太田述正コラム#3243(2009.4.29)
<皆さんとディスカッション(続x471)>

<太田>

 前回(コラム#3241でとりあげた)植田信さんのご意見を見て、郵政民営化をどうして小泉純一郎が推進したか、基本的事実を皆さんに理解していただく必要があると思いました。

 ウィキの以下の記述を参考のために掲げておきます。

 「・・・郵政民営化に対しては米国からの強い要求が存在した。2004年10月14日に公表された「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(略称:年次改革要望書)には日本郵政公社の民営化の要求が明文で記載されている。米国の保険業界にとって、120兆円を超える「かんぽ」資金は非常に魅力的な市場であり、米国政府は要望書で自国保険業界の意向に沿う形で「簡保を郵便事業から切り離して完全民営化し、全株を市場に売却せよ」と日本に要求している。これを受け、郵政民営化について政府の郵政民営化準備室と米国政府・関係者との協議が2004年4月以降18回行われ、うち5回は米国の保険業界関係者との協議であったことを2005年8月5日の郵政民営化に関する特別委員会で大門実紀史参議院議員の質問に竹中平蔵郵政民営化担当相が答弁で明らかにしている。さらに2005年3月9月に閣議決定した「内閣の設計図」(小泉内閣の基本方針)に「米国が勧告していた修正点が含まれている」と述べられ、米国政府は米国の勧告で郵政民営化法案の骨格が書き換わったことを公文書に記載している。・・・」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%B5%E6%94%BF%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96

<一言居士>

 コラム#3241における<一読者>さんのご意見に対し、冷静に対応(回答)されていたので、懐の深さを窺い知ることができました。さまざまな考えを持った人たちがいるから、このコラムも成り立っていくのだと思いました。

 ところで、NHKの報道番組の構成と内容には大きな疑念がもたれており、このことはたびたび指摘されていますが(典拠省略)、これに関し、先日は保守中道と思われる評論家、三宅久之氏も指摘していました。

 三宅久之氏が指摘したNHKの偏向(ねつ造)放送(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=8qW4tpwlV8o

 多くの日本人は、数ある報道媒体のなかでNHKを最も信頼しているようなので、危惧の念を強く抱きます。視聴者を愚弄するようなNHKの姿勢と、ねつ造にも近い偏向報道は日本の未来に多大な影響を与えていくことは間違いありません。

 「メディアの信頼度、NHK・新聞70点超え 新聞通信調査会」
http://www.j-cast.com/2009/03/09037293.html
「2008 年7月 公共放送に関する世論調査」 質問文と単純集計結果」
www.nhk.or.jp/pr/keiei/keikaku/pdf/yoron2008.pdf

<けんちゃん>

 太田先生早速ご高説を戴き、感謝しております。
 先生は同盟には共通の敵が必要だと言われました。各国が軍備を持ち年々軍備を拡充している以上、必ずや仮想敵国を持ちそれに対抗する為の努力をしているものと思います。
 しかしこの仮想敵国は国益に従い時と共に変化するものと思います。
 たとえ日米と中共が共通な仮想敵国を持っていなくとも、各国が目指しているものは国家の更なる繁栄で、例えば、米国は中国から製品を輸入し、中国は日本からの高度な技術を学び、習得し輸出物資に反映する。これは少なくとも日米と中共の共通した相互の政治的課題で、これからは米国、中国、日本が助け合い世界をリードする時代が来るのではないでしょうか。経済面で共存できるのに、国家の安全を確保する為の努力は出来ないものでしょうか?
 将来の外交努力により3国同盟が出来れば、日本の米国に対する属国的対応に終止符をつけ、又同盟により地域限定的な防衛をすることにより、軍備の拡張に歯止めが出来るのでは、と考えます。中共も将来は自由民主主義に転向せざるを得ないのでは。
 先生のご意見を再度頂戴できれば幸甚です。

<太田>

 最近、いちいち申し上げていませんが、「先生」は止めましょう。
 仮想敵国が必要だったのは昔の話だと申し上げたつもりです。
 これからの同盟に必要なのは、共通の政治的価値観です。
 政治的/宗教的自由を認めず、台湾を武力「解放」するタテマエを崩さず、また、ダライラマとの実のある対話を拒否し続けている中共と同盟など組めるはずがないではありませんか。 

