(コラム#2663、2665、2671をひとまとめにしました。)

太田述正コラム#2663(2008.7.12)
<日本文化チャンネル桜と移民受入問題>(2008.8.25公開)


1 始めに

 日本文化チャンネル桜からまた下記のような出演依頼がありました。

            記

「闘論!倒論!討論!2008 日本よ、今...」

テーマ:
「どうする!?どうなる!? 1000万移民と日本」(仮題)
「移民」は日本を救うのか?滅ぼすのか?その是非を中心に、日本の行方を議論していただきます。

収録日時:
平成20年7月16日(水曜日)午前10時〜13時30分
※15分程前までにお越し下さい。

放送予定日:
前半 平成20年7月17日(木曜日)夜8時〜9時30分
後半 平成20年7月18日(金曜日)夜9時〜10時00分
スカイパーフェクTV!241Ch. 日本文化チャンネル桜

収録場所:
弊社Aスタジオ(渋谷)

パネリスト:
(敬称略50音順)
浅川晃広(名古屋大学・大学院国際開発研究科・講師)
太田述正(元防衛庁審議官)
桜井 誠(在日特権を許さない市民の会 代表)
西尾幹二(評論家)
平田文昭(アジア太平洋人権協議会 代表)
村田春樹(外国人参政権に反対する会 事務局)
ほか、1名参加される可能性があります。

司 会:
水島 総(日本文化チャンネル桜 代表)
鈴木邦子(桜プロジェクト キャスター)

2 思ったこと

 今度出る共著でも、私の担当部分で移民受入問題が取り上げられています。
 9月下旬に出版予定の共著の私の担当部分のトピックを、私は自分で選んではいません。この共著の共著者及び共著者の協力者のお二人が、私のコラムのバックナンバーをお読みになって、私の移民受入論を面白いとお感じになったということなのでしょう。
 今回もそうです。
 やはり、「桜」の関係者が私のコラムのバックナンバーをお読みになって、同様の感想を抱かれたということなのでしょう。
 そこで、先程から、私自身、自分のコラムのバックナンバーにあたり、移民受入問題について私がこれまでどんなことを言ってきたのか、そして読者との間でどんな議論が行われてきたのかを振り返る作業を行っています。
 驚きましたね。
 その分量の多さに。
 自分ではさして移民受入問題を取り上げてきたつもりではなかったのですが、実際のところ、私は移民受入問題に、比較政治論や狭義の安全保障論と並ぶくらい強い思い入れがあるのだなということを「発見」しました。
 上記振り返り作業を行ったおかげで、共著における移民受入論の記述が、私の最新の考えを十分反映していないところがあることにも気づきました。ゲラが出てきた段階で、修正・加筆することになりそうです。
 ところで、今度の番組のパネリストの皆さんは、西尾幹二さん以外は、初対面の方々ばかりです。
 これらのパネリストの方々にお目にかかるのも楽しみですね。
 皆さん、ぜひこの番組をご覧になってください。

太田述正コラム#2665(2008.7.13)
<日本文化チャンネル桜と移民受入問題(続)>

1 始めに

 先程、下掲のようなフリップ用パワーポイント資料作成を、あらかじめ登録していたいただいていた読者の方にお願いしたところです。

<一枚目>

 史上出現した大帝国であるペルシャ、ローマ、唐、モンゴル、オランダ、英国、米国には共通点がある。
 寛容性(tolerance)ないし包摂性(inclusiveness)だ。
 寛容性・包摂性を戦略的・戦術的に駆使することによって、各帝国は円滑な支配と人材の確保が可能となったのだ。

Amy Chua(エール大学ロースクール教授(女性)が2007年に上梓した'Day of Empire: How Hyperpowers Rise to Global Dominance -- and Why They Fall’の結論の要約

