太田述正コラム#2770(2008.9.4)
<皆さんとディスカッション(続x237)>

<まこっちゃん>

メディアではあまり大きく取り上げられていませんが、守屋前防衛事務次官や山田洋行などで騒がれた防衛汚職の捜査は終わったみたいですね。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080830ddm041040141000c.html

 昨年来、国会議員の逮捕もあるかも、と騒がれたわりに、呆気ない幕切れでした。
 マスコミで散々叩いたし、官僚トップを逮捕したことでとりあえずのガス抜きができただろうからこれで勘弁して、ということでしょうかねえ。
 こうなったら太田さんに次の総選挙前にひと暴れして欲しいものです。

<太田>

 金曜日社から出る私の新著が若干なりともインパクトを与えればいいのですが。

<コバ>

 --最高指揮官のいない自衛隊--

自衛隊高級幹部会同を自衛隊の最高指揮官、福田首相が欠席しました(
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080903/plc0809031258005-n1.htm
)。
 福田首相は、まさに日本の吉田ドクトリンによる腐敗、退行をそのまま象徴する人物だったのではないでしょうか。また、太田さんにとってみれば、福田康夫は加藤紘一と並ぶ最低の議員だったのではないでしょうか。
 麻生、小池と自民党総裁選が賑やかになってきましたが、民主党がその影に埋没してしまいそうで心配です…。小沢、何やってんだ!

<太田>

 と言うより、民主党の若手議員、何やってんだ、でしょうね。
 野田氏を立候補断念に追い込んで小沢氏を無条件で再任させるなんて、戦略的にも戦術的にも気がふれたとしか私には思えません。
 福田首相についての評価に同意しますが、私からすれば、安倍前首相も(、それに小沢民主党代表も)同じ穴のむじなです。安倍氏が同じ派内で福田氏と同じ釜の飯を食い、更には同じ自民党内で宏池会等に所属する「ハト」派議員と共棲してきたということは、安倍氏も吉田ドクトリンの墨守に間接的に貢献してきたことを意味するからです。

<すえ吉>

 スイマセン。
 ブログが凄く見難いです。

<太田>

 そういう声は他からも耳にします。
 私自身は、平素管理者画面しか見ていないので、実感がありませんが、タテジマさん、一つよろしく。

<Pixy>

 グレゴリー・クラーク氏(少し前にもどなたかが別のコラムを紹介されていたかと思いますが)のグルジア紛争に言及したコラムがありましたので、URL貼っておきます。

World gives Russia an unfair rap (By GREGORY CLARK)
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/eo20080821gc.html

上記事の日本語対訳付き
http://gregoryclark.net/jt/page43/page43.html

氏の上記コラムは、まさに、我が意を得たり!という内容でした。
今まで投稿された内容から察する限り、海驢さんもそう思われるかもしれません。

【追伸】
>Pixyさんは、もしかしてレッドスターの10番だったPixyさんですか?(コラム#2760。海驢)

 その通りです(笑)95年にJリーグ、名古屋グランパスでの彼のプレーに魅せられて以来、ドラガン・ストイコビッチ(通称「Pixy(ピクシー)」)の大ファンです。彼は、当時サッカーのユーゴスラビア代表の主将でしたので、自然とユーゴ関連のニュースにも
興味を持ち始め、今に至るという感じです。彼のおかげで、ひょっとすると名古屋は
世界中でセルビア本国以外で一番親セルビアの地域かもしれません(笑)

<バグってハニー>

 --グレゴリー・クラーク--

この人、以前、「北朝鮮による拉致は日本の『捏造』」と英語のインターネット・サイトに投稿して産経の古森記者から叩かれてた人ですね。
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/50016/
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/50461/

 --17歳の長女が妊娠=共和党副大統領候補のペイリン氏―米--

現副大統領のディック・チェイニーの娘さんも同性愛者だとカミング・アウトしましたけど、共和党の副大統領(候補)は期せずしてリベラル色を打ち出す運命にあるんですかね。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/jiji-AFP019168.html

