太田述正コラム#2988(2008.12.22)
<皆さんとディスカッション(続x343)>

<michisuzu>

 小沢さんの虚像、実像に関する類のうわさ話はよく聞きますね。
 この10年以上の長きに亘り他の代議士のこの種の話は全くといっていいほど聞かないのに!

 これは如何に彼がカリスマであるとともにそのカリスマ性が彼の一貫した姿勢にあることは意外と知られていない。

 彼に多少の人間的な瑕疵があろうと無かろうと(神でもなければ無い人などいるわけも無いのですが)他の政治家とは一線を画した逸材であるのはじじつでしょう。

 たった3ヶ月で見事に鍍金の剥げたむぞうゆうの首相は勿論その前任者2人の首相としての最低条件すら満たしていなかった例を出すまでも無く、小沢氏の能力は突出しているように思います。

 東大や司法試験には落ちたかも知れませんが地頭(じあたま)力においての彼はやはり日本の政治家の中では傑出していますね。

 小泉さんの雄弁さも見た目の良さとは対極に無口で無愛想でこわもての彼がこれだけ待望されているのは率直に驚きに値しますね。
 彼が共産党と手を組むスタンスにはむしろ共鳴する部分もありますよね、いくら共産党を天敵とみなす右翼の人でさえ共産党の政策にすべて反感を持つ人はいないのではないか?

 少なくともある種のシンパシーを感じる人が圧倒的ではないでしょうか?

 全く共産党の政策に100パーセント反対と言える人は日本にはいないでしょう。

 話は逸れますが、聞くところによると今上陛下は宮内庁では歴代で最も評判が悪いとか?理由は民主的な人だからとか。
 民主主義である限り共産党の良きところも日本が今後目指すべき日本版民主主義には必要かと私は思うのですが。

<太田>

 michisuzu小沢論、面白い!
 典拠をつける習慣を身につけてないのが、改めて惜しまれます。
 私自身は、彼が健康面で不安があることだけでも致命的だと思いますがね。
 少なくとも健康維持については、努力不足だったことは否めないのでは・・。
 そこへ行くと、ブッシュはエライねえ。(本コラム末尾参照。)


<植田信>(http://www.uedam.com/kakoota812.html

 ・・・私たちは、一足先に日本が普通の国になったことを想定して、次の問題を考えてみましょう。
 日本は核を持つべきか。

 ここは太田述正氏がいつも議論しているアイデアが参考になります。
 典拠を省いて、極東安全保障同盟のようなものができたら、日本が核を保有することは、ある程度、不要になる、と。
 NATOの場合がそうです。イギリス、フランスが核保有国であるため、たとえばドイツが核を保有することはない、と。

 これを極東で考えれば、中国は核保有国です。
 この中国と、日本がヨーロッパにおけるNATOのような軍事同盟を結べば、どうなるか。ここに韓国、台湾など、有志国を参加させればどうなるか。
 ついでに北朝鮮も参加させる、と。もちろん、例のお山の大将さんがいなくなったあとですが。

 その時は、問題は、アメリカとロシアがどう出てくるか、です。

 現在のアメリカは、日本と中国が軍事同盟に入ることを不可としないでしょう。
 むしろ極東の安全保障にとつて、歓迎する、と言ってくるだろうと私は予想します。

 そうなれば、問題はロシアです。
 ヨーロッパ諸国のNATOもロシア対策です。

<太田>

 植田さん、ロシア(ソ連時代末期を含む)を含めた、信頼醸成のための、「敵」「味方」が共に加盟する機構であるところの、全欧安保(=欧州安全保障協力機構=OSCE=Organization for Security and Co-operation in Europe)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B
と攻守同盟であるNATOとを混同されてません?
 なお、NATOで最も重要な核保有国は米国です。

<植田信>(同上)

 ・・・<最近日本で>反米・右翼言論の台頭<しているのはなぜか。>・・・
 ・・・最近でこそ太田述正氏の活躍によって、戦後の日本人が吉田ドクトリンの中で生きていることがいくらか知られるようになってきました。
 「知られるようになってきた」というのは、実際にそうであったところのものを、戦後の日本人がやっと今になって自覚した、ということです。つまり、吉田ドクトリンは1952年以来、ずつと継続しています。

