太田述正コラム#2952(2008.12.4)
<皆さんとディスカッション(続x326)>

<hjp>

 --ショパンのノクターン--

 紹介していただいたラマニノフの演奏には聞き入ってしまいました。

 軽い目のクラシックファンとして、長年それなりに愛聴してきたのは、ルービンシュタインでしたが(1985:録音RCA)、東正横綱から西に変わってもらいます。
 貴重な情報提供に感謝しています。

 因みに三人の演奏家への感想は、ディー・リー 病気?オナニスト? ルービンシュタイン 流麗 華美 ラフマニノフ 秘めた叙情といったところです。

<太田>

 ・・・現在、中国に関する最大の不安要素となっているのは、品質問題と知的財産の盗用だ・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081203/179048/
という記事を読むにつけ、ランランとユンディー・リーの二人に共通するのは「品質」へのこだわりの欠如・・弾き流してしまうこと・・と知的財産を創造する域に達していないこと・・独創性の欠如・・であることが思い起こされます。
 ・・・日本人は細い点を重視し、あらゆる細いことを完璧にこなしている。・・・日本に来て目のあたりにしたものは、<中国人との>『格差』です。それは、ハード面での格差ではなく、人の素質においての格差です・・・
http://j.peopledaily.com.cn/94473/6541912.html
と、日本人の「品質」へのこだわりについては、支那人自身が甲を脱いでいます。
 しいて日本人の欠点を指摘すれば、「品質」に対する過度のこだわりがもたらす、ちまちました知的財産は創造できているけれど、「品質」へのこだわりを突き抜けた全く新しい知的財産の創造は苦手である、といったところでしょうか。

<コバ>

 コラム#2854「米国はどうして覇権国になれたのか(その1)」を読みました。

CNNがJALを取材したレポートがYouTubeに投稿されて米国で注目を受けているようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081203-00000002-jct-bus_all
 米国の高給CEOと日本の質素なCEOという視点から作られていたために注目を浴びたようですが、米国と日本は文化が全く違うんだなあと実感します。
 切った張ったで賭博師たちの頂点に立てば超高給CEOになれる米国と、上から下まで乾いた雑巾絞りをやってる日本、どちらも世知辛いように思えます。

<太田>

 本件に関しては、賭博師云々といった文化の違いを持ち出すまでもなく、日本における社員の給与差の小ささについては、日本人の(能力的、選好関数的な)均質性(標準偏差の小ささ)によって説明できそうです。


<植田信>(http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=20&BD=17&CH=5

 ・・・太田述正氏の『実名告発・防衛省』を、予定よりも早く読むことにしました。
 私としては、皆がすっかり関心を失った頃(出版から半年から1年後あたり)に読もうと思っていたのですが、そうもいきませんでした。

 今朝、届いたので、さっそく拝見しました。
 まだところどころ残っていますが、感想は、太田氏は、出るべくして出てきた人だった、との思いを強くしました。

 戦後の吉田体制のなかで、防衛庁(省)・自衛隊関係者が腐敗しないでいられるなら、それこそ人間の精神衛生にとって最強の反例になるだろう、というのが私の持論でした。
 で、予想通り、腐敗しました。
 その腐敗の様子を『実名告発・防衛省』が、太田自身氏の体験談を軸に、見事に描写しています。

 その一方、もしも、こういう腐敗が必然の体制の中で、健全な精神を保つ日本人がいたとしたら、いかなる人か。どういう条件であれば、それは可能か、と考えると、まさにこれしかない、というのが太田氏の生まれてからのキャリアでした。

 「1956年、小学1年生だった私は生まれ故郷の三重県四日市市を離れ、商社マンだった父の赴任に伴いエジプトのカイロにいた。・・
 59年に帰国、東京での生活が始まるのだが、少年時代エジプトのカイロで過ごしたことが、防衛庁への入庁につながっていると思わずにはいられない。・・とりわけ大きかったのが56年にスエズ戦争を体験したことだろう。・・
 一体、私を突き動かしているのは何なのだろうか。それは、小さな時に世界を知ってしまった私が、帰国した日本になじめず、孤独感にさいなまされるようになった頃までさかのぼる。
 苦しみ続けた私は、防衛庁に入って、ようやく自分がなぜ日本になじめなかったかがわかった。日本が外交・安全保障の基本を外国に丸投げした異常な国だからだと。爾来私は、自分の孤独感を克服するためにも、この日本の異常な姿を正さなければならないと決意し、現代に至っているのだ。」p.234, P235

 つまり、太田氏には、戦後の日本が異常な国であると感じることができる「海外体験」がありました。
 しかも小学校の時代に。

 さて、そこで、太田氏が告発する戦後の日本の国家安全保障問題の異様さを見て私が思ったことは、そもそも戦後の日本人は、「国家主権」なるものを、根っから知らないのではないか、ということです。
 だからこそ、異様さを異様さと感じることもできない、と。

