太田述正コラム#2859(2008.10.19)
<皆さんとディスカッション(続x280)>

<やいち>

 「ブログでは、雑駁と言われるところが、いいところです。」(コラム#2849)ですが、「雑駁」はブログで見ていて辞書で確認し、いいなと思い、使ってみたくなったのです。
 それまでは「雑駁」とは大雑把ぐらいの意味と思っていました。
 「爾来」も使ってみたい言葉ですね。

 ブログ(メルマガ)を愛読させていただいて、いいなと思ったところは、やはり、典拠をこれほどやかましく言われるブログは無いことです。
 だから、投稿される方等で、太田氏から典拠が無いと指摘される場合もあり、大変だなーと思うのです。
 また、投稿等に対する太田氏の反論は、見事だと思います。
 太田氏はまた、時々縄文モードと弥生モードに言及されており、日本の歴史を真剣に考えておられると感じています。ケルトのころから続くアングロサクソンの歴史の流れの中で現在から未来を見ると言う姿勢を、日本に関しても持っておられることに共感を覚えます。
 皇国史観は、政治的で何が本当か良く分からないです。この史観の元になる記紀が700年代の書き物であり、記紀とギリシャ神話の共通点を言う方も居りますが、一番の違いは年代で、これが一番の問題だと思います。それだけ、歴史に空想ができて日本人向きなのかもしれません。
 共著で出された本の、もう一人の兵頭氏の方は、私と年齢的に近いらしく、書かれている内容に共感する部分も多々あるのですが、話が飛んでいるところがあり、空想科学漫画的であり、空想が当たっても意味はないと思うのです。
 やはり、太田氏の、歴史とそこから出来上がった構造を元に現在を見て、次を読み解く姿勢のほうが、面白く読めます。それを、ここまで徹底しておやりになっていることに感心します。
 
 日本は、米国の植民地だと言うことは昔から、聞いたことですが。意味の有る主張ではなかったと思います。太田氏は初めてそれを意味の有る主張としてお述べになっています。
 でも、冒頭触れたように、太田氏の論理ではない部分も、いいなと感じています。

<太田>

 少し手を入れさせていただきました。
 しかし、「一番の違いは年代で、これが一番の問題だと思います。それだけ、歴史に空想ができて日本人向きなのかもしれません。」のところがどうしても分からず、手も入れられませんでした。今度はここのところでおっしゃりたいことを教えてください。
 「雑駁」や、特に「爾来」に着目されるとは、熱心に私のコラムを読んでおられることに敬意を表します。

<FUKO>

≫「気になっていること」について、先にお教え願えますか?≪(コラム#2857。太田)

 太田氏とチャンネル桜は、信念を通したがゆえに貧乏だという点で共通しています。
 チャンネル桜についての感想は、ご自身の生活状況についての深層心理的な感想でもあると思いまして、質問しました。

 これから教育費や医療費がご必要になる太田家の家計が心配でなりません。(他意はありません。)

<太田>

 ようやく
http://www.ch-sakura.jp/
を見ることができました。
 インターネット動画配信だけになって、しかもカンパを募っているなんて、確かに私の立場と似ていますね。

<ueyama>

≫チャンネル桜は経済的に非常に苦しいようですね。・・・この件について、チャンネル桜について、どのようなご意見をお持ちですか?≪(コラム#2857。FUKO)

 チャンネル桜を太田さん出演番組含めて5本くらいYoutubeあたりで見たことしかないうえやまが言うのもなんですけど、桜さんは予算を使いすぎてるんじゃないですかね。

 要らない番組もすごく多そうだし、スタジオもそれなりに立派だし、美術もそれなりに立派ですし。太田さんが出演された番組もあんなに人を呼ぶ必要はないでしょう。対立軸を持った人を2−3人呼んで水島さんと喋らせれば充分番組は成り立つはずです。
 videonewsなんかは、週にニュースを約1時間、テーマを決めた対談(鼎談)を2時間程度で、週予算は20万程度だといっていました。人件費なんかが入ってるかはわからないので、仮に月200万だとしても、5年で7億も溶かしてしまうような金の使い方はしていないはずです。

