1.htm

 「だからどうしたの?」で終わりのグチですね。
 他にも悪い奴がいるのにどうして小沢/大久保だけが非難されるのって言ったって、悪い奴は悪い奴でしょうが。

 なお、二階の方が立件されていないことについては、

 「・・・西松建設・・・は1999年11月ごろ、当時副社長だった前社長・国沢幹雄被告(70)の指示で、関係会社にマンションを購入させ、二階氏の実弟が運営していた「関西新風会」に事務所を提供。同会は家賃として年間約280万円を同社に支払い、西松側は、これを補填するため、二階氏が代表を務める政党支部に年間300万円を献金することにした。
 特捜部は当初、西松側と実弟の間で無償提供の合意があり、「家賃」の支払いとその補填は、無償提供の実態を隠す偽装工作だった疑いがあるとみていた。無償提供が事実なら、政治資金規正法が禁じる企業からの寄付に当たる。
 特捜部の聴取に対し、西松関係者は家賃の補填目的で献金をしていたことを認めたとされる。しかし、捜査の過程で、献金が中断していた時期があることが判明。この期間も家賃の支払いが続いていたことから、無償提供を立証するうえで障壁の一つとなっている。
 一方、政党支部への献金は2006年に再開され、西松関係者は同年と07年に、個人献金を偽装して年間300万円の献金をしていたことを認めている。政党支部の収支報告書には、個人献金の欄にこの献金に相当する金額が記載されていた。この処理について、市民団体のメンバーなどが、政党支部の会計担当者らを政治資金規正法違反(虚偽記入など)容疑で特捜部に刑事告発している。
 西松関係者によると、献金の再開に当たっては、同社幹部(当時)と二階氏の公設第1秘書が話し合っており、秘書は、これらの献金が同社からの献金だったと知っていた可能性が高い。しかし、この秘書は、直接、収支報告書の作成を担当していないとみられ、同法違反に問うのが困難な状況もあり、特捜部が慎重に捜査を続けている。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090620-OYT1T00007.htm?from=main1
(6月20日アクセス)

という事情があるようで、このことで検察を批判しても始まらないような気がします。

 「・・・検察官は「特に岩手県下の公共工事については小沢事務所の意向に基づいて受注業者が決定され」ていたなどと主張しました。一部の者の一方的供述に基づくものであり、その主張内容もそれ自体が極めて抽象的です。大久保氏が、具体的な工事について、検察官の言う、小沢事務所の「決定的な影響力」なるものをいつ、いかに行使したのか、そもそも公共工事における「決定的な影響力」とは何であったのか、全く具体性を欠いています。・・・」(産経上掲)

 ここが最大のポイントであることは確かです。
 しかし、

 「・・・東京地検特捜部は、違法献金の動機を明らかにするためにも、東北地方の公共工事をめぐるゼネコン談合組織と小沢事務所の関係について、この初公判で指摘することを早期に決めたという。東京地検内には、「検察の説明責任を問う声も高まっていたので、ぜひそれに応えたい」という考えが強かったという。
 ただし、最高検など上級庁と公判の方針を検討する中で、「踏み込んだ内容にして、小沢氏側の余計な反発を招くことにならないか」との慎重論も出た。
 特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ。それが上級庁との検討を重ね、約半分となった。西松建設以外のゼネコン各社と小沢事務所の関係など、直接立証にかかわらない部分を削っていった結果だという。
 また、談合にかかわる罪は立件しておらず立証する必要もないことから、西松建設の献金の動機という範囲におさめるように工夫したという。・・・」(朝日前掲)

であったようであり、小沢/大久保が正面から争っても勝てそうもありません。

 だからでしょう、

 「・・・注目される大久保秘書の初公判については、検察側、弁護側とも総選挙に影響を与える可能性があることについて考慮しているため、「総選挙前に開かれる可能性は低い」という。 ・・・」(同上)

と、検察側が慎重なのは分からないでもないものの、小沢/大久保側は、完全に腰が引けて逃げ回っているという印象です。

4 コメント

 小沢一郎の政治生命を完全に絶つと同時に小沢につながる民主党内の汚染人脈、すなわち民主党内に巣くう自民党的分子を根こそぎ除去しない限り、民主党中心の政権が樹立されても、長続きはしないでしょう。
 読者の皆さん、今度の総選挙における民主党候補者達の、ネガティブリスト・・理由入りの当選させたくない人のリスト・・をつくりませんか。
 喜んで私のホームページのスペースを提供し、全責任は私が負いますよ。
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 上記以外の記事の紹介です。

 「・・・情けないのは・・・地方農政局や農政事務所の調査の実態だ。生産調整(減反)の基礎データとなるコメ在庫量などの調査で、専門官らによるウソ報告が常態化していたというのである。農水省などは56人を虚偽報告で処分した▲初めに九州農政局で明るみに出た事例には、調査名目で17回も出張しながら公園で時間をつぶし架空のデータを捏造(ねつぞう)していたケースもある。その後の全国調査でも虚偽報告や、調査への協力者に渡すはずの謝礼の私的流用が続々と発覚した▲・・・虚偽データが公の制度や政策をどうゆがめようと意に介さない職業倫理の退廃が組織全体をむしばんでいたのだ。信用の失墜が減反政策にも及ぶのは避けられそうにない。・・・」
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20090620k0000m070152000c.html

 小沢らを始めとする、自民党的なものがここ↑まで官僚機構を堕落させたのです。
 繰り返します。
 今度の総選挙で自民党及び自民党的なもの・・もちろん公明党も・・を断罪し、壊滅させましょう!
 
 人民網が、日中経済比較を行い、例によって日本の絶賛しています↓。
http://j.peopledaily.com.cn/94476/6682069.html
http://j.peopledaily.com.cn/94476/6682212.html

 だけど、「宇宙航空技術の分野・・・では中国は日本を追い抜いて・・・いる」だってさ。
 そんじゃ、この分野で日本、頑張らなくっちゃ。
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太田述正コラム#3347(2009.6.20)
<イラン燃ゆ(その3)>

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