<海驢>

 バグってハニーさんへのお返事です。

>この人、以前、「北朝鮮による拉致は日本の『捏造』」と英語のインターネット・サイトに投稿して産経の古森記者から叩かれてた人ですね。

 老婆心ながら申し上げますと、このような「印象操作」のみの投稿は意味がありませんので、「通りすがり」ならともかく太田コラムの執筆までするような方ならば、控えるべきではないかと思います。
 グレゴリー・クラーク氏が元サヨクで、バカバカしい投稿をしていた過去があるのは事実のようですが、Pixyさんが紹介されたコラムの内容はまったくもって正論でしょう。その内容について反駁・指摘するなら分かりますが・・・
 一方の当事者たる産経・古森氏だって、米国の毒を薄めて(正確でない)報道をすることで有名であり、慰安婦問題の時にはAP通信の記事を歪曲したことも指摘されています。ならば、古森氏の言説も、そのまま受け取る訳にはいきませんよね。

※参考:◆ 美しい壺日記 ◆ 産経新聞が古森義久記者の捏造記事を謝罪訂正することに決定したよ
 http://dj19.blog86.fc2.com/blog-entry-69.html

※参考:「【慰安婦問題】産経vs中央日報-どちらが正確?」
 http://tech.heteml.jp/2007/04/vs_1.html

<hjp>

バグってハニーさん、コラム#2767(未公開)に質問です。

** 日本人が聞き取るこの「音楽」は当然ながら、教養として教わり作られた感覚のはずだ。**

 これには典拠は無しですか?

**日本人が、虫の音や桜の花びらに「もののあわれ」を感じるのは、あまたの詩人や歌人や哲学者たちにそう感じるよう教わってきたからではないか?**

 そうすると、詩人や歌人や哲学者たちといった教養に無縁やった人達には上記のような感性は持ち合わせていないとでも?

<バグってハニー>

 hjpさん、私のコラム読んでいただいてありがとうございました。

 この部分はFTの記事を私が引用しているわけで、これはFT東京支局長デビッド・ピリング氏の意見です。まあ、エンドースするつもりがなかったら引用もしちゃだめでしょうが。

 ただ、ピリング氏は特に間違ったことを書いてないと思いますよ。自然界の音がどういう風に聞こえるかは相当な文化の差があると思います。卑近な例だと、犬の鳴き声は英語だと「アーフ!」とか「バウワウ」ですけど、日本語だと「ワンワン」って言いますよね。それで、ジェイ・レノのトゥナイト・ショウというテレビ番組(「笑っていいとも!」みたいな番組、ジェイ・レノがタモリに相当)があるんですけど、その中で広告等にある間違った英語を笑い飛ばすというコーナー(雑誌「宝島」の「VOW!」みたいな感じ)があって、多分日本人だと思いますけど、犬の鳴き声に「Wanwan!」という文字を当ててたんですね。ジェイ・レノが「ワンワン!ワンワン!」と読み上げたら会場は大爆笑で、なるほど、米国人には犬の鳴き声はワンワンとはまったく聞こえないんだなと合点しました。これはまさしく

**日本人が、虫の音や桜の花びらに「もののあわれ」を感じるのは、あまたの詩人や歌人や哲学者たちにそう感じるよう教わってきたからではないか?**

と同じで、我々には犬の鳴き声が「ワンワン」と聞こえるのは、歌や文章から犬の鳴き声は「ワンワン」だと教わったからですよね。米国人はそう習わなかったので、おかしな音に聞こえるのです。

>そうすると、詩人や歌人や哲学者たちといった教養に無縁やった人達には上記のような感性は持ち合わせていないとでも?

