太田述正コラム#2716(2008.8.8)
<皆さんとディスカッション(続x215)>

<ケンスケ2>

 コラム#2607「ネオ儒教論の展開(その2)」を読みました。
 経済官僚達が、いかにして人民解放軍を統制するのかということですね。
 いかなる理論武装によるのかと言うことですね。
 今は瞬間風速的経済成長の継続によって,かろうじてその支持を取り付け、毎年のような軍事予算の拡大で軍幹部をつなぎ止めているだけですから。
 金の切れ目が縁の切れ目になる可能性は大ですよね。
 安定的なシステムに移行しないと、資本がいつ逃げ出すかも知れませんから。

<太田>

 ちょっと違うんだなあ。
 中国共産党=人民解放軍であり、シビリアンによる軍の統制という観念は中共にはないのではないでしょうか。
 中共の最高権力者は党中央軍事委主席(コラム#1003)であり、この人物が国家中央軍事委主席を兼ね、更に同じ人物が共産党総書記(昔は主席)を兼ね、更に更に国家主席を兼ねる場合がある、と考えるべきなのです。
 トウ小平も江沢民も、ほぼこの逆順にポストを手放して行き、最後まで手放さなかったのは党中央軍事委主席のポストであったことがその裏付けです。

<ケンスケ2>

 コラム#2714を読みました。
 社会の共通語としての基礎学力というものについて,国民の合意が失われています。
 この国がこれからどちらに向かうのかという国家の基本戦略抜きでは、教育の基本方針も定まりません。
 その無重力状態の中に,ここ20年近くも,子供達を放置してきたのです。
 彼らがオタクとして、特定分野に深い知識を持つ一方、共通語が通じなくなっていると言うことです。
 いまやこんな事は知っているだろうという前提で、話しかけることは出来ません。
 テレビに出ているお馬鹿タレント達は、そのことを象徴しているのです。
 彼らは決して基礎的能力に於いてバカではありません。
 しかし小学生程度の共通語も通じないのです。
 良いことなのかも知れませんが、コミュニケーションはいよいよ困難になり、気持ちが通じずに切れてしまうと言う事故(事件??)も更に多発するでしょうね。

<太田>

 議論を混乱させるのかとお叱りを受けるかもしれませんが、米国の教育省OBが次のようなことを言っています。
 計算方法や比較方法に疑問符がつきますが、ご一読下さい。

 「・・・1964年に学齢児童を対象に初めて世界で一斉に学力テストが行われた。米国の生徒の成績はビリから二番目だった。もし学力テストの成績が低いと国の経済に悪い影響を与えるという理論が正しいとすれば、今日の米国経済は、成績の良かった国々に比べて遅れをとっていたはずだ。
 ところが1964年にテストを受けた世代が過去何十年か世界を切り盛りしてきた結果は、米国のパーフォーマンスが飛び抜けている。私の調査によれば、米国の経済は4人家族ごとに、成績の良かった国と比較して毎年44,000米ドル多い富を生み出している。これらの諸国の1992年から2002年にかけての経済成長率は2.6%だが、米国の3.3%には全く及ばない。成績の悪かった米国の生徒達は世界の最もよく引用される科学論文の63%、OECDの新技術特許の38%を生み出している。米国の特許の数は毎年6.6%増えているが、EUは5.1%増、日本は4.1%増にとどまっている。
 これはできそこないの学校制度の産物であるとは言えない。1960年代の米公立学校という、世界で空前かつ最高の学校制度の産物なのであり、これらの学校(及び当時の父兄)はわれわれの範例であるべきなのだ。・・・」(
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oew-baker25-2008jun25,0,6506686,print.story  。6月26日アクセス)

 基礎学力も重要だが、これからの時代、もっと重要なのは創造力だ、ということなのかもしれません。
 少なくともこの両者は二律背反関係にある、とは言えないように思います。

 さて、以下、ご報告です。
 共著のゲラに引き続き、昨日、単独著のゲラに手を入れたものを出版社サイドに返送しました。
 後は、それぞれが出版されるのを待つばかりです。
 なお、共著のタイトルは、既にお伝えしたように『属国の防衛革命』ですが、単独著の方のタイトルは、お盆明けに確定する見込みです。
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太田述正コラム#2717(2008.8.8)
<ヒットラーの二つの謎(その2)>

→非公開