太田述正コラム#3151(2009.3.14)
<皆さんとディスカッション(続x425)>

<NH>

、先日<公開された>メールマガジン<(コラム#2790、2792)>で、ナチスドイツのことについて論じておられましたが、ロシア(ソ連)<人>の虐殺についてのご意見に異論がございます。
 太田様は、おそらくナチスドイツの残忍さを強調することを、意識されておられるのだと存じますが、「虐殺」という・・・お言葉は、不適切なのではないかと存じます。・・・

<太田>

 おいおい。
 問題のシリーズでは、虐殺という言葉は「カチンの森で15,000人のポーランド人将校を虐殺」の1箇所で出てきただけのはずだ。カチンの森の虐殺を行ったのはソ連だよ。
 君、お医者さんの所に行った方がいいな。
 ただ、まだ公開していないコラム#2796(上記シリーズの続きで完結編)に、「ナチスドイツ<は>・・・飴の政策をとった一方で、虐殺といった笞の政策をとった」という表現が出てくるので出血大サービスで一言。
 基本的に、本の紹介を行う時に私が用いる言葉は、私が拠った典拠が使っていた英語の訳語であって、私が恣意的に言葉を選んでいるわけではありませんよ。  

<コバ>

 アジアタイムズの小沢記事を書いた高橋氏のブログで、情報ソースを明らかにせずに情報を垂れ流す日本の新聞は、読者、そして国民を欺いていると批判されていました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kosuke_everonward/46934417.html
 これは太田さんの言う典拠を示さない日本人の問題がメディアにはっきり表れてしまっているのだと思います。
 今や外国の新聞は可能な限り情報ソースを明示するのが当然なようですが、劣悪な情報にさらされて、この情報時代に日本人は適応できているのか…?

 小沢、完全に撃沈されましたね…。
http://www.atimes.com/atimes/Japan/KC07Dh02.html
 12日、朝日新聞でジェラルド・カーティス教授が、テレビ朝日報道ステーションでは古舘キャスターが、検察はなぜ総選挙の前に動き出したのか国民に説明責任を果たすべきだと主張していましたが、森田実氏が言うように、小沢辞任は時間の問題のようです。
 プチ小沢は自民党に腐って捨てるほどいるのに、政権交代とはかくも難しいものなのかと愕然とします。民主党から無党派層や女性の票がどんどん逃げてしまうのか…。

 小沢の第七艦隊発言は全うだとする田岡俊次氏の記事がありました。
http://www.aera-net.jp/magazine/soul/090310_000719.html
 しかし自民党議員は自衛隊を全く無視したようなコメントばかりだった気がします。
 米国にへつらって思いやり予算を朝貢するのが政治家の仕事なのでしょうか。こんな指揮官たちの下で、閉塞感もなく生きられる人たちがうらやましいです。

<太田>

 知人の田岡氏の記事の紹介ありがとうございました。
 鋭い分析ではあっても、毒をはらんでいるのが常であった田岡論考も、随分丸くなったなという印象ですね。
 これなら、私と全く同じ見解です。
 この小沢発言は、小沢がその全政治生活の中で、政治家らしい発言をしたことが一回だけはあったというわけで、歴史に残るかもしれません。

<ベラドンナ>

 コラム#3060「東大生とオバマの読書傾向比較」を読みました。

 学ぶことは本質を探るためにある、と<同時に、>「どう生きるか?」ということだとも思って<います>。
 このコラムで、オバマの学んで、そして「どう生きるか?」ということの考え方を、少しですが感じました。
 質問があるのですが、太田さんが読んだ本の中で、簡単な解のない、複雑な諸問題に取り組むイデオロギー色のない本はございませんでしょうか。というか、どうやって簡単な解のない、複雑な諸問題に取り組むイデオロギー色のないのと、あるのを見分けれるのでしょうか?

 漫画は、山田風太郎の小説みたいな超人的な力で全部解決とか、国を統治するやつはほとんど悪役とか、終末論のできそこないとか、戦後教育の賜物で生まれた表現ばかりです。(蛇足ですが、漫画などのサブカルにでてくる悪役の元ネタは、戦後の国民がイメージしてる戦中の日本じゃないかと思ってます。)

<太田>

 芥川賞をとったような小説ならそうじゃないかな。
 私のコラムも、はばかりながら、あなたの鑑識眼を養うのにお役に立つのでは?

<santa>

 太田さま、<コラム#3149での>まとめ・添削ありがとうございました。
 今後コラムにてアングロサクソンと大陸欧州のニューカマー対策の最近の潮流と、安全保障面からの制度的な違い等を取り上げていただければ深甚です。

<太田>

 ご要望は承っていますが、あんまし私をこき使わないでください。
 過去にコラムで書いたこともあったと思いますよ。

<エコーズ ◆ixwmAarxJ2>

≫要するに、捜査が不適切だと思わない人の方が多い、という世論調査結果ですよね。≪(コラム#3149。太田)

 私はこの世論調査結果を、太田さんのようには要約できません。
 2008年8月の、福田内閣の改造に際して実施された世論調査で、各社バラバラの内閣支持率が出たように、質問文や質問文の前に、どのような情報を入れるか、入れないかによって、世論調査結果は大きく変わります。
http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0808/0808090203/2.php

