太田述正コラム#2602(2008.6.11)
<皆さんとディスカッション(続x161)>

<ueyama>

>日本の自殺率、特に青少年の高い自殺率

 この言及ですが、青少年の自殺率が何に比べて高いとおっしゃっているのでしょうか?(もちろん、前掲のガーディアンに書いてあった、ということだと思いますが)国内の年齢別で見てでしょうか、それとも昔と比べてでしょうか(文脈上、国際的に(他国と比較して)、ということはないと思いますが)

 現代の日本の青少年の自殺率は、日本全体で見ても1955年のように青少年の自殺が他の世代に比べ多いわけでもなく、自殺率でも激減といってもいいくらいで、1990年以降徐々に微増を続けていますが、(特に1998年の)中年層(40〜60代。太田さんや小宮氏の世代)の延びに比べれば微々たるものです。
 確かに1990年以降増えてきてはいるわけですが、19年版自殺対策白書にも「近年の我が国の青少年の自殺率はおおむね横ばいである」との言及があるように、たいした水準ではないといえるのではないかと思います。そのすぐ後に「国際的には青少年の自殺は増加傾向にあ<る>」との記述がありますから、日本以上に伸びている国が多く見られるのでしょう。

 ガーディアンでの小宮信夫氏の見解である「現在の日本の格差化社会と情報化社会(バーチャル化)<や、その>格差化社会で落ちこぼれた青年達へのケアが乏しいこと」が「日本の自殺率、特に青少年の高い自殺率<や>日本でたまに起きる青少年による大量殺害事件」(コラム#2598)の原因(少なくとも一因)だ、というものですが、このような話は日本では(特に1955年頃に自殺しまくった青少年たちによって)繰り返しいわれ続けていることで、聞き飽きたというのが正直なところです。(小宮氏の青年時代である1975年頃(オイルショック?)も今と比べればずっと青少年自殺率は高いわけですが)何をもって「現代の青少年の自殺率が高く(=大勢が自らを殺し)そいつらは場合によっては自分ではなく他人を無差別に殺す」と<小宮氏が?(太田)>おっしゃっているのか私にはちょっと理解できません(青少年による殺人も、ここ30年ほど横ばいです)。
 最後にご提示いただいた台北タイムズの指摘については、ほとんど当たり前のことをいっているだけで、(いじめはなくならない、というのが真理だとするなら)解決方法はないといっているのと変わらないのではないかと思いますが、どちらかといえば私はこの意見に賛成します。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2760.html
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2774.html
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Rape.htm
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2007/html/part3/b3_10_04.html

<太田>

 日本における自殺問題については、コラム#782、783、2293、2383、2387等で取り上げてきたところです。
 日本人の自殺率が、戦争直後極めて高かったけれど、それが(欧米諸国と足並みを揃えて)低減傾向にあったところ、(欧米諸国とは違って)このところ再び顕著に高まってきており、世界的に見て極めて高い水準にある、ということが引用された典拠(
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2760.html
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2774.html
)から分かりますね。。
 また、日本の青少年の自殺率もこのところ、「近年の我が国の青少年の自殺率はおおむね横ばい・・・である」との、引用された19年版自殺対策白書
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2007/html/part3/b3_10_04.html
の記述はアバウト論であり、実際には、青少年の自殺率もまた、高まってきていることが、引用された他の典拠である
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm
から分かります。

 残念なことは、青少年の自殺率の国際比較の典拠が見あたらないことです。
 わずかに上出の
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2760.html
に、年齢階層別の日米の自殺率を比較したグラフが載っていますが、青少年(30歳未満)の両者の自殺率はほぼ拮抗しており、若年になればなるほど米国の自殺率が日本の自殺率と比べて相対的に回っていることが分かります。
 しかし、「米国では・・・若者の自殺の半数以上が銃器を使用している」こと
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html
(やはり引用された典拠)に照らせば、日本が米国並みの銃社会であれば、日本の青少年の自殺率が米国をはるかに上回る可能性が大きいと思います。
 そこで、米国以外の国で米国のような銃社会はごくわずかであることからして、私は日本の青少年の自殺率もまた、世界的に見て高い水準にあると推測しているのです。
 これは、日本の縄文モード化に伴う日本人の中性化(コラム#276)により、青少年の殺人率や強姦率が戦後低減を続けていて、世界的に見て極めて低い水準にある
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Rape.htm
(どちらもやはり引用された典拠)ことに照らすと奇異な感じを受けます。
 自殺だって青少年の性的・暴力的エネルギーが低減すれば低減するはずであると思われるからです。

