太田述正コラム#3129(2009.3.3)
<皆さんとディスカッション(続x414)>

<???>(http://eigotoeic.paslog.jp/archives/200811.html

●防衛省OB太田述正メルマガ・・・不定期

 『防衛白書を執筆し、アメリカとの軍事折衝を最前線で目撃した元防衛官僚だからこそ書ける軍事情報メルマガ。記事の典拠を正確につけているのは、このメルマガぐらいですね』

 『太田氏の諸コラムによって全共闘運動に身を投じた若かった日の知的好奇心を取り戻しました。歴史認識、歴史観の再構築作業に、太田さんの諸コラムはノウハウに満ちているだけでなく、とても刺激的で、面白く、時に痛快な気分にさせてくれます。「そうだ、そうだ…。へーそうだったのか…」と論理の展開に痛快さを感じる幸せをもらっています』

<太田>

 コラム#3021で取り上げさせていただいた方でしょうね。
 様々な場で宣伝していただき感謝申し上げます。

<WM>

 貴誌#3127で・・・質問に対する解説を戴き有り難うございました.
 貴解説について質問させて下さい.

>朝鮮戦争勃発以来、一貫して日本に「独立」を促してきたのが米国であり、

ということですが,占領政策で日本を自虐史観に追い込みその後の日本人の生き方を歪めたのが米国とその手先となった種々の団体・組織(例えば日教組)という常套句をよく耳にするのですが,これは間違った見方なのでしょうか.
 それとも,部分的には的を射ているものなのでしょうか.

<太田>

 日教組等の「左」と自民党等の「右」は、どちらも吉田ドクトリン墨守勢力であり、互いにテーブルの下で手を握りつつ、米国と日本国民を裏切ってきた、という意味で同じ穴の狢です。
 もちろんより責任が重いのは、権力を掌握し続けてきた「右」の方です。

<平ちゃん>

≫いくらあの悪名高いオオニシ記者の記事だと言っても、恐らく麻生氏が上記のような、考えられないほどひどい発言をしたことは間違いないのでしょう。≪(コラム#3040。太田)

 麻生総理のいわゆる部落差別発言については、ガセネタであることは、マスコミでは定説なのではないのでしょうか?
 例えば、評論家の宮崎哲弥氏、政治ライターの上杉隆氏も、昨年、TBSラジオの『アクセス』という番組において、いわゆる「部落差別発言」について、裏を取ろうとしたが取れなかったと話をしていました。
 また、昨年の自民党総裁選の際には、週刊朝日から週刊新潮まで、ほとんどの週刊誌で、この発言について触れていたと思いますが、いずれの週刊誌においても、せいぜい、そういう話があった程度で、裏の取れない話と扱っていたと記憶していますが。

 一度、宮崎哲弥氏とかに確認をなされてみてはいかがでしょうか?

<太田>

 確認するまでもありませんよ。
 麻生サイドがオオニシ記者の本件に関するインタビューに応じず、また、これまで野中らを訴えようともしていない以上は、同記者の記事は正しいという強い推定が働く、ということです。

 あなたも、残念ながら以下のような、思考停止をした「右」の方々の一員なのなのかなあ。

 「・・・雑誌「正論」の携帯サイト・・・で会員へのアンケートを2月上旬に行った結果、「麻生太郎首相の考えは間違っていないので支持する」を選んだ人が4割弱を数えた。不支持の合計は3割強にとどまっている。」
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090303/bks0903030826001-n1.htm

<michisuzu>

≫ありゃま、「国民の方は米軍にこれ以上、お金をつぎ込むことには否定的」では必ずしもない、と前回とは180度逆のことを言い出したね。 豹変するのはよしとしよう。
 しかし、今回も問題が多いなあ。 ODAそのものは決して悪くはないのであって、「不経済」でない(=効果的効率的な)ODAじゃなきゃいけないというだけのことだし、日本の軍事費・・思いやり予算を除く防衛費っていう意味だろ・・は「増大」どころか目減りを続けているからだ。 もっと自分の主張や、言葉遣いを大切にしなくっちゃ。 michisuzuイライザちゃん、せっかく投稿頑張ってるんだから、少しずつでいいから成長しようね。≪(コラム#3127。太田)

 太田様読み間違いをされた上のお説教困りますよ。
 前回の私の書きこは↓で今回の書き込みとなんら矛盾してませんが?

