太田述正コラム#3001(2008.12.29)
<皆さんとディスカッション(続x351)>

<秋の空>

1)塩田氏〔諸君論文)

≫的確に整理できた人は、・・・塩田さんだけです・・・塩田さんが自由に書けなかったということ≪(コラム#2999。太田)

 そういうことですか、完全に誤解しておりました。それと私のコメント、誤字等の修正までしていただいて恐縮しております。

2)別宮氏

 パリ不戦条約違反をめぐる同氏の解釈には太田さんと同じような違和感を感じました。
 兵頭氏のサイト(別宮ファンもいる)でフライング・タイガース問題<(コラム#2982)>(単に事実関係)を議論するのさえはばかれる雰囲気があってひいたことがあります。
 引用した私がいうのは無責任かもしれませんが、同書は(別宮氏の<解釈>の部分は)批判的に読んでおります(事実関係を除いて)。

3)『右』をめぐる天気輪さんとのやりとり。

 いつかぜひ太田さんにきいて見たかったのですが(以前植田さんもおっしゃっていたかもしれませんが)保守論壇でお一人、西尾幹二氏は、一番太田さんを理解する視点の持ち主だと思うのですが。
 左のマスコミでの西尾・太田『属国論』対談というのは可能性ないのでしょうか。
 (同氏ファンの直感として)西尾さん、左のマスコミに抵抗ないと思います。
 彼は散々岡崎久彦氏と遣り合ってきましたし。(日本が自ら進んで属国となっているのは)今、彼が興味をもってるGHQ焚書問題をこえて現在の日本の病理なのだと太田さんがゆっくり説明なされると随分深い話になるんじゃないかと思います。

<VincentVega>

 チャンネル桜<の>・・・番組終盤で、もし中国が尖閣を実効支配するような無茶をしようものなら、日本の世論が激変し、自衛隊の軍事力で簡単に取り戻せるようになるので心配無用との太田さんの見通しに対して、水島さんら他の出席者が(その程度で日本の世論は)変わらないと反論していましたが、韓国に実効支配されている竹島に対して日本の世論はあまり過激な反応はしていないところをみると、水島さんたちがああ言いたくなる気持ちも分らんでもないかなという気はしました。

<太田>

 朝鮮総連や拉致に対する、つい最近までの日本の朝野の微温的姿勢は、旧日本帝国領域内の問題、という潜在的認識があったからだと私は考えています。
 竹島問題に対する姿勢だってそうです。
 もう一つ、ご指摘のように、竹島は韓国が実効支配しており、日本が実効支配している尖閣諸島とは状況が根本的に異なります。 

<US>

 桜、拝見しました。
 前回の放送に比し、今回は、中身のある議論が多かったと思います。

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 フリップですが、下記4点を感じました。

・前回同様、こちらの論旨を順序だって説明する機会が冒頭にあると予測し、ダイジェスト版を数枚用意した次第ですが、結局、この予測ははずれましたね。そのときの話題に沿って1枚づつ使用することとなりましたが、この方がかえってよかったと思います。フリップそれぞれにまとめたテーマが話題として的を得ていたのもよかったですが、1枚ごとに収めている内容範囲がいい按配だったのだと思います。桜のような討論番組で用いるフリップを作成する際は、この『按配』を、基準としようと思います (セミナー用には各1枚にもう少し内容をつめるか、2枚で説明したものを1枚でするなど圧縮した方がよいかもしれません)。
・中国フリップははずれでしたね。さっきまで守るべきは主権だ、国体だと言っていたにも関わらず、日本の防衛について議論することと、尖閣付近にちょっかいだされて何もできないことの不甲斐無さを糾弾することを同列にしてしまう方たちの中に、あのフリップを出したところで、議論は、噛み合いませんからね。今後も、桜に出る場合、中共脅威を訴える方を相手にしなければならない場合が多々あると思います。どのようなものを用意しておけばよいか、今後の宿題とします。
・9枚、よく制御されました。何の失態もなく、お見事です。一般視聴者は何の違和感も持たず当たり前のように見ていたかもしれませんが、私は内心、他の人が発言している最中、テーブル上、未使用分と使用分の2つにわけたフリップをぱらぱらとめくる太田さんが画面の端っこに映るたび、コーヒーをこぼさないかしらとひやひやしていましたが無事で何よりです。
・マゼンダでも赤黒く見えました。強調文字はオレンジを基調とするか白抜き文字にした方がよいかも。他番組でのプロの方たちの例を見て研究してみます。

