太田述正コラム#2920(2008.11.18)
<皆さんとディスカッション(続x310)>

<遠江人>

 新著2冊の影響で徐々にマスコミへの露出が増えてきましたね。素晴らしいことです。
 この調子で1年前の読者倍増現象をはるかに超えることが起こってくれればと期待しています。

<太田>

 状況は楽観を許しません。
 主要マスコミは、まだ私の新著を一切書評でとりあげていません。
 このまま無視されて終わる可能性だってあります。

<遠江人>

 最近の保守派に対しての太田さんのコメントに刺激を受けて、少し前に投稿させていただいた「ホシュやネトウヨの人々について」の投稿(コラム#2900)の内容をもう少し膨らませてみました。

1.戦後日本の保守派

 戦後、日本の思想界を席巻した左翼思想に対して、効果的な批判(イデオロギーそのものへの批判や正義(イデオロギー)のためなら何でもでっち上げる左翼の欺瞞性の批判等々)を行うことにある程度成功したと言える保守派ですが、その保守派に「イデオロギー批判としての反左翼」以外に何か価値といえるものがあるかと言えば、結局のところ、他には何も無かったように思います。
 言うまでもなく、日本の保守派の人々の語る世界情勢や他国理解や軍事知識など、デタラメばかりの、ほとんど擬似的なものでしかありませんし、保守派にとっての国家(国内政治)戦略とは、結局のところ、愛国心を持って憲法を改正すればすべてよくなる(はず)、という程度の「戦略」ならぬ「願望」くらいのものでしかないと思います。当たり前の話ですが、目指すべき理想や目標があれば、その具体的な実現方法、つまりは目的に至るまでのプランを、先を読みつつ現実に照らして考え出していく必要がありますが、(信じられないことに)保守派には「願望」があるだけで、肝心の具体的なプラン等は、まるで「考えていない」からです。いや、「考えていない」というよりは、そもそも「考える能力が無い」または「手順を踏まなければ目的は達成できない」ということすら分かっていないのかもしれません。
 だから、「単発的」な田母神論文のようなものに対して、状況も影響も意味も順番も考えずに臆面も無く拍手喝さいできてしまうのです。毎回、この手の発言等があるたびに無邪気に喜んでいる保守派を見ると、暗澹たる気持ちになってしまいます。恐らく、理想を実現するために必要な最低限の「何をするべきか」「何をするべきではないか」ということすら、分かっていないのではないでしょうか。それにしても、こんな保守派がよく使うところの「現実主義」ほどたちの悪い冗談はないですね。
(以上は最近の太田さんのコメントから多くのヒントを得ました。)
 結局のところ、保守派にあるものと言えば、同じく欧州大陸由来のイデオロギーであるという点でいえば左翼思想と全く同じであるところのナショナリズムくらいのものだったと言っていいのではないでしょうか。

2.ホシュとネトウヨ

 ここで一つ確認しておくべきことがあります。それは、「反左翼(というイデオロギー批判)」と「ナショナリズム(イデオロギー)」は直接には何の関係もないということです。なぜなら、保守でなくとも左翼の根源的な批判はできるからです。(例=太田さん)
 しかしながら、「保守の左翼批判」=「ファーストインパクト」に感銘を受けて感化されすぎて、もはや保守思想の虜になってしまった、影響されやすい人々にとって、この二つを分けて考えることは容易なことではありませんでした。左翼思想という当時の「強力」なイデオロギーの批判に成功した保守派を「目の当たり」にして、世界の中心で、左翼の洗脳が解けた!と叫んだすぐあとには、ナショナリズムという別のイデオロギーの刷り込みが始まっていたわけです。これってすごい強力な洗脳ではないでしょうか。
 その帰結として、本来関係のないところの反左翼とナショナリズムがごちゃまぜになって、よくわからないうちにナショナリズムは「良きもの」と「なってしまった」のではないでしょうか。左翼の連中を論破して世の中が分かったような気分になっているところに、ナショナリズムもなんだか気分がいいし…といった具合で。それこそナショナリズムの持つ「魔力」だというのに…。
 更には、国内および世界に対する保守派のデタラメな現状把握や、それに基づく「現実主義」をも、ほぼ無条件に受け入れることで、ここに完成したのが、いわゆる「ホシュとネトウヨ」と言われる人々なのではないでしょうか。(個人的には、保守派の思想の定義として、「ナショナリズム」と「郷土愛」と「命をかけて公のために働くということ」があまりにも区別されずにごっちゃになっている(と思われる)ことも、「ホシュとネトウヨ」の増加に拍車をかけているような気がしています。)
 それにしても、参考人質疑での田母神氏を見ていると、本人は国士気取りで、ガチで真顔でやっているのでしょうが、それを熱烈応援している憂国烈士気取りの人達ともども、早く目を覚ましてもらいたいものですね。せめて、状況を一切無視して田母神論文の中身だけにこだわるということの支離滅裂さ、にだけでも気づいて、真の改革者の邪魔だけはしないようにしてもらいたいものです。
 (結局は左も右も縄文・弥生モードでいうところの縄文人だからしょうがない…というのがオチ?)

