太田述正コラム#3007(2009.1.1)
<皆さんとディスカッション(続x354)>

<コバ>

 あけましておめでとうございます〜。
 さて、太田さんがコイズミ解散選挙をアングロサクソン化を問う選挙だと書かれていたと思いますが、あの選挙の結果を、Britainization、UKーizationと論じる記事があるようです(
http://www.iht.com/articles/2005/09/28/opinion/edestevez.php
森田敬一郎氏携帯サイト
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/153921/136601/6960224)。
 世界を全く知らない自分なのでアレですが、日本の顔をしたアングロサクソン化とはカナダ化のようなものでしょうか。
 日本がまるまるUK化することはないだろうし、できそこないのアングロサクソン化ではダメだし…。
 ニュージーランドとか南アフリカ共和国はどうなんでしょうか。海外旅行一度くらいはしてみたいけど、計画性もない貧乏じゃ今年も国内這いずり回るしかないっすね…。
 とまれ、今年もどうぞよろしくお願いします!

<太田>

 こちらこそどうぞよろしく。

<軍事愛好家>

 <この前の「桜」、>YOUTUBEで観ました。見た目は他の評論家よりも弱そうだけど、どんなに批判されても確信的に自分のスタンスで力強く述べているのが素敵だと思いました。
 例えばあの回で尖閣諸島での中国との衝突などの話でも。
 専門家じゃなくてもある程度教養のある人が放送を観てたら、誰の意見が頷けるか分かりますねぇ

<hiromichit1013>(http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/folder/1403961.html

 太田述正、兵頭二十八『属国の防衛革命』光人社、2008年、1,700円+税は、兵頭氏が共著を望んで実現したもので、論壇の活性化させる狙いがあった。
 全部で11本の論文で、7編が太田氏、4編が兵頭氏である。
 太田氏の論文は、「日本はみずから望んで米国の属国になっているだけ」、「政権交代が日本の独立を回復させるメカニズム」、「カナダはいかにして米国に併合されてしまったか」、「『民主主義』インドはアジアの覇権国になれるのか?」、「イスラム圏諸国はいつ世俗化するのか?」、「移民を大量に受け入れれば良いことがある」、「『北方領土を返せ』という要求は無理筋である」である。
 兵頭氏の論文は、「核武装『後』の日本の防衛」、「ケネディ政権は日本の核武装を望んだか?」、「神功皇后と豊臣秀吉の対支戦略」、「敗戦後のわが国の軍事出版史をふりかえる」である。
 憲法9条に忠実に、使い物にならない自衛隊を維持すると共に、諜報機関も持たずして、米国に日本の外交、安全保障を委ねる−という吉田ドクトリンなる国家戦略を日本は堅持してきたのだから、その日本が米国によって「搾取」されるのは、ごく当たり前のことである。
 戦後、半世紀以上に渡って日本の国家戦略であり続けている「吉田ドクトリン」とは、「安全保障は米国にゆだね、経済に専念する」ことを意味し、経済優先と対米従属とをコインの裏表とする、「利己」的な国家戦略である。
 占領下に始まる戦後教育によって、日本人の間からは。「戦前」から占領期にかけて、米国が日本に対して犯した深刻な犯罪(原罪:ポツダム宣言による日本国憲法の押し付け等)の記憶は、拭いさせられたが、日本人の潜在意識の中には、米国に対する激しい憤りが残っている。
 こうした属国意識が日本を蝕んでいる。このカラクリを知るだけでも読む価値はある。他にも数多く考えさせられるテーマがある。読む価値がある。
 是非とも御一読をお勧めします。

註:太田述正、兵頭二十八『属国の防衛革命』光人社、2008年、1,700円+税
  「日本の愛国心」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/56130349.html
  「『新しい戦争』を日本はどう生き抜くか」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/55657987.html
  「祝 憲法記念日」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/48548775.html
  「言語操作能力」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/32051053.html

<tero19632001 >(http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/folder/1403961.html

 私がこの本で注目したのは「米国が『ガチで対英戦を検討』」していたという事実ですね・・・
 もしも、この「事実」を日本が認識していれば「米英離間策」を講ずることが出来たのにと思うと・・

<hiromichit1013>(同上)

 tero19632001様、そのとおりです。米国は、カラープランを立案し、日英が同盟関係を組めば、勝てないことから、日英同盟の分断、英国の抱き込みを図りました。この点もこの本の注目点の一つだと思います。

<tero19632001 >(同上)

 逆説的ではございますが、オバマ政権は『日本が「属国から脱する」事』を望んでいるきらいがありますね・・・
 まあ、どちらかといえば「日本に限らず『同盟国の通常戦まで米国が面倒を見る』のはもうウンザリ」という方が正解では?

