太田述正コラム#2213(2007.12.3)
<J-Wave用Q&A>(2008.1.7公開)

 (本篇は、4日2100まで公開しません。)

1 始めに

 明日生出演するJ-Waveの番組の質問状が送られてきたので、以下のように回答してあります。
 実際の質疑応答がこの通り進行するとは限らないのだそうですが、ご参考まで。

2 Q&A

Q1
 守屋さんと面識はございますか? またその印象は?

 同期ですから、当然面識はあります。彼は随分年齢が上なので、大人びて見えました。
 ここで強調しておきたいのは、彼は謙虚で真面目で優秀な人間であるということです。
 ですから、相当脇の甘いところはあったけれど、彼や彼の奥さんを鞭打つことは止め、もっと大きな問題や本質的な問題に目を向けるべきです。

Q2
 防衛省が他の省と特出して腐敗しやすいということなのでし
ょうか?
 それとも、どこも同じようにやっているが、たまたま今、
 問題になっているのが防衛省ということなのでしょうか?

 日本は米国の属国であり、外交・安全保障の基本を米国にぶんなげているので、本来の仕事をやらせてもらえない外務・防衛両省から退廃・腐敗が始まり、深刻化し、それが全省庁に波及している状況だということです。
 社会保険庁のことを思い出してください。
 国会議員も(地方議員と異なるところの)本来の仕事に携われないので退廃・腐敗しがちです。
 国家の存立や大勢の人間の生死に関わる仕事に携わっていれば、人間自ずから粛然とするものなのですがね・・。
 その退廃・腐敗の程度は、1955年以降、基本的に常に政権の座にあった自民党の国会議員が最も深刻です。
 そもそも権力は退廃・腐敗するものですが、恒久的権力であれば、絶対的に退廃・腐敗するのは当たり前です。
 このように官僚や政治家が退廃・腐敗しているので、政府に関わりの深い業界・業者も退廃・腐敗するに至っています。
 そして、この政・官・業が三位一体的癒着構造の下にあるのです。
 主要マスコミも記者クラブ制度等により、この癒着構造の一端を担っています。
 癒着構造における最大の問題は、官の業への天下りです。
 自分の能力・知識・経験だけで再就職できる官僚なんて100人に1人いるかどうかです。残りの人は実質的な仕事をせずに膨大なヤミ年金をもらっています。
 その原資は、官庁が、購入する財・サービスの価格を水増ししたり、規制を手加減したりして捻出されています。
 そして、この天下りシステムのいわばみかじめ料を政治資金等の形で政治家がせしめている。
 これが日本が抱える最大の問題です。
 この最大の問題を解消するには、(どんなに民主党がダメな政党であっても、とにかく政権交代を実現することです。
 民主党は自民党に比べれば、はるかに退廃・腐敗していないし、野党になった自民党は退廃・腐敗のプロ(?!)として、政権の座についた民主党の退廃・腐敗を暴き出し、政権回復を図ろうとするはずだからです。
 この方法がとれないのなら、)退廃・腐敗議員を排除するような形での抜本的な政界再編をなしとげるしかありません。
 いずれにせよ、先程述べた癒着構造を粉砕することによって、初めて日本は本質的な問題であるところの、米国からの自立、に取り組む条件が整うのです。
 これができるのは、政治家でも政党でもマスコミでもありません。
 広汎な国民が覚醒し、蹶起し、総選挙の早期実施を勝ち取り、適切な投票行動をとることを私は呼びかけたいと思います。

注:括弧内は、言わないことにしたい。

Q3
 防衛省について
 「日常業務すべてが不祥事」と辛辣な発言をされていますが
 具体的に、「日常業務における不祥事」の例を
 いくつか挙げていただけますか?


 軍事や安全保障に関する知識を身につけようともせずに仕事をしていることはさておき、防衛省キャリアはIT音痴、英語音痴、会計音痴の三重苦の世界に生きています。
 インターネットは米国防省から生まれたというのにITにからっきし弱く、米軍相手の仕事の比重が大きいというのにパーティー英語すらできない者ばかりであり、装備品の調達が最大の仕事とさえ言えるのに全く原価計算の知識がない、というわけで、要するに彼らは全く仕事をしていません。
 だから私は防衛省の「日常業務すべてが不祥事」だと言っているのです。

Q4
(*失礼ながら、基本的な質問をさせてください)
 太田様が着任されていた「官房審議官」とは
 どのようなお仕事なのでしょうか?

