太田述正コラム#3201(2009.4.8)
<皆さんとディスカッション(続x450)>

<映画依存症>

 「スラムドッグ」<(コラム#3120)>はまさしく驚天動地の作品でした。
 これに比べて最近、アメリカ映画の金銭と技術に頼っている作品に、期待を裏切られることが多いようです。
 アカデミー賞の値打ちまで下がることはないでしょうが、自国の審査員が自国の作品に興味を無くしたら、作品に対する評価がいい加減にならないのでしょうか。
 「おくりびと」は、脚本自体が人間本来の感性に、無条件に迫ってくるものがあったのでしょうね(演技に対する評価にはいろいろあるでしょうが)。
 しかしアメリカからのご褒美(アカデミー賞)を素直に喜べないのは太田さんのご指導の賜?
ということは絶対にありませんので(笑)。

<ふくなが洋>(2009.3.19)(http://blogs.yahoo.co.jp/hiroshi1041949/30160520.html

 --最近読んだ本--

 『実名告発 防衛省』<は>・・・面白い本です。実名ですから防衛省の癒着にかかわる政治家の名前が実名で出てきます。
 著者は民主党から2001年に参院選に立候補したのですが当選はしませんでした。防衛省の仙台防衛施設局長を最後に01年自ら退職した経歴があります。
 それだけにあまり知られていない自衛隊の内容が伺えます。
 防衛省が本当に国民を守るのかなあという疑問はあります。
 組織優先の中で何かが欠けているのではないか・・・そんな思いがあります。
 守屋・山田洋行問題は2年前大変な問題でした。そのときも防衛省のあり方・自衛隊の存在についてもっと議論されたら良かったのですが。
 思いやり予算の問題、そして日本は米国の同盟国ではなく保護国(属国)との規定はうなづけます。
 私のふるさと岩国市の基地問題の背景の防衛省の存在は不気味です。
 防衛産業との癒着を一掃せよとの意見は重要な問題です。
 また「政権交代なくして改革はない」との指摘は大賛成ですが、そううまくいくのかな? 国民に信頼されない自衛隊は存在の意味はありませんが。 
 きな臭い世になると政治が右線旋回する危険性があります。
 自衛隊がもっと市民にひらかれた組織になることが一番です。
 この本がドン・キホーテにならぬように広く読まれるといいですね。

<太田>

 好意的な書評、ありがとうございます。

<池田犬作>

 太田先生・・・はイギリスで非犯罪化された大麻が再び禁止薬物に指定しなおされたことをご存知ですか?
 大麻の解禁議論は日本でも活発ですが、コカインだろうとヘロインだろうと使用したくらいでは逮捕もされないようなイギリス社会が、大麻に関してだけはなぜこうも意見を右往左往させるのか、理解に苦しみます。イギリス人にとって大麻とは何か特別な存在なのでしょうか?
 イギリスを熟知している先生ならご存知かと思い、お伺いしました。よろしくお願いします!
http://www.japanjournals.com/dailynews/090126/news090126_2.html

<とおりすがりの者です>

 英国では違法薬物はA,B,C級に格付けされており,大麻は2004年までB級薬物だったのが,同年1月にC級薬物に格下げされ,2008年5月に再度B級薬物に指定されたものです。
 大麻の所持は,英国ではずっと犯罪であり,その分類が変わっただけに過ぎませんので,誤解なきよう。
 英国では違法薬物の指定は薬物乱用助言評議会(ACMD)の助言に基づいて行われています。
 大麻乱用が若年層にまで広がった影響から警察の取締りが行き届かず,2004年1月にC級薬物に格下げされたのですが,大麻の身体・社会に与える害悪の大きさを踏まえ,ACMDの助言に基づき,今般,B級薬物に格上げされたのです。
 なお,大麻の所持は,2003年刑事司法法により逮捕可能犯罪とされています。
 いちいち典拠はつけませんが,上記の情報をもとにご自分でお調べください。

<池田犬作>

 ・・・ありがとうございます!

