太田述正コラム#2438(2008.3.22)
<皆さんとディスカッション(続x92)>

<Fan>

 太田述正さんが久々に出演するということで、さっき「太田総理〜」を観ました・・・・・が太田さんの発言がほとんどない!たぶん、カットされたんでしょう。
 なめてますね、ったく・・。

<友人TK>

 太田君の今日の出番はほんとに1回だけでしたね。
 残念です。省庁別天下りを見るといかに防衛省が多いかあらためてびっくりです。
 今世紀中には天下り禁止法案は実現するのではないかと思うのですが。

<ちょいまる>

 テレビたった今拝見しました。
 述正氏の主張、時に国家機密級のお話(日本の給油艦の石油がタダの理由など)をテレビにて楽しく拝見させてもらっております、一視聴者です。
 今日は官僚と天下りの問題、まさに述正氏の独壇場か?と思って楽しみにしていましたけど、テレビ番組と言うのは、非常に浅はかなもので、貴重な述正氏のご意見をカットして、どこぞの首相のイケメンのお孫さんばかり出てきて非常に落胆しました。
 ワタクシ、ほんと述正氏の主張を聞きたかったです。(もちろんブログのことは知ってます。しかし、たとえ同じ事を述べたのだとしても、声と表情から情報を識別することと、文字から情報を識別することは、似て非なるものですよね?)

 そこで、お忙しいのを重々承知で、述正氏に二つほどお聞かせ頂きたく思います。

一、平沢氏の役人の評価基準 ・予算を多く取る ・天下りポストを多く作る ・予算を年度末までに使い切る

もし本当にこの三つが基準なのであれば、基準が曖昧などと言うよりも大変な事態だと思うのですが、上記の主張は事実だと思われますか?

二、官僚は、「こんなに多く国民のために働いてきてやったのだから、天下りしてもいいだろう」と言う意識が根底にあるように思うのですが、いかがでしょう? 

 ワタクシ、官僚のことなど分かりませんし、述正氏にしてみたら、本当に低レベルな質問になってしまっているのかもしれません。ですが、素直に思ったことを聞かせてもらいました。
 それでは。日々、貴重な情報を発信して頂き感謝しています。今後もご活躍を期待しております。

<太田>

 収録状況について、コラム#2414で、

 「私としては、天下りは所属官庁の人事当局が行う人事異動であって、天下る官僚の給与をカットするに等しい退職金カットをやるのは筋違いだ、という点を述べることができたので役割は果たしたと思います。これに対し、太田総理が、「太田さんの言うことはいつもマニアックだ」と言ったのにはガックリきました。なお、フリップの多くに私と似た人物のマンガが描かれており、フリップが用いられるたびに笑いを呼んでいました。」

と記したところです。
 フリップのところが活かされていたのは予想通りでした。
 前段が放送ではパスされていたのは残念ですが、番組制作者としては、マニフェストのできが悪いと指摘しているに等しい私の発言を流すわけにはいかなかったということでしょう。
 これ以外に私が行った発言は、放送された、「ハローワークで仕事が見つかる官僚OBなど100人のうち1人か2人だ」というのと、放送されなかった「恩給制度等の復活を見合いにして天下り禁止を断行すべきだ」くらいです。
 どうして私がそもそも余り発言しなかったかと言うと、天下り禁止については、国民のコンセンサスが形成されつつあると思うからです。
 それは、まさに天下り先ポストを増やすことに警察庁時代に血道をあげた平沢議員が天下りを批判する言葉を番組中に弄せざるを得なくなったところに端的に表れています。彼は何と自民党が通した人材バンクまで機能しないとこき下ろしてましたよね。
 落選の恐怖が彼をそこまで追い詰めているのです。
 こうなると私が懼れるのは、民主党政権ができた暁に、何の見返りもなく天下り禁止が断行されかねないことです。
 そんなことをしたら、せっかく出来たばかりの民主党政権が官僚機構挙げてのクーデターによって覆される懼れがあるし、そうならなかったらならなかったで、キャリア官僚のなり手がいなくなってしまうかもしれませんよ。
 元へ戻って、少なくとも、天下りをする(させられる)個々の官僚をバッシングすることは控えるべきだと思うのです。これは、腐敗・退廃している守屋のような個々の官僚をバッシングすることは控えるべきだというのと基本的に同じ趣旨です。
 問題は個々の官僚の資質や規範意識ではなく、政官業の三位一体的癒着構造である、という認識が必要なのです。

 おっと忘れるところでした。
 「ちょいまる」さんの質問二には以上記したことでお答えになってますよね。
 質問一についてですが、「予算を多く取る ・天下りポストを多く作る ・予算を年度末までに使い切る」のうち、最後の点は予算制度の問題なので横に置き、これを「カネ、ヒトを多くとる(減らさない)」と言い換えれば、平沢氏の言う通りです。(天下りも人事の一貫なのだから、天下りポストも現役のポストも区別すべきではありません。)
 これに長けている官僚は、理屈と政治力(省内、官僚機構内、対政治家)に秀でているということであり、評価基準として間違っているとは思いません。
 しかも、官僚は平均2年で他のポストに転じ、かつ次第に出世して行くので、この評価基準そのものが既得権益化・タコツボ化をもたらす、というわけではありません。
 問題は、自民党恒久政権の下で、人事の一貫と化してしまった天下りが黙認され、その見返りとして自民党の族議員が、各官庁、各部局、及びそのそれぞれの関係業界・業者と癒着することによって、各官庁、各部局において既得権益化・タコツボ化がもたらされた結果、官僚が各官庁、各部局において理屈と政治力を発揮すればするほど、この既得権益化・タコツボ化が進展してしまうところにあるのです。

<友人TK>

 それはそうと、チベット問題はなぜ日本政府ならびに外務省は中国を責めないのでしょうか?
 見殺しにしていいのでしょうかね?