<hiromichit1013>(同上)

 tero19632001様、そうだと思います。同盟国に独り立ちしてもらいたいと思っているのでしょう。日本は恐怖とエゴでそれをしないから、巻き上げられています。自立する覚悟を持たなければならないでしょう。

<太田>

 皆さん、『属国の防衛革命』のご紹介、ありがとうございました。
 書評で、戦前の米国の対英レッド計画(コラム#1621)に関する私の記述に言及していただいたのは、初めてじゃないでしょうか。

<さるさる>(http://www5.diary.ne.jp/user/515531/

 --太田述正『実名告発防衛省〜防衛庁元キャリア独占手記』金曜日刊--

 版元があの『買ってはいけない』の週刊金曜日ですので、筆者的にはやや警戒しながら読んだのですが、内容はいたってまともでございました。
 ただ、巻末の佐高信の解説は別に読まなくてもいいと思う。っていうかむしろ読むな。 なんたって、護憲の生命線とか書いてあるんですからね。
 お前は松岡洋右かって話ですよ。

 (筆者注:松岡洋右は、満州鉄道総裁にして、のちの外務大臣。「満蒙は我が国の生命線」とし発言し、我が国の満州進出を進めるとともに、外相時代には日独伊三国同盟を結び、日本の外交を大きく誤らせた張本人)。

 さて、肝心の本の中身なんですけど、防衛庁(当時)の元キャリア官僚が、現職中に実際に見聞したことなどを含め、関係者を実名で告発しているのがこの本 です。出すのが少し遅すぎたかな、という気もしないでもないけど、防衛省批判が高まっている中でありますので、それなりにタイムリーか。

 防衛省の職員は(大臣などを除き)、大きく分けて三種類あります。一つが陸海空の自衛隊の自衛官、そして事務官と技官です。自衛官は制服を着て勤務する ので制服組、それ以外は私服組と言われ区別されております。制服組が主に部隊の運用や維持管理をするのに対し、私服組は施設の買収とか経理など、会社でい えば後方の事務的な作業を担当するのですけど、先日逮捕された守屋武昌元防衛事務次官などは、私服組のトップといったところでしょう。本書では、著者本人の見聞が主なので、事務方や、それにかかわる政治家への批判が大部分を占めており、佐高が喜びそうな制服組批判はあまりありません。
 まあ、それはともかく著者の主張は、納得できない部分はあるものの、わりとバランスが取れており防衛省の問題点をよく書けていると思います。

 元自衛官の筆者が見ても、読み応えがありました。業者による接待よりも、天下りのほうが問題だ、というのは確かにその通り。接待の経費よりも天下りによる給与の方がはるかにデカイ。守屋問題で接待に焦点を当てさせたのは、天下り批判を回避するためだったのかもしれませんね。

<太田>

 『実名告発 防衛省』のご紹介、ありがとうございました。
 それにしても、「納得できない部分」をぜひお聞かせ願いたいものですが・・。

<KT>

 質問があります。
 今アルバイトをしているんですが、働いている店の店員の効率がよくて、まるで軍隊みたいだなと思ったんですが(といっても軍隊のことをまるで知らないんですけどね)、吉田ドクトリンって日本経済の人の効率を高めたんでしょうか?
 あと、ニートやひきこもっている若者の自立と社会参加を支援する「若者支援新法」(仮称)が来年の国会に提出されるそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081229-00000054-san-soci 
 若者はなぜ将来の夢をもてないのか。自分は、日本銀行券をグルグル回すことに命をかけたくないです。

<太田>

 つい最近まで続いたところの、総動員体制たる日本型経済体制が日本の戦前から戦後にかけての高度成長をもたらしたわけですが、吉田ドクトリンとは、この経済体制に(軍事抜きの形で)ただ乗りした戦後日本の国家戦略であり、吉田ドクトリンそのものが経済に影響を与えた、ということはありません。
 日本の現在の若者が将来に夢を持てない(ここのところ、本来典拠が必要です)のは、自分個人を超えた存在について、教えられていないからでしょう。
 自分個人を超えた存在として、子孫、社会、歴史等があることは分かりますよね。

<ククク>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x

 太田が読者の書き込みをみなディスに取り上げる時に、太田が何のコメントもしないときがあるけど、あれはどういう意味なんだろう。
 読者の意見が、太田がコメントを述べるまでもない正しい意見だからなのか、コメントもつけたくないほど酷い意見なのか。

<太田>

 同感の場合と、中身にはコミットせずに、単に情報提供するに価すると考えた場合とがあります。

 記事です。
 1978年の段階で、英国がいかにソ連の脅威を前にして軍事的に無力感に苛まれていたか、という記事が出ていました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7795497.stm
(12月31日アクセス)

 会費納入を忘れておられる有料会員が結構いらっしゃるようなので、9日まで納入期限を延ばすことにします。
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太田述正コラム#3008(2009.1.1)
<イスラエルのガザ攻撃(続)>

→非公開