 「この五年間は、代表取締役社長である水島が、私費約7億円(衛星放送フィリピンチャンネル株売却や個人預貯金等)を投じ、チャンネル桜の運営資金に当てて来ました」(http://www.ch-sakura.jp/

のくだりなんかは、なんかの自慢話かと勘違いしてしまうほどです (笑)。

<太田>

 投じる個人資産が7億円もあったなんて、実にうらやましいですねえ。

 では、例によっていくつか、記事の中から見繕ってみましょう。

 まず、『実名告発 防衛省』の記述の確かさを裏付ける記事を二つ。

 〔第16章のうち、「横行する業者の水増し請求・過払い」(154〜157頁)に関するもの〕

 「・・・01年12月から実施されたインド洋での給油活動について、防衛省は「供給能力を安定的に確保する」ことを理由に国内商社2社との随意契約で艦船用燃料を調達していた。
 検査院や防衛省によると、2社のうち1社は油の購入代金の決済で必要なドル資金を銀行から調達する際、為替変動リスクを回避するため先物予約で レートを決めていた。ところが防衛省は商社の先物レートを把握せず、割高な直物レートに基づいて商社に代金を支払っていた。このため06〜07年度の2年間で約2億円が多く支払われていた。
 また、別の1社は大手商社だったため、決済に必要なドル資金を十分保有していたと考えられるにもかかわらず、防衛省は外貨交換手数料相当額として2年間で約3千万円を支払っていた。 ・・・」(
http://www.asahi.com/national/update/1018/TKY200810180228.html
。10月19日アクセス(以下同じ))

 〔海上自衛隊の派遣は止め、陸上自衛隊ないし航空自衛隊の派遣も行なわないということになれば、小沢「首相」は宗主国米国によって更迭され、民主党を中心とする政権はその時点で瓦解することになる、とあえて予言しておこう。(180頁)〕

 「・・・民主党は衆院解散・総選挙で政権交代を実現した場合、インド洋での海上自衛隊による給油活動をどうするのか−。インド洋での海上自衛隊の給油活動継続のための新テロ対策特別措置法(給油新法)の改正案の審議の中で、こんな議論が出ている。・・・小沢氏が違憲だと断じている以上、同党が政権を獲得した場合、現在の給油活動から自衛隊を撤収させることになる。
 しかし、インド洋での自衛隊の給油活動は米国の対テロ戦略の中で継続が強く期待されており、政権交代したからといって、一方的に撤収するとなれば、日米関係への影響は大きい。撤収には相当な「覚悟」がいる。・・・
 総選挙が近づく中、民主党としても、政権獲得後、いつ撤収させるのかなどを打ち出す必要があるが、この分野での議論はまったく進んでいない。党内の意見がバラバラなほか、そもそも、この問題への国民の関心は高くないと判断して、意見統一を図ってこなかった経緯もある。・・・」(
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008101902000098.html

 次に、コラム#2835で、「<インターネットの>・・・匿名性と、それに付け加えるにインターネット上での投稿、メールの(面会はもとより、手紙、更には電話に比べてさえの)圧倒的な容易性とがあいまったバーチャル感覚の下、・・・「自我が肥大した言論」、すなわち、私に言わせれば、躁鬱病に言うところの、躁期に見られる「誇大妄想」的言論や、投稿ないしメールする相手や場に応じて・・ゲーム環境に応じて!・・投稿ないしメールする内容を変える、これまた私に言わせれば、「多重人格」的言論を行う方々、つまりは精神疾患の疑いのある方々がたくさんいらっしゃる、というのが私の偽らざる実感です。」と申し上げたところですが、インターネットが人格を変えてしまう点については、

 「電子メールを使った場合、手書きの文書に比べてうそをつく傾向が約1・5倍になり、9割にのぼったことが米リーハイ大(ペンシルベニア州)などのチームの実験でわかった。うそがばれた場合、手書きの文書は責任が問われやすいなどと感じるためらしい。・・・リューバ・ベルキン助教授は「電子メールはうそをつきやすくなるだけでなく、うそのつき方がひどくなる傾向もある。・・・」と指摘する。 」(
http://www.asahi.com/science/update/1018/TKY200810180195.html
という記事が裏付けてくれたように思います。