≫小沢さんの第7艦隊発言をここぞとばかり批判して得点にしようとした自民党のお歴々は国民が全く興味を示さないのにがっくりでしょうね。 国民の方は米軍にこれ以上、お金をつぎ込むことには否定的なのに気が付いていないのでしょうね。 自分たち(自民党)が日本を守ってきたって言いたいのかなあ?≪(コラム#3123。michisuzu)

 これの何処が否定的でないって言ってます?
 最近お疲れ?かな。

<太田>

 わざわざ指摘してあげたのにそんなこと言うなんて、michisuzuちゃん、まともな社会生活を営めるのか、というくらい深刻な話だよ。
 自分の今後の人生がかかっているというくらいの気合いを入れて、これから先を読んでごらん。

 あなたは、「国民の方は米軍にこれ以上、お金をつぎ込むことには否定的」だとコラム#3123で言ったわけでしょ。
 ところがコラム#3127では、

≫財務省や政治家は口を開けば必ず国家財政の危機を言いまくるのに海外へのODA援助や支援、アメリカへの思いやり予算、軍事費の増大、官僚の天下りによる随意契約、地方の利権談合による不経済には一切目を瞑る構造って一体何? 国家財政と家庭の経済を一緒に語るのはいささか次元が違うのでしょうが、赤字の国にしてはざるのそこが少々抜けてませんかねえ? 数年間は最低限出費を抑えるのが筋ではないのかなあ?って何時も素朴な疑問が沸沸と湧いてきます。 なぜ大マスコミや国民からこのような素朴な疑問が出ないのか、不思議です。≪(コラム#3127。michisuzu)

とあなたは言っています。
 これを縮めると、要するにあなたは、「アメリカへの思いやり予算<等について>・・・出費を抑えるのが筋ではないのか<という>素朴な疑問が・・・なぜ大マスコミや国民から・・・出ないのか、不思議です。」と言っているわけよね。
 言い換えると、あなた自身とは違って、あなたを除く日本「国民・・・は米軍にこれ以上、お金をつぎ込むことに・・・否定的<ではない>」とあなたは言っているわけ。

 つまりあなたは、コラム#3123と3127で正反対のことを言っているんだよ。
 ここまで理解した?
 理解するまで何度も読み返してよく考えるんだよ。

 その上で、どうしてこんな滑稽なことが起きるのか、そしてこんなドジを今後防ぐためにはどうしたらよいか、をよくよく考えた方がいい。
 それには、感覚だけで投稿文を書き、それをすぐ投稿しちゃうっていうあなたの習慣を改めることが最低限必要です。
 私が典拠典拠とやかましく言うのは、典拠をつけるにあたって、投稿内容をよく考えざるをえなくなるからでもあるんだよ。
 だから、事実の指摘であれ、意見であれ、とにかく投稿の際には典拠をつけるように心がけることだね。 
 michisuzuちゃん、分かった?

<アルファ>

 2月28日夜、NHKのBS1で「米帝国崩壊を予言したエマニュエル・トッド」というタイトルの放送があり、人類学者エマニュエル・トッド(57才)の紹介がありました。エマニュエル・トッド氏は世界的ベストセラー「帝国以後」を著し、イラク開戦前に「アメリカ帝国の崩壊」を断言、さらに「アメリカ発世界経済危機」を予言しました。トッド氏は25歳で、人口統計学や家族の形態の分析からいちはやくソ連の崩壊を見抜き、世界的に注目された人です。

 太田さんが言う「日本属国論」と同じように、ドイツと日本はアメリカの実質的保護国であるとトッド氏は言っています。将来、日本はアメリカから独立するだろう、とも言っているようですが、日本人の政治意識がそこまで高まっているか、私は疑問に感じています。しかし、現在のアメリカの政治・経済が崩壊し、新しい政治経済の原理が模索される中で、近い将来日本人も、アメリカを政治経済の模範としない選択の方に意識が向いていくのではと、私は思っています。
 以下、参考までに挙げます。
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-02-28&ch=11&eid=11747
http://www.amazon.co.jp/%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E4%BB%A5%E5%BE%8C%E2%80%95%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%B4%A9%E5%A3%8A-%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB-%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89/dp/4894343320
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/288.html
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A8%A5%DE%A5%CB%A5%E5%A5%A8%A5%EB%A1%A6%A5%C8%A5%C3%A5%C9

