太田述正コラム#3296(2009.5.26)
<皆さんとディスカッション(続x497)>

<太田>

 --北朝鮮・・ついに終わりの始まり?--

 金正日の明白な健康不安の下、テポドン2発射、開城工業団地閉鎖への動きに引き続き、今回の地下核実験と、北朝鮮の悪あがきが続いています。
 金王朝に、ついに終わりの始まりが訪れたのでしょうか?

 皆さんのうっぷんをこの際、晴らしてください。

<ソムナムナー>

 重村教授の『金正日の正体』(講談社, 2008年 ISBN 9784062879538) だと、金正日は、とっくに死んでいるということみたいですが。
 かなり、自信を持った論調で書いていました。

<文十郎>

 時間が経つと物資の不足でミサイルを打てなくなり、核実験(実態は?)も出来なくなるので、バンザイ突撃を始めている気がします。
 本当に核兵器を持ってして、有効なミサイルを保持しているとするとアメリカが放置しないと思います。

<深雪>

 私たちができる事はせめてもの鬱憤晴らし?
 いや、民意もしくは世論喚起こそが本意であってしかるべきはず。
 しかしながら、隣国に核弾頭が搭載可能なミサイルシステムが配備されようとしている、もしくはその体勢が整ったというのに、この己の中の平和はどうだろう。

 北朝鮮が核開発を急ぐ理由は、彼らの論理に立ってみれば充分理解できる。
 かつての馥郁たる体躯の半分ほどにやせ衰えたかの地の将軍さまにX-dayを感じるのは不遜だろうか。
 アメリカ様まで跪かせる勢いのたった数発の核の効用を、今ほど感じ学習している国は北朝自身であるし、・・・北朝が商品として売れるものはミサイルと核だけ。
 こんな状況の北朝なれば、北朝でなくとも核開発に頼りたくなるだろうし、いわんや放棄などするわけがない。

 しかしながら、それらは悉く私たち自由主義陣営の利害と対立するもので、また、アメリカの斜陽は本来日本の曙であるはずが、共に落日の如き一蓮托生の道を歩みつつある我が日本国。

 アメリカを完全なる射程には置かないテポドン2号改良型を見れば、アメリカが本気で北朝を潰すとは思えない。
 米軍基地が存在し、片務的とはいえアメリカにとって同盟国として重要な日本が北朝の核ミサイルのターゲットになりつつある今、アメリカが取り続けている策は、北朝鮮に対する懐柔と妥協のみだ。
 この期に及んで、国家安全保障に関する自主独立の気運の訪れがない我が麗しき日本国の、穏やかなる日本国民。

 あぁ。

<太田>

 鬱憤叙情詩としては、出色の作品ですねえ。
 パチパチ。

<深雪>

 --典拠--

 核開発の始めからあった、北朝の核ビジネス

「北朝、中東にスカッド・ミサイル450基を輸出」: 2002/12/11
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/12/11/20021211000052.html
「北朝、リビアに核物質輸出 代金決済まで終了」 : 2005/03/25
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/03/25/20050325000019.html

<太田>

 さすが深雪さん。
 打てば響くように若干の典拠を探し出しましたね。(残念なことに、無料サイトじゃありませんが・・。)
 しかし、せっかく典拠を探し出した箇所ですが、必ずしも書く必要がなかったのでは?
 というのは、偽札や覚醒剤ビジネスだってやっているところ、次第に各国の取締が厳しくなり、また、ミサイルや核についても、米国を中心とする大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)等によって、北朝鮮がこの種のアングラ・ビジネスを続けるのは次第に困難になってきているからです。
 なお、↓の報道を参照のこと。

 「・・・韓国政府は26日、北朝鮮が25日に2度目の核実験実施を発表したことを受け、・・・PSIへの正式参加を発表した。韓国のPSI参加に対して「わが国への宣戦布告だ」と警告してきた北朝鮮の強い反発が予想される。李明博政権下で悪化した南北関係の修復はさらに難しくなった。・・・
 韓国政府は、北朝鮮が4月5日に長距離弾道ミサイルを打ち上げた対抗措置として、発射後直ちにPSIへの正式参加を発表する予定だった。しかし政府内に慎重論があり、参加を見送った経緯がある。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090526/kor0905261104010-n1.htm 

 本件に関する英米のメディアによる報道ぶりについては、本日の非公開コラムで紹介することとし、日本の主要メディアと朝鮮日報における、事実関係についての報道ぶりを、記録目的でコピペしておきます。

 「北朝鮮は25日に核実験を実施する前に、米中両国には外交ルートなどを通じて事前に通報していたと伝えられる。2006年10月の最初の実験の際は中国には直前に知らせていたが、今回は米国も加えた。・・・」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090526AT2M2503Q25052009.html

 「・・・<北朝鮮のように、>濃縮ウラン<爆弾ではなく、>プルトニウム爆弾をつくる場合、高い製造技術を必要とするため、核実験を行い、それを確認していく必要がある。
 今回、・・・広島型原爆よりは規模は小さいが、核兵器としては十分な爆発を起こしていた可能性がある。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090525-OYT1T00583.htm

