太田述正コラム#2495(2008.4.19)
<皆さんとディスカッション(続x116)>

<クコ>

≫「宗教に」の部分がそれじゃ説明できないでしょう。≪(コラム#2493)

 でも極右はキリスト教勢力と相性がいいですよね。フランスではカトリック教徒は極右の重要な票田になっています。

<太田>

 シチュエーションが異なると申し上げたのは、「ヨーロッパの極右は、失業など経済的苦境を、「大衆のカトリック等への傾倒ぶり」に結び付けて、<その>大衆の支持を得ています。」という文章は成り立たないでしょう、という趣旨です。

<クコ>

≫それに「銃に」というのも、狩猟で憂さ晴らしをするという意味ですよ。≪(同上)

 そうなのですか?
 アメリカで「銃」といえば、「自衛する権利」のことだとばかり思っていました。狩猟のことなど考えてもみませんでした。
 そういうことは、太田さんのいつもおっしゃる「土地勘」がないとわからないことなのでしょうか。

<太田>
 
 私がオバマの「失言」を論じたコラム#2488で引用した典拠5つのうち以下の3つが「銃」について、それが銃を用いた狩猟(hunting)のことであると説明してくれています。
http://www.slate.com/id/2188487/
http://www.slate.com/id/2189011/
http://www.latimes.com/news/politics/la-na-campaign15apr15,1,3397907,print.story 
 これらを読んでいなければ、私だってあなたのような読み違いをしたことでしょう。
 狩猟は、日本じゃどちらかと言えば金持ちの道楽といった趣があるけれど、銃がありふれている米国じゃ、貧しい大衆のささやかな楽しみなのですね。

<KAZU>

 コラム#2102「歴史の教訓の陥穽」を読み、本サイトの新たな利用法について発見?しました。
 それは、太田さんは英語のバリアがないので、海外のサイトを読まれて、その抄訳をされています。これは、英語を勉強しているものにとっては、大変有難いことです。抄訳を読んだ後に、英文に接すると理解しやすくなります。英文を先に読んで抄訳で確認というのもできます。
 興味ある内容であるので、読むインセンティブもあります。
 英語勉強のサイトとしても宣伝なさってはいかがでしょうか。

<太田>

 頂戴します、と言いたいところですが、ちょっと恥ずかしいですね。

<読者NT>

 コラム#2426「健在なり朝鮮日報」を読みました。
 文章をもう少し整理して、短くして欲しいのですが。
 また、情報と意見を分かりやすいように分離してください。
 長すぎるため読みずらいです。結論を先にお願いします。

<太田>

 同コラムの冒頭で、「朝鮮日報が親日的であることについては、・・<これまで>強調してきたところですが、今回のコラムも趣旨は同じです。」と「結論」を述べていますが目に入りませんでしたか?
 また、このコラムの場合、「情報」は朝鮮日報の記事の引用であり、それ以外が私の「意見」であって両者は明確に「分離」させてありますよ。
 朝鮮日報の記事の引用が長すぎるということかもしれませんが、読者を元記事にあたらせる手間を省いたということです。いけませんか?

<雅>

 --ある意味すごい--  

この人(自民党 二階俊博 総務会長)は資本主義とは程遠い考え方の人ですね、と思った一文を(出典がことごとく消されているのでキャッシュから引っ張り出しました。) こんな神経の人が政権の中枢にいるなんて、すごい日本ですね。

一般財源化、09年度からで正式合意
配信:08/04/12 00:45
 政府と与党は、2009年度から道路特定財源を一般財源化することで正式に合意しました。しかし、合意文書には「必要な道路は整備する」という一文が盛り込まれたほか、党内からは、その実効性に疑問の声があがっています。 11日、政府と与党の間で正式に合意された文書は、道路予算の無駄を排除し、2009年度から道路特定財源を一般財源化すると明記するなど、福田首相の提案に沿った内容となりました。

 文書にはこんな一文が盛り込まれています。
「必要と判断される道路は着実に整備する」
 自民党内の道路族に配慮したものです。

 「もう道路はいらないんじゃないかと、おっしゃる人もたまにはいるが、それは明らかに間違っているのであって、国土の均衡ある発展、人間はどこに住んでも同じような生活を営む権利がある」(自民党 二階俊博 総務会長)

 このため、道路特定財源を一般財源化しても結局、「これまで通り道路にお金がつぎ込まれるのではないかという声もあがっています。
 正式決定の2時間前。自民党本部では、若手議員達が緊急記者会見を開いていました。

 「あの時、正当なプロセスを経ていなかったから、やっぱり総理の方針には反対だ。あるいは執行部が何らかの事情で交代した場合に、これを頓挫させる勢力が復活することを阻止する必要があるのではないか」(自民党 柴山昌彦 衆院議員)

 党の意志決定機関である総務会の了承や閣議決定を行わないと、道路族の巻き返しにあって一般財源化が骨抜きにされるのではないか、というのです。

<太田>

 あなたが推奨された中村正直の訳したスマイルズの『Self Help』(=他人に頼るな)をもう一度自民党や麻生福岡県知事(全国知事会会長)、東国原宮崎県知事等の皆さんに熟読して欲しいものですね。
 なお、この本が出版されたのは1859年ですが、当時、イギリスの社会主義者達から自助努力を強調するスマイルズの考え方は批判を受けています(
http://en.wikipedia.org/wiki/Samuel_Smiles
のWritingsのところ参照)。
 日本は、それから150年も経ってまだこの問題で本格的な議論が始まっていない感があります。情けない限りです。
 なお、これは半ば冗談ですが、日本が世界に冠たる土建国家になったのには、スマイルズの主張中、彼の土木工学偏重のものの見方(上掲のThe reliability of Smiles' workのところ参照)だけは日本人に完全に浸透したためかもね。

<アミダ>
 
 --個人主義的自由主義--

西部邁先生の本は二冊しか読んだことがなく、内容もあまり頭に残っていないのですが(もちろん私が馬鹿だから)、でもチャンネル桜で孤立しながら主張していらしたところによると、旧共産主義国を含めヨーロッパの政治潮流は言はば「社会主義的民主主義」と言えるのに対し、アメリカは「個人主義的民主主義」でありそのどちらもイデオロギーにより作られた人工国家にすぎない。一方我が国は、自然国家であるので、「社民」とも「個民」とも違う独自の歴史文化伝統に立脚した別の道があるのであり、それが随神の道を背景にした日本の国体および日本人がとるべき道なのだ、というようなことを言ってらっしゃいます。
 左翼リベラルとひと括りにして、伝統文化に抵抗反逆する革命思想運動であるというような感じに論じる保守派の見解、太田先生はどのように思われますか。自由主義にチャンネル桜はあまり重きを置かないようですが。

<太田>

 仮に西部氏がそんなことをおっしゃっていたとすれば、彼の視点から全くイギリスが抜け落ちていることは致命的です。
 イギリスもまた「自然国家」なのであり、そのイギリス(アングロサクソン)の文明と欧州の文明をそれぞれ個人主義文明と全体主義文明と規定した上で、米国をこの両文明のキメラととらえる、私の考え方の方が説得力があると思いませんか。
 ご承知のように、私はアングロサクソン文明と日本文明は、どちらも世界では希な自由主義的文明であるという点で親和性を有するとも考えています。(違いは、前者が個人主義、後者が人間(じんかん)主義であるところにあるわけです。)
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太田述正コラム#2496(2008.4.19)
<駄作歴史学史書の効用(その2)>

→非公開