太田述正コラム#2517(2008.4.29)
<オバマ大頭領誕生へ?(続x7)(その1)>(2008.6.2公開)

1 始めに

 オバマ米大統領候補が私淑するライト師がこ26日から28日の間に3回もTVに露出し、余りにも率直にその考えを述べたため、オバマ候補への悪影響が報じられています。

 (以下、特に断っていない限り
http://www.guardian.co.uk/world/2008/apr/29/barackobama.uselections2008
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/28/AR2008042800446_pf.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/28/AR2008042802269_pf.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/28/AR2008042802339_pf.html
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2008/04/28/preaching-on-a-monday/index.html?ref=opinion
http://www.nytimes.com/2008/04/29/opinion/29herbert.html?ref=opinion&pagewanted=print
http://www.nytimes.com/2008/04/29/opinion/29herbert.html?ref=opinion&pagewanted=print
http://www.latimes.com/news/politics/la-na-wright29apr29,0,4956931,print.story
(いずれも4月29日アクセス)による。)

2 ライトは何をTVを通じて訴えたのか

 ライトが言ったのは次のようなことです。
 
 ライトが、原爆投下を行った米国が9.11同時多発テロを受けたのは当然の報いだと述べたことがあることについて問われ、「聖書には、「だまされてはならない。神は全てお見通しだ。何事であれ自分が播いた種は自分で刈り取らなければならない」とあるし、イエスは「他人が自分にして欲しくないことを他人に行うな」と述べられたではないか。」

 米海兵隊員達をイエスを殺したローマ軍兵士達にたとえたことについて聞かれ、「<両者は、>帝国主義的発想(notion of imperialism)」において同じだということだいう趣旨のことを答えた。

 かつて、米国政府が黒人に害を与えるためにエイズを創り出したと示唆したことについて聞かれ、「タスキジー実験(Tuskegee experiment)(注)やこの国において黒人に対してなされてきたことに照らせば、米国政府が何をやらかしても不思議ではない。」

 (注)何10年にもわたって米国政府が行った実験。梅毒に罹った黒人に治療を施さず梅毒がいかに進行するかについて研究を行ったもの。

 2007年11月にも「悪魔のようなユダヤ人ども(satanic Jews)」が黒人向けの娯楽TVネットワークを買収したと主張するなど反ユダヤ的言動で知られる、黒人にしてイスラムの国(Nation of Islam)のリーダーであるファラカン(Louis Farrakhan)との関係について問われ、「ルイ・ファラカンは私の敵ではない。彼は、私を鎖につないだり奴隷にしたりしなかったし、私を黒人にしたわけでもない。<彼は、>20世紀と21世紀における最も重要な人物(voice)の一つだ。」と敬意を込めて答えた。

 あなたは愛国心があるのかと問われ、「私は軍隊(海兵隊)に6年間勤務した。それでも私は非愛国的であったことになるのかね。ところで何年チェイニーは軍隊勤務したんだったっけ。・・・私が名付け親になった女の子の部隊が今週イラクに派遣された。私を非愛国的であると呼ぶ連中は軍隊勤務を回避する特権的立場を享受しつつ4,000人を超える米国人たる男の子や女の子をウソのために死に追いやったのだ。」

 オバマが、自分は、批判的に報道されているようなライトの発言を直接説教等で聞いたことがないとしつつ、かかるライトの発言を批判するとともに、ライトの考え方が時代の変化に取り残されていることを示唆したことについて聞かれ、「彼は私を非難したわけじゃないし、私から遠ざかったわけでもない。単に私から遠ざかった風をよそ装わねばならなかっただけのことだ。彼は政治家だからね。・・・そうしなきゃ絶対当選できないんだから。」

 ライトとオバマは、ライトがオバマの結婚式を主宰し、オバマの二人の女の子達に洗礼を施し、またオバマの著書のタイトル「希望の大胆不敵さ(The Audacity of Hope)」はライトの説教からとられた、という親密な間柄だというのに、オバマが2007年2月の大統領選出馬表明にあたってライトが祈祷を行う予定であったところ、オバマが政治的配慮からこの依頼を取り消したとされていることについて問われ、「<違う。オバマが出馬>表明をう直前、階下で彼と奥さんと子供達と一緒に私は祈りを捧げたのだよ。」

 「<これまでの私に対する攻撃は、>私ジェレミー・ライトに対する攻撃ではない。また、オバマ上院議員とは何の関係もないことだ。それは黒人の宗教的伝統について何も知らない人々からの黒人教会に対する攻撃だ。」

 「今こそ、黒人の宗教的伝統を、見えない存在(invisible)から不可欠な存在(invaluable)へ、この国の黒人の幾ばくのための存在からこの国の全ての人々のための存在へと変化させる第一歩を踏み出すことが可能かもしれない。」

 「バラク・オバマ上院議員が大統領に選ばれたら、お前ちゃんとやってるだろうなと見守るつもりだ(I'm coming after you)。」

(続く)