<Chase>(http://blogari.zaq.ne.jp/fifa/category/8/

 ・・・重村智計氏の書いたもの、実績を見れば(典拠省略)、氏は極めて事実に忠実で、勇気を持って報道に携わっていることは明白だ。その結果の予測・推測の間違いならいたしかたがないだろう。直観といえばそれまでだが、そこらあたりのポンコツ評論家とは雲泥の差を感じる。
 太田述正氏も真面目で正直な評論家である(しかし、太田氏は重村氏の本「外交敗北」を読むに値しないとブログで揶揄しいたが)。
 ・・・

 <高橋洋一氏のほか、>there has been made an appearance of another great person in recent years. His name is Mr. Nobumasa Ohta, ex-director of Defense Ministry.
 He is also well known as a most active critic in Japan, and He towers above his contemporaries as an critic.
 From the standpoint of our new philosophy adopted which is adovocated by Nobumasa Ohta, it seems to me that the position and opinions of Mr. Yoichi Takahashi is more or less unworthy, and lower grade than Mr. Ohta. Because Mr. Ohta have fundamentally, radically exposed the truths that ever unseen in public, making use of the theory of tributary state in view of wide range of references than Mr. Takahashi.
 Therefore, all we have to do first is to promote Mr. Ohta's opinion which will enable Japan to change better and to spread all over the Japan much more than now. In combined with, on the basis of Mr. Ohta's idea, speeches of other ex-bureaucrat are to be promoted.

<太田>

 太田テーゼの普及、しかも英語での普及にご尽力いただき、まことにありがとうございます。

<深雪>

 <音楽の話を続けます。>
 還暦のジュリーも素敵ですよ。

▼今夜はあなたにワインをふりかけ 
http://www.youtube.com/watch?v=uduIHcD121A&feature=channel_page
▼そのKissが欲しい
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=7nZEAyF3iXs&fmt=18

 ジュリーは12才からファンなんです。
 男らしさは、圧倒的な色気なんだなぁと、これらの画像を見て思います。
 60でもバリバリ現役。そんな感じですか。
 男は50過ぎてからだなぁと、このごろ実感しますわ。

<太田>

 ジュリー(沢田研二)、僕と同学年だったんだ!
 「妻(再婚)は女優の田中裕子(前妻はザ・ピーナッツの伊藤エミ)」
 エ! 彼が離婚して再婚したことも知らなかった!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A2%E7%94%B0%E7%A0%94%E4%BA%8C

 この機会に、タイトルを覚えている沢田研二の歌をユーチューブでハシゴしてみました。
 「危険なふたり」、「時の過ぎゆくままに」、「勝手にしやがれ」、「LOVE (抱きしめたい)」、「カサブランカダンディ」、「憎みきれないろくでなし」、「Tokio」。
 やっぱ、懐かしいねえ。
 知らなかったけど、フランスでヒットした彼の曲があったんですね。

巴里にひとりmon amour Je VIENS DU BOUT DU MONDE
http://www.youtube.com/watch?v=7YBCAWG1o5Y

 びっくりしたのは、彼が「有楽町で逢いましょう」カバーしてたこと。
http://www.youtube.com/watch?v=PnuUQqS3low&feature=channel

 このフランク永井の歌は、私がカイロ時代に現地で聴いて、望郷の念にくれたもんです。東京の、しかも有楽町なんて、ほとんど知らなかったのにね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%A5%BD%E7%94%BA%E3%81%A7%E9%80%A2%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86

 深雪さん、ありがとう。

 この際、前回出たユンディー・リーの話の補足をしておきましょう。

 ショパンのスケルツォ2番(作品31)は、後半、スピードと力が要求される難曲です。 この曲のユーチューブ上での最高の演奏は、ジメルマン(Zimerman。ポーランド人(後出)によるものです。入神の域に達していると言ってもよい。
http://www.youtube.com/watch?v=A799HrP3POM&feature=related&18
 次いでは、ミケランジェリ(Michelangeli。イタリア人)の演奏じゃないかな。彼の手にかかると、この難曲が易しい曲のように聞こえちゃうから恐れ入ります。
http://www.youtube.com/watch?v=kfPjrahvGGw
 ユンディー・リーの演奏
http://www.youtube.com/watch?v=alGaVou6lfk&feature=related
は、テンポを抑制気味にしているのは結構なのだけれど、全般的に音が大きすぎるため、陰影にやや乏しい演奏になっています。
 最後に、稀代の名手ルービンシュタイン(Rubinstein。1887〜1982年。ポーランド生まれのユダヤ人)の脂ののりきった45歳くらいの時の演奏(1932年)なのですが、一体どうしたのでしょうか、(全般的にテンポが速すぎることもあり、)後半よたっちゃってます。この4人の演奏の中では一番できが悪い。
http://www.youtube.com/watch?v=NEi2mleDRwk&feature=related

