太田述正コラム#3072(2009.2.2)
<読者によるコラム:中性化論のまとめ>(2009.3.20公開)

 (これは、MSさんによるコラムです。)

一、始めに(コラム#276,2780)

 「縄文・弥生モード論」の中では、戦後日本の中性化傾向、就中男性の中性化傾向(コラム#276)もまた、縄文的メンタリティーの顕在化であるとし、現在の日本が縄文モードであることが論じられてきた。

 その一方で、イリノイ州のブラッドレー大学の心理学者シュミット博士らによる実証的研究により、縄文・弥生モード論は部分的な修正を迫られるている。

 シュミット博士は、心理学上男女の性差に与える社会的ストレスの影響に関する彼らの心理学上の研究結果に基づき、「ある意味で、近代的で進歩した諸文化はわれわれを心理的に狩猟採集時代のルーツへと連れ戻しつつある」と論じる。「つまり、全般的な高度の社会政治的男女平等の下で、男女が異なった領域に対して生来的な興味を示すわけだ。伝統的農業社会のストレスが解消すると男性は、そしてより少ない程度において女性は、より「自然な」個性を顕在化させることになろう」と。

 もしこのシュミット博士の推論が正しいとするのならば、なぜ狩猟採集社会の一つである縄文社会のメンタリティが顕在化している現代日本で中性化がすすんでいるのであろうか?

 この問題を考えるにあたって、あらためて太田コラムの記述を振り返ってみた。一部私の文と太田さんの文が混じっているため、文のリズムやつながりがおかしいところがありますが、ご容赦ください。

二、中性化の定義(#2780)

 1. そもそも性とは何か?

 中性化を議論するときに、そもそも性をどのように定義すべきか?wikipediaのジェンダー分類学(Gender taxonomy)の項目を参考に議論する必要がありそうだ。これに関しては今後の課題である。

(http://en.wikipedia.org/wiki/Gender#Gender_taxonomy

a. chromosomes(染色体):

46xx, 46xy, 47xxy (Klinefelter's syndrome), 45xo (Turner's syndrome), 47xyy, 47xxx, 48xxyy, 46xx/xy mosaic, other mosaic, and others

b. gonads(生殖線):

testicles(睾丸), ovaries(卵巣), one of each (hermaphrodites(両性具有者)), ovotestes(卵精巣), or other gonadal dysgenesis (生殖線発育不全)

c. hormones(ホルモン):

androgens(アンドロゲン;男性ホルモン)including testosterone;

estrogens(エストロゲン;発情[卵胞]ホルモン)? including estradiol, estriol, estrone; antiandrogens and others

d. genitals(生殖器):

primary sexual characteristics, see diagram for the "six class system"

e. secondary sexual characteristics:

dimorphic physical characteristics(同質二形の肉体的特徴),
other than primary characteristics
(most prominently breasts or their absence)

g. brain structure: special kinds of secondary characteristics,
due to their influence on psychology and behaviour

h. gender identity: psychological identification with either of the two main sexes

i. gender role: social conformity with expectations for either of
the two main sexes

j. erotic preference(性愛の好み): gynophilia(女性に性的に引き付けられること), androphilia(男性に性的に引き付けられること), bisexuality(両性愛), asexuality(セックスに無関心) and various paraphilias(性的倒錯).

 例えば、上記のg,h,iあたりに当てはまるかもしれないものとして以下のような事実がある。

 ミシガン州のグランド・バレー・州立大学の心理学者のロバート・ディーナー(Robert Deaner)は、女性が男性に比べて非競争的であることを徒競走走者についての長年にわたる研究等を通じて明らかにしたところによると、平均的に、女性はより非競争的(注)、控えめ(nurturing)、慎重、にして感情が豊かであるのに対し、男性はより、競争的、自己主張的、向こう見ず、にして感情が乏しいことが明らかになっている。そして、このような違いは幼少期に出現し、決して解消することはない。

 2. いろいろな中性化

 以上のように性(ジェンダー)の分類一つとっても、議論は尽きないところだが、仮に男性、女性というものが明確に定義されたとして、中性化(性差の縮小)の定義も以下のようなさまざまなものが考えられるだろう。

