太田述正コラム#3134(2009.3.5)
<ブラウン訪米と米英特殊関係(その1)>(2009.4.9公開)

1 始めに

 昨日見落としていたのですが、ブラウン/オバマ会談の時の記者会見というのは、会談が始まる前に、座ったまま非公式に行われた共同記者会見であったということと、会談の後、両者がスタッフを交えたワーキング・ランチ(working lunch)をとったということを追加しておきます。
http://www.bbc.co.uk/blogs/nickrobinson/2009/03/special_relationship.html
(3月4日アクセス)

 ますます麻生/オバマ会談との落差が大きくなるばかりですね。
 しかし、英国のメディアにしてみれば、日本のことなど眼中にありません。
 今回のブラウン/オバマ会談がどのように英米の主要メディアで報じられているのか、ご紹介しましょう。

2 今回のブラウン訪米について

 (1)冷遇された(?)ブラウン

 「・・・公式の<共同>記者会見と正式の晩餐会がなかったこと、更には通常バラ園(Rose Garden)で行われる<共同>記者会見が室内で行われたことが、あれこれ取りざたされている。
 しかし、<ブラウンが>冷遇されたのかどうかは、オバマ氏がアンジェラ・メルケル(Angela Merkel)とニコラス・サルコジを接受するまでは知る由もない。もしオバマ氏が燕尾服、ダンスをする少女達、そして高級瀬戸物でもって彼らを接受したならば、英国としては、恐らくいい気分にはなれないことだろう。
 しかし当面は、オバマ政権は、ひどい不況と格闘していることから、一般的に外国の賓客に対する対応は節約基調にせざるをえないと考えている可能性があるように思える。
 窮迫状況にある米国の有権者達に、彼らの指導者達が豪勢にやらかしている様を見せるのははばかられる、というわけだ。
 <いずれせによ、>一人の米国の役人<(ホワイトハウス報道官)>が<英国人が好んで語るところの、英米の>「特殊関係(special relationship)」ならぬ「特殊パートナーシップ」について語ったことは、英国の政治ジャーナリズムにおいて、ほとんど形而上学的な衝撃を与えた。・・・
 米国人達はこんなことを英国人達が議論していることに心底とまどっている。そもそも「パートナーシップ」がなんで「関係」よりダメなの?というわけだ。
 一人の米国人の記者は、私にびっくりしたような顔つきで聞いたものだ。「外が零下12度の時に室内で<共同>記者会見をするのって当たり前じゃないか」と。・・・
 この米英特殊関係が頂点に達したのは第二次世界大戦中のことだった。当時、相互的な必要性が最大となっており、しかも英国では、要するに<母親が米国人であったので、>半分米国人であるところの、ウィンストン・チャーチルが最高指導者だったからだ。・・・
 米国はまだ英国が好きだ。だけど米国は、他国の中で、イスラエル、メキシコ、日本、中共、そしてカナダだって好きなのだ。・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7924876.stm
(3月5日アクセス。以下同じ。)

 「・・・ブレアがジョージ.W.ブッシュに貸与して以来、米大統領執務室に飾られていたウィンストン・チャーチルの胸像を、オバマ大統領が英国大使館に返却した時から囁き話が始まった。
 恐怖感は、ホワイトハウス報道官のロバート・ギッブス(Robert Gibbs)が英首相のゴードン・ブラウンのホワイトハウス訪問を明らかにした際、チャーチルの言葉である「特殊関係」を単に大西洋両岸の「特殊パートナーシップ」へと降格したことによっていや増した。
 そして、ブラウンの取り巻き連中がアンドリュース米空軍基地に月曜夜に降り立った時に警報ベルがついに鳴り渡った。
 オバマが、先例を破って、TVカメラと両国の国旗の前に並んで米大統領と立つという慣習的名誉をブラウン首相に与えなかったからだ。
 また、ブレアが初めてブッシュと会った時にはキャンプ・デービッドに泊めてもらったが、それも今回は遺憾ながらなかった。
 それでもブラウンは、毅然と昨日、大統領執務室で腰掛けた。その時オバマは、お客に対する通常の歓迎の挨拶抜きで記者団からの質問に答え始めた。
 ブラウンは口を開くまで6分も待たされた。それまでにオバマは既に二つの質問に答えていたというのに・・。・・・
 英デイリー・メールの・・・記者は、「英首相官邸が期待していた共同記者会見は開かれなかった。何ちゅうこっちゃ!」 この記者は追加記事で、「ブレアとクリントンの初ホワイトハウス会談・・・<や>ブレアとブッシュの<それの時とは違って>、<共同>記者会見もなければ、両夫妻揃っての時間も設けられなかった。・・・
 ごくわずかの報道陣がホワイトハウスに請じ入れられ、ブラウンとオバマの両名への質問が認められた・・・だけだったのだ。・・・」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/03/03/AR2009030303660_pf.html

 英国人だって、日本人に比べればよほど格式張らないのですが、その英国人がえらく体面を気にしていていじましい限りです。
 ただ、繰り返すようですが、そんな英国人にとって麻生/オバマ首脳会談の時のことなど、全くと言ってよいほど眼中にありません。
 まっこと、米国の属国日本の民であることの悲哀を覚えざるをえませんね。

(続く)