太田述正コラム#2196(2007.11.25)
<本日の記事等の寸評>(2007.12.31公開)

1 始めに

 2度も昼寝をするほど疲労が蓄積していますが、本日はダウンロードした記事を久しぶりに全部読めたので、印象に残った記事等の寸評をご披露する形のコラムを書きました。

2 記事等の寸評

 (1)集団的自衛権問題

 「日本は集団的自衛権を保有しているが、行使はできない、とする政府の憲法解釈は、国際的に通用しない。こうした安倍前首相の問題意識により、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が発足した。・・懇談会では、検討対象の4類型のうち2類型について、集団的自衛権を行使して反撃・迎撃すべきだ、という意見が大勢を占めた。「公海上で我が国艦船近くの米艦が攻撃された場合」と「米国に向かうかも知れない弾道ミサイルを我が国のレーダーで捕捉した場合」だ。・・だが、懇談会は、会合を5回開いた後、3か月近く開店休業状態に陥っている。安倍前首相が退陣したためだ。しかも、参院選での与党惨敗と政権交代で、状況は一変している。」(
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071124ig90.htm
。11月25日アクセス(以下同じ))。
 「「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)は二十四日、今秋予定していた報告書の取りまとめを年内は見送る方針を固めた。福田康夫首相が性急な憲法解釈見直しに慎重な上、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を再開させる新テロ対策特別措置法案の国会審議への影響も考慮した。」( 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007112502067108.html

→こんな限定的検討を行っていること自体が時間と労力のムダです。「日本は憲法上集団的自衛権を保有しており、行使もできる」と首相が言い切ればよいだけのことです。(太田)

 (2)韓国の対日トラウマ

 「1905年11月17日と2005年11月17日。ちょうど100年の時を隔てた二つの日付が韓国の「国恥」という共通点を持つとのコラムが、昨年初めに米時事週刊誌『ウィークリー・スタンダード』に掲載された。
 1905年11月17日は日本が韓国の外交権を奪った「乙巳勒約」(日本では「第2次日韓協約」と呼ぶ)が結ばれた日だ。それから100年後の 2005年11月17日、韓国政府は国連で対北朝鮮人権決議案の表決を棄権した。ハーバード大韓国研究所のイ・ソンユン教授はこの二つの事件が同じ日付に起きたことに気付き、決議案棄権は乙巳勒約に劣らぬ恥辱だと指摘。同誌コラムで「韓国政府は韓半島(朝鮮半島)の平和と安定を口実に人権決議案に棄権したが、その棄権は長い間影を落とすことになる。1905年の恥ずべき事件と同様、すぐに忘れ去られることはない」と一喝した。」(
http://www.chosunonline.com/article/20071124000033

→ものすごい譬えに苦笑するばかりです。(太田)

 (3)できそこないのアングロサクソン・米国

 「ジャクソン・・は1829年3月にホワイトハウス入りした。・・彼が最も情熱を傾けたことは、インディアンをミシシッピー河流域やそれ以遠に移送することだったが、これは<米国の>地理的拡大と白人至上主義の定型かつ先例となり、爾後長年にわたって米国の帝国的マニフェスト・デスティニー擁護者達によって援用されることになる。・・自分が法の外ないし上に位置しているとのジャクソン自身による自己イメージと記述は、フロンティア消滅後何世代にもわたって続くこととなる米国の暴力的なフロンティア文化の典型的なあらわれだ」(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/11/21/AR2007112102060_pf.html

→筆者はオックスフォード大学名誉教授の英国人らしいのですが、典型的な英国人の米国評ですね。(太田)

 (4)ナオミ・クライン

 ナオミ・クライン(Naomi Klein)は、ポスト冷戦期を俯瞰する理論を提示したという点で、フクヤマ(Francis Fukuyama)、ハンチントン(Samuel Huntington)、トマス・フリードマン(Thomas Friedman)と並び称されるべきだ。(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/11/21/AR2007112101919_pf.html

→筆者は、インド人とおぼしき元国連事務次長らしいのですが、よい意味でも悪い意味でもナオミ・クライン(コラム#500、2050、2063)についての世界的評価が定まりつつあるようです。(太田)

 (5)欧州文明

 19世紀のフランスでも20世紀初頭のロシアでも、農村では冬季には人々は、文字通りほとんど冬眠状態にあった。(
http://www.nytimes.com/2007/11/25/opinion/25robb.html?ref=opinion&pagewanted=print

→英国人歴史学者ロッブ(Graham Robb)(コラム#2055)によるムチャ面白いコラム。欧州とイギリスは別文明に属することを改めて実感させてくれます。英語のできる方はぜひ上記を読んでみてください。(太田)