 では、なぜ太田氏の登場が、今なのか。
 もちろん太田氏自身の個人史があります。防衛庁を飛び出すいきさつとか、官僚時代のささまざまな体験とか。
 一方、第3者の立場からそれを見れば、ソビエト連邦の崩壊を受けて、日本語言論からマルクス主義のウィルスが衰退したところに、反米・右翼言論が活動する余地が生まれた、となります。・・・<これは、>吉田ドクトリンに対するアンチ言論とみなすことができます。となれば、戦後の日本語言論がマルクス主義のウィルスに感染している間にも、その下部構造のところで(ーいや、ここは、マルクス理論をわざと捻じ曲げて使っていますが、ーあしからず)、反米・右翼言論は蠢動していたわけです。(いや、マルクスだって、ヘーゲル哲学を大いに捻じ曲げたではないか、と言えます。)
 ・・・福岡氏<(コラム#2982のChaseさん)は>、・・・鈴木邦夫や中川八洋などの名前を挙げて<い>ました。
 ・・・将来になれば、そのずさんさが大いに批判されることになるであろう渡部昇一氏の活躍は、70年代に始まっています。ちなみに、当時は、私は、渡部氏の大ファンでした。「知的生活の方法」とか。
 太田氏の登場は、反米・右翼言論がある程度日本語言論に普及してからのものです。つまり、日本語言論界に登場するにあたっては、それぞれ歴史的な順番があり、この順番からして、太田氏は出るべくして出てきた、となります。・・・

<太田>

 中川八洋(コラム#2929(未公開))とはなつかしい名前が登場したものです。
 スタンフォード時代に、彼も政府留学生でしたが、政治学科で一緒に学んだ間柄です。
 帰国後、何本か一緒に共同執筆で「論文」をものしました。
 彼は「右」で私は「右」でも「左」でもないぬえ的人間、彼はソ連の脅威論者、私はソ連の脅威否定論者でしたから、今にして思うと、共同執筆なんて奇跡だったのかも。

<植田信>

 <12月20日>朝、・・・太田述正氏のプログを拝見したら、なんと、<福岡氏(コラム#2982のChaseさん「投稿」参照)と太田氏>の両人、見事にシンクロしていました。

 で、ここで、思わず爆笑となってしまいました。
 福岡氏、いわく

 「余談だが、太田氏のブログは発信内容の多さで、忙しい諸士にとっては消化不良気味だと思われる。読者への反応は少し抑えてもらえないだろうか?(聞いていないでしょうが)
 また、各コラムも話題があちこちに行き過ぎており、極力、外交・防衛問題に絞って欲しい。その他は余技としての位置づけにしてもらえないだろうか?(聞こえてないでしょうね)」

 これに対して、太田氏、いわくー

 「聞いてます!

>読者への反応は少し抑えてもらえないだろうか?

 すんません。
 私がもっと売れて忙しくなれば、自ずからコラムの頻度は減るんですが・・。」


 大爆笑!!
というわけで、壁に耳あり、障子に目あり、です。
 誰でしたか、「障子にメアリー」と覚えた、と言った人は。いかにも、英語全盛期の現代日本人の耳となりました。・・・

 さて、両人の漫才的シンクロの中から、次の場面が真面目的大傑作です。

 「>極力、外交・防衛問題に絞って欲しい。

 ここは根本的な誤解があります。
 私は、外交・防衛問題に対し、政治学的経営学的アプローチをとっています。
 スタンフォード大学留学の影響です。
 私の書いているコラムのあらゆるテーマは、同大学における政治学と経営学の範疇に属するものであり、「話題があちこちに行き過ぎて」いるわけでも、「余技」でもないことをぜひご理解下さい。
 ご納得いただけないのであれば、当時私がとった科目のシラバス(セミナーのテーマを含む)の一覧を公開してもいいですよ。」

