太田述正コラム#2986(2008.12.21)
<皆さんとディスカッション(続x342)>

<michisuzu>

 太田様、質問です。
 左翼出身の右翼の論客は例えば宮崎哲弥氏などはやや右翼の論客としてはそれなりに素晴らしいと思うのですが、生粋の右翼の論客でまともな論客が見当たらないのは何故でしょうか?
 やっぱり右翼の人はあほ(失礼)なのでしょうか?
 それとも私があほなのでしょうか?
 私の記憶によりますと読売新聞の社主の渡辺氏や元田中角栄の秘書の方も共産党出身だと伺っております。

<amida>

 一昨日、三島由紀夫の「文化防衛論」(ちくま文庫)を買ってきてパラパラ読んでみると、日本の伝統歴史文化を守る彼の強い決意に、思わず共感の言葉を 発したくなりました。太田先生は頭の切れる人のようですので、そんなキレ者がこの三島由紀夫のこの本を読んだらどんなスパークが飛び散るか見てみたいもの だなあと思います。ぜひ三島について論じてみてもらえたらいいなと思います。どのような議論批評になるのか、興味津津です。

<太田>

 三島なんてのは、「あほ」じゃない、「利口」な「右」翼の典型でしょうね。
 彼の「文化防衛論」、大昔に読みましたが、何の記憶も残っていません。
 三島は短編小説は素晴らしいものが多いが、長編はダメ(コラム#2736)、論文は丸でダメだ、と私は思っています。
 小説と史書のえもいわれぬ関係について、以前とりあげたことがあります(コラム#2502)が、私見では、歴史家(人文・社会科学者)は小説を書けても(竹山道雄(コラム#2577)やモンテフィオール(コラム#1775、1777、1779、1850、1866等。今年、小説"Sashenka"を上梓)、小説家は史書を書けない、ということではないでしょうか。
 事実認識について禁欲的な人は時に羽目を外すことはできるけれど、空想を羽ばたかせることを生業にしている人は、容易に事実認識について禁欲的にはなれない、ということでしょうね。
 いずれにせよ、「あほ」か「利口」かにかかわらず、日本の「右」の人々は、空想家が多く、論文を書いた場合、事実がいいころかげんだし、論理も首尾一貫性を欠くことが多い、というのが私の印象です。 

<amida>

 太田先生は田母神氏が、4年も前から同じ趣旨のブログや論文を発表しているということはご存知ですか。
 ゆっくり読む機会がなく、お気に入りにしているまま、放置している私ですが、田母神氏が4年前から同じ主張をしていると記者会見で述べているのを見ましたもので。
 反動を予想できなかったのはそのためで、別に彼の頭が悪いからではなく、それこそ完全な人も論文もないと太田先生もおっしゃっている通りだと私も思いますので、田母神氏のうかつさを嗤うのは あまりに酷だと思います。

<太田>

 同じ「論文」でも、TPOを考えて書き分ける必要があります。
 例えば、ネットに発表するのと活字にして発表するのとでは、また、活字でも、週刊誌に発表するのと、総合雑誌や新聞に発表するのと、本にして出版するのとは違います。
 後者になればなるほど、慎重な書き方が求められます。
 (今年、2冊の本を出版してみて、改めてこのことを痛感しています。蛇足ながら、私がネットに発表したコラムについて名誉毀損として損害賠償を科した判決に対しては、改めて批判したい気持ちです。)
 いくら最近では、国会図書館に献本されるようになっていたとはいえ、航空自衛隊の部内誌に書くのと、公募に応じ、一等になれば英訳されて世界の人々から読まれるようになる、というのとでは、後者の方がはるかに慎重な書き方が求められるはずです。
 田母神氏は、この点を含め、彼が生きている日本社会の現状について、余りにも無知であると言わざるをえません。

<唯我独尊>

── 宗教に関する一考察 ──
(コラム#2619を読んで)

 一般に心理状態が肉体に及ぼす影響は少なからずあると認められています。これが全てに当てはまるわけではありませんが、例として戦時における兵士たちの奇跡的な行動(典拠省略)、入院患者の笑いの効果による回復、指導者の訓話または直接接触による病人の奇跡的回復、よく知られているプラシーボ効果による治癒などなど。さらには修行によって悟りを開いたときの心理状態は肉体にも大きな影響を及ぼしているようです。
 このように人間は苦境から開放されたときが見えない力の存在を感じ取る瞬間であり、その時が人々の宗教または科学への分岐点にになると考えています(不可解な未知の難問に直面したときにも分岐点が出現するのでしょうが)。余談ですが、ほかの動物にも人間同様、肉体と心理の関係が存在するのではないでしょうか。
 それにしても宗教は不可思議な存在だと思います。

<太田>

 何事であれ、科学的根拠のあるものだけを信じる、というのが私の立場です。

 以下、記事の紹介です。

 「・・・2<英国で>日曜日に教会に行く人は現在は100万人よりちょっと少ないくらいだが、これが2050年までには、88,000人を下回る水準まで経るだろうという調査結果が出ました。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2008/dec/21/anglicanism-religion

 「防衛省の装備施設本部が防衛専門商社「山田洋行」(東京都港区)との間で契約した防衛装備品の価格が、米国の国防総省が公開している価格の最大で50倍以上にのぼっていたことが、会計検査院の調べで分かった。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081221/crm0812210013001-n1.htm

 米国で、州を越えて引っ越しをする人が1950年代や60年代に比べて、現在では約半分に減っていることが分かりました。これは、高齢化と共稼ぎの増加が原因だと考えられています。
http://www.nytimes.com/2008/12/21/us/21mobility.html?_r=1&hp=&pagewanted=print

 朝鮮日報が今年の直木賞作家の桜庭一樹(女性!)ととりあげています。
http://www.chosunonline.com/article/20081221000012
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太田述正コラム#2987(2008.12.21)
<イタリアの第一次世界大戦(その4)>

→非公開