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 ・・・この作業に参加させていただき本当に勉強になります。
 今回は、十七条憲法、五箇条の御誓文、人間宣言について、恥ずかしながら、学校でならった内容は、間違いとはいいませんが、あまりにも表面的すぎて、大きな誤解とともに理解してきてしまったことがよくわかりました。

 特に人間宣言は、歴史イベントとして、天皇が人間宣言したことが一大事であると習いましたが、実は、人間宣言の部分などおまけで、今回、フリップにまとめたように、陛下は、五箇条の御誓文を証左として引き合いに出し、民主主義っていうのは輸入ものではなく明治のときから日本にあったんだよ、日本のみんな誇りをもってがんばろうって正月年頭のあいさつでおっしゃりたかったものというのを初めてしりました(典拠:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%AE%A3%E8 %A8%80)。

 番組中、何年も前から中国のことについて警鐘をならしてきた平松さんが、やはり何年も前から人間宣言っていうのは問題だと言って来たという発言に、何が問題なんだろうと、実は私も、不思議に思いました。
 水島さんもこの問題でも一度議論しなければならないといっていたのでこれは、右の世界では常識問題として何か問題が存在しているのかしらと思いました。
 太田さんが質問してくれたのですがやっぱりよくわかりません。
 ご本人が何年も前から問題って言ってきているのだからきっとネットを調べればわかるだろうとも思ったのですがわかりませんでした。すぐ、殺しちゃえばいいんだを連呼し、戦争を指導できる政治家がおらんとお嘆きの戦略・戦術がご専門の松村さんが、日本の寺、神社、キリストの教会、それらすべての上に天皇がいて調和が取れていたのが突然なくなったので混乱した旨の発言をされていたので、天皇が“人間宣言”したこと自体を問題視しているのでしょうか?

 “人間宣言”したことを問題視するという点で調べると、いくつかヒットしましたが、読むべきものはありませんでした。人間宣言のおかげで、アノミー状態になったとか、人間宣言の言い回し自体も、実は、現人神を否定しているが、天皇は神の子孫であることを否定はしていないとか、現人神を否定しているのではなく、その後ろに続く文章である、日本民族は他民族より優越しておりよって世界を支配すべき運命であるっていう部分だけを否定しているだけだとかいろいろありましたが、前掲の WIKI がよくまとまっており、
1)先の陛下は国民に誇りを失わせないためこのメッセージを発したかった。人間宣言はおまけ
2)神ではない、なんてのは当たり前で、そもそも先の陛下は今まで一度も自分が神とはいっていないし、国民もそんなことはわかりきっていた。その日の新聞では、神格否定の話題など一言もなく、日本の平和と天皇は国民とともにある旨の記事だった。
とあります。
 また、これを機会に初めて、日英両方でこの文章 (
http://www.chukai.ne.jp/~masago/ningen.html
) を読みましたが、英語で読むと、明確に現人神だけではなく天皇そのものの神格化を否定しているのがよくわかります。

 でも、五箇条の御誓文は明治天皇ですよ、と太田さんの説明の途中で訂正しようとした水島さんも含め、平松さん、松村さんのご両名は、先の陛下のご意思がどこにあったか、数日前までの私と同様、よくわかっていないのでは?と、思ってしまいました。

 なお、上記を調べているとき、偶然、兵頭さんも、平松さんに対して、シナの脅威なんてないのよと言っているのを見つけました。
(2006/02/02のブログ記事: http://sorceress.raindrop.jp/blog/2006/02/)

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 コラム#2997、2998 でのmichisuzu さんや遠江さんのやり取りを大変興味深く拝見しています。