 「・・・第2次世界大戦末期に広島へ投下された原爆は威力が15キロトン、同じく長崎へ投下された原爆は威力が22キロトン・・・
 <韓国の>専門家らは、北朝鮮がこの3年間で核爆発を引き起こす起爆装置の改良に成功したと見ている。ある消息通は、「北朝鮮は韓米情報当局の追跡を避け、屋内で起爆装置開発のための高性能爆薬の実験ができる施設を整えたことが分かっている」と語った。
 <韓国>軍当局は今年4月5日に発射された「テポドン2号」・・・に核弾頭を搭載するには、核弾頭は直径60センチ以下、重さは300−500キロ以下にまで小型化しなければならない<としている>。・・・
 <北朝鮮は、>テポドン2号のような長距離弾道ミサイルに搭載する核弾頭を作ることはまだできていないものの、より重い弾頭を運べるスカッド(射程距離300−500キロ)やノドン(射程距離1300キロ)といったミサイルに搭載可能な核弾頭を作ったという可能性が提起されている。スカッド・ミサイルやノドン・ミサイルには直径60センチ以内、重さ500キロ−1トンの核弾頭を搭載できると分析されている。パキスタンで「核開発の父」と呼ばれるカーン博士は、北朝鮮を訪問した際、ノドン・ミサイルに搭載される核弾頭を見たことがある、と証言した。・・・
 国際社会では、<北朝鮮は、>2度の核実験でおよそ10キロ余りのプルトニウムを使用し、核兵器4−6個以上を製造可能な量に当たる30−40キロのプルトニウムをまだ手元に残していると見ている。核施設の再稼動に乗り出した北朝鮮が使用済み燃料棒を追加で再処理した場合、さらに6キロから7キロのプルトニウムを確保することができる。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090526000020
http://www.chosunonline.com/news/20090526000021

 「・・・ソウル大学原子核工学科の李銀哲(イ・ウンチョル)教授は、「核実験を実施した地下坑道の幅、長さといった構造と、地質の性格、そして岩盤構造などによって測定強度が変わることもある。1回目の実験のときと完全に同じ条件で今回の実験が実施されたなら、威力が強まったと言えるが、今回も前回と同じ条件で実験したかは疑問だ」と話した。・・・
 自然地震は規模が大きいほど、断層が長い時間にわたって長く割れることで、地震波は低周波になる。一方、核実験による人工地震は、核爆弾が一瞬で破裂して発生するため、地震波が高周波になる。・・・
 <また、>自然地震とは違い、核実験では音波が観測される・・・
 <更に、>核爆弾を爆発させる実験を行ったなら、・・・放射能物質が発生する。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090526000019

 「・・・北朝鮮が4月・・・に発射した、・・・アラスカの一部<やハワイ>に到達できる・・・6700キロを飛ぶ・・・長距離ミサイルに転用可能な<テポドン2>ロケット・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090526000020
「は3200キロ飛んだ。98年の初回発射時<は>1620キロ・・・<だっ>た。北朝鮮は今年に入り、核と長距離ミサイルの性能をこれまでより2倍に改良することに成功した形だ。・・・
 現在の韓国は北朝鮮の核とミサイルの脅威にさらされ、まさに「自衛のための抑止力」を必要としている。韓国と韓国国民の生存が脅かされる状況になれば、今のように手足を縛られた・・・核拡散防止条約(NPT)とミサイル関連技術輸出規制(MTCR)、韓米ミサイル覚書など<の>・・・国際条約の制約を放置できないという覚悟で、北朝鮮の核と弾道ミサイルの問題に対処すべきだ。」
http://www.chosunonline.com/news/20090526000015
http://www.chosunonline.com/news/20090526000016

→よくぞ言った! 日本の主要メディアはどこもこんなことよう言いませんが・・。(太田)

 「・・・また北朝鮮は同日午後、咸鏡北道花台郡舞水端里および元山一帯から計3発の短距離ミサイル(射程距離160キロ以内)を発射した。韓国政府の消息通は、「北朝鮮は今回、異例にも地対空・地対艦・地対地の3種類のミサイルをすべて撃った」と語った。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090526000017

<こくぴと>

 「日本型経済体制」<シリーズ>の「その4」は無いんでしょうか?

<太田>

 「その3」が「(続く)」となっていましたが、遺憾ながらありません。
 私の江戸時代を扱った数多くのコラム・・と言っても石川英輔らの著作に全面的に依拠したもの・・をご参照ください。

<読者2>

 ueyamaさん<(コラム#3277)、>Housequakeいいですね。プリンスのダンスの切れもすばらしい。
 見てたらマイケルジャクソンを思い出しました。

 Smooth Criminal ムーンウォーク!!。7:20あたりでZero Gravity!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6689951?oldplayer=1

<太田>

 久しぶりに音楽関係の投稿、サンキュー。

 本日の記事の紹介は1件です。

 日本が40年間統治した大連ってところは、日本と支那双方にとって特別なところのようですね。
 ・・・A century ago, two foreign empires battled over control of Dalian, which was prized for its ice-free deep-water port.
 In Russia, the city was known as Dalny and Czar Nicholas II sought to duplicate the success of Vladivostok, a major Russian port on the Pacific. But after years of war, the Japanese army eventually prevailed in 1905 and the city was renamed Dairen.
 For four decades, Japanese engineers rebuilt the seaside gem, which on many maps of the era was shown as part of imperial Japan, with a population of 300,000 Japanese.
 Modeling the city after their homeland, for example, they built the Dalian train station, still considered among China's best, as a replica of Ueno Station in Tokyo.
 Between 1931 and 1945, when the Japanese army was accused of conducting civilian executions elsewhere in China, most notably in the city of Nanjing, Dalian was spared.
 "The Japanese have always been rather paternal toward Dalian," said Gao Wei, general manager of the Dalian Software Park. "There aren't the tensions here that there are in the rest of China."
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-fg-china-dalian25-2009may25,0,3570117,print.story
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太田述正コラム#3297(2009.5.26)
<北朝鮮の2度目の核実験をめぐって>

→非公開