 また、躁鬱病については、自分の16歳の娘が躁鬱病に罹った話を実名で書いた本が米国で話題になっています。
 Michael Greenberg, HURRY DOWN SUNSHINE です。

・She describes her psychosis as an ability to “see underneath the surface of things . . . see inside people.” →他人の心中を推し量る能力の亢進
 (She はこの娘です。以下同じ)
・she has provided much evidence to suggest a possible relationship between mania and creativity・・・→創造的能力が高まる
・One can become manic or depressed without becoming psychotic: having delusions or hallucinations, losing sight of reality.→現実感覚の喪失
 (これは、一般的な躁鬱病の特徴です。)
・making expansive, completely unrealistic, plans for my future once the siege began・・・→非現実的な未来夢想
 (語っているのはこの娘以外の躁鬱病既往歴のある人物です。)
・The girl who serves herself first and screw the rest.... I'm just giving an example of what mania is: a greedy, charismatic person who pretends to be your friend."→友人のふりをしてエゴを追求し相手に多大の迷惑をかける
 (the girl はこの娘のことです。)
・Sally's final return from the mad heights of her mania is almost as sudden as her taking off into it seven weeks earlier.→憑き物が落ちたように躁状態を脱する
 (Sally はこの娘の名前です。)
・It feels as if we have been living all summer inside a fable. →おとぎ話のような世界で過ごしたと周りの人に感じさせる

 これは、コラム#2805と2824で登場した「知人」に関して私が体験したことと完全に合致しています。
 改めて恐ろしいと思うのは、
・Psychosis・・・is not an identity, but a temporary aberration or departure from identity. And yet having a chronic or recurring mind-altering condition like manic-depressive illness is bound to influence one's identity, to become part of one's attitudes and ways of thinking.→性格そのものが躁鬱的な性格になってしまう
・Medication is crucial, even life-saving, in acute mania, which untreated can lead to exhaustion and death. Unfortunately→躁鬱病は治療を半永久的に続けなければならない

ことです。

 (以上、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/10/13/AR2008101302704_pf.html
http://www.nytimes.com/2008/09/28/books/review/Donadio-t.html?pagewanted=print
http://www.nybooks.com/articles/21774
(いずれも10月19日アクセス)による。)

 果たして、私も「知人」と私との話を書き記し、何らかの形で公表すべきかどうかです。
 いや、いつか、必ず何らかの形で公表しましょう。

 最後です。
 コラム#2016と2018で性同一性障害をとりあげたことがありますが、同性愛者と性同一性障害とははっきり区別しなければならないこと、現在も引き続き性同一性障害が病気か病気でないかの学術的論争が続いていること、性同一性障害のある少年少女を早期から外見の性と異なった性として医学的に成長させることができる「治療」方法が比較的最近確立したことを
http://www.theatlantic.com/doc/200811/transgender-children   
(10月18日アクセス)で知りました。

<UK>

 11月1日のオフ会への参加を希望いたします。

 MSさんが考えて下さったプログラム案(コラム#2845)に、一点だけ提案です。

 プログラム案の「3. 15:20 - 16:50 フリーの議論」の部分ですが、熱心な読者が参加されていると思うので議論が途切れる心配も無いと思いますが、「2. 14:10 - 15:10 過去の特定のコラムに関して議論」と同じ様な流れになる可能性があり、また、二次会も、そのフリーの議論の延長といった感じになると思いますので、参加者やメルマガ読者から募った太田さんへの質問(なるべく簡潔に答えられるような軽いもの。政治とあまり関係のない、普段、掲示板などでは質問しづらい事など)をインタビュー形式で答えて頂くコーナーを設けてはいかがでしょう?
 構成にメリハリをつけ、また議論の箸休め的な意味でもよいと思うのですが。

<太田>

 有料読者以外からのお2人目の出席ですね。
 大いに歓迎ですが、有料読者以外が増えれば増えるほど、「政治とあまり関係のない、普段、掲示板などでは質問しづらい事」を質問された時のお答えの仕方がむつかしくなります。困った困った。
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太田述正コラム#2860(2008.10.19)
<リューヴェン・ブレナーの歴史観(その2)>

→非公開