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太田述正コラム#2485(2008.4.14)
<皆さんとディスカッション(続x112)>

<アミダ>

 いまチャンネル桜を少し見てみました。
 久しぶりに見たのですが、今回の映画「靖国」の問題について関係者からのインタビューをもとに、これが表現の自由を政治家の介入により侵害された、というものでは全くない事実を稲田議員を招いてやってました。
 シナおよびそれに連なる国内の左翼による情報戦の一つでもあるという趣旨の話をしていました。
 伝統と歴史の真実に立った同局の番組は、やはり事実認識だけを取っても欠かせないテレビだと思いますが、どうでしょうか。
 いずれの問題にしても他局は報道しない真実の報道がそこにはあると思うのですが。

<太田>

 少し調べてみました。
 ちなみに、この映画の監督の李纓(リー・イン)は、1963年広東生まれ。1984年に中央電視台のドキュメンタリー監督に。89年に日本に留学。93年に張怡氏(「靖国神社」プロデューサー)と映画テレビ番組製作プロダクション「龍影」を設立、現在に至る、という人物です(
http://www.pekinshuho.com/yzds/txt/2008-02/29/content_101402_4.htm
。4月14日アクセス(以下特に断っていない限り同じ))。
 彼は、次のような発言をしています。

(引用始め)≫・・・私は台湾と靖国神社にかかわる短編ドキュメンタリーを撮ったことがあって、日本のテレビ局で放送されました。非常に素敵な物語で、台湾の陳阿嬌というお年寄りの夫(台湾人)が「英霊」として靖国神社 に祭られている、というものです。陳さんは生涯にわたって一つの歌を覚えています。夫が日本軍として戦場に臨む前に歌った靖国神社の歌ですが、いまでも歌うことができます。靖国神社に対しては心動かされる思いにあふれ、靖国神社は夫の英霊のあるところ、自身が思いを託するところだと感じています。しかし、 彼らの祖先(台湾の先住民)は日本人に殺害されていて、一つの民族が日本の軍国主義によって徹底的に洗脳されたことを感じさせるものです。・・・
http://www.pekinshuho.com/yzds/txt/2008-02/29/content_101402_3.htm
・・・私が重点としたのは、靖国神社の象徴的な意義を表現することでした。どの国が発動した戦争であれ、いずれも自らは「聖戦」だと感じているとしても、靖国神社はこの世界で最大の「聖戦」の象徴なのです。現在に至るまでこれほどの歳月を経ていても、いまだに否定されていない、こんなことは世界のほかの場所にはないことです。・・・
http://www.pekinshuho.com/yzds/txt/2008-02/29/content_101402_2.htm
・・・右翼はこれを「反日」映画だとして、絶対に上映させないと脅しをかけてきました。でも、うれしくほっとしたのは、制作の全過程で多くの日本の友人のみなさんが支持してくれたことです。文部科学省の芸術文化基金も<750万円の助成金という形で>支持してくださいました。・・・
http://www.pekinshuho.com/yzds/txt/2008-02/29/content_101402_4.htm前掲
・・・『靖国』は「記憶」についての映画である一方、「忘却」についての映画でもあります。多くの戦争は自分が正しいという考えを持つ国々によって始められたもの。そして記憶というものは自分の都合の良いものだけを覚えています。これは人間の持つ根源的な問題です。靖国神社では、戦没者の全員を英雄だと思っています。しかしその「英雄」たちがアジア各国にもたらした苦痛を忘れているのです。・・キリスト教では告白と再生を信じますが、アジアは「面子」の方が優先されます。日本にとって天皇が「面子」そのもの。それが日本の問題でもあるのです。・・・
http://www.yasukuni-movie.com/contents/directors.html≪(引用終わり)

 要するに、リー監督は、19年間日本に住んでいるのに、中共で学校教育等を通じてたたき込まれた史観をそのまま忠実に抱き続けているという信じがたい人物なのであり、それだけでも中共のスパイであると疑われても仕方がないと言うべきでしょう。
 中共の諜報工作の息の長さは定評のあるところであり、米国で、今まさに、在米20年とか30年に及び、米国籍まで取得している元支那人スパイの摘発が続いているところです(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/02/AR2008040203952_pf.html
。4月2日アクセス)。
 もっとも、仮にリー監督が中共のスパイだとしたら、こんな中共公定史観を堂々と口にしたり、わざわざ文部科学省を褒め殺ししたりすることは控えるはずですが、現在の日本や日本人が、中共人士によってそこまで舐め切られているということかもしれませんね。
 嫌になるほど面白いので、自民党の有村治子参議院議員が本件で文部科学省の文化部長をとっちめた参議院での議事録を読んでみてください。
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/529429/
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/529555/

 本件は、日本がいかに安全保障を忘れた国に成り下がってしまっているか、そしてこのこととも関連して、いかに日本の官僚機構が脳死状態に陥っているか、を改めてわれわれにつきつけていると言えるでしょう。

<読者OT>

 私は学生で金銭的に余裕がないので無料でですが、いつもコラムを講読しています。
 私は太田さんの主張に共感し、また主張に負けない生き方をされているので尊敬しております。
 更にご活躍され、太田さんの主張が広まることを期待しています。

<読者MT>

 平沼、麻生、安倍、中川昭一、これらの真正保守と言われる政治家も太田さんの批判対象でしょうか。
 田中森一受刑者ではないですけれど、廉潔の氏は辱められもし、清濁併せ呑む大政治家にはなれないと言われるのも一理あるかな、と思うのです。

<大阪の川にゃ>

 岡田克也・小沢一郎・鳩山由紀夫・菅直人は、菅以外旧田中派です。こういう人達が総理になったら、日中戦争(支那事変=第2次上海事変=蒋・ファルケンハウゼンプラン)は日本の侵略戦争だった、と発言する可能性はありますか。
http://ww1.m78.com/sinojapanesewar/sinojapanese%20war.html
そういえば細川元総理も同じく田中派でした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AC%9D%E7%BD%AA%E7%99%BA%E8%A8%80%E4%B8%80%E8%A6%A7
 支那事変については、北支工作などもちろん日本側にも責任の一旦はあると思いますが。
 民主党が天下りを廃止することに期待したいのですが、旧田中派も、日本が譲れば中国が増長する事に気がつかなかった幣原外相みたいでほんとに危ないと思うのですが。

<太田>

 ゴチャゴチャ言わずに、政権交代をとにかく実現しましょう。

 「自衛隊や社会保険庁<を始めとして>公的部門の現場力は地に落ちている」(
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080407/152457/?P=1&ST=leaf  
。4月11日アクセス)
 「このままでは・・国内の官需頼り<の>・・日本の宇宙産業はなくなる」(
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080409/150197/  
。4月11日アクセス

といった具合に、日本の官僚機構の退廃と腐敗がもはや一刻も放置できない状況になっていることについて、日本でようやくコンセンサスが成立しつつある感がありますが、そのような状況をもたらした元凶こそ自民党恒久政権なのですから・・。
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太田述正コラム#2486(2008.4.14)
<チベット騒擾(続x6)>

→非公開

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