<二枚目>

 「英国家統計局(The Office for National Statistics)は、移民、出生率及び平均年齢の伸びの高位推計によると、現行の人口6050万人が2031年までに7500万人、2081年までに1億87万人に増える可能性があると発表した。・・・
 統計学者達は、英国の将来の人口増加の69%は、若年の移民によるところの上昇する生誕率等、移民に直接的ないし間接的に起因する、と暫定的に推計している。・・・」

http://www.guardian.co.uk/society/2007/nov/28/socialtrends.homeaffairs

<三枚目>

                 太田の仮説

1 軍事
 一、敗戦を境に日本は軍事を尊ぶ社会から軍事を放擲した社会へと180度変わった。
 二、その背後に日本社会の弥生モードから縄文モードへの回帰があった。

2 移民
 一、敗戦を境に日本は移民許容社会から移民拒否社会へと180度変わった。
 二、その背後に日本社会の弥生モードから縄文モードへの回帰があった。


<四枚目>

 徴兵義務は、独立国家においては、中国のように憲法上規定があろうが、米国のように憲法上規定がなかろうが、国民の当然の義務。
 ちなみに、特定の独立国家において現実に徴兵制(draft)が敷かれているかどうかは、本質的な問題ではない。
 中国では一度も徴兵制が敷かれたことがないのに対し、米国は、南北戦争の時、第一次世界大戦の時、及び第二次世界大戦参戦直前からベトナム戦争の頃、しか徴兵制を敷いてはいない。
 
http://en.wikipedia.org/wiki/People's_Liberation_Army
http://en.wikipedia.org/wiki/Conscription_in_the_United_States

 憲法(解釈)上、国民に徴兵義務を課すことが禁じられている国は世界広しといえども日本だけ。

2 感想

 カイロ時代に、原住民の召使い(servant)、黒人系の運転手、アルメニア人のピアノ教師、トルコ人のフランス語家庭教師、住んでいたマンションの同じフロアに入っていたこのマンションのオーナーのユダヤ人一家、通っていたイギリス系小学校でのイギリス人教師、小学校での親友のギリシャ人、タイ人、そしてミャンマー人ら、様々な考え方を持つ種々雑多な民族の人々に囲まれて毎日を送っていた私は、基本的に単一民族で金太郎飴的な日本社会が不自然に感じられ、息苦しさえ覚えるのです。
 私の移民受入論は、このような原体験に基づく皮膚感覚に由来するものであることをご理解いただければ幸いです。
 (なお、幼少期にまるで王侯貴族のような生活を送っていたと思われるかもしれませんが、1950年代後半当時、外交官や商社員として海外勤務していた人々の生活は、おおむねこんな感じであったはずです。外交官がつきあうのは在勤地の政府関係者や第三国の外交官達であり、商社員がつきあうのは、在勤地の金持ちの人々であったことから、相応の体面を保つ必要があったからです。)

太田述正コラム#2671(2008.7.16)
<日本文化チャンネル桜収録記 3>(2008.8.25公開)

1 始めに

 昨日の1914に、下掲のようなメールが届きました。

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 明日の討論のタイトルですが、最終的に「在日外国人問題と移民政策」にさせていただきました。
 移民問題に現在の在日外国人問題を加味させていただきます。
 以下、最終的な番組情報です。
 ご確認の程、よろしくお願い申し上げます。  草々

                   日本文化チャンネル桜
                   ○○ ○○



タイトル:「闘論!倒論!討論!2008 日本よ、今...」

テーマ:「在日外国人問題と移民政策」
 「移民」は日本を救うのか?滅ぼすのか?その是非を、現在の在日外国人問題も含めて議論していただきます。

収録日時:平成20年7月16日(水曜日)午前10時〜13時30分

放送予定日:前半 平成20年7月17日(木曜日)夜8時〜9時30分
      後半 平成20年7月18日(金曜日)夜9時〜10時00分
スカイパーフェクTV!241Ch. 日本文化チャンネル桜

収録場所:
弊社Aスタジオ(渋谷)

パネリスト:
(敬称略50音順)
浅川晃広(名古屋大学・大学院国際開発研究科・講師)
出井康博(ジャーナリスト)
太田述正(元防衛庁審議官)
桜井 誠(在日特権を許さない市民の会 代表)
西尾幹二(評論家)
平田文昭(アジア太平洋人権協議会 代表)
村田春樹(外国人参政権に反対する会 事務局)