 男性が女性に近づく(男性→女性)、女性が男性に近づく(男性←女性 )、男性も女性も性の特徴がなくなる(男性→中性←女性)、もしくは、男性も女性も今までになかった新たな性的特徴をもつようになる(男性、女性→?)など。

 つまり中性化という現象自体、様々に分類されうるもので、「将来的にはどの性の分類に関して、どの型の中性化現象が起こっているのか?」という分類を明示しながら、議論を行う必要があるであろう。


三、現代日本は中性化しているか?(#276、807、2600、2602)

 以上のような性、中性化の分類の仕方をひとまず今後の課題とした上で、これまで太田コラムでどのようなデータに基づき中性化が論じられてきたかを振り返ってみたい。

性的・暴力的エネルギーの増減をしめす統計データ

-- 性的エネルギー --

 1. セックスレス

 日本人のセックスの回数は、一人当たり年間42回と世界最低に近い。

(図:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2318.html

2. 強姦発生件数の少なさ

 強姦発生件数(1996年の件数)は日本での発生件数を1とすると、米国は29、韓国は9.3、台湾は3.5、ニュージーランドは6.3であり、人口を考慮すると、米国は日本の10倍以上、ニュージーランドは百数十倍にもなる。

-- 暴力的エネルギー --
    
 3. 他殺率の低さ

 日本の他殺率は世界的に低い水準である。

(表: http://profiler.hp.infoseek.co.jp/crime_international.htm

 長谷川寿一東大教授によると、「現代日本でも、全体として、殺人の主要原因は男性間競争にあることは変わりなかった。しかし、年齢曲線を描くと、現代日本の殺人率はこれまでどの社会でも報告されていないパターン、すなわち20 代男性におけるピークの欠如が示された(一方、中高年男性の相対的殺人率は異例に高い)。この現象は、社会的摩擦を嫌い、引きこもりがちな現代若者男性の特徴とよく符合している。伝統的な男らしさ
の低下が社会全体にどのような影響をもたらすのか。男女共同参画社会を築く上でも注目すべき課題であるように思われる。」(MSによる追加)
http://idaten.c.u-tokyo.ac.jp/sympo/11/hasegawa_11sympo.pdf
  
 4. 自殺率

 近年の日本の青年自殺率は横ばいないし、微増している。

(図:http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm

 5. 事故死率

 日本では事故死率の男女差が小さい。長谷川寿一東大教授によれば、男性が「男らしさが減り、危険に近づかなくなっている」ためとのこと。

-- その他 --

 6. 社会に対する従属の強化(⇔自己顕示欲の低下)

 伝統的な社会的・文化的性に対し、(おそらくは自身・他者双方に対して)「そうであるべき」と肯定した割合いが、日本は米中韓に比べて低かった。(アンケート結果なので、質問内容にも大きく左右される、元の資料を要チェックかもしれない。)

 7. 自己顕示欲の低下

 くだらない口論から発展する男性の殺人は自己顕示欲の現れ。その底には配偶者獲得の競争があると考えられる。(専修大学法学部教授 長谷川真理子)
http://www.athome-academy.jp/archive/biology/0000000265_01.html

 8. 戦争と殺人率の関係

 米カリフォルニア大学サンタクルズ校のデーン・アーチャー教授によると、自らも参加した、110カ国の70年間にわたる(戦争の前後5年間の)データを用いた共同研究の結論は、戦争に参加した国の殺人者率は上がる、というものだったとし、日本の殺人者率の低さは反戦・平和主義が極めて長い間続いてきたためではないか、と語っている。

まとめ:

 1〜3は、性的・暴力的エネルギーの低減をしめしているように見える。一方、4は、一見それに相反して見える。他殺、自殺率に関しては、失業率との相関が大きいため、日本が抱える社会保障制度の欠陥にその原因を求めるべきかもしれない。しかし、すくなくとも1,2に関しては、国際的水準に比べると極めて特殊であり、日本社会が中性化していることを示していると考えられる。