 以上から、とりあえずの私による再検証結果は、「「現在の日本の格差化社会と情報化社会(バーチャル化)<や、その>格差化社会で落ちこぼれた青年達へのケアが乏しいこと」が「日本の自殺率、特に青少年の高い自殺率<や>日本でたまに起きる青少年による大量殺害事件」・・・の原因(少なくとも一因)・・・<であるとの>ガーディアンでの小宮信夫氏の見解」は、やはり傾聴させるものがある、というものですが、いかがでしょうか。
 それにしても、ueyamaさんのように、典拠付きで議論をしていただけると本当に助かります。

 ところで、この事件に関し、「・・・刑罰が軽すぎるのである。刑法第39条の「心神喪失又は耗弱は、免刑又は減軽」という、加害者の人権を擁護するあまり被害者のそれを軽視する、誤れる「教育刑主義」に通り魔の再発を促す要因がある。今回も、恐らく数日を出ずして人権派・死刑廃止派の弁護士たちが、この容疑者は刑法39条該当者だとして無罪 を申し立てることだろう。この際「人を殺せば死刑」という人類古来の自然法に則る「応報主義」でこの殺人に臨み、早く裁判にかけ、「模倣犯」の悪い連鎖を今度こそ断ち切らなくてはいけない。・・・」(
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080611/crm0806110256003-n1.htm
。6月11日アクセス)とおっしゃる佐々淳行さんはどうしちゃったんでしょうね。
 これじゃ刑法第39条の適用を慎重にというより同条の廃止を叫んでおられるように読めるのだけれど、(私の元将棋相手の)佐々さんご自身が心神耗弱状態なのではないかと心配しちゃいます。
 それに、この事件の犯人が心神耗弱状態でなかったとした場合、本人は、大量殺害事件を起こせば死刑になるということを知った上で、自分の(来るべき刑)死を歴史に残すためにこの事件を引き起こしたに決まってるじゃありませんか。
 ガーディアン的分析に乗っかるまでもなく、死刑にはこの犯人を抑止する力は全くなかった、むしろ死刑が必至で自殺をする手間がはぶけていることが、犯人を犯行に駆り立て易くしたと見るべきでしょう。

<yoshida>

 公開されたばかりのコラム#2219を読みました。
 太田さん。あなたが守屋さんに感じておられるシンパシーは何か「文学的」に感動できます。
 今回のエントリーは不覚にも、目頭を熱くさせました。
 風貌にはふさわしからぬ侠気の持ち主だと。

<太田>

 私の風貌、そんなにノーテンキですか?

<ケンスケ2>

 韓国が本当の大国になり始めているのかも知れませんね。
 敵を知り己を知ってこそ,有効な戦略も成り立ちうる訳ですから。
 とくに日本について客観的な事実認識が出来るようになったことこそ,自立した大国になり始めている証拠といえるでしょうね。
 これまでは反日によってしか維持出来ない国民国家,としか思えませんでしたから。

<コバ>

 --李大統領政権、ピンチ?--

米国産牛肉輸入問題をめぐる国民の抗議活動を受け、韓国の全閣僚が李大統領に辞意を表明したようです(携帯サイトですが、
http://keitai.cnn.co.jp/i/jp/news/world/K0200806100006.php?uid=NULLGWDOCOMO
)。
 李大統領は多くの支持を得て当選したはずだと思いますが(投票率は低かったでしたっけ?)、なぜこんなにも米国産牛肉輸入問題によってこんな苦境に陥ってしまったのでしょうか? しかし、日本人も腐敗した自民党公明党政権を瓦解させるくらいの抗議活動を行えるように、韓国人を見習うべきでないかと思います。

<太田>

 韓国の米国産牛肉輸入問題は、内外のほとんどのメディアが大きく取り上げていますが、この中で、最も正鵠を射ているのは、めずらしく国内メディアの讀賣新聞です。
 ただし、記事の内容というより、見だしがそうなのです。
 「李政権が反米世論読み違え」(
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080611-OYT1T00126.htm
。6月11日アクセス)
 つまり、この問題が大事(おおごと)になったのは、米国産牛肉輸入そのものの問題というよりは、些細なことをきっかけにいつでも燃え上がる危険性がある、韓国の強い反米世論のせいなのです。
 私は韓国の李明博政権派親日反米であるとコラム#2490で記したところですが、「反米」については、今にして思えば、いささか先読みに過ぎた記述でした。
 しかし今後は、反米世論に乗っかる形で、同政権はその反米ぶりを鮮明にして行くことでしょう。
 