 自分でいろいろ検索してみたんですが、

>2003年刑事司法法により逮捕可能犯罪とされています。

というのがどうしても見つからないです。
 ヤフーしたんですが。

 あと、イギリス人にとって大麻というのはどういうものなんでしょうか?何か特別な感情があるんですか?
 日本人にとっての覚醒剤とかシンナーとは別ものな感じがするんですが。

<とおりすがりの者です>

 お尋ねの2003年刑事司法法については
http://www.opsi.gov.uk/acts/acts2003/ukpga_20030044_en_2#pt1-l1g3
で見られます。大麻を逮捕可能犯罪とする,というのはその3条です。

 大麻が英国人にとってどのようなものか,という一般論は,私にも分かりませんが,少なくとも,日本で言えば,未成年者がタバコを吸うくらいの意識であることは確かでしょうね。
 投稿記事も紹介のあったジャッキー・スミス内相だけではなく,キャロライン・フリント内務省閣外大臣も大麻使用を認めたこともあります(2003年7月30日・フィナンシャルタイムズ紙)。また,英検察庁前長官のケン・マクドナルド氏も,オクスフォード大学在学中に大麻所持・譲渡未遂で罰金に処せられた前科があります(2003年8月5日各紙報道)。更に,現共同体地方自治相のヘイゼル・ブリアーズ大臣にも大麻使用歴があります(2003年8月19日・タイムズ紙)。
 大麻の乱用割合は,英国では19.2%にのぼるという統計もあります(2003年10月23日・ガーディアン紙)。

 大麻がC級薬物であった間も,内務省は大麻の違法性の広報を欠かさずにしていました(2004年1月29日・内務省発表)。内務省の2004年調査によると,英国少年の93%が大麻が違法であると考えているという結果が出ていますから(2004年5月17日・内務省発表),英国人も大麻が違法だという認識は共通に持っているのでしょう。
 もっとも,英国では,大麻のみならず,コカイン,ヘロインなど(これらはA級薬物です)も他の欧州諸国に比較して非常に多く乱用されており,
http://www.homeoffice.gov.uk/rds/pdfs08/horr09.pdf
大麻の乱用もこのような文脈でとらえる必要があると思います。

 取締りについて言えば,2003年に薬物犯罪で有罪とされた13.3万人のうち90%は所持罪で,うち70%は大麻ですので,
http://www.homeoffice.gov.uk/rds/pdfs05/r256.pdf
大麻の所持が見過ごされているということはないと思うのですが………。ただ,現在では,大麻の所持は原則としては,原則として,正式警告処分という警察段階のみの処分で対処しています。
 前の投稿でも指摘したとおり,警察は手間のかかる大麻所持摘発にさほど熱心ではなく,大麻をC級薬物からB級薬物に格上げすることにも反対していたほどです(2005年5月20日・インディペンデント紙)。

 最近の薬物押収統計については,
http://www.homeoffice.gov.uk/rds/pdfs08/hosb1208.pdf
などを見てください。

<池田犬作>

 「とおりすがりの者です」先生、こんなに親切なレスをもらえるとは思いませんでした。ありがとうございます。
 この僕、池田犬作は「人間のクズ」「社会のダニ」「ペテン師」ですが、太田先生のブログにコメントしている人はみんな本当に頭が良くてすごい人達ばかりですね。感動しました。

<太田>

 犬作クン。名誉毀損で訴えられたら、一緒に戦おうね!
 「とおりすがりの者です」さん、この道の専門家とお見受けしました。
 及ばずながら、私も、このやりとりにちょっとだけ貢献させていただくことにしましょう。

 ・・・Obama・・・supported decriminalizing marijuana in 2004, when he first ran for the U.S. Senate.
 <しかし、そのオバマも、最近はマリファナの非犯罪化を口にしなくなった。>・・・
 <他方、>marijuana trafficking fuels 65% to 70% of the drug violence in Mexico.・・・<しかも米国では、>An estimated 500,000 people are currently locked up in jails and prisons across the nation for drug offenses. Almost 48% of all drug arrests nationwide are for marijuana. In 2007 alone, more than 775,000 Americans entered the criminal justice system after an arrest for marijuana possession. ・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/opinionla/la-oew-smith7-2009apr07,0,2289472,print.story

