太田述正コラム#2719(2008.8.9)
<グルジアで戦争勃発(その1)>(2008.9.19公開)

1 始めに

 (以下、とりあえずは、
http://edition.cnn.com/2008/WORLD/europe/08/09/georgia.ossetia/index.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/08/08/AR2008080800285_pf.html
http://www.nytimes.com/2008/08/09/world/europe/09georgia.html?_r=1&hp=&oref=slogin&pagewanted=print
http://www.ft.com/cms/s/0/830edc3a-656d-11dd-a352-0000779fd18c.html
http://www.ft.com/cms/s/0/6e29e178-6498-11dd-af61-0000779fd18c.html
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/09/russia.georgia
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/09/russia.georgia1
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/08/russia.georgia1
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/08/georgia.russia3
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/08/georgia.russia5
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/aug/09/georgia.russia
(いずれも8月9日アクセス)による。)

 グルジア(Georgia。人口460万人)内で事実上独立している南オセチア(South Ossetia。人口75,000人)でグルジア平和維持部隊と南オセチアの独立派との間で1週間小競り合いが続き、その間、路傍爆弾でグルジア人警官6人が死亡していたところ、8月5日、グルジアのサカシヴィリ(Saakashvili)大統領がが一方的に3時間の停戦を宣言し、南オセチアの独立派と一般住民が降伏ないし逃亡する機会を与えたにもかかわらず、南オセチア独立派から砲火を浴びせられ、グルジア平和部隊と民間人10人が死亡したことをきっかけに6月6日未明、グルジア軍が戦車、迫撃砲等を用いて南オセチアの首都ティンヴァリ(Tskhinvali)制圧を目的とする作戦を開始しました。
 その直後にロシアも4kmの長さのロキ(Roki)トンネル一本でロシアと陸路がつながっている南オセチアに、戦車150両、装甲兵員輸送車、そして空挺部隊を含む第58軍(58th army)を投入して、もともと南オセチアにいたロシア平和維持部隊(約1,000人)/ロシア軍とグルジア平和維持部隊/グルジア軍との間で激しい戦闘が始まって現在に至っています。
 南オセチア「政府」は、これまでにティンヴァリで、ほとんどの建物が壊滅状態となり、大部分が一般住民であるところの約1,600人が死亡し90人が負傷したとしており、一方グルジア側は自分達側で100人近くが死亡したとしています。また、ロシアは、ティンヴァリでロシア平和維持部隊の15人が死亡し50人以上が負傷したとしています。
 これまでに南オセチアから女性と子供中心の3万人以上の避難民が国境を接しているロシア領内の北オセチアの町ウラジカフカス(Vladikavkaz)にバス等で避難しています。
 南オセチアの外のグルジア本体内においても、ロシア空軍が攻撃を行っています。
 黒海沿岸の港町であるポチ(Poti)の軍事目標と非軍事目標への攻撃では8人のグルジア人が死亡しました。
 ポチから内陸に入った所にある町であるセナキ(Senaki)への攻撃では鉄道線路、軍事基地、そして、やはりグルジアから事実上独立している、近傍のアブハジア(Abkhazia)から逃れてきたグルジア人を収容しているセンターが対象となりました。
 グルジアの首都トビリシ(Tbilisi)の北西約35マイルの町、ゴリ(Gori)も攻撃されました。
 (このほか、トビリシ郊外のヴァジアニ(Vaziany)軍事基地、マルヌーリ(Marneuli)軍事基地、デリシ(Delisi)空港とクタイシ(Kutaisi)空港も爆撃されたとの情報もある。)
 ロシア国防省は、ロシアの航空機2機がグルジア軍によって撃墜されたこと、ティンヴァリをロシア軍部隊が制圧したことを発表しました。
 イラクに派遣されているグルジア軍2,000人の司令官は9日、米国が提供する輸送手段によって、すみやかにこの兵士達を撤収させると語りました。
 グルジアは在モスクワ・グルジア大使を8日午後、本国に召還しました。
 また、サカシヴィリ大統領は、グルジア議会に戦争状態の宣言を求めました。
 まさに、このグルジアでの戦争は、ロシア軍とグルジア軍の全面対決の様相を帯びつつあります。
 なお、グルジアには米国人が2,000人以上おり、そのうち130人(うち軍人が約100人)がグルジア軍のイラク派遣に関する支援業務に従事しています。
 また、ロシア領内の北オセチア・・南オセチアと文化的紐帯あり・・では募集兵の募集が行われており、既に南オセチアへの派遣を開始しています。途中で制服が支給され、南オセチアに着くと武器が与えられるというやり方です。
 ロシアの法律では、逃亡農奴や無法者をかつて南部国境の防衛に従事させたところのコサック(Cossack)の制度が現在も活きており、国境警備を担当している内務省の部隊と連携して武器を携行して、このような警備任務に就くことが認められているところです。
(続く)