 また、3、5〜7に基づくと、性的エネルギーと暴力的エネルギーは必ずしも無関係なものではなく、性的エネルギーの減少が、男性の配偶者獲得の競争への意欲の低下を引き起こし、自己顕示欲の低下を通して、殺人率の低下を招いているとみることができるかもしれない。つまり、性的エネルギーの低減→暴力的エネルギーの低減という因果関係であるが、これは逆かもしれない。その場合は、8のように戦後日本が軍事を放擲(縄文モードへの転換)したことが、暴力的エネルギーの低減、ひいては性的エネルギーの低減(中性化)の根本原因かもしれない。

四、他の国では?(#2878,785,872)

 以上のように、仮に軍事を放擲した社会で中性化が起こるとすると、頻繁に戦争をしている国ではどうであろうか?以下のようにそれらの国でも中性化が起こっているという主張がある。

 1. 戦争をしている国(イスラエル?)

 このところ、戦争の文化が衰弱する傾向が散見される。この傾向を先取りしていたと言えるのかもしれないのが、シオニズムが彼らに力を与えるまで、あたかも風がない日の旗のように弱々しく腰をかがめていたユダヤ人・ディアスポラ(パレスチナの外で離散して暮らすユダヤ人のこと(太田))だ。このような中性化した(epicene)男性が欧米で増えている。(イスラエルの軍事史家で軍事理論家であるクレヴェルド(Martin van Creveld。1946年〜)が最近上梓した、『戦争の文化(The Culture of War)』)

書評子による反論

 「中性化した・・・男性が欧米で増えている」については、一定の欧州諸国にはあてはまるかもしれないが、米軍が、1980年代初期からほとんど絶え間なく中東等で戦闘作戦に従事してきたことから、米国にはあてはまらない、との批判がある書評子から投げかけられています。
 「ユダヤ人・ディアスポラ」が中性化した、という点についても、ある書評子は、何千ものユダヤ系米国人とともにノルマンディからベルリンまで戦い抜き、朝鮮戦争でも戦った自分の父親がとんでもない、と言うだろうと指摘しています。
 また、「女性兵士は効果的戦闘を困難にし・・・」については、ある書評子が、自分が会った米空母トルーマンに搭乗している2歳の子供の母親であるF-18航空隊司令・・同隊のパイロットのうち5人は女性・・が同意するとは思わないと批判しています。

 2. 英国

このような女性管理職の急速な増大に伴い、女性の上司に仕えなければならない男性を代表する形で、英BBCの元キャスターの男性が、問題提起を行ったことが英国で話題になっています。

 この元キャスターは、英国における「男女の力関係の変化は」行きすぎてしまい、今や男性は単なる「失業者たる精子提供者」に成り下がってしまったと語りました。

 BBCの二つのTVチャンネルの総支配人はいずれも女性だった(その後一人は男性に代わった)のですが、彼は、「彼女たちがわれわれの見るべきもの、聞くべきものを決定する。」その結果、「われわれは女性のルールに則って生きるようになってしまい・・伝統的に男性と結びつけられてきた、無口(reticence)・禁欲(stoicism)・ひたむきさ(single-mindedness)、 は姿を消してしまった・・そのため、男性は女性みたいになりつつある。スポーツ界の英雄である<サッカーの>デービット・ベッカム(David Beckham)や、言いたくないが、<テニスの>ティム・ヘンマン(Tim Henman)を見よ。」と語ったのです。

→ 英国は中性化???(MS:あまり説得力を感じない議論。)

まとめ:戦争を活発にしている国の中性化がすすんでいるという説得力のある話はあまりなさそうだ。それらの国では、中性化が起こっていないか、起こっていても日本ほど急激でないというのは確かかもしれない。

五、日本社会の特殊性(#1513)

 以上のように日本に関してのみ際立った中性化が起こっていると考えると、その原因はなんであろうか?
 原因が日本が戦後縄文モードに転換したということかどうかはともかくとして、性に対して日本人が下記のような特徴的な意識をもっていることと関係しているかもしれない。

