太田述正コラム#3002(2008.12.29)
<イスラエルのガザ攻撃(その2)>(2009.2.10公開)

 このようなイスラエル世論のよってきたるゆえんは以下のとおりです。

 「・・・イスラエル政府の広報官がメディアに対して何度も繰り返しているように、このような<ロケット>攻撃を連日のように受け続けることを看過し、その市民を守るための行動をとらない国は、この世界には存在しない。
 ハマスはこのことと、連中のロケットの連射が不可避的にガザの住民に報復をもたらすことを熟知しているのだ。
 先週、イスラエルの政治家達からの武力行使をちらつかせる発言が一層大声でなされるようになったというのに、ハマスは、人口密集地で一般住民が集う場所をイスラエル向けの連日の攻撃の発射基地として用い続けた。
 26日には、ガザの過激派の、イスラエルの標的を狙ったロケットの点火がうまくゆかず、パレスティナ人の家にロケットが落下し、二人のパレスティナ人の少女達が亡くなった。・・・
 イスラエルがハマスの仕掛けた罠に落ちたと声高かつ明確にイスラエルを非難する者は、まずハマスがこんな罠を仕掛けたこと自体を非難してしかるべきだろう。・・・」
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/dec/28/gaza-attacks-israel
(12月29日アクセス)

5 空爆等の実態

 「・・・28日に、イスラエルのヘリコプターや戦闘機は、ガザ市のハマスの主要牢獄の一帯を爆撃した。そしてそれと平行して、エジプトとの境界の下をくぐっている約40の補給用トンネルを爆撃した。
 イスラエルによれば、これらのトンネルは、ハマスの改善型のミサイル<等の武器>の供給ルートになっている。他方、パレスティナ人側は、これらのトンネルは、イスラエルが商業的関門を封鎖によって閉鎖したことから、消費財を輸入する唯一のルートになっていると主張している。
 28日のイスラエルの航空攻撃の第一波は、それぞれ複数の、訓練場、警察署、及びハマスの諜報諸中枢を標的としたものだった。・・・」
http://www.csmonitor.com/2008/1229/p01s03-wome.html

 「・・・29日の未明、イスラエルはガザ市のイスラム大学と政府施設の一帯を爆撃した。これらはハマス権力の中枢だ。・・・
 空軍は、ガザ空爆2日目の28日、100カ所以上の標的を爆撃した。
 複数のパレスティナ筋によれば、28日の爆撃によって死亡した・・・人々を入れて、2日間の作戦による死者は290名を超えたという。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1050681.html

6 陸軍は投入されるのか?

 「・・・イスラエルは28日、閣議で何千人もの予備役の招集を決めた。・・・これは、・・・大きな陸上侵攻が考慮されていることを示唆している。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2008/dec/29/ehud-olmert-israel-palestine

 「・・・28日、イスラエル軍はガザとの境界線近くに、ハマスに対して想定される地上作戦準備のために部隊を集結させた。それと平行して閣議で約6,700人の予備役兵士の招集が承認された。これは、作戦のために必要になった場合に備えての措置だ。
 複数の国軍筋は、戦闘が続けば、予備役が追加的に招集されるかもしれないと語っている。
 2006年の第二次レバノン戦争の時だって最初の数日の段階では数千人の予備役しか招集されなかった。しかし、戦争が終わる頃までには、約62,000人の予備役が招集された。」http://www.haaretz.com/hasen/spages/1050681.html上掲

 「・・・イスラエル<、とりわけオルメルト首相は、>は、2年前のレバノンでのヒズボラとの戦争の教訓を肝に銘じていると分析家達は言う。だから、ハマスを倒すために<ガザに>地上部隊を送り込むとは考えられないというのだ。
 政治的支持を得られないところのガザの再占領の代わりに、イスラエルは、単にその南部辺境における関わり方を再定義し、新たな停戦に達することを狙っているのではないかというわけだ。・・・」
http://www.csmonitor.com/2008/1229/p01s03-wome.html上掲

 「ティピ・リヴニ外相は、外国のメディアに対し、イスラエルはガザを再占領するつもりないと言明した。また、複数の政府筋は、イスラエル外務省が退出戦略について作業中であると述べている。この戦略はガザへの国際部隊の駐留を伴うものにはならないであろうという(注1)。・・・
 ・・・作戦開始から3日目の29日一杯で、イスラエルは空襲の標的が枯渇しかけることだろう。枯渇した時点でイスラエルは、地上作戦を開始するか、作戦にすみやかに終止符を打つかを決めざるをえなくなる。・・・
 以上から、現状においては、イスラエルによるガザへの大規模な<地上部隊の>侵攻も、すみやかな外交的解決も、可能性としては低いと言わざるをえない。」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1050681.html上掲

 (注1)田中宇氏は、彼のメルマガの最新号で、イスラエルはガザに国連平和維持部隊を導入することを目論んでいるという趣旨のことを述べていたが、そんなことはおよそ考えにくい。私の知る限り、イスラエルの政府関係者は、レバノン等に駐留するPKOについて、その意義を全く認めておらず、むしろ邪魔者以外の何物でもない、という認識で一致しているからだ。

 「・・・<従って、ガザにイスラエルが>地上部隊を投入するとすれば、それは航空戦力が達成できないこと、すなわち、これまで発見できていないところの、ロケット生産及び貯蔵施設を探索する、と達成する、という目的くらいしか考えられないのだ。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2008/dec/29/israel-attack-hamas-preparations-repercussions

(続く)