 それを象徴するのが「思いやり予算」です。
 太田氏がここを見事に突きます。

 「〈思いやり予算〉のきっかけは、財政難と円高に苦しむ米軍が米軍基地従業員を整理縮小しようとしたのに対し、55年体制という自社癒着構造の下、当時防衛庁長官だった金丸信が、基地従業員の雇用確保のために負担を決断したことだ。日本は、特定の職場の雇用確保のために主権を売り渡した、ということになる。」前掲p.191

 要するに、金丸信氏は、「主権」なるものを知らなかった、ということです。
 したがって、この人の罪は、その地位を利用して私財を蓄財したことではなく、「国家主権」を理解できなかったことです。

<太田>

 コラム#2932で、植田さんが、
 「必要なのは、自然理性による、国民の生命と財産の安全保障をするための警察であり、国軍です。・・・ 」

と仰っているのに対し、私が、
 「断じて違います。「国民の生命と財産」を守るのは警察であり、軍隊ではありません。」

と申し上げた点に間接的にお答えになっている、と受け止めました。
 そう。軍隊が守るのは国民の生命・財産ではなく、国の主権なのです。
 ただ、それは形式論であり、実質論ではありません。
 実質論として私が1982年防衛白書で打ち出したのが、日本の軍隊たる自衛隊が守るのは自由民主主義という価値である、ということです。(私自身のホンネは、守るのは自由民主主義的価値と適合性のある日本文明である、というものでしたが、官庁文書たる白書にそこまで書くわけにはいかなかったということです。)
 なお私は、戦時中の日本で「国体」を守るとか、「天皇制」を守る、と言われていたことも、これと基本的に同じことだったと理解しています。
 つまり、軍隊が守るべきものは何か、という点においても、日本の戦前と戦後は断絶していない、と考えているわけです。
 昭和天皇ご自身が、既に戦前において、自らを英国の国王と同じ立場の存在であると明確に認識され、そのように自らを律しておられたことや、敗戦後、美濃部達吉等の日本の憲法学者で明治憲法を改正する必要があると考えた人はほとんどいなかったこと(典拠省略)を思い出して下さい。
 仮に明治憲法の軍に関する規定だけを日本国憲法第9条で置き換えていたとしても、2008年末において、日本の姿は、現在の日本の姿とほとんど変わっていなかったであろう、と私は信じているのす。

<植田信>(http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=10&BD=17&CH=5

≫「私が関心があるのは、どうして雅子様がこうなっちゃったかです。事前に徹底的に調べただろうから、遺伝的要因は考えにくい。となると、雅子様の養育環境に問題があった可能性が大です。」≪(コラム#2946。太田)

 これは、その通りだと私は思っています。

 雅子さんの、いわゆる「病気」は、私が思うには、太田氏の「たった一人の闘い」と同じです。
 海外体験者が、日本<の>国内・・・システムとの闘いです。
 雅子さんの場合は、病気が戦闘の方法であり、自分を守ることです。太い田氏の場合は、防衛庁の自主退職がそれでした。
 皇太子妃職を退職できないので、病気になるしかない、と。

 太田氏には、意外と、共闘戦線を張る人がいます。
 田母神氏。防衛庁・自衛隊の部外者から見れば、どちらも戦後の日本の<システム>・・・と闘っている同士です。
 それから、雅子さん<もそうで>す。


 雅子さんの病気は、<今後とも>・・・続くでしょう。
 とはいえ、ニュース報道を見る限り、愛子さんが元気にすくすくと育っているようで、喜ばしいことです。

<太田>

 はっは。確かにそうかもしれませんね。

<hjp>

 ”たかじん・・委員会”で太田氏を知り購読者となって一年がたちますが、有料、無料を問わず購読者の推移はどののようになっているのでしょうか?
 一時期は、その数を目にしましたが最近はみかけません。
 太田さんを支持、もしくは、失礼な物言いながら興味を抱いてメルマガを購読されてる方はどれほど増えたのか?、気になってしかたありません。

 視聴率の高い番組に出演、また、いくつかの著書も出版されて、世間への認知も高まってるところ、戦後の呆けた腑抜けのごとき体制のチェンジを目指されている革命家の裾野は、どれほど拡がっているのかと、心配しています。

 自由と日本の郷土、風景を愛する一個人として、太田氏を応援してやみません。
お体と相談されながら過激に活躍されることを、期待しております。

<太田>

 詳細は、今週末にご報告させていただくつもりですが、ブログ訪問者を合わせ、毎日太田コラムを読んでおられる方が約4,000人という状況が、「たかじん」出演以降続いています。
 前にも申し上げたと思いますが、5,000人の「壁」を突破するのが一日も早いことを願っています。
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太田述正コラム#2953(2008.12.4)
<ムンバイでのテロ(続)(その2)>

→非公開