 私も、大学生のころ、半藤一利の『聖断』(
http://www.amazon.co.jp/%E8%81%96%E6%96%AD%E2%80%95%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A9%E7%9A%87%E3%81%A8%E9%88%B4%E6%9C%A8%E8%B2%AB%E5%A4%AA%E9%83%8E-%E5%8D%8A%E8%97%A4-%E4%B8%80%E5%88%A9/dp/4569629849
) を読み、日本で英国留学まで果たした先の陛下が一番、当時の日本で民主主義を理解していたからこそ、二二六事件及びポツダム宣言受託の2回しか、聖断をくださなかったことを知りました。(と、えらそうなかきっぷりですが、20歳そこらの学生が、小説を読んでやたら感動してそう思っただけのことですが)。

 michisuzuさんが、コラム#2997で、“東条英機は当時天皇がとことん反対したらそれは聞くしかないって言っています”っていうのは、東条内閣ができた際のいきさつのことを指していますね。東条を推した木戸内大臣が、東条はとても忠誠心が強いので、陛下がだめだと言えば陸軍がどう言おうと絶対にやらないから、と思ったことと、陛下ご自身も東条だったら条件をつければちゃんと軍部を制御できると考えたことを指しているのですよね。
 (鈴木貞一氏談及び天皇独白録
http://www.tante2.com/nhk-gozen-kaigi2.htm)

 私自身、法的には明確に天皇陛下に戦争責任はないと考えます。道義的には、と問われると、きっと先の陛下自身は私たち以上にお悩みになったことと思いますが、道義的責任というものを追求するのであれば、東南アジア各地が陥落するごとに嬉々として提灯行列を行った国民に問いたいです。
 今も昔もこうなったのは自分たちのせいであると自覚すべきです。今、金融危機になって、小泉時代の派遣法改正が間違っていた(
http://diamond.jp/series/tsujihiro/10033/
など多数) とか言うのっておかしいと思います。

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 ・・・
 また、機会があれば、フリップ作り、参加させてください。
 ありがとうございました。

おまけ: 恥ずかしながら、今回、フリップが、flip であることを知りました。・・・まわりが誰も指摘してくれな<かった>のです。国会で演説して初めて漢字の読み間違いを指摘された麻生さんの気持ちをちょっと共有しました。

<MS>

以下、チャンネル桜を見て、いくつか気づいたことです。

1. 桜のカメラワーク&編集の問題点

フリップの説明中に、カメラがひいてフリップの字が読みにくくなったり、フリップの中身が見えない角度から撮影したり、さらには、編集でフリップの上にプロフィールをうつしたりして、フリップが読めないことが多々ありました。

2. 個別のフリップに関して

経緯と現状の認識     : 非常にわかりやすかった。
存在意義がない自衛隊  : わかりやすかった。
何を守るのか        : 最後の「よって、守るべきは、日本>韓国、台湾、
                ・・・」を強調してほしかった。

守るべき価値(日本文明)    : 最後に「日本文明→自由民主主義」といった語
                  句をいれて、次のフリップにつなぎやすくしてお
                  いた方がよかったかもしれない。  
守るべき価値(自由民主主義) : 五箇条の御誓文の中身を説明してもよかったので
                 は? 頭のやわらかい視聴者には伝わったのではな
                 いかと期待。

直接侵略の脅威はない : 具体例を出しつつ、もう少し詳しく説明してもよかったの
             では? 

英米の軍隊の比較 : フリップのテーマである「米英の軍隊がほぼすべて国際貢献用
           」ということを、もっと強調すべきだと思った。
           太田さんの説明の仕方が、多国間安全保障の必要性を強調して
           いるようにも聞こえた。
            (後者には別のフリップが必要。)

3. 感想

やっぱり、あまり話が通じず、見ていてフラストレーションがたまりました。太田さんは本当に辛抱強いですね。

話が通じない原因は、他の出演者の方が、先の大戦での敗北経験による自信喪失から抜け切れていないか、と思います。その自信のなさこそが、多国間安全保障や国際貢献の意味に対する過剰な懐疑、核保有に対する盲目的なこだわり、中国の脅威の過大評価など、マクロな視点から安全保障を考えることのできない体質につなが
っている気がします。