 では、記事の紹介です。

 「 民主党の鳩山由紀夫幹事長が28日の衆院本会議で、進退問題を抱える小沢代表に代わって代表質問に立った。・・・
 3月になって、鳩山氏に胃潰瘍が見つかっている。周囲には「ほとんど治ったから大丈夫」と語るが、心労は募っている。
 代表辞任の道筋をつけるよう求める声が次々と寄せられてくる。中堅・若手だけではなく、先週は藤井裕久最高顧問から辞任勧告を促され、27日には渡部恒三最高顧問から「説明責任を果たすといっても国民が納得しないということを分からないのか、君は」としかられた。あるベテラン有力議員は「そろそろ鳩山が小沢に言わないといけない」と指摘し、鳩山氏がカギを握るとみる。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY200904280304.html

 「靖国神社「百日無主」の背後」という、人民網の記事は面白い。日本の主要メディアはこんな話の報道にすら腰が引けているでしょうか。
http://j.peopledaily.com.cn/94474/6646712.html

 上出のジメルマンが、オバマ政権が、MD基地を自分の国のポーランド(とチェコ)に条件付きとはいえ、予定通り設置すると決めたことに抗議して、米国ロサンゼルスでの公演中に抗議の声をあげ、演奏を止めてしまったことが英米で話題を呼んでいます。
 彼の反米的言動は今に始まったことではないようですが・・。
 それにしても、ピアノのトッププロが、どんなに周到に公演の準備をするか、また、米国が9,11同時多発テロの再発防止にいかにやっきになっているかもこの記事からうかがえて面白い。
 ・・・Krystian Zimerman, the great Polish concert pianist,・・・triggered more than the usual rumble of discomfort when he raised his voice in the closing stages of a recital at Los Angeles' Disney Hall on Sunday night and announced he would no longer perform in the United States in protest against Washington's military policies.・・・ He was about to strike up the first notes of the final piece on his programme, Karol Szymanowski's Variations on a Polish Folk Theme, when he "sat silently at the piano for a moment, almost began to play, but then turned to the audience".・・・
 Zimerman, though, has developed something of a track record - especially since the 9/11 attacks. In 2006 he announced he would not return to the United States until George Bush was out of office. The same year, at Baltimore's Shriver Hall, he prefaced his performance of Beethoven's Pathetique sonata with a denunciation of America's prison at Guantanamo Bay.
 At least some of his opprobrium appears to be personal. Shortly after 9/11, his piano was confiscated by customs officials at New York's JFK airport, who thought the glue smelled funny. They subsequently destroyed the instrument.
 For several years he chose to travel with just the mechanical insides of his own piano and install them - he is a master piano repairer, as well as player - inside a Steinway shell he borrowed from the company in New York. In 2006 he tried to travel with his own piano again, only to have it held up in customs for five days and disrupt his performance schedule.
http://www.guardian.co.uk/music/2009/apr/28/krystian-zimerman-missile-defence-poland

 ジメルマンにどちらかと言えば批判的な記事、例えば
http://www.latimes.com/news/opinion/la-ed-zimerman28-2009apr28,0,7300067,print.story

が多い中で、ガーディアンは、全面的に彼を擁護するブログを掲載しました。
http://www.guardian.co.uk/music/tomserviceblog/2009/apr/28/pianist-krystian-zimerman
 このブログは、第一次世界大戦後にポーランドの首相になった、当時の世界的ピアニストのパデレフスキー(Paderewski。1860〜1941年)
http://www.youtube.com/watch?v=f9ZxnObmcdU
まで持ち出して擁護論を展開していますが、これはおかしい。
 カネをとって公演をやっている途中で公演を投げ出すなんて、プロとしては絶対やってはいけないことです。

 オバマ政権が、拷問禁止を打ち出したことに対し、ちょっと考えさせるコメント記事がワシントンポストに出ていました。

 ・・・the debate over torture has been infected with silly arguments about utility: whether it works or not. Of course it works -- sometimes or rarely・・・ I refer you to the 1995 interrogation by Philippine authorities of Abdul Hakim Murad, an al-Qaeda terrorist who served up extremely useful information about a plot to blow up airliners when he was told that he was about to be turned over to Israel's Mossad. As George Orwell suggested in "1984," everyone has his own idea of torture.
 If the threat of torture works -- if it has worked at least once -- then it follows that torture itself would work.・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/27/AR2009042702692_pf.html
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太田述正コラム#3244(2009.4.29)
<米国における教育論議の現在>

→非公開