<FUCO>

 ホンダの話が出ていますが、ホンダと言えばF1、F1を取り巻く環境を見ているとヨーロッパに人種差別意識が残っている事を実感します。
 ところでF1を運営しているFIAという組織のリーダーはマックス・モズレー氏です。
 そのモズレー氏が、ナチス政権下のドイツの強制収容所の拷問室を模した設定で、売春婦と「楽しんだ」ことがスキャンダルとなり非難されています。(発覚したのは2ヶ月ほど前のことです)
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/formula_1/article3649197.ece
 未だにこのような考えであるというのは、父親がオズワルド・モズレー(
http://www.easyurl.jp/bnj
)であるモズレー氏特有のものだと思いますが、FIA臨時総会はモズレー氏を信任しました。
 ユダヤ人差別などの人種差別に対して、ヨーロッパが厳しくないということでしょうか。
 オズワルド・モズレー(コラム#1428「英国の悪人達(その2)」)の息子がヘマやっちゃった、というレベルのものとは思えませんが…。
 ついでに、ヨーロッパでは大人気のF1が世界有数の自動車大国であるアメリカと日本で受け入れられていないという面白い状況を、太田氏の観点から解説して頂けると嬉しいです。
 僕は、F1がもともと貴族の道楽だったことが原因なのだろうか、と漠然と思っています。
 F1という太田氏にとってなじみのない(かどうかは存じませんが)テーマで恐縮です。

<太田>

 モズレー氏についてのご指摘は、私も同感です。
 なお、私のハンパな知識では、米国にはスピードレースのインディ500あり、耐久レースのデイトナあり、ということで、カーレースは完全に米国に定着していると思うのですが・・。(コラム#740)

<大阪の川にゃ>

1、朝生出演ご苦労様です。僕は見てませんが。
 平均視聴率が3%程度です(典拠:コラム#2600)。全国放送の1%が100万人に相当するそうですので、300万人が視聴したことになります。

2、この程度の視聴率でもTV局はペイするのですから、電波利権恐るべしです。
 もっとも、この手の討論番組は制作費が安価ですから、商売が十分に成り立つのでしょう。
 まず、出演者のギャラ総額が他の番組に比べて相対的に見て安いです。田原氏は別格として約500万円位でしょうか(典拠:池田信夫氏のブログでの堺○章氏のギャラ500万円以上説を参考。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/a2dec2f4b1db81a2ed3cd6704b02901a)、フリーキャスターの長野○子氏が200万円?、12人の文化人が各30万円として計360万円。テレ朝のスタッフが30人として、一人10万円として300万円。諸経費を40万円として合計1,400万円也。
 そしてスポンサーから番組1本当たり1億円が支払われ、大手広告代理店が15%1,500万円を引き、地方TV局に分配金を4,800万円(電波利権)ばら撒いた残りが3,700万円です(典拠:上記池田氏のブログ)。
 3,700万円あれば上記人件費1,400万円は十分にまかなえます。視聴率が3%という点から、話を3,700万円の約半分としても1,800万円ですから、まかなえます。
 ところが、有名タレントが10人出演すれば、一人300万円としてもギャラ合計が3,000万円を軽く突破します。

3、まあ、しかし、そんなTV界でも、太田さんや橋下弁護士・西村眞悟衆院議員・櫻井よし子氏・潮匡人氏のような、積極的あるいは消極的核武装論者を出演させるのですから、少しは進歩していると信じたいです。
 太田さん、大阪朝日放送「ムーブ」のコメンテーターに週1で出演して下さい。政治・外交・防衛・社会・司法など、まさに太田さんの専門性が生かせます。しかも朝生なんかと違って、時間をじっくりかけてコメントできます。さらに、失礼ながら経済的にも安定するのでは。
 ムーブの関係者の方も、よろしくお願いします。

<太田>

 え! 30万円ももらえる???
 テレ朝からは、出演前も後も一切出演料の話は出てませんねえ。
 こんなTV局は初めてですが。

<メルマガ会員Z>

 官僚のタクシー接待について、民主党がマスコミを利用して騒いでいるようですが、そもそも、官僚がタクシーで帰らざるを得ない状況(→終電以降も残業させられている)を作った原因のひとつが、非常識な国会議員なんですね。
 張本人の民主党・長妻議員は、役人の間では悪い意味で“有名人”のようですな。

「テレビではわからない実際の話」
http://www.ops.dti.ne.jp/~makinoh2/trueth/menu.html
上記URLより、
「6(3)天下り問題とキャリア制度」の『9)人材確保のために・・
』をクリック。

<太田>

 中央官庁の午前様までの残業の最大の原因は国会向けの実問実答や関連想定問答の作成と予算編成です。
 前者は、官庁が議員から求められた資料を前広にきちんと提出した上で、大臣等にも当該資料をめぐる想定問答を事前にあてがっておけば、答弁前日にバタ狂う必要はなくなるはずです。
 資料を出し惜しみするからいけないのです。
 悪いのは、長妻議員を始めとする民主党等の議員では決してありません。
 また、後者については、財務省の予算編成の仕事の仕方がおかしいのであって、日テレじゃないけど、12時になったら、主計局等の電気が自然に切れるようにしておけばよいのです。これで、他省庁のおつきあいでの午前様残業もほとんどなくなるはずです。
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太田述正コラム#2603(2008.6.11)
<アルカーイダは弱体化したのか(その2)>

→非公開