太田述正コラム#3144(2009.3.10)
<麻薬問題の危機的現状(その2)>(2009.4.13公開)

<補足:アフリカ欧州ルート>

 「・・・セネガルは、・・・次第にコカインの魅力に屈しつつある。
 「南米で活動している麻薬諸カルテルが<その首都>ダカールにやってきてここに拠点を設けている。・・・
 麻薬密輸業者達は、最初のうちはセネガルの南のギニア=ビサウを標的にしていた。しかし、セネガルの相対的にしっかりした道路網と良い通信インフラに惹かれて密輸業者達は北上してきたのだ。
 ・・・ガーナとギニア=コナクリも、彼らのその他のお好みの入域場所だった。
 マリ、ナイジェリア・・・<もそうだ。>・・・
 コカインの一部は、コロンビアから小さい飛行機に積まれて、レーダーに映りにくい高度2,000m前後で飛行<してアフリカに運ばれてくる。>飛行機は、ギニア=コナクリのボーク(Boke)といった町に、しばしば夜、着陸する。そこから、護衛付きで都市の貯蔵場所へと車列を組んで運ばれる。・・・
 セネガル国内で生まれた密輸組織も今やたくさんあり、連中は、欧州の路上商、米国の車のディーラー、香港の輸出入業者といったイスラム教徒の世界的業者網を活用している。・・・
 仕向先の大部分は、しばしばフランスを経由して運ばれるのだが、英国とスペインだ。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/mar/10/cocaine-trail-dakar
(3月10日アクセス)

 「・・・ペルーでは、シャイニング・パスがその毛沢東主義イデオロギーをコカの栽培に切り替え、メキシコの麻薬カルテルと連携しつつ、コカインの生産をこの10年での最高レベルにまで持って行った。・・・
 コロンビアでは、・・・麻薬取引は麻薬ボス達の手から軍閥達の手へ、そして今ではギャングのボス達の手へと移った。・・・
 ボリビアではコカの栽培は2007年に5%増えた。これはコロンビアでの増加率よりは、はるかに低い。
 <同国の>エヴォ・モラレス大統領は、もとからのコカの栽培者であり、ワシントンの批判者でもあるが、彼の戦略は独特のものだ。
 彼は、米国の麻薬対策官達を追放し、お茶として、あるいは薬品としてコカを栽培することを認め、各地域の治安部隊にコカイン分子の摘発を命じた。
 同国政府は、今週ウィーンで開かれる国連首脳会議でコカの葉を非犯罪化するべくロビー活動を行う予定だ。・・・
 ある地位の高い・・・欧州の外交官は、米国の対策官達がいなくなったことで、ボリビアが麻薬カルテルに対して脆弱になるのではないかと心配している。ボリビアはEUを主要仕向地とする<コカインの>生産地であり、我々は心配しているが、我々ができることはほとんどない」と。
 ベネズエラは<ボリビアとは違って>、米国の対策官達を追放こそしたものの、欧州諸国との協力関係は維持している。
 密輸業者達は何でも得手だ。かつて・・・は諸カルテルは、大体は飛行機を使ったものだが、現在では沿岸警備隊を振り切ることができる高速ボートやレーダーを回避できるファイバーグラス製の潜水艦を使う。・・・
 コカ栽培のための土地を探している諸武装グループは、熱帯雨林を切り開き、そこに住んでいた人々を殺したり追い出したりした。
 約270,000人のコロンビア人が2008年の前半に自分の家を追われて逃亡せざるをえなくなった・・・<が、これは、>その前の年に比べて41%も増えた勘定だ。(前出)・・・
 ベネズエラでの殺人率はこの10年間で3倍にもはねあがった。・・・
 諸麻薬カルテルの力は政治の犯罪化と犯罪の政治化をもたらしている・・・。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/mar/09/cocaine-drugs-trade-bolivia
 (同上)
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3 麻薬合法化論

 上記補足の中でも、一種の麻薬合法化論が登場しましたが、麻薬合法化論について、もう少しご紹介することにしましょう。

 「・・・我々は麻薬に対する戦争が失敗であったと考えている。というのは、目的が達成されたためしがないからだ」とコロンビアの元大統領の・・・は語る。
 「<麻薬>禁止政策は、根絶、差し止めと犯罪化からなるが、期待された結果をもたらしていない。我々は現在、麻薬を根絶するという目標からこれまでで最も遠ざかってしまっている」と。
 ・・・そこで、抑圧から、マリファナの非犯罪化を含むところの・・・需要削減を目指す・・・公衆衛生的アプローチへのパラダイム転換が提唱されている。・・・
 米ブルッキングス研究所と、それとは別の研究・・ハーバード大学の経済学者のジェフリー・マイロン(Jeffrey Miron)の研究で500人の経済学者達の賛同を受けているもの・・が政策変更を求める合唱に加わった。・・・
 現在最も厳しい状況にあるのは、世界一のコカイン原産地であるコロンビアだ。
 2000年以来、同国は、そのほとんどが軍事援助であるところの60億米ドルを麻薬戦争のために米国から供与された。
 しかし、・・・コカ畑115万ヘクタールを燻蒸したというのに、生産は落ちていない。
 南米全体で見ると生産は16%も増えた。ボリビアとペルーからの供給が増えたからだ。
 麻薬戦争の擁護者達は、軍隊主導のこの戦略のおかげで武装グループから地域を取り戻すことができ、コロンビアはより安定化したと指摘する。
 ・・・「我々は勝利しつつはないかもしれないが、敗北しつつもない。我々は状況をコントロールしている」と。
 米国の歴代の麻薬対策担当者達は胸を張って見せてはいるが、ワシントンの忍耐は限界に来ている。
 米議会会計検査院は、最近の報告書で、コロンビアでの戦争は失敗したと結論づけている。
 この報告書は、当時上院議員であったところの、現在の米副大統領たるジョー・バイデンがとりまとめたものだ。
 米国家麻薬統制政策局(Office of National Drug Control Policy)の広報官は、・・・米新政権は政策変更をするのではないかと示唆しているところだ。」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/mar/09/cocaine-production-united-nations-summit
(同上)

(続く)