太田述正コラム#3016(2009.1.5)
<イスラエルのガザ攻撃(続x4)>(2009.2.17公開)

1 始めに

 このあたりで、米国は何を考えているのか、検証しておきましょう。

2 米国の考え

 「・・・地上攻勢をかける意思決定は、<イスラエルの首相の>オルメルト、国防相のエフード・バラク、外相のティピ・リヴニによる、深夜に始まり3日(土)の午前4時まで続いた会議でなされた。その後、安全保障のための閣議が開催され、この作戦を承認した。・・・
 この3日の夜、米国は、国連安全保障理事会の即時停戦を求める<議長>声明を発出させようとする動きを差し止めた。
 他方、EU議長国たるチェコ共和国の広報官は、<米国の意向を汲んで(?)>この地上攻勢は、「防衛的であって攻撃的な行動ではない」と言明した。
 コンドリーサ・ライス米国務長官は、ガザ危機に対処するため、中共訪問を取りやめた。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/05/israel-palestine-gaza-attacks
(1月5日アクセス。以下同じ)

 「・・・<米ブッシュ政権の行ってきた対テロ戦争に>イスラエルほど、一貫した熱意をもって追随してきた国はない。
 ハイファとエルサレムで自爆テロがあった直後の2001年12月にホワイトハウスを後にしたアリエル・シャロン<イスラエル首相(当時)>は、「我々はイスラエルで対テロ戦争を行っている。これは<米国が戦っているのと>同じ戦争だ」と語った。・・・
 <リヴニ外相は、>「イスラエルは自由世界の一部であり、過激主義及びテロリズムと戦っている。ハマスはそうではない」と述べた。・・・<それに続けて>リヴニは、「今や、この地域と世界のすべての人々は、どちらの側に立つかを選ぶ秋なのだ」<と付け加えた。>・・・
 <最近の世論調査によれば、>米国の人々はイスラエルによる侵攻に今まで考えられていたほど寛大ではないことを示している。ガザの空爆については賛否半々といったところだ。44%が<是>・・・、41%が問題に対して外交的解決方法を見いだす努力をすべきだったと答えている。
 ・・・これは、次期大統領のオバマが、彼が中東でより公平な政策を追求しようとするならば、そのための画策の余地が十分あることを示唆している。・・・」
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/jan/05/terrorism-israel-obama

 「・・・イスラエルの人々の80%近くはガザに対して一週間続いた経空攻撃を「非常に支持」しており、4%未満しか反対していない。しかし、地上攻勢に関する意見は二分されていて、イスラエルの人々の42%しかこれを支持していない。40%近くは軍事行動は経空攻撃に限定されるべきだとしている。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/05/israel-gaza1

 「・・・ハマスは、レバノンのヒズボラ同様、イスラエルが直面している本当の敵の代理人(proxy)にほかならない。・・・
 中東紛争は、パレスティナ国家の創設を巡るだけのものではもはやなくなった。それは過激派イスラムによってこの地域が乗っ取られることを防止することを巡るものともなったのだ。・・・
 <2006年の南レバノンでの戦争に対して>国際社会は、イスラエルが目的を達成する前に停戦を押しつけ、平和維持軍を導入したが、それ以降、ヒズボラが戦争前に保有していた武器の在庫を2倍に増やすのを看過した。
 イスラエル軍がヒズボラの軍事要員の四分の一を殺害し、ヒズボラの本拠地を何カ所も破壊したというのに、イスラエルは敗北者と一般に受け取られるに至ってしまった。勝利を収めたのはイランだった。・・・
 <今回の戦争でイスラエルは、>一般住民が悲劇的に傷ついているとはいえ、ハマスがこれまでアパート、モスク、及び学校からロケットを発射しており、病院を隠れ家に使っているというのに、これまで殺害された400人のパレスティナ人の四分の三は武装要員であるという、素晴らしい成果をあげた。・・・
 バラク・オバマ次期米大統領は、外交によってイランと対決すると宣言している。
 最も望ましいのは、このプロセスがイランの敗北の後に開始されることだ。
 仮にイスラエルがその目的をガザで達することを認められるならば、オバマ政権がイランでその目的を達成するのに好適な環境が整うことになろう。・・・」
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-halevi4-2009jan04,0,376189,print.story
 「・・・悩ましいのは、イスラエルがロケット発射を軍事的手段だけで終わらせることが恐らくできないことだ。また、ハマス政府を打倒してガザ全地区を再占領したところで、現在の戦闘が終了した後、ハマスがその武器の在庫を再び増やすことをイスラエルの力だけで防止することもできない。
 このミニ戦争に勝利するためには、イスラエルは、米国、エジプト、トルコ、または多分欧州の諸政府に解決を仲介をしてもらうことを頼む必要がある。・・・」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/01/03/AR2009010301744_pf.html

 「<今回の戦争の帰趨は、>イスラエル、エジプト、パレスティナ当局、及び米国からなる既存の安全保障委員会にかかっている。ハマスは、引き続きガザ地峡の支配を続けることになると思われているが、この委員会に代表を送っていないし、その了解や合意の一員になることもない。・・・
 <2006年の南レバノンでの戦争の際には、>イスラエル、レバノン、シリア、フランス及び米国が監視グループを設立し、一般住民への攻撃を禁止したところの合意についての違反に対処することとなった。ヒズボラはこの合意の一員ではなかったが、その時の前提は、シリアがヒズボラに影響力を行使することができる、というものだった。
 現在のガザの状況下では、イスラエルは<1996年の>第二次レバノン戦争を終わらせた安保理決議1701のような、停戦を強いる国連安保理決議の採択には反対している。
 イスラエルは、ハマスが、取引に署名することを認められることで正当性を付与されることを欲していない。イスラエルは、パレスティナ当局が1996年におけるレバノン政府の役割を演じて、パレスティナ人を代表してもらいたいと考えている。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1052591.html

3 コメント

 米国のブッシュ政権との密接な連携の下にイスラエルが今回の戦争を戦っていることがお分かりいただけたことと思います。
 米国及びイスラエルが今回の戦争での落着点として思い描いているものも輪郭がかなり見えてきましたね。
 それにしても、ブッシュとオバマの阿吽の呼吸は絶妙ですね。
 ブッシュ政権の8年間の任期は、どう考えても落第点しかつけることはできませんが、その任期の最後だけには及第点をつけてあげましょう。