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太田述正コラム#2350(2008.2.7)
<皆さんとディスカッション(続x59)>

<ちんみ>

 武田邦彦(中部大學)教授も、「たかじんの〜」に出演していたのですね〜びっくり。
 環境問題の“大嘘”(ペットボトルや紙のリサイクルから地球温暖化まで)を、解りやすくたんたんと説明していて、メディア等で刷り込み済みの<環境問題に取り組むマジメなヒトたち>に、ショックを与えています。 
 インパクト大です。
http://takedanet.com/cat5621932/index.html

で、武田さんが、
「異端」議論のおもしろさ

 「異端」とは、集団内で「主流」とされる立場や考えに同調しない意見を持つ少数派や個人を、貶める目的などで使用される場合が多い。 ただし、芸術など独創性が高く評価される分野においては、「孤高」にも通じる賞賛の言辞として用いられることもある。
 異端議論は実に面白い。次の特徴がある。

1)「正統」を名乗る人がいない。「正統」は上品だから姿を隠す。
2)現代日本では「政府は正統」という定義である。昔から?メディアは反政府?
3)「学問的事実」より「社会的認知度」が正統を決める。納得できる。

 最初は少し腹も立ったが冷静に考えてみると、昔から「異端」とはもともとは「正統」である。イエス・キリストを正しく継いだら異端になる。人間とはそういうものだ。

 「温暖化したら南極の氷は増える」・・・これは学問的事実である。だから異端になる。「エントロピー増大の法則があるからリサイクルは成立しない」・・・これも学問的事実である。だから異端になる。

 ところで、環境問題における異端発生は、1970年までは無かった。イングランドの森林が破壊されたのは1800年だ。高圧蒸気機関が大量の還元炭素を 求めた。その時のイングランド一人あたりの鉄鋼生産量は現在の日本の500分の1である。そして1960年までは環境保護が異端だった。
 でも1970年代の石油ショックから環境がビジネスになった。そこから異端が誕生する。
 これまで「省エネルギー」は生産拡大の手段だったが、それが突如、生産抑制の王道になった。実に奇妙である。変わり身が早いと言えば速いし、因果関係なしに社会が動いていると言えばその通りだ。でも、社会は必ず因果関係を含んで時代が流れる。
・ ・・・ ・・・・ ・・・
 太田さん、海自艦艇インド洋派遣問題も、
 「護衛艦を監視目的で派遣したいがそれでは通らないので、給油艦を派遣し、その護衛という形で護衛艦を派遣したのだ。給油すると言っても有償だと誰も寄り つかないので無償にした、ということ。監視して得た情報は米軍に提供している・・」
 〜皆、びっくり〜( ゚Д゚)ポカーンでしたね〜。 
 おもしろかった。
 現在の日本の社会においては、太田さん、武田さん、皮肉にも“本職故”に・・共々まだまだ“異端”(正統=政府)っつーことで、また、お二人のそれぞれの発言が一般のヒトたちには 一寸理解し難い⇔インパクトが大きいってことで、百匹目の猿現象を・・ということですね。

百匹目の猿現象
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%8C%B9%E7%9B%AE%E3%81%AE%E7%8C%BF

<太田>

 武田氏が『リサイクル幻想』(文藝春秋、2000年)を上梓された頃に、ある私的勉強会でお話を伺ったことがあります。
 私は、役人勤めをやめるまで、各種勉強会に随分出たものですが、講師の話が「勉強」になったのは後にも先にもこの時くらいです。
 天川氏の勉強会だって、講師の話そのものが「勉強」になったわけではなく、その話が米国政府、就中米CIAのホンネを代弁しているところに価値があった(コラム#1877)だけのことです。
 日本人同士の勉強会など、ネットワーキング以外に出席する意義はほとんどない、というのが、夥しい時間をムダにした私の痛切な思いです。

<MS>

 太田様、どういった理由から「移民受け入れは焦眉の急」とお考えなのでしょうか?

中国が台湾や朝鮮半島を完全に影響下においてしまうと 移民受け入れはより難しくなりますが、近い将来にそのような可能性はありますか?
もちろん、そうなった場合でも台湾や韓国からの難民は受けれいるべきだと思いますが。
私は、日本は中華思想と対決するため、台湾や韓国が無事な内に移民を通して連帯を深めておくべきだと思います。
ノムヒョン政権の影響で、韓国人に対する日本人の不信感は急激に高まってしまいましたが、それでも中国共産党よりは韓国の方が手を組めるというのは、日本人の誰もが同意できることなのではないでしょうか?
日本側が福田総理ではどうにもならないかもしれませんが、新しい韓国大統領に期待したいと思います。

<太田>

 日本は、ヒトの受け入れの面だけでなく、カネ(資本)の受け入れ面でも鎖国状況にあります(コラム#12)。
 まさに、日本は縄文モードの真っ最中なのです。
 平安時代や江戸時代じゃあるまいし、グローバル化した現代で、縄文モードを維持するなんて気違い沙汰です。
 日本は、その歴史上初めて、縄文モードと弥生モードの弁証法的止揚の必要性に直面しているのであって、さもなければ国が滅びる、という危機感を私は抱いています。
 ヒトとカネの面での開国は焦眉の急なのです。
 