 そういう意味ではないのと違いますか?あまたの詩人や歌人や哲学者達も、教養に無縁の人達と同様に、それ以前の詩人たちからそう感じるように教わっていますよね。

 我々は小学校に入れば百人一首など習うわけですけど、在原業平の歌がなかったとしたら桜が散る様にそれほど興趣を感じることもなかったのではなかろうかと。しかし、それは桜を詠んだ在原業平にとっても同じで、桜に関する和歌は平安時代には山ほどありますけど、そういう環境にどっぷりつかっていたわけですよね。あと、桜といえば、日本だと卒業式や入学式、別れや出会いと結びついていますが、米国だと新学期は夏に始まるのでそういう興趣は全然ないです。

 ピリング氏は英国人だからクリケットの例を挙げていましたけど、米国だとさしずめ野球ではないでしょうか。日本でも野球は人気ですけど、あまり詩的な興趣は感じないですよね。しかし、米国人は違うようです。米国人の間で100年以上親しまれている、アーネスト・セイヤー(Ernest Lawrence Thayer)の「Casey at the Bat」という詩があるのですが、我々が習う平安和歌と同じで、米国では小学生が必ず習うような有名な詩です。とてもきれいな詩で、素朴な野球の風景がありありと見えるようで、大変感動しました。なるほど、これが米国人の原風景なんだなと納得した次第です。あまり難しい英語ではないので(しかし、野球のルールなど知らないと難解です)、ぜひ読んでみてください。
原文
http://en.wikisource.org/wiki/Casey_at_the_Bat
解説
http://en.wikipedia.org/wiki/Casey_at_the_Bat

<ライサ>

 <米大統領選挙で、>マケイン氏側には、あまり目立った花火が無く、最初低迷していましたが、徐々に盛り上げ、逆転?
 ここで女性(ヒラリーの票層を意識して)を登用し、一気に引き離そうとしたのでしょうか。それだったら、何故彼は、黒人の女性候補を選ばなかったのでしょうか。アメリカの世論を充分満足させる効果はあったと思うのですが。
 黒人票数は全体から見るとそんなに多くはないかも知れません。そのうちの女性票はさらに少ないでしょう。しかし、少なくとも黒人女性のかなりは、「マケイン氏側に・・・」と傾く、、誘惑に駆られるのではないかと思いました。

 選挙は、太田さんはとうに経験済みでしょうが、流動的に動く現在進行形の世界情勢に大きく左右されるのは当然ですが、いわゆる「読みの問題」をどこに絞るかが非常に難しいなと思いました。
 共和党には有色人種の有能な人材はいないんでしょうか。顔の広い太田さん、、知っている人はいませんか。皆様はどう思われますか。

<太田>

 共和党が奴隷解放を成し遂げたというのに、現在では黒人は圧倒的に民主党寄りです。 共和党員で副大統領候補に推せるような上院議員や州知事クラスの黒人女性はほとんどいないと思いますよ。
 (典拠は旅先で時間がないのでご容赦を。)

<ライサ>

≫私の移民論に抵抗感を覚える方は多いですねえ。「民族」の違いに敏感な方々が日本には多いということを痛感していますが、そのような立場に立つと、今回のグルジア「戦争」についても、南オセチアはグルジアとは民族的に異なる以上、その分離独立なり、ロシア内の北オセチアと合邦してのロシア内の自治共和国化なり、を支持しなければならない、という結論になるでしょうね。≪(コラム#2768。太田)

 そういう太田さんの感想?を用いるのなら、大量移民により日本国内に他国人が増加したら、その地域は出身国と同じ民族が多いから、だから、その地域は日本とは民族的に異なる以上、その分離独立なり、出身本国と合邦しての日本国内の自治共和国化なりを支持しなければならない、という結論になるでしょうね。
 某国が騒いでいるような対馬や沖縄など真っ先に対象となって実現が可能になってしまいますよね。(笑)

≫・・・いずれにせよ、朝鮮人はもとより、支那人でさえ、このようなイスラム教徒に比べれば、移民として受け入れるにあたっての問題点など、取るに足らないと言えるでしょう・・。≪(コラム#2681。太田)

 またまた、こんな事言っちゃって、あのうるさい安保さんが怒りますよ!!(恐怖に引きつった笑い)