 どの役所にもありますが、形式的には官房に属しつつも、各局にまたがる仕事や各局の仕事をつまみ食い的に担当するスタッフ職です。
 私の場合、人事局(当時)の次長的な仕事のほか、防衛局の仕事のうち東南アジア諸国との防衛交流、官房の仕事のうち、防衛白書、各局各自衛隊の筆頭課長から構成される会議の議長役、行政系コンピューターネットワーク、等を担当しました。

Q5
 額賀大臣への証人喚問はすべきだったと思いますか?
 また、その理由をお聞かせください

 額賀さんはご自分を守るためにウソをついておられます。しかもそのウソの付き方が極めて拙劣です。
 (いずれにせよ、彼は政治家として失格であり、彼が財務大臣を務めているのは日本の恥です。)
 ですから、証人喚問等、あらゆる手段を使って彼を追いつめるべきです。
 守屋夫妻をぶったたくことより、そちらの方がはるかに日本のためになります。
 それは額賀さんに象徴されているところの、多くの自民党議員の退廃・腐敗ぶりを炙り出すことにつながるからです。

(注)括弧内は言わないことにする。

Q6
 太田様がお考えになる「防衛省が本来なすべき仕事」とは
 どういう内容を指すのでしょうか?

 防衛省は、日本が組織的計画的な武力攻撃を受ける可能性は見通しうる将来にわたってほとんどない、という基本的な情報開示をまずすべきです。
 その上で、今後の防衛力整備の在り方について、大幅削減案から漸増案まで、いくつかのオプションを提示すべきです。
 国民がどのオプションで行くのか決定すれば、防衛省・自衛隊は、朝鮮戦争が終わってからなくなっていた存在根拠を、再度与えられることになります。
 つまり、「防衛省が本来なすべき仕事」ができるようになるのです。
 なお、朝鮮戦争当時の自衛隊(もともとは警察予備隊)は、朝鮮半島向けの予備兵力でした。

Q7
 省に格上げになっても実質の仕事は「庁」の時代と
 変わらないということですが、「格下げ」「解体」を含め、
 太田様がお考えになる防衛省腐敗防止対策とは
 どのような内容でしょうか?

 人材の墓場となっている以上、現在の防衛省キャリア全員のキャリア籍を剥奪するとともに、防衛省キャリアの採用は当分の間(「防衛省が本来なすべき仕事」が付与されるまでの間)中止することとし、防衛省の内部部局は、他省庁出身キャリア、幹部自衛官の混成組織とし、防衛省採用のノンキャリがこれら他省庁出身キャリアや幹部自衛官をサポートする体制を構築することです。
 他省庁キャリアや幹部自衛官も退廃・腐敗していますが、防衛省キャリアよりはマシ、ということです。
 なお、これと平行して、恩給制度の復活を見返りに天下りの全廃を図るべきです。
 なお、恩給制度の導入までの間は、暫定的に、天下り先のOBの給与を一律2割カットする、といったことが考えられます。
 この恩給制度は、全省庁にも拡大することとし、全省庁における天下りの全廃を図るべきでしょう。

Q8 額賀氏からの口利き要請について

 この点だけは、ぜひ、この機会に話しておきたい!ということはありますか?

 →当時は大した話だとは私自身思っていませんでした。他により深刻な不祥事だらけだったからです。だから、防衛庁を飛び出した2001年に出した本の中でも政治家の口利きについてはほとんど触れていません。
 実際、当時斡旋利得罪があったわけではありませんし、仮にあったとしても、そしてその構成要件に合致する口利きを政治家の皆さんがやっていたとしても、既に時効が成立しているであろう古い話です。
 ところが、それにもかかわらず、建築・土木事業に関する口利きについては、リストに登場する政治家すべてがこれまでのところ、全面否定されています。
 私はむしろこのことにびっくりしています。
 政治家の皆さんは、当時既に相当やましい気持ちをお持ちだったのだな、と考えざるをえません。

「額賀氏の口利きについて、この部分はNGにしたい、ということはありますか?

 →全くありません。