<太田>

 上掲は、コラム#2918を配信する前にいただいた投稿だったわけですが、コラム#2918を踏まえ、改めて遠江人さんのお考えを承りたいと思います。

<遠江人>

 先の投稿についてですが、この中での保守派とはあくまで保守派の知識人が対象で、保守派の政治家は想定していませんでした。
 保守派の知識人の中に、政治を「技術」としか思っていない人間と、「思想」(理念?)優先でやっている人間の二種類がいるとすれば、私の批判の対象は後者ですね。権力とか以前に、理念優先でやっている、ある意味「真面目な」人達です。
 しかしそうであればなおさら「真面目な」人達には目を覚ましてもらって、とにかく自民党を政権から引きずり落とすことを第一義に考えてほしいですね。方向さえ間違わなければ、「左」の中の、権力・名誉・カネに転ばないという点で共通する人達とも結構問題なく連携できるでしょうから。
 それにしても、前者の保守派は、普段から、公に尽くすことや封建道徳的なことは大事だとかよく語っていると思うのですが、結局はそんなものは全部ウソなのでしょうか。

 すいません、正直ちょっと混乱しています。太田さんや読者のみなさんのご意見をぜひ聞いてみたいところです。
 ここ数年日本の論壇やネットは左翼批判ばかりが盛んなように思うのですが、ここらで本格的な保守批判ができればいいですね。

<太田>

 なるほど、そういうことであれば、私としてもおっしゃることにおおむね違和感はありません。

>前者の保守派は、普段から、公に尽くすことや封建道徳的なことは大事だとかよく語っていると思うのですが、結局はそんなものは全部ウソなのでしょうか。

 そういうことを語っている「右」の政治家で女性問題やカネの問題で顰蹙を買った人物、たくさんいるんじゃないですか。
 いずれにせよ、遠江人さんのご指摘は重要であり、どうやって「権力・名誉・カネ」に転ばない「右」の人・・基本的に政治家以外の人・・に目覚めてもらい、彼らと提携するか、私ももっと考えなければなりませんね。
 もっとも、麻生首相がやっていることを見ているだけで、相当多数の、まともな「右」の人々が目覚めたのではないでしょうか。
 麻生氏は、自民党の議員達や公明党/創価学会に対し、早期解散をにおわせることで自分の自民党総裁/首相就任を実現するや、その「約束」を反故にして解散を先送りしてご自分個人の権力維持だけを図ろうとしている、という構図がミエミエだからです。
 これは考えてみれば、自民党が結成以来、党としてやってきたことです。
 その自民党の最後のエースが、最も自民党的なやり方で、今度は自分個人の権力維持を図っているわけです。
 恐らくは衆議院任期満了時点で実施されるであろう総選挙の結果、無党派層とまともな「右」の人々の総スカンを食って自民党は壊滅的敗北を喫し、公明党/創価学会はその間都議会選挙で傷を負い、投票率が格段に上がるであろう総選挙でその傷を深め、それ以降永久に権力の残飯にありつけなくなる、という可能性が高くなってきました。
 ちょっと希望的観測が入り過ぎですかねえ。 

<neko>

 ホームページにyoutubeなどの動画がアップされていますが、たかじんのそこまで言って委員会など放送局の著作権侵害にあたると考えられます。もちろん、太田さん本人が違法行為をしているわけではありませんが、今後国政選挙に出馬した際に、何かしらメディアで取り上げられる可能性のあるものは排除すべきと思いメールしました。

<タテジマ>

 あれはアップしているところへリンクを貼っているだけなんですが、これがだめなら違法動画やりまくりのニコニコ動画へ堂々と出ている小沢一郎どうなるんだ。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070709_nicovideo/

日本の著作権法は検索データを公開すること自体違法なので、検索サーバーを海外へ置いているのを、指摘した人は知らないんじゃないのかな。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20340735,00.htm

つまりYahoo、Googleの検索結果へリンク貼るのも厳密には違法。

ニコニコ動画は麻生首相の身内がやっているので潰れないでしょう。
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/seiji/1223685737/

<ろくでなし>

 コラム#2888「私の二冊の本の出版秘話(その2)」(非公開)のYYさんについてですが、とにかく、表現の仕方はこうしたほうがいい、という指摘がいいですね。いかに読者の心に訴えるか、ということをよく理解しているからか、女性らしいエモーショナル?な感性が成せる技なのか、両方でしょうか。
 また、(あの馴れ馴れしさにはちょっと引きましたが)女性ならではの率直な物言いがいい方向に出ていて、とてもよいと思います。遠慮せずズバズバ言うのは、その人にやる気(思い入れ)と能力があれば、とても効率がよく時間の短縮にもなりますからね。もともと能力は高いところに、(太田さんも仰っていますが)モチベーションの高さが相まって、あのようないい形でのコメントになったのではないでしょうか。
 しかし内容を別にすれば、これはほぼ恋人もしくは好きな人に出すような文章ですが、恐らくは30過ぎの既婚の女性でこのテンションの高さは、ちょっと心の病を連想させるものはありますね。

<太田>

 ろくでなしさん、やはり鋭いですね。

 ところで先日のオフ会の時、ある読者が、バグってハニー氏は太田さんと軍事愛好家の間に立って何とか太田さんのためによかれと考えてくれているけなげなまともな人物だと思う、と言っておられましたよ。

<ろくでなし>

 結局は他人事だからそうなってしまうのでしょうか。
 当事者の立場になって考えてみる想像力が少しでもあれば、なかなかそういう結論にはならないと思うのですが…。
 コラム#1014の最後の応援メッセージで、知的好奇心だけで他人事の読者を嘆いている(123)のは実は私なのですが、3年経ってもあまり変わっていないのかなぁなんて思ってしまいます。
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太田述正コラム#2921(2008.11.18)
<辻本清美議員と田母神問題>

→非公開