>・・・取るに足らない・・・

 ほんとうかいな、移民として受け入れるにあたっての問題点とは、「どれとどれ」という風に数えられるくらい少ないと思っているのでしょうか。日本の社会的構造を根本的に見直さなければ実現できないほどの大難題だと思いますが。
 軽はずみな表面的議論と理屈だけで、受け入れ決定をして、後で臍を噬むのは一般庶民だけ。政府は言い訳に逃げる、地方は対応に追われる、庶民は苦しむ、、、、。後で「こんな日本に誰がしたっ」って、つぶやいても、もはや手遅れ。

 良いのは、多分対外的に、「日本はこんなに門戸を広げてまあ〜す」と言って、各種国際会議で、日本の役人が偉そうな顔を出来るだけ。

 それでも、その役人の彼・彼女が「あー良かった!どこからもバッシングを受けなかった、(心の中では、他の国からも移民受け入れを拡大しろなんて言わないでちょーーだい!!と祈りながら)早く会議、終わらないかなー」なんて言うシーンが目に浮かびます。
≫そこで、イスラム教徒たる移民を多数抱える国においては、イスラム教徒の原理主義へのベクトルを打ち消す、世俗主義へのベクトルをどう構築するかが極めて重要であるわけです。≪(同上)

 日本に置き換えると 「そこで、朝鮮人、支那人たる移民を多数抱えようとする我が国においては、彼等独自のある種の原理主義へのベクトルを打ち消す、そして、日本的世俗主義へのベクトルをどう構築するかが極めて重要であるわけです。」となるような気がするのですが。

 その構築が重要であるのは当然ですが、口先で言うほど簡単にはいかないと思います。
 太田さんには何か良い方法・手順等がおありなのでしょうか。

<太田>

 「朝鮮人、支那人」に「ある種の原理主義へのベクトル」が見られるとは初耳ですねえ。

<読者SK>

 先にメールを差し上げかつ取り上げて頂いてだいぶ経っております。
 その節は有り難うございます。関西でのオフ会の報を聞き羨ましく思っております。
 関東又は東北でのオフ会の開催を切に希望いたします。

 さて、欧米と一言で済ませる言論が多い中、米国、英国、フランス、独逸などのその他のヨーロッパ圏の国々を一緒にして良いものかとずっと素朴に疑問に思っておりました。 その折に太田さんの前々からのコラム及び今回の遠江人さんによるコラム等を読ませて頂いて、やはり英米とその他のヨーロッパ諸国とは分けて考えるべきとの思いを新たにしております。

 さる国に自由民主党という政党がありますが、自由と民主とを合わせた理念を持った政党はおかしいと聞いた事があります。
 この理由を理解できた気がします。有り難うございます。
 この国の政治意識はこの通りなのでしょうね。
 自由主義と民主主義を分離できない。

 太田さん及び遠江人さんコラムお疲れさまです。
 そして、ありがとうございます。

 お二方の見識には及びもつきませんが、疑問に思った事がありますのでご回答頂けたら幸いです。
 トックビルへの言及はありましたが、ハイエクについてはお二方は如何お考えでしょうか?
 「隷属への道」と言う重要な著書があり、これに触れられていなかったの残念でした。
第二次世界大戦中及び戦後のハイエクらの活躍に依って英国の自由主義は守られたと思います。ハイエクはご存知とは思いますがドイツ圏の(オーストリア)方で、ドイツ圏の方の活躍のお陰で自由主義が守られてとも言えると思います。
 アングロサクソン論の結論には影響は無いと思いますが、
 何らかのコメントを頂けたら幸いです。

<太田>

 旅先なので、簡単にお答えさせていただきます。
 ドイツ語圏出身で英米の国籍をとった知識人は、ハイエク、シュンペーター、ウィトゲンシュタイン等、数多いのですが、アングロサクソン文明は、その成り立ちからしても、超民族的、超人種的な文明であって、彼らは英国人であり米国人であると考えるべきなのです。