 質問文に「衆議院選挙が近い時期の国政をめぐる」という情報を入れたFNNの調査結果は、捜査を「不適切だ」と思う人の方が多く、ANNの調査結果によ れば、小沢と同じような形で建設会社から政治献金を受け取っている、 ほかの国会議員が違法性を問われていないことについて、83%の人が納得していません。(下掲)

http://www.fnn-news.com/archives/yoron/inquiry090309.html
衆議院選挙が近い時期の国政をめぐる捜査は不適切だ。
思う 46.9
思わない 39.9
わからない・どちらともいえない 13.2

http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/200903/index.html
今回の政治献金をめぐる検察の強制捜査について、公権力の乱用だとか、捜査が政治的に中立でないとの批判があります。あなたはそう思いますか、思いませんか?
思う 32%
思わない 48%
わからない、答えない 20%

小沢代表と同じような形で建設会社から政治献金を受け取っている、 ほかの国会議員は、違法性を問われていません。 あなたは、問われないことについて、納得しますか、納得しませんか?
納得する    6%
納得しない   83%
わからない  11%

http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/shijiritsu/
今回の検察の捜査は適正に行われたと思いますか、思いませんか?
思う 51%
思わない 31%
(答えない・わからない) 18%

 私が示した世論調査(コラム#3149)は、漆間巌官房副長官の発言
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090306/stt0903062130013-n1.htm
が、漆間の実名、顔写真、経歴、有権者には理解しがたい弁明、
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00150860.html
http://www.asahi.com/politics/update/0309/TKY200903090299.html
麻生首相が誤報と発言し撤回したこと
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090310k0000m040100000c.html
とともに、各ニュース番組やワイドショーのトップで報じられるようになった(典拠無し)3月9日より前に実施されたものです。
 漆間発言が、テレビで大きく取り上げられたことは、世論に影響がある、と私は考えます。
 3月12日には、菅直人民主党代表代行が、検察批判を展開しました。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20090313-470555.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009031200813

 このことも、民主党支持層に影響がある、と私は考えます。

<太田>

 典拠は省略するけど、民主党の支持率はどんな世論調査でも減ってますよね。
 あなたは小沢らによる検察批判は支持率の動向に悪影響を及ぼしていない(あるいは好影響を及ぼしている?)と主張しているわけですが、あなたが引用したANNの世論調査では「検察の強制捜査について、公権力の乱用だとか、捜査が政治的に中立でないと」は思わない人の方が多かったわけだし、やはりあなたが引用したTBSの世論調査では、「今回の検察の捜査は適正に行われたと思」う人の方が多かったわけでしょ。
 悪影響を及ぼしたとしか思えませんねえ。
 しかも、「衆議院選挙が近い時期の国政をめぐる捜査は不適切だ」と思う人が多いとか、「ほかの国会議員は、違法性を問われてい・・・ないことについて、納得し」ていない人が多いとか言っても、今後自民党の二階に本格的な捜査が及べば、この種の質問自体が意味を失うのではないですか。

 それでは、本日の小沢秘書逮捕事件がらみの記事です。

 「・・・東北の公共工事で小沢事務所の影響力は絶大。大久保さんが了承しないと、チャンピオン・・・落札予定の企業や共同企業体(JV)・・・は最終決定とはならなかった・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090314/crm0903140134004-n1.htm

 「・・・東北地方では長年、大手ゼネコン「鹿島」の東北支店幹部が仕切り役を務める談合組織が存在。東北各県が発注する工事は、 この仕切り役が受注予定者を最終的に決めていた。ただ、小沢代表の地元の岩手県と隣の秋田県の工事では、小沢事務所の力に期待することが多く、小沢代表の 都内の事務所などを訪ねて、「工事を世話してほしい」などと頭を下げることがあった。
 また、秋田県内のある工事では、仕切り役が受注予定者を決めていたにもかかわらず、小沢事務所側の意向が伝えられた後、決定が覆ったこともあった。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090314-OYT1T00069.htm

 小沢が、東北地方の国交省の公共事業の談合組織の総元締めだった可能性が一層強くなってきましたね。
 本当にそうだったとすると、こっちの方が小沢の本職で、政治屋やってきたのは本職を遂行するための箔付けだったという誹りを招いても仕方ないねえ。

 「西松建設の巨額献金事件で、同社がダミーの政治団体を使って民主党の小沢一郎代表側への献金を始めたのは、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)の前任者の元秘書からの要請がきっかけだったことが・・・分かった。
 東京地検特捜部は、・・・<この>元秘書からも参考人として事情聴取する方針を固めた。」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090314AT1G1302013032009.html

 ついに、決まりましたね。
 もっとも、二階の秘書だってまだ実際に事情聴取を受けてないみたいだし、それぞれ事情聴取はいつ頃になるのかな。

 それ以外の記事です。

 パウロ(Paul)が起業家的才覚の下、キリスト教を普遍的な愛の宗教へと変貌させたことで、ローマ帝国内で、当時新興宗教であったキリスト教が爆発的に広まっていったという長文コラムは説得力があります。
http://www.theatlantic.com/doc/200904/globalization-religion
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太田述正コラム#3152(2009.3.14)
<自由主義とは何か(その2)>

→非公開