太田述正コラム#2903(2008.11.9)
<改めて田母神前空幕長更迭について>(2008.12.17公開)

1 始めに

 田母神前空幕長更迭問題に関する、12日(13日放送)収録の「桜」TVに私が出演するという話はご存じだと思いますが、今回もやはりフリップがあった方がいいと思い立ち、本日、フリップ支援グループのUS、SMのお二人に作成をお願いすることにしました。

2 フリップ支援グループのお二人とのやりとり

<太田→USさん(CC: SMさん)>

 フリップの内容は次のとおりです。(手直ししていただいてかまいません。SMさんもご意見を下さい。)
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       田母神前空幕長について

1 KY

 確信犯? →とんでもないKY(はた迷惑の限り)
 確信犯? →究極のKY

2 職務怠慢

 「修身斉家治国平天下」を知らず?

 自らのパワハラ止める→
 空自の腐敗・退廃無くす→
 天下り無くすor集団自衛権行使できるようにする→
 歴史認識を「是正」する、
 の順序なのに逆走

3 ドンキホーテ

 悪いのは他人・・米国によるマインドコントロール(=風車) ×
 悪いのは自分・・吉田ドクトリン ○

4 無能

 将校以上の軍人の平時の最も重要な仕事は訓練/演習と歴史(戦史)研究
 プロの仕事(歴史研究)とは思えぬ雑な「論文」
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(脚注)

一:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081104/plc0811040009000-n1.htm
から、田母神氏が確信犯でなかったことは明らか(コラム#2898)。

二:「修身斉家治国平天下」の出典は『大学』(孔子の遺書とも子思または曾子の著作ともいう。もと「礼記」中の一篇であったが、宋代以後、単行本として独立し、朱熹(朱子)がこれを四書の一としたことから、特に広く読まれるようになった。)
http://www5.airnet.ne.jp/tomy/koten/ichiran/china.htm
(11月9日アクセス)

三:「・・・8月末が締め切りだったアパグループの懸賞論文について、当時、空自のトップだった田母神前空幕長が論文を執筆していたことや実際に投稿したことを、航空幕僚監部庶務室は把握していた。・・・空幕教育課は懸賞論文の募集が始まった10日後の5月20日、全国の部隊にファクスで、この論文の応募要領を通知していた。・・・しかし民間の懸賞論文の応募要領を空幕が全国に通知することは過去に例がなく、第6航空団もほぼ同時期、懸賞論文のテーマを「幹部論文」のテーマに設定し、締め切り時期も同じ8月末としていた。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081109-OYT1T00131.htm
(11月9日アクセス)
 「・・・懸賞論文に応募したのは田母神氏だけではなく、応募者235人のうち、94人が航空自衛官だった。この中の63人が、かつて田母神氏が司令をつとめた小松基地所属の自衛官だった。・・・懸賞論文を主催した企業の代表は「小松基地金沢友の会」の会長で、田母神氏の知人でもあった。・・・小松基地の第6航空団では、事前の論文指導までしていた。・・・」
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
(11月8日アクセス)
 これぞまさしく田母神氏による、94人の航空自衛官、就中小松基地の63人に対するパワハラではないか。

四:「戦史研究(military history study)の主要内容は、戦闘者達の意思決定過程、社会が戦争を経済的に支える意思と能力、諸目的を達成するために軍隊が用いる戦略的・作戦的・戦術的諸手法、そして過去5,000年にわたる記録された歴史を通じてこれらがどのように変化してきたか、である。」
http://en.wikipedia.org/wiki/Military_history
(11月9日アクセス)

≪USさん→太田(CC: SMさん)≫

 了解しました。

 ただ、チャンネル桜さんは、田母神前幕僚長よりのスタンスと感じます。
http://jp.youtube.com/watch?v=Os9JOgd75M8
http://jp.youtube.com/watch?v=VWxbaPGjyb8&feature=related

 そこから感じるチャンネル桜さんが期待している当日の議論は、前幕僚長の歴史認識が果たして更迭されるほど誤っていたのか否かであり、導きたい結論は、その認識はあまり誤っておらず、100歩譲って誤っているとしても、その内容を議論することもなく、それを封じ込め、手続き的な難癖だけをつけ、更迭するとは、今の政府・防衛省はなんという弱腰か! というあたりではないでしょうか?