-- 性に対して境界線がない社会 --

 娯楽に関して、子供と大人の間に境界線が引けないだけでなく、欧米においては、大人の隠微な世界に属する「性」が、堂々と・・しかも子供にまで・・開陳されているのも江戸時代の日本人の「民族的特性」の一つですが、これも現代の日本にそのまま受け継がれています。
 子供がTVで見るアニメ番組の中に、猥雑なもの、エロチックなものが少なからずある国、週刊誌やスポーツ新聞で、硬派の記事とエロ記事やヌード写真が同居しているものが少なくない国、更にはこのような週刊誌のどぎつい広告を電車の中で目にすることができる国、は世界広しと言えども日本くらいであることは、海外経験のある方ならお気づきでしょう。
 昨年、『週刊新潮』2005.07.20号の、「母親と弟が、熱心な<創価>学会員である<AV女優由美香>・・二人は由美香の職業を理解し、97年公開のドキュメンタリー形式アダルト映画「由美香」にも出演している。AV業界関係者によると、学会には AV関係者が多く、学会にはAVを表現活動として認める環境がある、とのこと。AV監督や女優が、自分のビデオを学会の集会に持ち込み、みんなで鑑賞することも。

六、性科学の未来(#739,2798)

 以上のような日本人の特徴的な性に対する意識は、愛に対する意識とともに、性科学が進歩することで解明され、さらには、性科学に基づいた技術によってコントロールすることができるようになるかもしれない。

-- 性衝動のメカニズムの解明 --

 アルギニン・ヴァソプレッシン(Arginine vasopressin)というホルモンは、雌よりも雄にとってより重要なホルモンで、多くの哺乳類の雄の攻撃的ポーズ、臭いによる領域のマーキング、求婚とセックスを仲介している。

-- 愛のメカニズムの解明 --

 社会的単婚の数少ない哺乳類の内、プレイスリー・ハタネズミ(prairie vole)から、ヴァソプレッシン受容器の密度が増やす遺伝子が見つかった。

→ 日本人のホルモンの分泌や遺伝子の解析から、日本人の性と愛の変化、ひいては中性化に関するデータが得られるかもしれない。

-- 薬物によるコントロール --

 Prozacは鬱で自信喪失した女性に処方されることが多く、Ritalinは躁で自信過剰な青年男性に処方されることが多い。要するに女性も男性も中性化ないし社会適応型化させられるわけだ。

七、縄文モードと中性化の関わり

 以上のように、中性化は、性の分類、中性化現象の分類、また、依拠すべきデータ、最新性科学との関わりなどにおいて、議論のつきることのないテーマである。
 しかし、今までのところ、おおむね日本では中性化現象が進んでいることが確認される。
 私(MS)自身は、特にオフ会参加者等の議論なども踏まえ、男性が女性化している傾向があるのでは?という印象を持っているが、まだまだデータが不足しているというのが正直な感想ではある。
 これもオフ会で指摘されたことではあるが、様々な統計データを男女別に表示したものが手には入ればもう少し色々なことがわかるかもしれない。

 いずれにしろ、3の最後で述べた中性化のメカニズム、
戦後日本が軍事を放擲(縄文モードへの転換)
→ 暴力的エネルギーの低減
→ 性的エネルギーの低減(中性化)
と1でのべたシュミッド博士の推論ははたして矛盾するであろうか?
 この答えのカギは、縄文社会を普通の狩猟採集社会とみるかどうかにかかっていると思う。

 Nichlas Wade ”Before the Dawn" によると、狩猟採集経済下の人類の三分の二は恒常的戦争状態にあり、彼らは毎年人口の0.5%を戦争で失っていた。(注:この率でいくと、20世紀には20億人の(広義の)戦死者が出る計算にあるが、20世紀の戦争や共産主義・ファシズムによる殺戮を全部併せても、その10分の1程度に過ぎない。)

