太田述正コラム#2241(2007.12.17)
<私の手がけた2度目の白書(詳述篇)(その3)>(2008.7.7公開)

 (2)章・節・項等の構成・配列

 今回の白書の本文が、いかに論理的に、かつ分かり易く構成・配列されているか、実際に読んでもらうのが一番なのだが、ここではごく簡単に、章と節の構成・配列に着目して説明を行ってみよう。(再度、「10年版白書及び11年版白書の構成」参照。)
 章の数は、出入りはあるが、前年と同様6章だ。今回の白書の冊子をよりコンパクトなものにすることには失敗したが、章の数のインフレ傾向にはかろうじて歯止めをかけられたということだ。
 第1章は「国際情勢」であり、節は第1節「全般情勢」、及び第2節「国連・主要国の対応」、を踏まえて第3節「周辺情勢」となっている。
 第2章は「防衛政策総論」であり、第1節で「憲法等」、そして第2節で「安保条約等」が説明された上で第3節で「防衛大綱」が説明される。
 第3章は「防衛政策各論1」であり、防衛大綱各論にあたる章だ。第1節は、大綱を現実化するために策定されている「中期防・年度計画」について記述し、続いて大綱に言うところの三つの防衛力の役割に即し、三つの節、「防衛力の役割1」、「防衛力の役割2」、及び「防衛力の役割3」が続いている。
 第4章は「防衛政策各論2」であり、第1節で「日米防衛協力総論」が展開された後、第2節で「有事日米協力」、第3節では「平時日米協力」、そして第4節では平時日米協力のうち、「コストシェアリング」に焦点をあてて説明している。
 第5章は「自衛隊と在日米軍」を扱っているが、この章の構成だけは前年の白書の第6章を踏襲している。まず第1節で「自衛隊」を紹介した上で、第2節で「自衛隊から国民へ」というベクトル、第3節では逆の「国民から自衛隊へ」というベクトルで自衛隊と国民一般との様々な関わりを説明し、それに引き続いて今度は自衛隊と在日米軍の「基地問題総論」たる第4節が置かれ、最後の第5節ではそのうちの「沖縄の基地問題」に焦点をあてて説明している。
 第6章は防衛庁に対する「内外からの挑戦」を取り扱っており、「防衛庁問題」、「テポドン」、「不審船」と三つの節が並べられている。
 このような構成・配列は、自然でごく当たり前に思われたかもしれないが、それでこそ我々の苦心が報われたというものだ。
 
 (3)その他

 今回の白書本冊については、その他細かい点にも数多くの配慮が払われている。
 例えば、息抜きのため、章と章の間に続き読み物を入れたが、これは初めての試みだ。
 今回は自衛官の服制をテーマにした。

 要改善点は、閣議報告・了承日と発行日のずれをできるだけ短縮すること、和文白書と英文白書の発行日のずれをできるだけ短縮すること等だ。

4 CD-ROMについて

 あれこれ話してきたが、実際のところ、担当審議官としての私の努力の8割方はCD-ROMの添付そのものに費やされた。私は、白書関係の既存の経費、人員の枠内で防衛白書にCD-ROMを添付することとするという方針を立てたのだが、実現までには様々な困難があった。その間の事情について語るのは未だ時期尚早であり、他日を期したい。
 こうして添付されることになったCD-ROMの内容こそ、実際にパソコンで見てもらうべきものだが、あえて、若干の説明を行っておこう。
 構成は、喫神11年白書本文 曲神11年白書資料編 景神10年白書本文(和文)己神10年白書本文(英文) 校駑曾検A4版で550枚分。1 英語略語集(本冊の巻頭にあるものより詳しい)、2 政府見解等、3 関係法令等(関係条約を含む)、4 参考資料(不祥事関係の報告書類等)、5 その他(日米共同宣言等)、6 防衛年表(本冊の巻末にあるものより詳しい)) 再芦(12篇。20分強。不審船、尖閣沖を航行中の中国海軍艦艇等) 纂命拭柄備品30葉。射撃している場面や動きのある場面)となっている。
 セールスポイントは、一、白書本文の特定個所から防衛庁関係ホームページ上の特定個所へのリンク、二、前年の白書の和英両文の対比機能、及び1冦語解説のポップアップ機能であり、いずれも官庁白書では初めての試みだ。
 要改善点としては、一、表形式の資料の収録、二、リンク先の防衛庁関係ホームページの充実・白書本文中のリンク個所数の増大、三、CD-ROM製作スタッフの充実と関係予算の増、四、中身の増量・媒体の容量の増加(DVD-ROM化)、といったところか。
     
5 終わりに

 白書の編纂は一人でできるものではない。昭和57年白書の時は担当審議官と自衛官等のスタッフにめぐまれたのだが、今回の白書でも、白書室長を始めとする素晴らしいスタッフと一緒に仕事ができたことは幸せだった。
 この私の話を聞いて、防衛白書を読んでみよう、使ってみようと思う人が一人でも増えることを期待している。読み、使ってみた上で、ぜひ防衛庁に感想をお寄せいただきたい。

(完)
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            --終わりに--

1999年7月23日の論説委員等懇談での私による白書ブリーフィング終了後のNHKの長谷川氏によるお褒めの言葉は既に(コラム#2206で)ご披露しましたが、この懇談の出席者で、白書に目を通してからお褒めいただいた論説委員が一人おられます。
 産経新聞の岡芳輝論説委員(当時)です。
 岡さんから26日に電話で、「すばらしい白書ですね。あなたが、今までの白書担当者は何をしていたのかとおっしゃった意味が良く分かりました。」と言われたのですよ。
 また、同じ年の12月17日に、三沢市長の鈴木重令氏(本年5月現職のまま逝去)が仙台防衛施設局の私の所にやってこられた折、私の白書を絶賛されました。
 改めて鈴木さんのご冥福を祈らせていただきます。
 この白書一つ出すだけでも大変だったわけですが、私の1998年から1999年にかけての一年一ヶ月の審議官時代の成果と言えば、これ以外には、私が主宰する(庶務担当課長会議(各局各幕庶務担当課長からなるオール防衛庁の連絡調整会議)の開催頻度を多くし、議論も充実させたことくらいであり、後は上司、同僚、部下等抵抗勢力による執拗な妨害のため、そして私の任期が限られていたため、一切成果を挙げることができませんでした。