<太田>

 トッドについては、私もコラム#81と252で取り上げたことがありますが、情報提供ありがとうございました。
 なお、「実質的」保護国という文学的な表現は私は好みません。
 そんなこと言ったら、英国だって、はたまたフランスだって米国の「実質的」保護国です。
 私は、保護国であるかどうかは、「形式的に」、つまりは「法的に」保護条約関係にあるかどうかで判断されるべきであると考えているわけで、かかる考えに照らし、日本は米国の保護国(属国)であるのに対し、フランスや英国はもちろん、ドイツも米国の保護国ではない、と考えているわけです。 

 記事の紹介です。

 「保守系の代表的なオピニオン誌である月刊「諸君!」の休刊を、発行元の文芸春秋が決めた。5月1日発売の6月号が最終号になる。  同誌は69年5月の創刊。看板雑誌である月刊「文芸春秋」の兄弟誌的な位置づけで、右派論壇を支える存在だった。・・・」
http://www.asahi.com/culture/update/0302/TKY200903020297.html

 アーメン!

 Masaru Tamamotoという日本人らしい人物がニューヨークタイムスに書いたコラム、まあまあ面白い。

 ・・・Conservative pundits here like to speak of this equality and sameness as being cornerstones of “Japanese” tradition. Nonsense. Throughout much of its history, Japan has had social stratification and great inequality of wealth and privilege. The “egalitarian” Japan was a creature of the 1970s, with its progressive taxation, redistribution of wealth, subsidies and the dampening of competition through regulation. This all seemed to work just fine until our asset-price bubble popped in the 1990s. ・・・

→日本型政治経済体制ができたのは、1970年代ではなく、先の大戦の少し前から構築された総動員体制の結果。(太田)

 ・・・what happened once we caught up? Over the past two decades, the answer has largely been paralysis. ・・・

→イギリス以外のあらゆる国・地域はイギリスのマネをして近代化を行ってきた。日本だけの問題ではないし、そもそもこれは追いつくとか追いつかないとかいう問題ではない。(太田)

 In the West, on the other hand, the idea of progress rests on establishing individual autonomy and liberty. In Japan, bureaucratic rule offered security and predictability ? in exchange for personal freedom. ・・・

→これは丸山真男史観そのものだけど、この史観は眉唾物。(太田)

 If we want to survive as a nation, we must shed our deeply rooted resistance to immigration. ・・・

→ここはその通り。(太田)

 ・・・the idea that the Japanese are afraid of risk has no basis in history, for better or for worse. Remember Pearl Harbor? In fact, Japan’s passiveness today is in large measure a calculated and reasonable reaction to its behavior during the Second World War. But today, this emphasis on safety and security is long past its sell-by date.・・・

→敗戦を期にというより、昭和に入った頃から日本は縄文モードに回帰し始めた、と考えるべき。(太田)

http://www.nytimes.com/2009/03/02/opinion/02tamamoto.html?ref=opinion&pagewanted=print

 何ども本コラムでとりあげた、ニール・ファーガソン(Niall Ferguson)の論考です。
 今次世界経済「恐慌」を契機として、失敗国家(failed state)が一挙に増えつつある、というだけのことだと私には思えます。

 ・・・George W. Bush warned of an “axis of evil” that was engaged in assisting terrorists, ・・・The bad news for Bush’s successor, Barack Obama, is that he now faces a much larger and potentially more troubling axis, an axis of upheaval. This axis has at least nine members, and quite possibly more. What unites them is not so much their wicked intentions as their instability, which the global financial crisis only makes worse every day. ・・・Somalia・・・Russia・・・Mexico・・・Gaza・・・Iran・・・Afganistan・・・Pakistan・・・Indonesia・・・Thailand・・・Turkey・・・Congo・・・Sudan・・・Zimbabwe・・・
http://www.foreignpolicy.com/story/cms.php?story_id=4681
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太田述正コラム#3130(2009.3.3)
<イスラム・中世のイギリス・中世の欧州(その4)>

→非公開