<コバ>

 --Freedomーloving people! --

 米国のペロシ議長がダライ・ラマ法王と面会し、中国批判を行った模様です(
http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/03/21/tibet.dalai.lama/index.html
)。日本にもペロシさんみたいなカッコいい女性リーダーがいたらなあ、と思います。でも日本の市民団体がチベットに関して中国に抗議している活動もあまりないようだし、ペロシさんが言うFreedomーloving peopleは日本の人たちの中にはほとんどいないのかな、と非常に残念な気持ちになりました。日本の衆議院議長はといえば・・。暗たんとした気持ちになってきました。

<太田>

 ペロシ米下院議長は、対日慰安婦非難決議を通させた人物でもあります(コラム#1890)。
 彼女を始めとする米国の政治家の多くは日本も中共も同類だと見ているに違いありません。
 彼女らがカッコいいだなんてとんでもないと言いたいところです
 しかし、自発的に米国の属国たることに甘んじている日本と、チベットを属国化しただけでは飽きたらず、強引にその植民地化を押し進めている中共とが彼女らによって同類視されても、文句は言えないのかもしれません。
 いずれにせよ、河野衆議院議長や福田首相が中共の弟分だということは元々周知の事実(福田氏についてはコラム#1075)です。
 弟分がアニイを批判するわけがないでしょ。
 立法府の長と行政府の長に彼らを据えたのは日本国民の皆さんが選んだ自民党議員じゃなかったっけ。

<コバ>

 香港では、中国製の危険な食品が発見されたら、直ちに輸入禁止措置を取るそうです(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/1f4755a16bb363c76eb30284fec82210)。 日本の不自然な対応は中国に配慮したため? ギョーザ事件をきっかけに中国製食品などの安全性がもっと高くなってくれればいいのですが・・。
 また、中国も米国と同じように、安全保障に無関心なのに食品の安全性にはヒステリックになる日本を不可思議に思っているのではないでしょうか。このヒステリーは外国製食品に対する日本人の縄文人的な怒りなのか・・。
 散漫な雑文で失礼しました。

<太田>

 自分で言うのも何ですが、わが縄文モード/弥生モード論は中々含蓄ありますね。
 縄文人は自然との共生論者ですから有機農法志向であり、農薬をムチャクチャ使う中共農業に拒絶反応を示した、という受け止め方もできますね。

<友人TK>

 また、暫定道路特定財源ですが、在庫分は値下げしないそうで どんどん在庫を積み増しさせて時間稼ぎするような姑息な手段をつかうようですね。
 財源のあるだけの範囲で生活すべきだと思いますし、全国の老人の救急運搬のために高速を作るのはよしてほしいと思います。

<太田>

 基本的に、

>財源のあるだけの範囲で生活すべきだ

からこそ、増えすぎた国債を償還するためにも、当面、道路特定財源はカットすることなく、一般財源に組み入れるべきなのです。
 落としどころは分かりきっているのに、福田さんは道路族に気兼ねしてぐずぐずしているのですなあ。

<友人TK>

 日銀の新総裁について民主党がこだわるのがよくわかりません。
 そんなに重要な課題ではないと思いますが。
 どうでしょうかね?偏っているかな?
 いろいろ腹の立つ毎日です・・。

<太田>

 日銀総裁が重要なポストであるかどうかはともかく、財務省の嫡流たる事務次官経験者を総裁に据えることにこだわる福田首相の方がおかしいに決まっています(
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080320/stt0803201219001-n1.htm
。3月20日アクセス)
 福田さんが旧大蔵省勢力のエージェントであることもまた周知の事実(コラム#2064、2258)であり、そのことが彼の目を曇らせているのです。

 小泉氏にはまだ幻想を抱いている人がいるようですが、少なくとも安倍、福田両氏の目もあてられないほどのダメさかげん・・その発現形態は異なるが・・はどなたの目にも明らかでしょう。
 彼らのような首相を持って恥ずかしくありませんか。
 すべては自民党恒久政権を許した日本国民たるあなた方が悪いのです。

<大>

 コラム#2347、2349についてですが、

>第二に、橋下氏が、弁護士であり、かつ重要な首長戦に立候補し当選しながら
、憲法についても地方自治についても半可通でしかないことが露呈されたことで
す。
 第三に、橋下氏が、日本の基地問題一般についても、岩国固有の基地問題につ
いても、まるで分かっていないとしか思えないことです。

という二点の批判を橋本氏が受けた理由がよくわからなかったのです。
 一言われて十を理解できるタイプではないので、せめて三か四くらいは使って教えてください。

<太田>

 一番目については、
 「橋下氏の発言に対し、小林良彰・慶大教授(政治学)は「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、そ れを憲法が制限することはあり得ない」と指摘。「防衛は国の専権事項だが、基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。それは憲法 が認めた言論の自由だ」と述べ、「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」と皮肉った。 小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」と突き放した。「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまでのこと。人びとの注目を集め、目的は達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。」(
http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html
。2月3日アクセス)
 くらいでよろしいですか。
 「右」から「左」まで、憲法学者や政治学者がこれだけ声を揃えるのは希なことですよ。
 二番目については、全面的に岩国問題をとりあげたコラム#2347、2349、や同問題を部分的にとりあげたコラム#2358、2362、2395を参照して下さい。
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太田述正コラム#2439(2008.3.22)
<チベット騒擾(続x4)>

→非公開