<globalyst>

≫(注意書き:米国は…ノドンの脅威よりテポドン2の脅威の方が(相対的に)はるかに大きいと考えている。)≪(コラム#3199。太田)

 典拠つけますね。
Congressional Research Service [CRS] Reports(アメリカ議会調査局報告書)
のFebruary 24, 2009付け
North Korean Ballistic Missile Threat to the United States
http://www.fas.org/sgp/crs/nuke/RS21473.pdf
にはテポドンについて詳細に報告しているけど、ノドンについての記載が殆どないことからもアメリカの関心事がテポドンであることが理解できますね。

<太田>

 どうもどうも。

<globalyst>

 補足<です。>
 テポドンよりも中国の「対艦中距離弾道ミサイル「ASBM(Anti-Ship Ballistic Missile)」の開発
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200904061517
の方が日本には脅威といえそうです。

 (<この>記事の元ねたとなったMilitary Power of the People’s Republic of China 2009は図解もあって面白そうですが、まだ眺めただけで読んでません。長くって)
http://www.defenselink.mil/pubs/pdfs/China_Military_Power_Report_2009.pdf

<太田>

 あーあ、2009年版「中国の軍事力」を持ち出されちゃった!
 仕方がない、そろそろこの報告書を取り上げた非公開コラムを書きますかね。

<コバ>

 朝日新聞によれば、来日中のあのベネズエラのチャベスも、オバマの核廃絶の決意表明<(コラム#3200「核廃絶を目指すオバマ」)>について、「原爆を落とした米国の大統領が核武装を解き、核爆弾をなくすと宣言したことは心強い」とオバマの演説を評価したとのことです。
 暴力の欧州文明を体現しているような暴れん坊チャベスですが、核廃絶問題をきっかけに、ベネズエラと米国との関係改善が進むと良いですが…。
 日本社会も、政権交代、世代交代で新陳代謝を進めないとイカンですね。

<太田>

 ブログの投稿欄常連のコバさんが掲示板の方に投稿先を乗り換えていただいたのは大変結構ですが、いつもつけておられた典拠を付け忘れですよ。
http://www.asahi.com/international/update/0407/TKY200904070328.html

 さて、記事の紹介です。

 「・・・自民党の二階俊博経済産業相側も、西松建設に違法な献金やパーティー券の購入をさせていたとされる疑惑で、東京地検特捜部が、二階氏の公設秘書ら政治団体の関係者から事情聴取を始めた・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090408/crm0904080115001-n1.htm

 二階の公設秘書が起訴されたとして、麻生が二階をクビにするかどうかが見物ですね。
 民主党が小沢を切れないと読めばクビにするだろうし、小沢を切るかもしれないと思ったらクビにしないだろうね。

 早漏を防止するスプレー式の特効薬が発明されました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7987061.stm
 
 (ヒトを含む)霊長類においては、雄が主として稼いで雌に貢ぎ、その見返りに雌は雄にセックスを提供するってのが基本か、と思わせる研究成果が出ました。

 Male chimps that are willing to share the proceeds・・<i.e.> meats・・,high in protein<and>・・calories,・・of their hunting expeditions mate <with female chimps・・・who>do not usually hunt・・・twice as often as their more selfish counterparts.
 This is a long-term exchange, so males continue to share their catch with females when they are not fertile, copulating with them when they are. ・・・
 She suggests this study could lay the foundations for human studies exploring the link between "good hunting skills and reproductive success".
"This has got me really interested in humans," she said. "I'm thinking of moving on to working with hunter-gatherers."
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7988169.stm
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太田述正コラム#3202(2009.4.8)
<中共の軍事力2009>

→非公開