 前幕僚長がKYであろうが、前幕僚長の論文が小学生の感想文並みであろうが、議論はそちらではなく、歴史認識是非の方ではないかと感じてしまいます。

 そこで、資料としては、下記を用意してみます。
一、KYであること。
⇒ 更迭されるに足ることをしたことを説明する資料(太田さんのメールで列挙さ
れている内容を中心に)
二、歴史認識(議論がそちらの方にいった場合に備えて)
⇒ 前幕僚長が列挙した内容で太田ブログにて検証された内容

 他、ご助言等あればよろしくお願いします。

≪SMさん→太田(CC: USさん)≫

まずフリップの全体としての構成ですが、
日本が自ら米国の保護国になっていることを説明するフリップもほしいと思います。
この認識がない(直視できない)事が、田母神さんが「ドンキホーテ」になった原因 だと思います。この意味で、問題の核心だと思います。

過去のチャンネル桜の番組を見ている限り、出演者は、田母神氏的な考えの持ち主が多いと思います。彼らを啓蒙する上でも、必要なフリップではないでしょうか?

次に、「2 職務怠慢」のところについてです。

 「修身斉家治国平天下」を知らず?

自らのパワハラ止める→
 空自の腐敗・退廃無くす→
 天下り無くす→
 国民の信頼を醸成する→
 集団自衛権行使できるようにする→
 自主独立国家になる(赤字などで強調して)→
 歴史認識が自ず(同じく強調して)と「是正される」
 の順序なのに逆走

とした方が、正確ではないでしょうか?
ただし、私の書き方だと、一部の出演者が、歴史認識と自主独立のどちらが先かという不毛な論争に陥る可能性があるので心配です。

「3 ドンキホーテ」のところについては、

 悪いのは他人・・米国によるマインドコントロール(=風車) ×
 悪いのは自分・・吉田ドクトリン ○

できれば、他の出演者にも、自分はどちらなのか挙手で答えてもらいたいものですね。
その意味で、決め台詞的に、「出演者、視聴者の皆様はどちら?」という文言を加えるのはどうでしょうか?

≪太田→USさん/SMさん≫

 SMさんの改定案で結構です。

 歴史認識についてのフリップも作る方が確かにいいですね。
 しかし、私の歴史認識を要約するのはむつかしい。
 田母神氏の「論文」のテーマである「侵略だったかどうか」なんて小せえ、小せえ、ということに焦点をしぼるとしても、はて、どう書くか。
 恐縮ですが、コンテンツをお二人で相談していただけないでしょうか。

 なお、フリップ作り、体裁が一貫しないことになるかもしれないけれど、お二方で分担されたらいかがでしょうか。
 もともとのフリップはSMさん、歴史認識は、USさん、という分担にしませんか。

≪SMさん→USさん(CC: 太田)≫

私の方でもともとのフリップ(1〜4)を作成し、USさんの方へ、お送りいたします。
ご不満な点は変更してください。(私のフリップの体裁をUS様の好きなように変更されても構いません。)
また、それの体裁に合わせて、歴史認識を要約したフリップをUS様に作っていただくという方針でお願いできないでしょうか?

太田さんの歴史認識をどう表現するかということに関しても、私の方でも一応案を考えてお送りするつもりです。

≪USさん→太田/SMさん≫

 私も、太田さん、SMさんの提案通りで構いません。
 SMさん、どうぞよろしくお願いします。
 私の方も資料作成後お送りしますのでいろいろご助言ください。

≪SMさん→USさん(CC: 太田≫

太田さんやUSさんの意図する説明の仕方とは違うかもしれませんが、太田さんの歴史観の説明するためのフリップの構成を考えてみました。
もしよかったら参考にしてください。(ほとんど、太田述正コラム#2898「皆さんとディスカッション(続x300)」よりの抜粋です。)

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太田史観

一、戦間期の米国は、
  ファシズム/共産主義音痴でかつ有色人種差別意識に凝り固まっていて、
  あろうことか、「自由民主主義」日本に敵対し、日本帝国を瓦解させることで
  東アジアに未曾有の大災厄をもたらした。

一、戦後の日本は、
  この経験による深刻な自信喪失を引きずったまま、
  「吉田ドクトリン」の下、自ら米国の保護国の地位に安住している。
   ⇔ 田母神史観(米国によるマインドコントロール説)

米国が、未曾有の自信喪失と、米国が有色人種差別という業病を克服しつつある。 ⇒ 一方の日本人(特に”保守”)は、田母神史観からの脱却できるか!?
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≪太田→SMさん(CC:USさん)≫

 お見事ですね。
 田母神氏の「論文」のタイトルなんかに引きずられることないんですね。
 やっぱ、皆さんにお願いしてよかった。
 一カ所だけ「てにをは」修正的なことをしました。


米国が、未曾有の自信喪失と、米国が有色人種差別という業病を克服しつつある。 ⇒ 一方の日本人(特に”保守”)は、田母神史観からの脱却できるか!?
  ↓
 今度は米国が、未曾有の自信喪失に陥っているが、他方で有色人種差別という業病を克服しつつある。 ⇒ 一方の日本人(特に”保守”)は、田母神史観からの脱却ができるか!?

 USさんも、ご意見があれば、お寄せください。