太田述正コラム#2627(2008.6.23)
<新新著後書き>(2008.12.23公開)

 (本篇は、今後手が入る可能性があります。新新著が出版されるまで公開しません。)

 3月中旬に、この本を出す話が出版社を通じて持ち込まれた時、私は初めて兵頭二十八という人の存在を知った。
 防衛庁にいた人間が兵頭氏を知らないなんてモグリじゃないかとお叱りを受けそうだが、なにせ、この10年以上、全く日本の論壇をフォローしていないのでこういうことはよくあるのだ。
 驚いたのは、お断りするつもりで私が、新たな書き下ろしではなく、インターネットにこれまで公表したコラムの編集でいかがか、その場合でも私は自分では何もやらないがそれでもよろしいか、と伝えたところ、その条件を兵頭氏がすべて飲んだことだった。
 結局、全面的に氏にお任せする形でこの本の編集が進んだ。

 私の担当部分ができあがってきて、また驚いた。
 ほぼ完璧で、私が手を入れる余地がほとんどなかったからだ。
 トピックスも、さして氏と調整したわけではないのだが、この本とほぼ同時期に出版される私のもう一冊の本とほとんど重複がない。
 こうして、もう一冊の本は、私にとっては裏芸にほかならないところの、(防衛省批判を中心とする)官僚批判、政治批判をカバーするものとなったのに対し、この本は、私の表芸である安全保障論の総論部分と比較政治論の各論部分のいくつかの分野をカバーするものとなった。
 私の官僚批判、政治批判については、守屋前防衛事務次官をめぐる問題がらみで、昨年10月来、TVを含むメディアでかなり取り上げられてきたのに対し、私の安全保障論は官僚批判や政治批判にひっかけた断片的な形でしか取り上げられておらず、比較政治論に至っては全く取り上げられていない。
 このように、私の公表済みコラムを読んでいる読者以外にはほとんど知られていない、私の表芸を、多数の固定ファンがいると聞く兵頭氏が、本の形で広めてくれることは、本当に有り難いことだ。
 これで、いずれ私の比較政治論の総論部分・・アングロサクソン論、その系である米国論、アングロサクソン論のコインの裏側たる欧州論、そして縄文モード/弥生モード論(日本論)・・等が出版される可能性も出てきたというものだ。

 最後に、兵頭氏の担当部分について触れておく。
 氏は、私の担当部分のトピックスと重ならないトピックスを選ばれた。
 大きく言えば、日本防衛論と日本戦後軍事学史だ。
 前者について言えば、私は日本防衛論を論じるのは控えている。
 何をどう論じようと、属国日本に、それが反映されることはありえないからだ。
 もう一つ言えば、私は日本の戦略的ポジションは英国とほぼ同じであると認識しており、仮に日本が米国から自立したとしていたとしても、英国が大ブリテン島防衛などほとんど念頭にないのと同様、日本も、もっぱら海外派遣用の防衛力を保持すべきであって、日本列島の防衛など論じるに足らないと考えているからだ。
 もちろん、日本列島に対する核の脅威はあるし、テロリスト的脅威もあるが、これはそれぞれ、核抑止論及び警察力強化論(自衛隊の警察力としての使用を含む)として論じられるべきだろう。
 日本戦後軍事学史については、大変意義深いと思う。この論考が、将来、本格的な学術書に発展することを願って止まない。
 それにしても、兵頭氏は、ご自分の担当部分でも、必要以上に(?)拙著『防衛庁再生宣言』に言及され、私の宣伝にこれ努められた。
 再度、心から御礼を申し上げておきたい。