太田述正コラム#2428(2008.3.17)
<共和党善玉・民主党悪玉論(その1)>(2008.10.11公開)

1 始めに

 本日は、「軍学者」を自称されているらしい兵頭二十八氏(1960年〜)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B5%E9%A0%AD%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%85%AB
)と共著を出さないかという話が某出版社から寄せられました。
 私から、インタビューしてもらって原稿を起こす方法か、私のコラムから切り貼りで原稿を見繕う方法かをとってもらえるのならいいですよと答えておきました。
 先方が難色を示しているので、この話は実らないかもしれませんね。
 そうこうしているうちに、Mixiの太田コミュニティに「日本はアメリカの属国では無く、支那(中国)の属国になった。」というトピックを立てた人が現れました。
 長い長い投稿の出出しが、「主権とは国家の独立性、つまり国の在り方について他国の干渉や介入を一切許さず、自国の事は自国で決めるという事である。属国で有るか否かの判断基準は1つである。それは、自国への内政を許すか否かである。自国への内政を許すという事は主権を無くすという事で有る。現在、日本の安全保障は、アメリカによって護られているが、それは日米安保という軍事同盟に基づくものであって属国の根拠にはならない。米軍基地は欧州などの他国にも有る。」であったので、 コリャダメだ(注)と、トピック名を含め、全部削除しようかと迷いつつ、斜め読みすると、日本が中共の属国になってしまっているという主張が長々と続いたので、いよいよ削除しようとしたのですが、深田匠『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』(高木書房2004年10月)という本の紹介があり、この本の抜粋が
http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/1134.html
http://jpn.yamato.omiki.com/documents/two_america/4-1.html
で読めるというので、つられて読んでしまいました。

 (注)宗主国に内政への干渉や介入を許すというのはその国が植民地であることを意味するのであり、宗主国に外交や安全保障のみを委ねる属国(保護国)とは違う。なお、外国に軍事基地を提供していることが即属国であることを意味するわけではもちろんない。

 兵頭二十八氏や深田匠氏といった活きの良い市井の(失礼!)評論家が現在の日本にはたくさんおられるようですね。

2 共和党善玉・民主党悪玉論

 深田氏の本のテーマは、いわば米国の共和党善玉・民主党悪玉論であり、時々日本で耳にする議論を極限まで推し進めたものです。
 上記抜粋中、面白かった箇所のいくつかを下に掲げておきます。

 「民主党F・D・ルーズベルトの叔父ではあっても共和党の大統領であったセオドア・ルーズベルトは、日露戦争で日本を支援して講和を斡旋し、東郷元帥を尊敬し、教育勅語や武士道精神を高く評価するなど、親日的なスタンスを示していた。」

 「共和党の下院議員であったハミルトン・フィッシュは自著の中で、「ルーズベルトは民主主義者から民主主義左派・過激民主主義者を経て、社会主義者、そして共産主義支持者へと変貌 していった」と述べており、真珠湾攻撃における米上下院議会の対日開戦支持について「我々はその時の支持すべてを否定しなければならない。なぜならば、真 珠湾攻撃の直前にルーズベルトが日本に対し戦争最後通牒(ハルノート)を送りつけていたことを、当時の国会議員は誰一人知らなかったからである」とも述べ ている。またハミルトン・フィッシュは、同著で当時の共和党下院議員の九十%が日本との戦争に反対していた事実を明らかにしており、ハルノートを指して「これによって日本には、自殺するか、降服するか、さもなくば戦うかの選択しか残されなかった」と強く批判し、「日本は天然資源はほとんど 保有せず、また冷酷な隣国であるソビエトの脅威に常に直面していた。天皇は名誉と平和を重んじる人物で、戦争を避けようと努力していた。日本との間の悲惨な戦争は不必要であった。それは、お互い同士よりも共産主義の脅威を怖れていた日米両国にとって悲劇的だった。我々は戦争から何も得るところがなかったばかりか、中国を共産主義者の手に奪われることになった」とも述べている。ちなみにフィッシュは戦時中も「米国の敵は日独では なくソ連だ」と主張し続けていた為に、アメリカに潜入していた英国の対米プロパガンダエ作機関「イントレピッド」による中傷工作を受けて一九四四年に落選に至っている」

 「民主党のルーズベルト政権であのハルノートはハルが書いたものではなく、その原稿を執筆したのはハリー・D・ホワイトという財務省特別補佐官だが、この人物はソ連KGB工作員であったことが一九四八年七月に発覚し、しかもそのわずか一ヵ月後の八月十六日に突然の変死をとげている。おそらくKGBによって消されたのではないか。アメリカをソ連の見方として参戦させるために、ソ連のビタリー・パブロフという工作員から「日本が絶対に受け入れられない条件を書いてくれ」と依頼されたホワイトは、日本を追いつめるためにもハルノートを作成したのだ。・・ルーズベルトのニューディール政策は共産主義的な面があるため、マルクス・レーニン主義者が大挙して政権要所に入りこんでソ連のために日米開戦を誘導し、また共和党マッカーシー上院議員のレッドパージ(アカ狩り)の対象の大半が民主党左派であり、ソ連のスパイとして協力してきた者の大半は民主党支持者であることからも、民主党の容共的左派体質は明らかなのだ。そしてそのため民主党と中国共産党の結び付きも、共和党とは比較にならない程に深いものがある。」