 ベリー・グッド。
 太田氏の口から、いや、口ならぬ、キーボードからこのセリフを引きだした手腕は、讃えられてしかるべきです。
 スタンフォード大学の知の在り方。
 それは、アメリカの属国である戦後日本人がぜひ知るべきものです。
 アメリカの選良たちは、いかなる知によって日本を管理しているか。
 どうせなら、日本全国のいたるところで、大学の入試問題と課すべきです。
 いわく、−スタンフォード大で太田氏がとった科目シラバスを答えよ。
 いや、ま、ジョーダンです。・・・

 で、いまや、戦後の日本が・・・官僚統治<と>対米従属<の>・・・ダブル従属状態にあることが、太田氏の、待ちに待っていた真正・日本語言論によって、日本人が自覚できる時代が到来しました。

 今年の太田氏の活躍には目覚ましいものがありました。
 来年は、もっと太田・日本語言論が既成メディアに、そしてネット世界に流通していくことでしょう。
 私には、これからの日本が実にバラ色に見えてきました。

<太田>

 私もそう言いたいところですが、そこまで楽観的にはなれません。
 でも、微力ながら頑張ります。
 持ち上げていただいてありがとうございます。

<コバ>

 非核三原則を打ち出し、ノーベル平和賞を授与された佐藤栄作首相が、米国のマクナマラ国防長官との会談において、日本が核攻撃を受けた場合、「核による報復を期待する」と要請していたことが公開された外交文書で明らかになりました(
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000001-jij-pol
)。
 ジョンソン大統領は核の傘を保証したようですが、日本に対して実際に核兵器が使用された場合、米国もやはりびびるとは思うのですが…。実際には日本に対するリップサービスで、米国は自国を最大限に守るための行動を取るのでしょうか。
 しかし、安全保障を捨てている属国に、こんな理不尽な要求までされる米国は日本に対して蔑視の念しか抱かないだろうし、下駄の泥以下の存在に思っているでしょうね。

<太田>

 中共の核実験成功を受けて、佐藤首相が問題提起をしたようですが、コバさんが引用された典拠(毎日新聞)はできが悪い。
http://www.asahi.com/politics/update/1221/TKY200812210172_01.html
を読むと、佐藤首相が、「日中戦争になったら」と中共が核兵器を使用すると否とにかかわらず、米国に核攻撃を求めたことが分かります。
 こんなやりとりがあったことは、私にとっては初耳ですが、これがかつての防衛庁には外務省から知らされていなかったのか、それとも防衛庁内局首脳は知らされていたけれど、政策担当者(私)や運用担当者には知らされていなかっただけなのか、今となっては知る由もありません。
 それはそれとして、今までコラムでは書きませんでしたが、実は戦後、日本に対する武力侵攻など、およそ不可能となったもう一つの理由は、地上部隊を載せた船団が日本に向かう途中、核兵器で全滅させられる可能性があることなのです。
 これを回避するために、船団を組まずに、バラバラに艦船や上陸用舟艇を日本に向かわせるわけには行きません。
 そんなことをしたら、それこそ陸地にあがった時点で、戦力がゼロに等しいため、使い物にならず、米空軍力等によって個別撃破されてしまうからです。
 日本の四囲が海であることは、核時代においては、決定的に重要なのです。
 (陸続きであれば、一般住民が多大なコラテラル・ダメージを受けることが確実であるだけに、核兵器の使用は容易にはできません。) 
 
<コバ>

 靴をかわしたブッシュ、かなり運動をして健康的な生活を送っているようです(
http://news.www.infoseek.co.jp/gendainet/society/story/20gendainet05019101/
)。
 神の声を聴いてそうしてるかどうかはわかりませんが、大統領として肉体的健康的にはムチャ有能なブッシュなのではないでしょうか。
 そのおかげで、世界は彼に振り回されっ放しですがorz しかしあのプレッツェルをのどにつまらせた騒動はスマートでなかったか…(笑)

<太田>

 日刊ゲンダイ、なかなか頑張ってるじゃないですか。
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太田述正コラム#2989(2008.12.22)
<「桜」出演準備(続x3)>

→非公開