太田述正コラム#2489(2008.4.16)
<皆さんとディスカッション(続x113)>

<ケンスケ2>

 コラム#2487を読みました。
 欧米諸国は、常に日本と中国の内より強力になりそうな方の国を、いろいろと問題を作り上げて攻撃してきました。
 今ようやくその対象が中国に移ったと思います。
 南京大虐殺や、慰安婦問題があげつらわれている状態が続くよりも、チベット問題が取り上げられ続ける方が、日本の国益であるといえるでしょう。
 勿論東アジア総体の力が欧米を、つまり大西洋圏のそれを上回るようになれば、事態は逆転するかも知れませんが。
 白豪主義のオーストラリアが、中国に対して態度を変えたように。
 最近の豪州の反日ナショナリズムが、あの国の最大輸出先が中国に移ったことの結果であることは明らかなのですから。

<太田>

 南京事件、慰安婦問題、チベット問題、そして捕鯨問題を追及している勢力はオーバーラップしています。
 連中に共通するのは、有色人種差別意識であり、黄色人種中最も小ずるい悪漢日本等によってかつて「迫害」され、あるいは現在引き続き「迫害」されているところの、それぞれ、戦前の「純朴なる」黄色人たる支那人、戦前の朝鮮半島や支那居住の「被差別」黄色人女性、「中世的宗政社会への回帰を夢見る純朴なる」黄色人たるチベット人、そして「絶滅に瀕している」「知能の高い」鯨を、日本等を懲らしめることによって保護してやろう、という傲慢な思い込みです。
 有色人種差別である証拠に、それぞれ、南京事件と白人国たるナチスドイツが犯したホロコーストを同視するわけですし、黄色人種であるところの慰安婦全員を性奴隷呼ばわりして侮辱して恥じないわけですし、白人国たるロシア、しかも黄色人国中共と自由民主主義化度において顕著な差があるとはいえないロシアによるところの、チェチェン人虐殺をほとんど問題視することはないわけですし、白人国たるノルウェーやアイスランドによる捕鯨に対し、黄色人国日本に対するような体を張った反対運動を展開することもまたありえないわけです。
 ただし、連中が次第に「進化」していることも忘れてはならないでしょう。
 米国の白人は、公民権運動等を通じて自国における有色人種差別の克服に取り組まざるを得なくなったわけですし、オーストラリアの白豪主義も放棄され、更にラッド新政権は、かつてのオーストラリア原住民への強制同化政策に対する謝罪を行いました(コラム#2481)。
 また、オーストラリアでは、自分達によるカンガルー虐殺にも反省の声があがっています(典拠省略)。
 タテマエ論がホンネとしての有色人種差別意識そのものを次第に突き崩しつつある、ということです。
 ラッド新政権が有色人種差別意識を克服しようがしまいが、いずれにせよ、オーストラリアにとって中共が最大の貿易国(最大の輸出国は日本)になったというのに、しかもラッド自身親支那オタクだというのに、チベット問題では中共当局と鋭く対立せざるをえない(コラム#2484。未公開)わけであり、ここは日本人としては、双方がへとへとになるのを高見の見物、と行きたいところですね。

<大>

 くだらない質問で申し訳ありませんが、コラム#2485で太田さんが紹介された「自民党の有村治子参議院議員と文部科学省の文化部長の参議院での議事録」を読みました。
 どうして日本芸術文化振興会は映画「靖国」についての助成を決定したのだと思われますか?
 本当に単なる杜撰な審査で禁止条項に反しないと判断したなのでしょうか。