司 会:
水島 総(日本文化チャンネル桜 代表)
鈴木邦子(桜プロジェクト キャスター)
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 私は、テーマの拡大により、議論が発散してしまうのではないか、という危惧の念を持ちました。
 また、熱心な読者の一人にこの確定パネリスト全員のお名前を伝えたところ、ざっと各パネリストの移民問題等への見解をネットで調べてくれました。
 その読者によれば、どうも、浅川氏を除き、移民受入反対派ばかりらしいというのです。
 こりゃ、またもや針のむしろにすわらされるな、と私は慮らざるを得ませんでした。

2 実際にはどうだったか

 (1)始まる前

 少し早めに「桜」に着いたためか、初めて控え室に通されました。
 既に3名のパネリストとおぼしき方々が、熱心に議論をされていました。
 それから収録室に移動し、パネリストの皆さん(前回ご一緒した西尾幹二氏を除く)と名刺交換をしました。
 うれしい驚きであったのは、村田氏が、私のコラムが実に面白いので愛読しているとおっしゃったことです。しかも、拙著『防衛庁再生宣言』も読んでおられる。何と古本屋で7,700円で購入された由。9月に1冊ないし2冊出る私の新著、新新著は、将来高騰するであろうから、出たらただちに購入する、とおっしゃるのです。
 村田氏は、拙著を読んで目から鱗が落ちた思いがしたのは、米国独立は英本国が英軍の北米駐留経費(の一部)を植民地側に負担させようとしたからだ、というくだりだったと付け加えておられました。
 
 (2)始まってから

 収録の際には、前夜急遽追加された在日外国人問題は余り話題にならず、もっぱら移民受入問題について議論が展開しました。
 私は、移民受入問題は安全保障問題の一環である、というところから話を始めました。
 ところが意外や意外、私の心配は杞憂に終わりました。
 というのは、桜井誠氏を除くパネリストの皆さんの中には、司会の水島氏を含めて、移民受入(正確には移民大幅増加)絶対反対論者はおられず、むしろ、現在の日本政府・・私に言わせれば、属国政府・・に、移民受入問題に関するものを含め、広義の安全保障政策について、政策立案能力ないし意欲が欠如している点を憂慮される方ばかりだったからです。
 このように、本日の議論の前提について、パネリストの間で一種のコンセンサスがおおむね成立していることを発見して、私は正直驚きました。

 ところで、今回、パネリストの中でフリップを使ったのは私だけであり、かなり効果的な使用ができたと自画自賛しています。
 パワーポイントのファイルをメール添付で「桜」に昨日送り、フリップにしてもらったのですが、このファイルは、読者SMさんに作成していただいたものです。
 フリップの一枚目(コラム#2665)の末尾に、SMさんは、『寛容性と包摂性は世界帝国に限らず、いかなる国であれ、その国が繁栄するための必要条件である(太田述正)。』 を付け加えたらどうかと提案され、一も二もなく賛成させていただいたという経緯があります。
 SMさん、そして「桜」のスタッフの方、まことにありがとうございました。

 ちなみに、収録中と休憩時間を通じ、西尾氏及び水島氏と私とが一番「対立」したのは、西尾氏が単純労働者の受け入れ絶対反対を唱えられたのに対し、私がいいとこ取りはできないと反論した点と、水島氏が支那人と韓国人の移民受入に強硬に反対され、私が、支那人については理解できる部分もあるけれど、韓国人については全く懸念に及ばないのではないかと反論した点です。
 水島氏は、自分は映画監督であると言われた上で、カンヌ国際映画祭で主演女優賞をとった韓国映画「シークレット・サンシャイン」(
http://www.cinemart.co.jp/sunshine/
)を鑑賞すれば、どうして韓国人の移民受入に自分が反対するか分かるはずだ、とおっしゃっていました。
 こうなれば、逃げ隠れできません。
 私は、機会をみつけて、必ず映画館におもむくつもりです。

 収録終了後、私から西尾氏と水島氏に、アングロサクソンのバスク起源論(コラム#2271)をご説明しておきました。お二人とも目を丸くして聞いておられました。
 今度は、私自身、少し「桜」の番組進行に慣れてきたこともあって、自説を落ち着いて説明できたように思いますが、番組そのものとしても、議論がかみ合っただけに、充実した内容になったのではないでしょうか。