 「アイゼンハワーに至ってはスチムソン陸軍長官に対し「米国が世界で最初にそんなにも恐ろしく破壊的な新兵器<(原爆(太田))>を使用する国になるのを、私は見たくない」(一九六三年の回想録)と何度も激しく抗議していた。・・アイゼンハワーは、大統領在任中の一九五五年一月にルーズベルトを強く批判して「私は非常に大きな間違いをしたある大統領の名前を挙げることができる」と述 べ、ルーズベルトが対日謀略を重ねて日米開戦を導いたこと、日本へ不必要な原爆投下の決定を行ったこと、ヤルタ協定で東欧をソ連に売りとばしたことなどを 挙げて非難している。ソ連のスパイであったアルジャー・ヒスが草案を作成したヤルタ協定は「ソ連の主張は日本の降状後、異論なく完全に達成 されることで合意した」と定めているが、一九五六年に共和党アイゼンハワー政権は「(ソ連による日本北方領土占有を含む)ヤルタ協定はルーズベルト個人の 文書であり、米国政府の公式文書ではなく無効である」との米国務省公式声明を発出した。」

 「共和党史観を代表する一例として、先の大戦のアメリカ中国戦線総司令官A・C・ウェディマイヤー大将の回想録を以下に引用しよう。「ルーズベルトは中立の公約に背き、日独伊同盟を逆手に取り、日本に無理難題を強要して追い詰め、真珠湾の米艦隊をオトリにして米国を欧州戦争へ裏口から参加さ せた。(小略)米英は戦閾には勝ったが、戦争目的において勝利者ではない。英国は広大な植民地を失って二流国に転落し、米国は莫大な戦死者を出しただけである。真の勝利者はソ連であり、戦争の混乱を利用して領土を拡大し、東欧を中心に衛星共産主義国を量産した。米国は敵を間違えたのだ。ドイツを倒したことで、ナチスドイツ以上に凶悪かつ好戦的なソ連の力を増大させ、その力は米国を苦しめている。また日本を倒したことで、中国全土を共産党の手 に渡してしまった。やがて巨大な人口を抱える共産主義国家がアジアでも米国の新たな敵として立ちふさがるであろう」

 「クリントンの対北<朝鮮>交渉について共和党のリチャード・アーミテージ・・は当時「もし、きちんとした外交のエキスパートを備えた共和党政権ならば(小略)米国は北朝鮮に圧力をかけただろう」「日米ともに指導者が悪すぎる」と率直にコメントしていたが、当時の日本の「悪すぎる」指導者とは細川・羽田・村山の各政権である。・・<ブッシュ政権になり、>アメリカはもはやクリントン時代の対朝スタンスを一変させており、中朝に媚びているのは相変わらず日本だけなのだ。・・このクリントンの訪中の前年、一九九七年十月に訪米した江沢民は最初にわざわざ真珠湾に立ち寄り、出迎えに駆けつけたクリントンと肩を並べて「我々は共に日本と戦った戦友だ」と気勢をあげていたが、翌年訪中したクリントンも江沢民主催の晩餐会で「米中両国はかつて日本と戦った同盟国だった」とスピーチしている。もしブッシュならば絶対に口にしないようなこのクリントンの スピーチには、親中嫌日の伝統を持つ民主党のホンネが露呈している。一方、二〇〇二年五月に訪米した胡錦濤もまず真珠湾に立ち寄るというパフォーマンスを行ったが、ブッシュはこれに冷淡に対応しワシントンから動こうとせずに胡錦濤を迎えている。」

 「これらの歴史が物語る真実は、この二大政党の対日観や共産主義に対する姿勢が全く正反対であるということなのだ。・・<また、>共和党は軍人であり、民主党は商人である。商人は損か得かで判断するが、軍人は敵か味方をハッキリと区別して経済的な損得勘定では動かない。・・ 高名な文化人類 学者シーラ・ジョンソンは、一九九六年の自著『アメリカ人の日本観』の中で「アメリカには二つの相反する日本観がある」として、「ペリー提督の部下は日本 人を世界で最も礼儀正しい国民だと考えたが、ペリー自身は、日本人は嘘つきで逃げ口上ばかり言う偽善的な国民だと公言した」と述べ、この二つの対日観は 「以後百年間変わっていない」と断じている。ペリーの対日観を継ぎ日本を嫌い「弱い日本」を望む勢力を代表するのが民主党、そしてペリーの部下の対日観を 継ぎに日本に理解を示し「強い日本」を望む勢力の代表が共和党なのだ。」

 「民主党の政治資金を支えているのは、ニュー ヨークのウォールストリートを中心とする金融財界と米三大ネットワークを中心とするメディア業界だが、その両方ともがユダヤ資本であり、ユダヤ系財閥の王 者ロックフェラー家もJ・D・ロックフェラー四世が民主党上院議員を努めている。・・現在アメリカでは年間四万件の訴訟(一人あたりの件数は日本の約三十倍)が起こされているが、この訴訟原告専門弁護士業界(約四十%がユダヤ人)が一 致して民主党を支持しており、民主党の重要な政治資金源になっている。」

(続く)