<太田>

 (財)貿易研修センターは、1967年に成立した「貿易研修センター法」に基づき設立された経済産業省の外郭団体(
http://www.iist.or.jp/j/about/enkaku.html
)ですが、そのメルマガへの執筆を依頼され、コラム#721を送ったところ、(日本にとって経済的に関係が深い中共を刺激するから?)却下され、仕方なく全く異なったテーマのコラム#741を送ったところ、これすら(軍事の重要性を訴えているから?)難色を示されたものの、最終的に採用され掲載された、という経緯があります。
 ここから分かるのは、良かれ悪しかれ、経済産業省(旧通商産業省)は、吉田ドクトリン墨守勢力中のハト派の一環として(コラム#2366)、天下り先である外郭団体をきちんと管理しているということです。
 では、文部科学省も、その外郭団体かつ天下り先であるところの、独立行政法人日本芸術文化振興会(
http://www.ntj.jac.go.jp/
)、そしてその活動の一環である芸術文化振興基金(
http://www.ntj.jac.go.jp/kikin/gaiyou/index.html
)を、吉田ドクトリン墨守勢力の一環としてきちんと管理しているということなのでしょうか。
 いや、到底そうは思えません。
 旧文部省や旧郵政省のキャリアは、吉田ドクトリン墨守勢力ハト派の一環たる労組と対決せざるをえないという状況下で、吉田ドクトリン墨守勢力タカ派としてのスタンスをとってきたのであり、かかる立場で外郭団体をきちんと管理しているのであれば、あんな監督のあんな制作会社の映画を「日本」の「非政治的」な映画と認定して補助金を流すなんて事態が出来するはずがないからです。
 要するに文部科学省は、厚生労働省、国土交通省、農水省、防衛省、外務省等と同じく、退廃・腐敗しており、碌に仕事をしていない、ということなのでしょう。
 ただし、ひょっとすると比較的真面目に「仕事をしている」経済産業省の方がもっと問題なのかもね。

<ikeda>

有村治子さんについては、太田先生のコラムに興味を持ったので、参議院インターネット中継にて拝見しました。
 非常に聡明な方ですね。自民党にも有能な若手の政治家がいらっしゃるいますね。民主党も若手はいいと思っています。
 日本の未来は明るいと信じています。

<太田>

 かくも有能な元マクドナルド職員にして元専業主婦の有村治子や、農協職員から東大法学部政治学教授へというユニークな経歴を持つ樺島郁夫のような人々が、21世紀にもなって、2001年に自民党の国会議員になったり、2008年に自民党の推薦を受けて知事になったりする日本の未来は明るいと信じる日本人がいる日本の未来は暗い、と私には思えますが、ハテ?

<タテジマ>

≫彫刻家の作品に関して所有権を認めるのであれば、作曲家の作品についても著作権を認めるべきではありませんか?≪(太田。コラム#2479)

音楽や映像は、ちょっと違ってくるんですよね
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d6f2b616ee2a0bee1b2590537bafb058
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/215114029469143cc5201ed265c5ebef
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d74c36ced9a7ab194b3685a4627281db
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/25e91e010425b31d4ee610b0bdfe8b6b

>形あるものと形なきものとを差別しちゃいけません。

「近代経済学とは所有権は絶対だ」から始まってますが誰でも複製できる=全部ホンモノの「情報」に関しては、あまり通用しないようです。

それにしても日本の音楽と出版とテレビ業界の談合ひどい
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0606/12/news005.html

<太田>

 お示しの
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/25e91e010425b31d4ee610b0bdfe8b6b
で、池田氏は「情報を「知的財産権」と考えるのが間違いであることがわかる」と結論づけていますが、池田氏は、音楽や映像についてはいかなる「知的財産権」も主張できないと言っているわけではなく、オリジナルをコピーした「情報」については知的財産権は主張できないと言っているだけであって、オリジナルには知的財産権を認めています。
 私見では、現時点においては、オリジナルや合法コピーでできるだけ沢山稼ぐためには、違法コピーを取り締まった方が良い場合と悪い場合があるというだけのこと(
http://www.slate.com/id/2188528/  
。4月13日アクセス)である以上、池田氏の上記結論は、違法コピーの取り締まりが常に悪い戦略であると主張している点で誤っており、それまでのご自分の議論とも整合性がとれていません。
 (イタリアでは違法コピーに誰も目くじらをたてない、との池田氏の指摘も間違いです。少なくとも絵画に関しては、日本とは違って電子コピーをつくることが厳格に禁止されています(典拠省略)。)
 私は、オリジナルを必要に応じて三次元で、しかも完全にコピーできる時代が到来した時点で、オリジナルとコピーとの差は消滅し、オリジナルを特別視しても全く意味がなくなることから、沢山稼ぎたい場合は、違法コピーをすべて厳格な取り締まりの対象とする戦略をみんながとるようになるだろう、と予想しています。
 つまり私は、あらゆる知的創造物がソフトウェア・プログラムと同じ扱いになるだろうと予想しているわけです。
 そうなったとしても、ソフトウェア・プログラムをいくつも制作、販売している会社が、自分のところが制作したソフトウェア・プログラムのいくつかについて、残りのソフトウェア・プログラムの販売促進のため、知的財産権をあらかじめ放棄する戦略をとるケースと同様のケースは出てくるでしょうが・・。
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太田述正コラム#2490(2008.4.16)
<韓国の新政権は反米か?>

→非公開