太田述正コラム#3032(2009.1.13)
<イスラエルのガザ攻撃(続x10)>(2009.2.26公開)

1 始めに

 オルメルト首相は、「第三段階」作戦入りを延期しました。
 この話を中心に、今次ガザ・ミニ戦争の最新状況を眺めましょう。

2 「第三段階」作戦入りの延期をめぐって

 (1)オルメルトかく語りき

 「・・・エフード・オルメルト首相は12日、世界の何人かの指導者達に向けて、ガザでの作戦が「第三段階」入りする前に、エジプトを通じて行われている外交的動きがガザへの武器密輸の停止に導くかどうかを見極めたいとのメッセージを送った。・・・
 オルメルトは、<作戦の>拡大を避けたいと思っているが、他に手段がなく、エジプトの努力が結実しないことがはっきりしたら作戦を拡大せざるをえないと彼らに伝えた。
 この対外向けの声明とは対照的に、オルメルトは国内向けにはより強硬なメッセージを放送した。
 ・・・オルメルトは、作戦の終結には二つの条件がみたされる必要があると語った。一つはハマスのロケット発射の停止であり、もう一つは密輸の停止とハマスの<武器>強化の停止だと。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1054915.html
(1月13日アクセス。以下同じ)

 (2)なぜオルメルトは強硬な姿勢を崩していないのか

 「<8日から始まった>予備役部隊のガザ地峡への入境は、12日夜だけで、<ついに>何千人の規模となった。・・・
 ハマス等は、12日、<なお、>少なくとも18のロケットをイスラエル南部に向けて発射した。
 ・・・オルメルトは、<首相を>辞任することが決まっている。だから、バラクやリヴニと違って、数ヶ月後の総選挙に立候補しない。この<ように「自由」な立場にある>ことが、何人かの評論家達をして、彼が紛争を更に激しくしようとの意図の背景にあると指摘している。・・・
 イスラエル国防省の役人の最高位のアモス・ギラド(Amos Gilad)が<交渉のために>カイロに赴く予定だったが、行くのを延期した。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/13/gaza-israel-reservists

 (3)イスラエル世論はなぜ強硬なのか

 「・・・世界の人々は、イスラエルの人々は本当に<自分達以外の>全員が間違っていて自分達だけが正しいと思っているのだろうか、と首をかしげているに違いない。
 だけどそうだから仕方がない。
 ・・・<イスラエルの>経済紙の編集者の・・・は、「我々が理解されないことにはまことにイラつく」と語った。「イスラエルのほとんど100%の人々は、世界は偽善的だと感じている」と・・・
 イスラエルは、往々にしてバラバラ、かつ互いに罵りあう社会なのだが、ここ数週間というもの、一致団結と相互扶助の社会へと変貌を遂げた。・・・
 戯曲作家で平和活動家の・・・は、「ハマスはイスラエルの風潮を30年前に戻してしまった」と言った。「平和陣営を抹殺してしまったのだ」と。・・・
 ヘブライ大学の左翼の哲学教授の・・・は、「ハマスからのロケットはやがてイスラエル全土に到達するようになるだろう。」と言い、「これは幻想ではない。現実の問題なのだ。・・・」と付け加えた。・・・」
http://www.nytimes.com/2009/01/13/world/middleeast/13israel.html?hp=&pagewanted=print

 (4)必死のハマス

 「・・・<イスラエルの諜報機関が、ハマスの指導部が逃げ込んでいると指摘した>病院の院長・・・は、この話を否定し、弊誌タイム<の記者>を地下に案内した。そこはX線や超音波の検査を受けるために待っている患者達で溢れていた。・・・
 <これは偽装工作の臭いがしますね(太田)。>
 また、ヨルダン川西岸のハマスの司令官は、エジプトからイスラエルの外交官にもたらされたと思われるところの、ハマスのダマスカス組は戦闘を続けることを欲しているが、ガザの指導者達は戦闘を止めたいと思っている、という話を否定した。
 彼は弊誌に対し、「戦争の時に意見の不一致や分裂などやってられるか。ダマスカスとガザとの間で食い違いがあるという話は、イスラエルといくつかのアラブ諸国の希望的観測に過ぎない」と述べた。・・・」
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1871112,00.html

 「・・・カイロにいたハマスの係官達は、彼らの政治的指導者であるハレド・メシャルが亡命生活を送っているダマスカスに赴いた。彼らは12日の夜に戻り、交渉を再開する、とエジプト政府の広報官が・・・語った。・・・」
http://www.nytimes.com/2009/01/13/world/middleeast/13mideast.html?hp=&pagewanted=print

3 感想

 オルメルトが決断を先延ばしにしたのは、ハマスが浮き足立っていることを見透かしてのことでしょう。
 私は、遅くてもオバマ新政権が発足する20日までには、実質イスラエルの大勝利の形で停戦がなる、という予感がしています。