太田述正コラム#3104(2009.2.18)
<バレンタインデー抄(続)(その1)>(2009.3.30公開)

1 始めに

 今度は、性欲の話と妬みの話をしましょう。
 いいかげんにしてくれって?
 いやいや、どちらも政治と密接に関わる話題なんですよ。
 論より証拠。さっそく始めましょう。

2 性欲について

 カリフォルニアでセックスクリニックをやってきた心理学者のマイケル・ベーダー(Michael Bader)が、改めて"Male Sexuality: Why Women Don't Understand it and Men Don't Either"という本を書きました。
 彼のかねてよりの持論の一端をご紹介しましょう。

 「・・・パートナーとのセックス(romantic relationship)の多くがダメになるのは、正常かつ健康的な利己主義を抑圧するからだ。治療法は? 「性的容赦なさ(Sexual ruthlessness)」だと彼は言う。
 「性的容赦なさとは、短時間、他人の快楽に配慮することを止めて自らの快楽に身を委ねること、すなわち、短時間、他人を傷つけたり落胆させたりすることを心配するのを止めることだ。「容赦なさ」とは、他人を「利用する」能力をいう。他人が利用されることでどう思うかについて心配することを止めて・・。これは健康な性欲に関して正常で必要なことなのだ」とベーダーは主張する。」
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/community/groups/index.html?plckForumPage=ForumDiscussion&plckDiscussionId=Cat%3aa70e3396-6663-4a8d-ba19-e44939d3c44fForum%3a1a2d74ae-8f34-4030-981d-e66a0cda15f1Discussion%3af52ee75f-25a1-4d65-ba30-199530759c27
(2月17日アクセス)

 「ベーダー博士の研究によれば、性欲がかき立てられるの(sexual arousal)は性感帯が刺激された結果として生じる自動的ないし純粋に物理的な現象ではない。・・・いかに心理的な手がかりやメッセージが・・・そのために不可欠であるか<ということだ>。人々が抱く信条が性欲がかき立てられるのを阻害する場合があるのだ。社会、家庭、友人、メディア等が何が「OK」なのかを規制していると言ってよかろう。
 どうやったらこのやっかいな規制を乗り越えられるのだろうか。これらのプログラムされた信条が我々に恥、罪、懸念等の気持ちをもたらす。これらは最大限に性欲がかき立てられることと両立しない。・・・
 <例えば、男性的なフェミニストの女性学者は、夫相手では性欲がかき立てられず、夫とのセックスの最中、掃除夫に机の上でレイプされる空想をしてしのいでいる。これは、彼女が男性的であるが故に夫を心理的に傷つけていないかといつも余計な心配しているため、性欲がかき立てられないのだ。逆に、配偶者のいる人間にかえって性欲がかき立てられて不倫をしてやっかいな事態に陥ってしまう場合があるのは、自分が異性を惹き付ける魅力を持っているか不安を持っている人には、自分の魅力の力の限界を試してみようという心理が働くからだ。>・・・」
http://personallifemedia.com/podcasts/213-taste-of-sex-guest-speaker/episodes/3329-dr-michael-bader-secret-logic-sexual
(2月18日アクセス)

 「<米国で、政治生命を絶たれる恐れがあるというのに、売春婦を買ってそれがばれて、事実失脚に追い込まれる政治家が後を絶たないのはどうしてだろうか。>
 ・・・私は、売春婦を買わなくてはすまないという男達をたくさん治療してきたが、その大部分にしてみれば、カネさえ払えば、女が彼の喜悦、満足、世話、幸福のために男に完璧に尽くすよう訓練されていることがこたえられないのだ。
 男の方は、売春婦を喜悦させることも、幸福にさせることも、彼女の感情的ニーズや欲求について心配することも必要がない。
 彼は相互性の重荷抜きで与え、受け取ることができる。彼は完全に利己的たりうる。
 彼が超攻撃的でも超受動的でも女は取り乱すことなく、性的にかき立てられたように振る舞ってくれる。
 彼は彼女に対し、いかなる意味でも責任がない。彼女は完全に彼の方を向いてくれ続ける。・・・もちろん売春婦は演技をしているわけだ。だけどそんなことは関係ない。・・・迫真性の幻想だけで十分なのだ。・・・
 彼らは、女は世話してやらねばならないものだと思っており、女性を幸福にするのは義務だと思っている。こんな信条は、往々にして誇張されており、女性は世話が焼けるもので、頼りなく、不幸せになったり不満を抱いたりしがちだという信条と認識に由来している。
 これらの信条は、子供時代に形成され、我々の文化によって補強されたものだ。これらの信条の多くは誤りだが、男達の性的関係にブレーキをかけることがあるのだ。
 現実の女性との関係においては、彼らは常にそこに見えざる対価の支払いを感じ取る。沢山与えない限り多くをもらうことはできない、欲しているものを得るためには高い代償を払わなければならないと。
 こうなると、当然ながら、緊密な関係は傷ついてしまう。・・・
 男の政治家の場合、これが極端な形で現れがちだ。
 つまり、彼らは権力をふるい、他人を利用すると同時に他人が自分達の自己愛的ニーズに奉仕してくれることを期待する。
 しかし、政治家が住んでいる対価のやりとりの世界では、誰も何らかの見返りを期待することなくして何かをやってくれるということがない。・・・
 最も健康的なケースにおいては、彼らは家族とともに自宅にいるときはそんなことを忘れて、無条件の愛にひたることができる。
 しかし、あまりにもしばしば、彼らの結婚生活と家族生活は、彼らの政治的キャリアの犠牲となり、そのように・・・機能しなくなってしまっているのだ。・・・」
http://www.alternet.org/sex/79635/

 これでようやく、米国だけでなく、英国でも、売春婦禍で政治家廃業に追い込まれる議員が何年かに一度出る理由が分かりました。
 日本では、お妾さんないし愛人による蜂の一刺しに遭う政治家はいても、買春で大恥かいた政治家がいない理由も・・。

(続く)