太田述正コラム#2673(2008.7.17)
<性科学の最新状況>(2009.1.25公開)

1 始めに

 性科学の最新状況(ただし、2年ほど前の時点のものを含む)をご紹介しておきましょう。

2 判明したこと

 (1)発情期

 人間の女性の場合、他の雌の哺乳類に見られるような、発情期(Oestrus=heat)の性器の充血は見られませんが、声がセクシーになります。このほか、性的感受性が増し、臭覚も鋭敏になります(
http://www.newscientist.com/channel/being-human/mg19826544.300-sexy-voice-gives-fertile-women-away.html
。6月17日アクセス)。

 ちなみに、ストリップ嬢が観衆から受け取るチップの金額は発情期に増加します。
 これは、発情期にはストリップ嬢を含め、女性の顔、香り、そして着衣がより魅力的になることや、女性に自信がつくことがこれまでの研究で分かっており(注)、これらの変化を観衆が敏感に感じ取るためであろうと考えられています(
http://www.newscientist.com/article.ns?id=mg19626255.100
。6月17日アクセス)。

 (注)発情期には、女性は肌の露出が多くなり、いつもよりおしゃれをするようになり、いつもより派手なアクセサリーやジュエリーを身につけるようになるということが分かっている(
http://venacava.seesaa.net/article/25895630.html
。6月17日アクセス)。

 他方女性は、発情期に、低い声の男性に性的魅力を感じることが分かっています。
 これは、低い声の男性は、その声の低さが男性ホルモンであるテストステロン分泌量が多いことを示すことから、このような男性は健康で生殖活動に最適であると女性の本能が判断するためだと考えられています。
 ただし、長期的関係を結ぶには、声が高めでやや女性的な男性のほうが、相手を思いやる能力にたけているとして女性には魅力的に映るという研究結果もあります。
 (以上、
http://www.japanjournals.com/dailynews/060228/news060228_2.html
(6月17日アクセス)による。)

 (2)番う相手の発見

 人間の男女は番う相手をどのように見つけるのでしょうか。
 万国共通なのは、美貌・頭脳・富の三点セットです。
 さりとて、高望みしていてはいつまで経っても番う相手が決まらないので、人々は同じ程度の美貌・頭脳・富を持つ人を番う相手に決める傾向があります。
 また、病原体と戦う能力に係るMHC(major histocompatibility complex)がより共通していない人を番う相手に決めるということも分かっています。
 この場合、香りが決め手になっています。MHCがかけ離れている異性の香りは魅力的に感じるのです。
 なお、ピルを飲んでいる女性は、逆にMHCが似通っている男性の香りを魅力的に感じるので注意が必要です。
 また、本来番うべき相手ではなくても、その相手とセックスをすると大脳でオキシトチン(oxytocin)が分泌され、その相手に暖かい、愛に近い親近感が生まれ、子育てを容易にするところの社会的絆が生まれてしまうので、やはり注意が必要です。

 では、愛(love)とは一体何なのでしょうか。
 愛とは、番う相手探しを、暫定的にせよ打ち切り、番うことそのものに専念させるために起きる感情にほかならない、と考えるべきだとする説が有力です。

 ちなみに、時間を節約しつつ番う相手を探す最適方法は、対象中から無作為に抽出した9%に探す相手を限定するという方法であることが、数学的に明らかにされています。
 (以上、
http://www.newscientist.com/article.ns?id=mg19025491.300
(6月17日アクセス)による。)

3 終わりに

 皆さんは、このような領域に科学のメスがどんどん入っていくことをどうお考えですか。
 愛とは番う相手探しを打ち切ることなり、なんて言われてしまうとまことに興醒めですが、なるほど、と思われた方も少なくないのでは?