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太田述正コラム#2366(2008.2.15)
<皆さんとディスカッション(続x65)>

<KAZU>

 コラム#2350で以下のようなやりとりがありました。

>福島みずほ参議院議員の07/01/23の国会質疑で、常陽で19kg、もんじゅで17kgの軍用(もんじゅからの分は超高級)プルトニウムが作られたとありましたが、日本国として、これは核武装の潜在的準備の一環として考えてよいのではないでしょうか。(建設が中断?の)再処理施設RETFは米国から買ったということで、米国も日本の核武装を求めていると思います。(KAZU)
>もう少し、典拠をつけて、具体的に問題提起をしてください。(太田)

 典拠は「隠して核武装する日本」で、槌田敦さんがお書きになっています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877143769/goodpic-22/
 念のため、槌田さんが会長をされている「核開発に反対する会」に電話で確認しましたら、質問趣意書で質問したそうです。回答は文書で07/02/14とのことです。

 提起したい問題は、
 隠して核開発を行っている日本の現状は、準核保有国ともいうべきレベルではないかと思います。核を持つか持たないかの二分法に入らないこのような現況についても、その是非についてもっと国会等での議論の遡上に乗せるべきではないか、ということです。
 私は、対外的な猜疑心や疑念を増幅させて、何ら得になることはないという観点から、国の自前の核は持たないであるべきと考えております。
 太田さんはいかがお考えでしょうか。

<太田>

 槌田敦氏は名城大学教授をしておられるようですが、2004年に、

 「核融合<による>発電は無理である。・・また、石油や天然ガスは200年程度では枯渇しないことも分かった。エネルギー問題はすでに消滅したのだから、核融合の研究開発を急がなくてはならない理由は何もない。それでもなお、核融合開発は国家プロジェクトとして続けられている。・・日本は軍事利用を本格的に始めようとしている<からだ>。・・高速炉・・もんじゅを開発するのは、原爆用プルトニウムを生産できる・・したがって、普通の原発の建設は次々と中止する一方で、ナトリウム漏れ事故のもんじゅの運転を再開しようとする。「EATER」は水爆用のトリチウムを大量に使う。したがって、<国際熱核融合実験炉>「EATER」を日本国内に建設すれば、日本はそのトリチウムを生産し、これを大量貯蔵することが、認められることになる。逆に、この「EATER」を国内に建設できなければ、日本はトリチウムを生産する口実が得られず、核兵器開発ができないのである。・・アメリカ<が日本における「EATER」建設を支持しているの>は日本の核武装がアメリカの手のひらの上でなされることを認めている<からだ>。したがって、<フランスへの建設に反対で>日本支持である。」

と記されています(
http://www.jcan.net/tanpoposya/doc/200402tsuchida.htm

。2月15日アクセス)が、EATERの建設がフランスに決まった以上、上記の理屈は成り立たなくなったのではないでしょうか。
 昨年12月に上梓された槌田氏の著書でいかなる新理屈を展開されているのか、興味あるところです。
 そもそも、原子力行政を所管していた旧科学技術庁や旧通産省が、日本核武装などという大陰謀に加担するわけがありません。
 この両省庁の官僚達は吉田ドクトリンの申し子のような人達ばかりであることを槌田氏はご存じないのでしょうか。旧通産省の非武装論の佐橋滋次官や商人国家論の天谷直弘通商産業審議官を思い出してください。
 なお、私の「消極的」核武装論については、私のブログの「核武装論」カテゴリーに出てくる10篇のコラムをお読み下さい。

<コバ>

 台湾と正式な外交関係を結ぶ(コラム#2364)以前に、まず日本こそが米国から独立しなければ、どの国とも正常な外交関係を持てませんね。
 しかし衆院で自民党に圧倒的な議席を与えてしまったことが悔やまれます。総選挙前に自民党を解体させることは出来ないものか・・。

<太田>

 総選挙で自民党を解体させればいいのです。
 問題は民主党です。
 早くも九月の民主党代表選では小沢一郎代表の再選を望むという声が菅、鳩山、輿石氏ら同党幹部の間からあがっているといいます(
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008021502087651.html
。2月15日アクセス)が、情けないと言ったらありません。
 その小沢氏は武藤元大蔵次官の日銀総裁就任を認める気配ですし、何の話題にもなることなく、会計検査院長には伏屋和彦元大蔵省国税庁長官が就任することになりました(
http://www.asahi.com/politics/update/0215/TKY200802150059.html
。同)。
 福田政権になってから、事務担当の内閣官房副長官こそ大蔵官僚から自治官僚に交代した(コラム#2086)けれど、旧大蔵省復権の動き(コラム#2038)が急です。これでは公務員制度改革どころの話ではありません。日々歴史は逆行しつつあります!

<米流時評 ysbee>

 太田さま、いつも愛読させて頂いております。
 コラム#2292「オバマ大頭領誕生へ?(続)(その1)」を読みました。
 今回の予備選に関しては、昨年の段階から拙ブログでも詳細をお伝えしてきましたが、エントリーで書かれているニューハンプシャーに関しては、米国政治のアナリストが異口同音で頷いている結論があります。
 それはこの州の前知事で、現在は今秋選出の上院議員の席を狙っている、ジーン・シャヒーンという女性です。ヒラリーの勝因は先月すでに前後編に分けて詳説してありますので、ぜひご一読ください。

http://beiryu2.exblog.jp/6943611/
http://beiryu2.exblog.jp/6946728/

<太田>

 ご愛読ありがとうございます。
 私のブログに頻繁にトラックバックされるご努力には敬意を表しますが、関係のないコラムへのトラックバックは採用しておりませんので、あしからず。
 さて、私は、コラム#2292のような時事的なコラムは、原則として、私が毎日目を通している英国の3つ、米国の6つのメディア・・いずれも私が高く評価しているもの・・の電子版のみによって執筆しており、これらのメディアでほとんど取り上げられていない事実や分析は盛り込まれないことになります。
 もう一つ。
 時事的なコラムについても、構造的な観点を忘れずに執筆することに心がけています。
 今後ともこのようなやり方で時事的なコラムを執筆していく所存ですのでご理解たまわりたいと存じます。
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太田述正コラム#2367(2008.2.15)
<オーストラリアの原罪(その2)>

→非公開

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