 戦争による死亡率がかくも高かったのは、敵対勢力は絶滅させるのが習いだったからだ。未開時代には人々は平和に暮らしていたが、文明が戦争をもたらした、という観念が依然根強いが、むしろその逆が正しい(注:私(太田)の日本ないし日本史観は、縄文時代の平和が弥生時代に破られた、という前提に立ち、縄文モードと弥生モードが交替する形で日本史が展開していく、というものだが、ウェードの指摘が正しいとすると、この前提たる私の認識は誤りだということになるのか、それとも、縄文人は、恒常的な戦争状態にはない三分の一に属するのか。

 つまるところ、縄文社会は生計を狩猟採集にたよってはいたけれど、数千年間の間におよぶ大規模集落における定住生活(三内丸山遺跡)を可能にしたという意味では、例外的に平和な狩猟採集社会だったのではないだろうか?
 このことが国際的な水準から見て非常に例外的な現象(中性化、軍事の放擲)が起こっている原因かもしれない。

(三内丸山遺跡のwiki:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%86%85%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E9%81%BA%E8%B7%A1 )

八、謝辞

 本コラムは太田コラムの記述に基づき2008年11月太田コラムオフ会出席者有志で結成されたメーリングリストにおいて行われた議論をまとめたものである。
 特にかなりの部分を、同メーリングリストのメンバーであるFSさんとMSとの、一つ一つの事象(データ)の吟味、また、事象の分類(性の分類、中性化現象の分類)に関する議論によっている。
 一部データの信用性に関する議論に関しては、話を簡単にするために今回は割愛したが、将来的にはのりこえないといけない課題かもしれない。
 また、七の縄文モードと中性化とシュミッド博士の推論との関係性に関しては、FS氏と目下議論の最中であるが、まずは私の見解を記させていただいた。また、一部にオフ会当日の議論の内容を反映させていただいた。

 以上のようにこのコラムを書くにあたり議論に参加していただいた、メーリングリストの皆様、特にFSさん、オフ会で議論してくださった参加者の皆様、そして何よりもコラムを通じて、面白い現象と深い洞察力に基づいたモデルを提供してくださり、さらにはオフ会においてその発表の機会を与えてくださった太田述正さんに、感謝の意を表したいと思います。

<太田>

 MSさん、FSさんとともに、すばらしい整理を行っていただき、ありがとうございました。
 オフ会で私が発言したことを敷衍する趣旨で、コラム#52からの引用を以下に掲げておきます。

 「・・・1万2000年前(一説によれば、1万6000年以上前)に、世界最古の土器文化たる縄文時代の文化<が生まれ>ます・・・。
 土器を獲得した日本人は、これで煮炊きすることによって、世界で初めて木の実や海産物を広範に食物化するに至り、狩猟のみに依存する生活から脱却し、定住化を果たします。・・・
 ・・・縄文時代の日本人の精神は、自然との共生をめざすものでした。そして、縄文時代におけるその生活面かつ文化面での現れが縄文土器であり、土偶です。
 縄文時代を通じて、このような、狩猟・漁労・採集(三内丸山遺跡から明らかになったように、少なくとも5500年前位にはこれに更に栽培が加わります・・・)を組み合わせた、バランスがとれ、豊かだが節度のある日本人の生活が1-2万年もの長期間続きます。
 (このことをもって、日本文明に、江戸時代の鎖国において再び示されるような停滞指向があるととらえることは、鎖国時代に日本が決して停滞していなかったという指摘もあるだけに一面的に過ぎるでしょう。)
 そして、結果的に、日本人は、農耕
(=特定の栽培作物に時間、人手を投入して増収を図る。そして増収の目論見を効率よく成就できるような社会的な仕組みが組織される。さらに農地の拡大を指向する過程で集団間の戦争を惹起し、やがて地域的統合から国家の形成へと発展する)
生活に入るのが「異常に」遅れます・・・。
 このことが、日本人の精神構造に残した刻印には決定的なものがあったに違いありません。・・・
 韓国人の呉善花さんが言っているように、「日本の場合・・アジア的な農耕社会以前の時代(つまりは縄文時代・・太田)に文化的な面で精神構造が完成されしまっている」可能性が大きいのです。・・・」