<KAZU>

 コラム#79「日本の核武装」についてです。
 以前別のところでも記しましたが、福島みずほ参議院議員の07/01/23の国会質疑で、常陽で19kg、もんじゅで17kgの軍用(もんじゅからの分は超高級)プルトニウムが作られたとありましたが、日本国として、これは核武装の潜在的準備の一環として考えてよいのではないでしょうか。(建設が中断?の)再処理施設RETFは米国から買ったということで、米国も日本の核武装を求めていると思います。

<太田>

 もう少し、典拠をつけて、具体的に問題提起をしてください。

<バグってハニー>

田村重信自民党政務調査会首席専門員(安保・テロ対策、憲法、情報問題など担当)
イージス艦を派遣した理由について
http://tamtam.livedoor.biz/archives/50829938.html

先週土曜日(註:1月19日、太田先生が太田総理で護衛艦にまつわる発言したのはその前日ですよね)と今週月曜日に知人から、「新テロ特措法を通したのは、アメリカが日本のイージス艦の情報が欲しかったからだとテレビで言っていた」という話を聞きました。
 それはウソで、新テロ特措法は給油するためのもので、それを守る役目がイージス艦」「かつては、給油の9割がアメリカだったが、今は、フランス、ドイツ、イギリス、パキスタンなどの量のほうが多くなっている」といった話をしました。テレビは勝手な報道をするものだと思い、今回「イージス艦を派遣した理由について」述べてみたいと思います。・・・

これ太田先生のことじゃないですかね。「うそ」とか言われてますけど。太田先生はイージス艦派遣だけにこだわっているわけではないですけど、自民党の公式見解ではイージス艦派遣は

一、艦艇の派遣ローテーション
二、補給活動の安全性の確保
三、隊員の居住環境の快適性

となっています。純粋に給油だけが目的だとしても二のためには護衛艦を付けないわけにはいかないような気がしますが。アフガン・イラク戦争が一段落した現在でも給油艦と護衛艦はセットで派遣されてますよね。

 補給艦おうみが佐世保出港 インド洋で給油再開へ (共同通信)
http://news.www.infoseek.co.jp/search/story/25kyodo2008012501000376/%25A5%25A4%25A5%25F3%25A5%25C9%25CD%25CE/
横須賀基地を出た護衛艦「むらさめ」とともに、昨年11月以来となる給油活動を再開する。

<太田>

 軽易な典拠で申し訳ありませんが、
http://weapons-free.masdf.com/sea/japan/asagiridd.html

に、「・・<海上自衛隊の>あさぎり型汎用護衛艦(DD)は、海上自衛隊が1988〜91年に8隻竣工した、「はつゆき」型に続く第二世代の汎用護衛艦である。・・「あさぎり」型はデーターリンクも付与され送受信兼用のリンク11と受信専用のリンク14を搭載し他の艦への情報提供が可能となっている。・・」とあります。
 ですから、現在就役している護衛艦はすべて情報の送受信が共に可能なデータリンクを装備していると考えていいですよね。
 さて、私の記憶では、護衛艦が米海空軍の部隊の近傍で行動する時には、データリンクをオンにし、この護衛艦が得た情報は自動的に米軍部隊に送られます。(もちろん、暗号がかかっています。)
 ちなみに、やはり私の記憶では、イージス護衛艦は、経空脅威に関する情報収集・対処能力やデータリンク能力等が通常の護衛艦より優れているとはいえ、通常の護衛艦と質的に異なるものではありません。
 (イージス護衛艦が派遣された時期は、対イラク戦開始直前から2〜3年間であり(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3
)、高度な経空情報(航空機、ミサイル情報)を多国籍部隊が欲しがった時期だと考えればいいでしょう。)
 ですから、インド洋でも派遣護衛艦は、当然のこととして米軍部隊にリンクを通じて経空情報や水上(、更には水中)情報を提供しているはずなのです。
 他方、米軍にとって、ということは、多国籍部隊にとってと言い換えてもいいのですが、護衛艦と補給艦とどちらがより価値が高いかを考えてみてください。
 確かに日本の補給艦は無償で燃料を給油してくれるかもしれないけれど、米軍の場合、必ず自前の補給艦を随伴させているはずですし、いずれにせよ、湾岸の給油基地は目と鼻の先にあります。
 護衛艦の方が価値が高いのは常識的に明らかでしょう。
 日本政府は、補給艦派遣をダシにして護衛艦をインド洋に派遣している、と考えるべきなのです。
 論より証拠、2005年までは、大部分の期間、護衛艦を2隻も「つけて」インド洋に派遣してますよ(ウィキペディア上掲)。
 とにかく、自衛隊に関する日本政府の公式見解なんて、ウソばかりだと思ってください。
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太田述正コラム#2351(2008.2.7)
<オバマ大頭領誕生へ?(続x4)>

→非公開

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