4. USさんのコメントに関して。

・中国フリップははずれでしたね。さっきまで守るべきは主権だ、国体だと言っていたにも関わらず、日本の防衛について議論することと、尖閣付近にちょっかいだされて何もできないことの不甲斐無さを糾弾することを同列にしてしまう方たちの中に、あのフリップを出したところで、議論は、噛み合いませんからね。今後も、桜に出る場合、中共脅威を訴える方を相手にしなければならない場合が多々あると思います。どのようなものを用意しておけばよいか、今後の宿題とします。

>「日本が中国の脅威を過大評価することは、中国の思うつぼ。」という趣旨のフリップがあれば、効果的だったのでは?と思います。 また、これを機会に初めて、日英両方でこの文章 (http://www.chukai.ne.jp/~masago/ningen.html) を読みましたが、英語で読むと、明確に現人神だけではなく天皇そのものの神格化を否定しているのがよくわかります。 でも、五箇条の御誓文は明治天皇ですよ、と太田さんの説明の途中で訂正しようとした水島さんも含め、平松さん、松村さんのご両名は、先の陛下のご意思がどこにあったか、数日前までの私と同様、よくわかっていないのでは?と、思ってしまいました。

おっしゃる通りですね。そもそも、昭和天皇も、今上天皇も、自然科学者ですから、ご自身のことを現人神だと思うわけがありませんよ。

例えば、

 『1929年(62歳)、昭和天皇が田辺湾沖合いの神島(かしま)に訪問した際、熊楠は粘菌や海中生物についての御前講義を行ない、最後に粘菌標本を天皇に献上した。戦前の天皇は神であったから、献上物は桐の箱など最高級のものに納められるのが常識だったが、なんと熊楠はキャラメルの空箱に入れて献上した。「アッ」現場にいた者は全員が固まったが、この場はそのまま無事に収まった。側近は「かねてから熊楠は奇人・変人と聞いていたので覚悟はしていた」とのこと。後年、熊楠が他界した時、昭和天皇は「あのキャラメル箱のインパクトは忘れられない」と語ったという。
※1962年、昭和天皇は33年ぶりに和歌山を訪れ、神島を見てこう詠んだ「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」。』(
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/haka-topic32.html

また、今上天皇も、皇居の狸のフン(!)を採取し生態をしらべるという研究を、今年の7月に発表されています。(今上天皇はいいセンスをしていると思いません?私なんかはこのニュースを読んで以来、今上天皇陛下に強い親近感を感じています。)
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080710084.html

両陛下とも、日本文明の核心の一つである「自然との共生」を見事に体現されています。「自然との共生」を一種の日本固有の宗教だとすれば、その宗教では両陛下ともに現人神かもしれませんね。

そういえば、日本の保守派で、「自然との共生」精神の保守を叫んでいる人って、あまり聞きませんね。

私はこれからコンクリート・ジャングルを離れ、自然に恵まれた故郷に帰って命の洗濯をしてこようと思います。お二人もよいお年を。

<太田>

 お2人にデブリーフィングまでやっていただき、まことに恐縮です。
 水島さんや、「桜」のスタッフの人々、読んでくれるといいなあ。

 さて、『防衛庁再生宣言』の注文が続いています。
 発注者のコメントをご披露させていただきます。

<岩手県在住>

 無料会員で申し訳ありませんが、映像等はいつも拝見させていただいております。どうぞこれからも頑張ってください。陰ながら応援しております。

<愛知県在住>

 初めて知ったのは「たかじん」でした。以来、有料読者に登録はしていないものの、日々公開コラムにて勉強させていただいております。
 これからもお体に気をつけて精力的に活動を継続していただきたく思います。

<福岡県在住>

 いつもメルマガ拝見させて頂いております。
 共感出来るところも多々あり、趣味としては歴史など政治等にも常に目を向けているところであります。
 これからもよろしくお願い致します。
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太田述正コラム#3002(2008.12.29)
<イスラエルのガザ攻撃(その2)>

→非公開